ツール・ド・フランス2015 第7ステージカヴェンディッシュが鋭いスプリントで今大会初勝利 マイヨジョーヌは再びフルームへ

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 ツール・ド・フランス第7ステージは7月10日、リヴァロからフジェールへの190.5kmで行われ、集団ゴールスプリントを鋭い追い込みで制したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)が、今大会初勝利を挙げた。総合首位だったトニー・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ)が前日の落車によるケガで未出走。マイヨジョーヌは不在の一日を経て再びクリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)の手に渡った。

集団でのゴールスプリントを制したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)が雄叫び集団でのゴールスプリントを制したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)が雄叫び

 この日はノルマンディー地方からブルターニュ地方へと至る内陸部を走るステージ。山岳ポイントは序盤に4級山岳が1つあるだけの平坦系に分類されるが、小さな丘のアップダウンが延々繰り返される、この地方らしい地形のコースだ。

 前日第6ステージのゴール直前で落車し鎖骨を骨折したマルティンは、ゴールはしたもののケガの詳しい状態が判明すると早々にリタイアを発表。この日繰り上がりで総合“1位”で出走するフルームにマイヨジョーヌの権利が与えられたが、フルームはマルティンに敬意を表してこれを辞退。この日のレースは異例の「マイヨジョーヌ完全不在の一日」となった。

 レースはスタート直後のアタックを集団が容認し、早々に5選手の逃げが形成された。山岳賞ジャージを着るダニエル・テクレハイマノット・ギルマジオン(エリトリア、MTN・クベカ)をはじめ、アントニー・ドゥラプラスとブリース・フェイユー(ともにフランス、ブルターニュ・セシェ アンヴィロヌマン)、ルイスアンヘル・マテ(スペイン、コフィディス ソリュシオンクレディ)、クリスティアン・ドゥラセク(クロアチア、ランプレ・メリダ)の5人による逃げは、すぐにメーン集団から2分以上の差を付けた。

5人の選手の逃げ5人の選手の逃げ

 メーン集団を牽引するのは、ポイント賞のマイヨヴェールを着るアンドレ・グライペル(ドイツ)擁するロット・ソウダル。グライペルを引き連れた隊列で集団先頭に位置取り、ペースを注意深くコントロールする。逃げとの差はレース後半に入るまで、常に2分台でキープされた。

 序盤12.5km地点の4級山岳はテクレハイマノットが獲得し、この日も山岳賞ジャージを守った。65.5km地点の中間スプリントは、スプリントの結果マテが先頭を獲った。後方のメーン集団でも、ポイント賞争いのスプリンター勢がスプリント。チームメートのアシストを得たジョン・デゲンコルプ(ドイツ、チーム ジャイアント・アルペシン)が集団先頭で通過し、ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)、グライペルと続いた。

 それ以降は、逃げとメーン集団は延々とその差を保ってレースを進めた。波乱が続いた今大会最初の1週間の疲れを癒すかのように、どのチームも攻撃を見せないまま淡々とした走りが続いた。100kmを過ぎてからはタイム差が1分台となったが、それが一気に詰まることはなく、集団は逃げを終盤まで泳がせておく算段だ。

 完全な協調体制で進んでいた逃げ集団は、アップダウンが小刻みになるブルターニュ地方へと入り、残り30kmを前にテクレハイマノットが上りで後退。チームの地元で気合の入るブルターニュ・セシェ アンヴィロヌマンは、ドゥラプラスが積極的なアタックをみせる。

 いっぽうメーン集団はスプリンターチーム、総合系チームともに集団先頭付近に隊列を組み、速いペースながら集団が道幅一杯に広がった緊張状態で進んでいく。こうなると逃げの命はもう風前の灯。最終的にマテとフェイユーの2人が飛び出す形となったが、残り11kmで逃げは全てメーン集団に吸収された。

 ここからは各チームが代わる代わる主導権を争いながら、徐々にゴールに向けて集団のペースを上げていく。最終盤はフジェールの市街地に入り、道幅が狭くなりコーナーも連続する。残り1kmで集団先頭に立ったのはロット・ソウダルで、アシスト3選手が牽引しグライペルはその後ろの好位置につける。

今大会初優勝をチームメートと喜ぶカヴェンディッシュ。ツールでの勝利は2013年以来だ今大会初優勝をチームメートと喜ぶカヴェンディッシュ。ツールでの勝利は2013年以来だ

 いよいよ最後のスプリント勝負。ここでまず勢いよく先頭に出たのはアレクサンドル・クリツォフ(ノルウェー)擁するチーム カチューシャ勢だ。一瞬後ろに沈みかけたグライペルだが、力強い加速でこれをかわして一気に先頭へ。しかしその後ろをピタリとマークしていたカヴェンディッシュが、そこからさらに鋭い加速をみせ、グライペルを一気に抜いてゴールに飛び込んだ。2位グライペル、3位はサガンが続いた。

 開幕1週間でようやく待望の今大会初勝利を挙げたカヴェンディッシュ。レース後の記者会見では「これまではスプリントを仕掛けるのが早かった。今日もパワー自体はこれまでと同じだったが、タイミングの違いで勝利に結びついた」と勝利の要因を語った。ケガでリタイアを余儀なくされたチームメート、マルティンのことにも触れ、「トニーがいなくなったのはチームにとって痛手。手術がうまくいったようでよかった。彼のために今日は勝ちたかった。彼とここで勝利を祝いたかったよ。今日の勝利を彼に捧げたい」と語った。

再びマイヨジョーヌを着たフルーム再びマイヨジョーヌを着たフルーム

 総合勢の波乱はなく、ボーナスタイムを得たサガンが総合2位に上がるなど、若干の変動にとどまった。暫定1位でこの日スタートしたフルームがその座を守りきり、ゴール後ようやくマイヨジョーヌに再び袖を通した。「クレージーな1週間で、何人もの選手がクラッシュで倒れた。チームは危険を避けるためにこれまでも前方で走るよう努めてきた。プロトンはこれからすこし落ち着くんじゃかな。マイヨジョーヌに戻れたのは大きな一歩だと思う。嬉しい」とフルームはレース後に語った。

 翌第8ステージは、ブルターニュ3連戦の2日目。レンヌからミュール=ド=ブルターニュに至る181.5kmで行われる。大きな山はないが小さなアップダウンが連続し、ゴール地点は「ミュール(壁)」の名の通り、2kmと短い上りながら前半が15%の急勾配となる難所。ステージ優勝、総合争いともに、ゴール前の攻防が見ものだ。

(文 米山一輝/写真 砂田弓弦)

第7ステージ結果
1 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ) 4時間27分25秒
2 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 4時間27分25秒 + 00′ 00”
3 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) 4時間27分25秒 + 00′ 00”
4 ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、チーム ジャイアント・アルペシン) 4時間27分25秒 + 00′ 00”
5 アレクサンドル・クリツォフ(ノルウェー、チーム カチューシャ) 4時間27分25秒 + 00′ 00”
6 アルノー・デマール(フランス、エフデジ) 4時間27分25秒 + 00′ 00”
7 タイラー・ファラー(アメリカ、MTN・クベカ) 4時間27分25秒 + 00′ 00”
8 レイナールト・イャンスファンレンスブルフ(南アフリカ、MTN・クベカ) 4時間27分25秒 + 00′ 00”
9 ダヴィデ・チモライ(イタリア、ランプレ・メリダ) 4時間27分25秒 + 00′ 00”
10 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・アルゴン 18) 4時間27分25秒 + 00′ 00”

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 26時間40分51秒
2 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) 26時間41分2秒 + 00′ 11”
3 ティージェイ・ヴァンガードレン(アメリカ、BMC レーシングチーム) 26時間41分4秒 + 00′ 13”
4 トニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル) 26時間41分17秒 + 00′ 26”
5 グレッヒ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMC レーシングチーム) 26時間41分19秒 + 00′ 28”
6 リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ) 26時間41分25秒 + 00′ 34”
7 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) 26時間41分27秒 + 00′ 36”
8 ズデニェック・シュティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ) 26時間41分43秒 + 00′ 52”
9 ゲラント・トーマス(イギリス、チーム スカイ) 26時間41分54秒 + 01′ 03”
10 ワレン・バルギル(フランス、チーム ジャイアント・アルペシン) 26時間41分58秒 + 01′ 07”

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 199 pts
2 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) 187 pts
3 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ) 151 pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 ダニエル・テクレハイマノット・ギルマジオン(エリトリア、MTN・クベカ) 4 pts
2 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ) 2 pts
3 ミヒャエル・シャール(スイス、BMC レーシングチーム) 1 pts

新人賞(マイヨブラン)
1 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) 26時間41分2秒
2 ワレン・バルギル(フランス、チーム ジャイアント・アルペシン) 26時間41分58秒 + 00′ 56”
3 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) 26時間42分47秒 + 01′ 45”

チーム総合
1 BMC レーシングチーム 80時間3分34秒
2 エティックス・クイックステップ 80時間3分56秒 + 00′ 22”
3 ティンコフ・サクソ 80時間5分18秒 + 01′ 44”

敢闘賞
アントニー・ドゥラプラス(フランス、ブルターニュ・セシェ アンヴィロヌマン)

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