ツール・ド・フランス2015 第8ステージヴュイエルモーズがフランス勢に今大会初勝利をもたらす 王者ニバリが終盤に失速の波乱

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 ツール・ド・フランス第8ステージは7月11日、レンヌからミュール・ド・ブルターニュまでの181.5kmで争われ、フィニッシュ手前800mでアタックを成功させたアレクシー・ヴュイエルモーズ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)がステージ優勝。ツール初勝利を挙げた。総合首位のマイヨジョーヌはクリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)が危なげなくキープした一方、前回の総合覇者ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)がライバルから遅れる波乱が起きた。

区間優勝したアレクシー・ヴュイエルモーズ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)区間優勝したアレクシー・ヴュイエルモーズ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)

 フランス北西部・ブルターニュ地域圏では最大の都市であるレンヌをスタートし、進路を西へ。細かなアップダウンを経て迎えるは、「ブルターニュの壁」を意味するミュール・ド・ブルターニュ。フィニッシュまでの2kmを高度にして293m、平均勾配6.9%を上る。上り始めが最大勾配10.1%で、その後フィニッシュ地点に向かって少しずつ緩やかになっていく。前回この地が登場した2011年第4ステージでは、総合優勝候補を中心に熾烈な争いとなり、カデル・エヴァンス(オーストラリア、当時BMCレーシングチーム)が勝利を収めている。

 10日に行われた第7ステージ終了後、ルーカ・パオリーニ(イタリア、チーム カチューシャ)からコカイン代謝物質であるベンゾイルエクゴニンが検出されたことが、UCI(国際自転車競技連合)から発表された。これは、7月7日に採取されたサンプルから判明したもので、この発表を受けチームは即座にパオリーニを大会から離脱させた。今後、Bサンプルの分析でも陽性であることが確定すれば、パオリーニは4年間の資格停止処分となる。

逃げ続ける4人逃げ続ける4人

 パオリーニを除いた185人がスタートラインに就いた。序盤に決まった逃げは、ロマン・シカール(フランス、チーム ヨーロッパカー)、シルヴァン・シャヴァネル(フランス、イアム サイクリング)、バルトシュ・フザルスキー(ポーランド、ボーラ・アルゴン 18)、ピエールリュック・ペリション(フランス、ブルターニュ・セシェ アンヴィロヌマン)の4人。メーン集団との差は3分前後で淡々と進んだ。その間、100km地点に設けられた4級山岳はシカールが、109km地点の中間スプリントポイントはペリションがそれぞれ1位通過した。

 メーン集団では、中間スプリントポイントの通過を機に1回目の大きな動きが起こった。アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)が集団先頭の5位通過を決めた直後、ポイント争いに加わったスプリンターやその動きに乗じた選手たちが追走グループを形成。最大21選手がペースを上げ、逃げる3人を追った。やがて12人に減らしながら、先頭に合流。残り60kmに差し掛かったあたりからは、ラースユティング・バク(デンマーク、ロット・ソウダル)、ミハウ・ゴワシュ(ポーランド、エティックス・クイックステップ)、フザルスキーが抜け出し、新たな先頭グループとなった。

 約1分のリードで先を急いだ3人だったが、終盤に向けペースを上げるメーン集団の勢いに勝つことはできなかった。粘りを見せたものの、ラスト8kmで吸収。レースはいよいよ佳境へ。

レース後半にアタックしたゴワシュら3人レース後半にアタックしたゴワシュら3人

 有力チームがトレインを組み、ポジション争いが激しさを増す。強力な総合エースを抱えるチームが前方へと顔を出し、主導権の確保を狙う。そして、ミュール・ド・ブルターニュへと入るフィニッシュ前ラスト2kmの右コーナーを、チーム スカイを先頭に入っていった。

 スカイはゲラント・トーマス(イギリス)がフルームを牽引。急坂をハイペースで突き進み、集団は縦長へと変化していく。残り1.3kmとなったところでアタックを図ったのはヴュイエルモーズ。これにアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)とシモン・ゲシュケ(ドイツ、チーム ジャイアント・アルペシン)が反応したが、これはメーン集団からリードを奪うまでには至らない。

 ラスト1kmのフラムルージュ通過とほぼ同時に、一気にペースアップしたのはフルーム。有力選手の多くがこれに食らいついたが、ニバリがこのスピードについていけず後退。そしてラスト800mで先頭に立ったのはヴュイエルモーズ。再度のアタックで集団を引き離すと、スピードを落とすことなくフィニッシュ地点を目指した。

 後続の追い上げを許さなかったヴュイエルモーズは、今シーズン2勝目。2度目のツール出場で嬉しいステージ初優勝を挙げた。長くマウンテンバイク・クロスカントリー種目で活躍し、2008年には世界選手権のチームリレーでマイヨアルカンシエルを獲得。ソジャサン入りした2013年にロードへ本格転向を果たし、同年にツール初出場。現チームに移籍した昨年はジロ・デ・イタリア総合11位と健闘している。今年は、フレーシュ・ワロンヌ6位。同じく「ユイの壁」が舞台となったツール第3ステージでは3位に入り、注目される存在となっていた。この勝利で、地元フランス勢にとって今大会1勝目となった。

 ヴュイエルモーズはレース後、「ユイの壁とミュール・ド・ブルターニュを目標としていた。ユイでは3位となり、手応えをつかんでいた。今日は勝つためにリスクを冒す覚悟だった。最も勾配が厳しいところでアタックし、一度追いつかれたがフルームがペースアップしたときには少し回復していたので、もう1回攻撃に出ようと決めた。ロードキャリアでは3勝目に過ぎないが、マウンテンバイクから転向してまだ3年だ。学ぶことはいまだ多く、現状ではチームをリードする能力に欠けている」と、勝った喜びとともに謙虚なコメントを残した。続けて、「私は父の考えを日頃から大切にしてきた。ツールへの情熱を持っていた父だが、3年前に他界した。きっとこの勝利を天国で誇りに思ってくれているのではないかな」と家族への思いも口にした。

 後続は、単独で追走したダニエル・マーティン(アイルランド、チーム キャノンデール・ガーミン)が5秒差の2位。さらに5秒差でメーン集団がフィニッシュ。アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)が3位。また、4位のペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)はポイント合計で首位に立ち、マイヨヴェール奪取に成功した。

マイヨジョーヌを守ったフルームマイヨジョーヌを守ったフルーム

 マイヨジョーヌはフルームがキープ。トラブルなくステージを終えて、「勝負よりは、好ポジションでレースを進めることを優先した。ヴュイエルモーズの名前は知っていたが、その強さに驚いた。今日の勝利に最もふさわしいライダーだ」と話した。翌日に控えるチームTTに向けては、「総合争いにおいて非常に重要となるステージだ」と気を引き締め、今後のステージではティージェイ・ヴァンガードレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)をマークすべき存在として名を挙げた。

 なお、終盤に遅れたニバリはメーン集団から10秒差でフィニッシュ。「スタートから調子がよいとは言えず、何とか乗り切りたかったが最後は体が反応しなかった。今日は“バッド・デイ”だった」と苦しい1日を振り返った。

 12日に行われる第9ステージは、ヴァンヌからプリュムレクまでの28kmチームタイムトライアルで争われる。前半から上りと下りを繰り返し、最後はカドゥダルの坂(登坂距離1.7km、平均勾配6.2%)が待ち受ける難コースだ。各チーム5人目にフィニッシュした選手のタイムが採用される。今大会のポイントとなるステージであり、総合上位を狙う選手にとっては大きな遅れは決して許されない。そして、この日を乗り切れば第1週目が終了。休息日を迎える。

(文 福光俊介/写真 砂田弓弦)

第7ステージ結果
1 アレクシー・ヴュイエルモーズ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) 4時間20分55秒
2 ダニエル・マーティン(アイルランド、チーム キャノンデール・ガーミン) +5秒
3 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +10秒
4 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
5 トニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル)
6 グレッヒ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMC レーシングチーム)
7 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)
8 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)
9 ティージェイ・ヴァンガードレン(アメリカ、BMC レーシングチーム)
10 バウケ・モレマ(オランダ、トレック ファクトリーレーシング)

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 31時間1分56秒
2 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) +11秒
3 ティージェイ・ヴァンガードレン(アメリカ、BMC レーシングチーム) +13秒
4 トニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル) +26秒
5 グレッヒ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMC レーシングチーム) +28秒
6 リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ) +34秒
7 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) +36秒
8 ワレン・バルギル(フランス、チーム ジャイアント・アルペシン) +1分07秒
9ズデニェック・シュティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ) +1分15秒
10 バウケ・モレマ(オランダ、トレック ファクトリーレーシング) +1分32秒

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) 213 pts
2 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 210 pts
3 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ) 159 pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 ダニエル・テクレハイマノット・ギルマジオン(エリトリア、MTN・クベカ) 4 pts
2 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ) 2 pts
3 アレクシー・ヴュイエルモーズ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) 2 pts

新人賞(マイヨブラン)
1 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) 31時間2分7秒
2 ワレン・バルギル(フランス、チーム ジャイアント・アルペシン) +56秒
3 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +1分45秒

チーム総合
1 BMC レーシングチーム 93時間6分49秒
2 ティンコフ・サクソ +1分44秒
3 エティックス・クイックステップ +3分43秒

敢闘賞
バルトシュ・フザルスキー(ポーランド、ボーラ・アルゴン 18)

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