エースを支え、自身も総合上位を狙う女子プロロードの頂点「ジロ・ローザ」に萩原麻由子が2年連続参戦 第3ステージで5位に入る活躍

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 女性版ジロ・デ・イタリア「ジロ・ローザ」が7月3日にスロベニアで開幕した。全10日間のステージレースで、個人タイムトライアルや厳しい山岳ステージを含み、女子のプロサイクリング界の頂点に位置する。ツール・ド・フランスと同時期に開催されるこの大会に、日本チャンピオンの萩原麻由子(ウィグル・ホンダ)が昨年に引き続いて参戦し、これまでのステージで大活躍している。 (レポート 田中苑子)

第5ステージ、出走サインを終えた萩原麻由子が笑顔を見せる第5ステージ、出走サインを終えた萩原麻由子が笑顔を見せる

世界のトップ19チームが争う10日間

ジロ・ローザ開幕前にスロベニアで行われたチームプレゼンテーションジロ・ローザ開幕前にスロベニアで行われたチームプレゼンテーション

 1988年の初開催時より「ジロ・ドンナ」という名称で親しまれ、2013年に主催者が変わったことから「ジロ・ローザ」に変更された。しかし、当初から女子レース界における“グランツアー”として、毎年6月から7月にかけて、おおむね9、10日間の日程で開催されている。

 今年のジロ・ローザはイタリアの隣国、スロベニアでのプロローグ(2kmの個人タイムトライアル)で開幕した。続いてスロベニアで第1ステージが行われ、第2ステージからはイタリア本国へと舞台を移し、40度近い酷暑のなかで日々熱戦が繰り広げられている。レースの後半戦となる第5ステージからは、イタリア北部での山岳ステージが続く。総走行距離は891km、世界のトップ19チーム、148選手が出走した。

大会初日、プロローグのスタートラインに立つ萩原麻由子大会初日、プロローグのスタートラインに立つ萩原麻由子
日の丸のステッカーが貼られる萩原麻由子のバイク日の丸のステッカーが貼られる萩原麻由子のバイク
オランダのチームリブ・プランターのバイクが並ぶ。男子チームのジャイアント・アルペシンとチームバスを共用しているオランダのチームリブ・プランターのバイクが並ぶ。男子チームのジャイアント・アルペシンとチームバスを共用している
世界チャンピオンポリーヌ・フェランプレヴォのバイクを積んだラボ・リブのチームカー世界チャンピオンポリーヌ・フェランプレヴォのバイクを積んだラボ・リブのチームカー

ダブルエースで総合優勝を狙うウィグル・ホンダ

レース前に保冷ベストを着た萩原麻由子とふざけ合うジョルジア・ブロンジーニレース前に保冷ベストを着た萩原麻由子とふざけ合うジョルジア・ブロンジーニ

 昨年に続き2度目の参戦となる萩原麻由子は、6月28日の全日本選手権に出場後すぐに、イタリアを経由してチームメートとともにスロベニアに入った。彼女が所属するウィグル・ホンダは、女子サイクリング界のトップチームであり、世界選手権優勝の経歴をもつジョルジア・ブロンジーニ(イタリア)をキャプテンに、各国のチャンピオンクラスの選手が揃うタレントチームだ。萩原も昨年のジロ・ローザでステージ3位に入った実績をもつ。

 そして今季は過去に2回、ジロ・ローザで優勝した経験をもつアメリカ人のマラ・アボットがチームに加入している。イタリア期待の新星、エリサ・ロンゴ・ボルギーニとともに、その2選手がエースとなり、チームは本大会で総合優勝を狙う。萩原に課せられた任務は、持ち味の登坂力を活かして彼女たちを勝利へと導くことだ。

キャンピングカーから出て、レース準備をするマラ・アボットキャンピングカーから出て、レース準備をするマラ・アボット
ウィグル・ホンダのエースを務めるエリサ・ロンゴ・ボルギーニ。ベストイタリアンライダーのリーダージャージを着用しているウィグル・ホンダのエースを務めるエリサ・ロンゴ・ボルギーニ。ベストイタリアンライダーのリーダージャージを着用している
穏やか雰囲気でレースのスタートを待つウィグル・ホンダの選手たち穏やか雰囲気でレースのスタートを待つウィグル・ホンダの選手たち
チームを率いるのは、女子サイクリング界で名監督として有名なエゴン・ファン・ケッセル氏チームを率いるのは、女子サイクリング界で名監督として有名なエゴン・ファン・ケッセル氏
萩原麻由子のバイクに貼られたコースプロフィール。監督が作成して貼っている萩原麻由子のバイクに貼られたコースプロフィール。監督が作成して貼っている

好調の萩原、トップ10も視野に

出走サインで壇上に上がるウィグル・ホンダの選手たち。8人でスタートしたが2人がリタイア。6人で後半ステージを戦う出走サインで壇上に上がるウィグル・ホンダの選手たち。8人でスタートしたが2人がリタイア。6人で後半ステージを戦う

 酷暑に見舞われた前半戦で、ウィグル・ホンダは落車により選手8人のうち2人がリタイアしてしまった。しかし、総合成績が大きく動いた第2ステージでは、エースのロンゴ・ボルギーニとアボットがしっかりと前方でゴールし、第5ステージを終えて、それぞれ20秒差の総合5位、44秒差の総合9位につけている。

 また第3ステージでは、萩原の乗った逃げがゴールまで逃げ切る展開となり、萩原はステージ5位でゴールした。後続にタイム差を付けたことで、総合成績も12位にジャンプアップした(第5ステージ終了後、トップまで1分1秒差)。暑さも含めてタフなステージだったが、そこでの萩原の力走をチームのエゴン・ファン・ケッセル監督は非常に高く評価し、「チームにとってマユコの総合トップ10も現実的であり大きな目標だ」と話す。

第2ステージで先行するエリサ・ロンゴ・ボルギーニ第2ステージで先行するエリサ・ロンゴ・ボルギーニ
第3ステージで逃げに乗った萩原麻由子。ステージ5位でゴールした第3ステージで逃げに乗った萩原麻由子。ステージ5位でゴールした
スタート前のサイン台へと向かう選手たちを観客たちが見守るスタート前のサイン台へと向かう選手たちを観客たちが見守る
落車により顔に傷を負った選手。痛々しいが笑顔でインタビューに応える落車により顔に傷を負った選手。痛々しいが笑顔でインタビューに応える
出走サインの順番を待つウィグル・ホンダの選手たち出走サインの順番を待つウィグル・ホンダの選手たち

最初の山岳ステージ、上りで魅せた萩原

 山岳ステージの初日、獲得標高約1000メートルの頂上ゴールが設定された第5ステージでは、ロードレースとシクロクロスで現世界チャンピオンのポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、ラボ・リブ)がゴール前で単独アタックを仕掛け、メーン集団から1秒差で逃げ切り勝利を挙げた。

「調子がいいか、悪いか、今日の山岳ステージでいろいろとわかる」とスタートを待つ萩原麻由子「調子がいいか、悪いか、今日の山岳ステージでいろいろとわかる」とスタートを待つ萩原麻由子
世界チャンピオン、ポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、ラボ・リブ)世界チャンピオン、ポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、ラボ・リブ)
ストレッチしながらスタートを待つ選手ストレッチしながらスタートを待つ選手
スタート前、リーダージャージを着用した選手たちが最前列でセレモニーに参加するスタート前、リーダージャージを着用した選手たちが最前列でセレモニーに参加する
第5ステージ、ベルガモ郊外の街をスタートしていく萩原麻由子第5ステージ、ベルガモ郊外の街をスタートしていく萩原麻由子

 残り5km地点では「アタックに反応することがチームからの指示だった」と話す萩原が、先行する2選手を追って単独でブリッジを成功させる場面があり、会場が大きく沸いた。結果的に萩原ら先行する3選手は40人ほどのメーン集団に吸収されてゴール。そこに総合上位の選手が含まれていたため総合成績は変動せず、ウィグル・ホンダのエースや萩原も総合成績上位を維持した。

ポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、ラボ・リブ)が第5ステージを制したポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、ラボ・リブ)が第5ステージを制した
にわか雨のなかでゴールしたウィグル・ホンダのキャプテン、ジョルジア・ブロンジーニにわか雨のなかでゴールしたウィグル・ホンダのキャプテン、ジョルジア・ブロンジーニ
落車しながらも総合成績を守ったエリサ・ロンゴ・ボルギーニ(中央)とマラ・アボット落車しながらも総合成績を守ったエリサ・ロンゴ・ボルギーニ(中央)とマラ・アボット

世界の頂点での「悔しい」思い

悔しさを抱えながらチームエリアに戻ってきた萩原麻由子悔しさを抱えながらチームエリアに戻ってきた萩原麻由子

 レースを終えて、チームメートやスタッフたちにねぎらわれるなかで、萩原の表情は浮かなかった。

 「指示どおりアタックに反応できたことは良かったし、自分の総合成績もキープすることができた。でも、ポリーヌが最後にアタックを仕掛けたときについていけなかったことが悔しい」

 彼女が悔しさを感じる相手は世界チャンピオンであり、改めて彼女が戦っているのは、女子ロード界の頂点だということを強く認識させられたシーンだった。

 総合12位の萩原を含めて総合成績上位が1分差にひしめく展開となっている今年のジロ・ローザ。大会の最難関ステージは最終日の第9ステージであり、標高1200メートルを駆け上がる山頂ゴールが設定されている。また第8ステージは21.7kmの個人タイムトライアルもあり、勝負の行方は最後までわからない。

ゴール地点で選手を待つ犬ゴール地点で選手を待つ犬
「マユコはチームでナンバーワンの選手だよ!」と話すイタリア人チームスタッフ「マユコはチームでナンバーワンの選手だよ!」と話すイタリア人チームスタッフ

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