ツール・ド・フランス2015 第5ステージグライペルがトップスプリンターたちを撃破し2勝目 サガンは猛追するも届かず2位

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 ツール・ド・フランス第5ステージが7月8日、アラスからアミアンまでの189.5kmで開かれ、ポイント賞ジャージのマイヨヴェールを着るアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)がトップスプリンターたちを圧倒するスピードで退け、今大会2勝目を挙げた。トニー・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ)が同タイムでゴールし、総合首位の証であるマイヨジョーヌをキープしている。

第5ステージを制し今大会2勝目を挙げたアンドレ・グライペル第5ステージを制し今大会2勝目を挙げたアンドレ・グライペル

 オランダ、ベルギーを通過してきたプロトンは、フランス北部での平坦ステージに臨んだ。スタートからゴールまで細かいアップダウンが繰り返されるものの、カテゴリー山岳のない、スプリンター向けのコースレイアウト。第2週以降に山岳ステージが集中する今年のツールにおいて、特にピュアスプリンターは勝利しておきたいステージだ。

 レース開始前から、スタート地点のアラスは強い雨と風に見舞われていた。気温も前日より低く、選手たちはレインウェアやアームカバーなどを装着してレースに臨んだ。

 レース開始直後、ニコラ・エデ(フランス、コフィディス ソリュシオンクレディ)とピエールリュック・ペリション(フランス、ブルターニュ・セシェ アンヴィロヌマン)がファーストアタックを試みると、これが容認された。このまま2人で逃げていくと思われたが、エデが集団に戻り、残されたペリションは単独で逃げる展開になった。

モニュメントの前を通過するプロトンモニュメントの前を通過するプロトン

 しかし、エデを戻したコフィディスにトラブルが起きた。エーススプリンターのナセル・ブアニ(フランス、コフィディス ソリュシオンクレディ)が落車によりリタイアすることになってしまった。その後もブライアン・コカール(フランス、チーム ヨーロッパカー)やグレッヒ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMC レーシングチーム)ら有力選手を含む落車が続いた。雨が降ったり止んだりという天候で、メーン集団は慎重な走りを余儀なくされた。

 残り100km地点にある中間スプリントポイントは、ペリションがトップ通過。メーン集団では、グライペルが先頭をとってポイント賞争いのリードを広げ、その後ろにジョン・デゲンコルプ(ドイツ、チーム ジャイアント・アルペシン)、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)、ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)が続いた。

 中間ポイントから2kmほどで、メーン集団はペリションを吸収した。それから新しい逃げ集団が生まれることはなかったが、残り80kmを過ぎると、横風の吹く区間でチーム キャノンデール・ガーミンやBMCレーシングチームがペースアップを図り集団を分断。有力スプリンターや総合エースの多くは前方に残ったが、80人ほどが後方に取り残された。

レース序盤から終盤まで、落車が頻発したレース序盤から終盤まで、落車が頻発した

 メーン集団ではアスタナ プロチーム、チーム スカイ、ティンコフ・サクソ、モビスター チーム、BMCといった総合系のチームが、エースを守るために前方に陣取ってレースを展開した。落ち着いた様子でゴールを目指すメーン集団だったが、路面の濡れた残り25km地点で、またも大規模な落車が発生。エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、MTN・クベカ)やティボ・ピノー(フランス、エフデジ)らが巻き込まれたが、幸い大きなけが人はなく、メーン集団に復帰することができた。

 ラスト5kmを切ると、エティックス・クイックステップやMTN・クベカ、ジャイアント・アルペシンなどが集団前方で激しくポジション争いを繰り広げた。マイヨジョーヌのマルティンも、カヴェンディッシュのために先頭で集団のスピードを上げた。そして各チームの選手が入り乱れるようにして、残り500mでコーナーを右折し最終ストレートへ。

 残り300mでアレクサンドル・クリツォフ(ノルウェー、チーム カチューシャ)が仕掛け、それにカヴェンディッシュとアルノー・デマール(フランス、エフデジ)が反応し、3人横一線のスプリント勝負がスタート。その時点で、グライペルはボアッソンハーゲンをはさんで5番手につけていた。しかしグライペルは、前方に並ぶ3人を避けるようにラインを変えながら一気に加速し、カヴェンディッシュらを抜き去った。グライペルの後ろにつけていたサガンは、前を塞がれ一度は後退したものの、グライペルの動きに食らいつき、猛然と追い上げた。しかしサガンもわずかに届かず、グライペルが右拳を突き上げながらゴールラインをトップで駆け抜けた。

 グライペルは第2ステージに続く2勝目。不利な状況を打開した抜群のスピードを見る限り、かなり良いコンディションにあるようだ。中間、ゴールともにスプリント勝負で完勝し、ポイント賞争いでのリードも広がった。レース後のインタビューに対しては「チームメートが前方まで連れて行ってくれて、特にマルセル・ジーベルクは素晴らしい仕事だった。残り300mではもうダメかと思ったけれど、それから前に出て、スプリントすることができた」とゴール前の圧巻の走りを振り返った。

 マイヨジョーヌを守ったマルティンは、カヴェンディッシュが不発だったことについて「最後のスプリントを見てないのでどうだったか分からないけれど、ラスト数百メートルでなにかがあったんだろう」とコメント。

 また自身やグライペルらドイツ人選手の成功の秘訣を問われると、「平坦ステージからスタートしたからじゃないかな(笑)」とおどけてみせた。続けて、「スプリントに長けた選手も多い。僕自身はできるだけマイヨジョーヌを着ていたいとは思っているけれど、山岳ステージがくれば総合上位にとどまっていられないことは分かっている」と現実的な見解を語った。

総合リーダーの座を守ったトニー・マルティン総合リーダーの座を守ったトニー・マルティン

 また、初めてマイヨジョーヌを着てツール走ったマルティンは「2時に寝ようとしたけれど、途中で目覚めてしまってあまり寝られなかった。朝起きた時には復活していて、マイヨジョーヌを着る心の準備もできていた。でも次はちゃんと寝ないとパリに辿りつけないね」と悲願を達成し興奮した様子だった。

 ステージ2位のサガンは「きょうは良いレースがチームとできたと思う」と話しながらも「最後の100mはちょっと後ろにいすぎたね」と反省。それでも「雨が降ってクラッシュがたくさんあったけれど、アルベルト(・コンタドール)も無事ゴールできてよかった。2位で終えることができて今夜は少しリラックスできるだろうね」と、エースをアシストしながら結果を出せたことに満足した。

 翌日の第6ステージはアブヴィルからル・アーヴルまでの191.5kmで争われる。平坦ステージに分類されるが、細かなアップダウンやイギリス海峡沿いの横風は要注意。そしてラスト1.5kmからは登坂距離850mで平均勾配7%の上りが登場する。上れるスプリンターやパンチャーが有利とされるステージだ。

(文 平澤尚威/写真 砂田弓弦)

第5ステージ結果
1 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 4時間39分0秒
2 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) +0秒
3 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)
4 アレクサンドル・クリツォフ(ノルウェー、チーム カチューシャ)
5 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、MTN・クベカ)
6 ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、チーム ジャイアント・アルペシン)
7 アルノー・デマール(フランス、エフデジ)
8 ブライアン・コカール(フランス、チーム ヨーロッパカー)
9 ダヴィデ・チモライ(イタリア、ランプレ・メリダ)
10 グレッヒ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMC レーシングチーム)

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 トニー・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ) 17時間19分26秒
2 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) +12秒
3 ティージェイ・ヴァンガードレン(アメリカ、BMC レーシングチーム) +25秒
4 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) +33秒
5 トニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル) +38秒
6 グレッヒ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMC レーシングチーム) +40秒
7 リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ) +46秒
8 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) +48秒
9 ゲラント・トーマス(イギリス、チーム スカイ) +1分15秒
10 ズデニェック・シュティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ) +1分16秒

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 151 pts
2 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) 119 pts
3 ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、チーム ジャイアント・アルペシン) 89 pts

新人賞(マイヨブラン)
1 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) 17時間19分59秒
2 ワレン・バルギル(フランス、チーム ジャイアント・アルペシン) +46秒
3 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +1分35秒

チーム総合
1 BMC レーシングチーム 51時間59分55秒
2 エティックス・クイックステップ +24秒
3 ティンコフ・サクソ +1分44秒

敢闘賞
マイケル・マシューズ(カナダ、オリカ・グリーンエッジ)

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