山口和幸の「ツールに乾杯! 2015」<4>壮大な長距離レースとして成功したツール チームTTの後は750kmの大移動

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サンマロ沖のグランべ島。潮が引いた時だけ歩いて渡れる © LE GAL Yannick / CRTBサンマロ沖のグランべ島。潮が引いた時だけ歩いて渡れる © LE GAL Yannick / CRTB

 7月12日に開かれた第9ステージ、チームタイムトライアル(チームTT)のゴール地点、プリュムレックを訪れたのは2008年以来だ。あの年は「地の果て」と呼ばれるブルターニュ半島最西端のブレストを出発。初日の第1ステージがブレスト〜プリュムレック間だった。日本からパリ入りし、飛行機の疲れもあったので途中で1泊したものの、ブレストまでの距離が果てしなく長く感じた。

 自転車乗りならブレストと言えば、世界で一番有名なブルベ大会「パリ〜ブレスト〜パリ」を思いつくはずだ。パリから600kmも離れたブレストまでを往復する。だから距離は1200kmで、制限時間は90時間。途中で睡眠や食事などをとるので平均時速は13kmほどだという。

 食いしん坊なら洋菓子の「パリ〜ブレスト」を連想するだろうが、これはパリ〜ブレスト〜パリで使われる自転車の車輪に形状が似ているから命名された。そもそもは自転車レースのパリ〜ブレスト〜パリありきなのである。

レンヌのリセ(高校)は荘厳だレンヌのリセ(高校)は荘厳だ

 パリ〜ブレスト〜パリは自転車のロードレースとして1891年に始まった。非常にユニークな競技で、スタートしてしばらくすると選手1人に1台ずつ先導のモーターサイクルがついた。主催していたのはフランスのスポーツ新聞「ル・ベロ」だ。

 その競合紙が「ロト」だ。1902年まで「ロト・ベロ」という新聞名だったが「ベロ」の名称使用をめぐって「ル・ベロ」に法廷闘争で敗れ、改名を余儀なくされている。当時の「ロト」は「パリ〜マドリッド間自動車レース」で大失敗していた。エンジンがついた乗り物で長距離レースをしても、もはや人々の関心をあまり引きつけなかった。

 一方で、「ル・ベロ」が主催するパリ〜ブレスト間往復1200km自転車レースは大当たりしていた。パリっ子から「地の果て」と呼ばれるブレストとパリを自転車で往復する冒険はいやが上にもワクワクしてしまう。それが一般の人の関心を引き寄せた。

レンヌの町に繰り出す。北部に位置するブルターニュ半島はぶどうが生産できないのでシードルが地物だレンヌの町に繰り出す。北部に位置するブルターニュ半島はぶどうが生産できないのでシードルが地物だ

 それよりももっと壮大なスケールの挑戦を企画して成功させたいと、「ロト」が発案したのがフランス一周自転車大レース。これがツール・ド・フランスとなった。当時は自転車でフランスを1周するなんてだれも考えられないほどの壮大なスケールのレースだった。この記事は大当たりし、年を追うごとにロトは販売部数を倍増させ、フランスナンバーワンのスポーツ紙になる。

 「ロト」は紆余曲折の後に「レキップ」と紙名を変更していまも存続する。その発行元は現在ツール・ド・フランスや、自動車・オードバイの「ダカール・ラリー」(旧パリ~ダカールラリー)などを主催するメディアグループ「ASO」社だ。

フルームがマイヨジョーヌのワンピースを採寸・制作フルームがマイヨジョーヌのワンピースを採寸・制作
後ろ身ごろを6.5cm、ソデ丈を8cm短く、ソデまわりを部分的に1.5cmから3cm短くした後ろ身ごろを6.5cm、ソデ丈を8cm短く、ソデまわりを部分的に1.5cmから3cm短くした
ツール・ド・フランスのオフィシャルブティックツール・ド・フランスのオフィシャルブティック

 話を現代に戻そう。選手たちは第9ステージのチームTTを走った後に、プリュムレックから、フランス南部ピレネー山脈の麓の街、ポーまで大移動をした。6台のバスに乗ってロリアン空港に向かい、3機の飛行機でポー空港へ。第一出走のオリカのバス発車時間が、最終出走のスカイがゴールする時間とほぼ同じだった。表彰式に出たら間に合わないね。最後の飛行機も20時50分には休息地のポーに到着するスケジュールだった。

 ただし、クルマを運転するチームスタッフや取材陣はそうはいかない。このあとプリュムレックからポーまで750kmの陸路移動が待っていたからだ。

山口和幸山口和幸(やまぐち・かずゆき)

ツール・ド・フランスをはじめ、卓球・陸上・ボート競技などを追い続け、日刊スポーツ、東京中日スポーツ、ナンバー、ターザン、YAHOO!などで執筆。国内で行われる自転車の国際大会では広報を担当。著書に「ツール・ド・フランス」(講談社現代新書)、「もっと知りたいツール・ド・フランス」(八重洲出版)など。

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