ツール・ド・フランス2015 第4ステージマルティンが独走勝利でマイヨジョーヌも獲得 パヴェでの激戦、残り3kmからアタック

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 ツール・ド・フランス第4ステージは7日、スランからカンブレまでの今大会最長距離、223.5kmで争われ、石畳(パヴェ)区間をくぐり抜けたトニー・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ)が残り3km地点から単独でアタックし、後続の集団を3秒離してフィニッシュし優勝を飾った。マルティンは同時にマイヨジョーヌも獲得した。

ステージ優勝を飾ったトニー・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ)。マイヨジョーヌも獲得ステージ優勝を飾ったトニー・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ)。マイヨジョーヌも獲得

 この日は、コース後半にパヴェ区間を7回通るコースレイアウトで、主催者はこのステージを「ミニ・パリルーベ」と称している。パンクや落車などのリスクが高いことから、総合成績を狙う選手はいかにタイムを失わず走りきれるかが注目された。また、クラシックレースを得意とするライダーのステージ優勝を狙う走りが見どころとなった。

スタート前に自転車について話をするメルクスとコンタドールスタート前に自転車について話をするメルクスとコンタドール

 レースはスタートと同時に4人の選手が飛び出した。メンバーはリーウ・ウェストラ(オランダ、アスタナ プロチーム)、トマス・デヘント(オランダ、ロット・ソウダル)、ペリグ・ケムヌール(フランス、チーム ヨーロッパカー)、フレデリク・ブラン(フランス、ブルターニュ・セシェ アンヴィロヌマン)だ。メーン集団がすぐにこの4人の動きを容認したため、約3分のアドバンテージを持って逃げ続けた。

 メーン集団はチーム スカイやティンコフ・サクソなどの総合成績を狙うチームが前方を固めた。これは落車などのリスク回避の意味合いが多い動きだ。いくつものチームが隊列を組んでいることで、集団自体が横に広がる場面が見られる。125km地点付近にある最初のパヴェ区間の前にはチーム スカイが集団を牽引し、縦一列に伸ばす場面が見られたが、大きな展開を生む動きにはならなかった。

 残りの距離が100kmを切る頃、選手がバイクを交換するシーンが多く見られた。パヴェ区間を意識し、よりパンクのリスクが少ない太いタイヤや、振動吸収性の高い機材が装備されているバイクへと交換するためだ。なお、2回目のパヴェ区間に入ってからは、メカトラブル以外のバイク交換は認められていない。

 86.5kmに設けられたスプリントポイントは逃げている4人のなかで、積極的に動いたデヘントがトップで通過しポイントを獲得。デヘントはこの日設けられた山岳ポイントも1位で通過している。メーン集団ではスプリンター勢が5位以下のスプリントポイント獲得を目指した。集団のトップで通過したのはマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)で、ブライアン・コカール(フランス、チーム ヨーロッパカー)、アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)、ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)が続いた。

 残り距離45kmから始まる連続するパヴェ区間に備え、変わらずに総合系のチームが集団を牽引。いよいよ2つ目のパヴェ区間に突入すると土煙を上げながら集団は縦一列に伸びた。マルティンらがペースを上げるとたまらずに後方では選手が千切れていき、集団は次第に数を減らしていった。

石畳を走るフルーム石畳を走るフルーム

 3つ目のパヴェ区間からはヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)の快走が目立ち、後方の選手を苦しめた。パヴェ区間との間には丘を挟んだため、集団から中切れした差を埋めきれずに有力選手が脱落していく。スプリントを狙うアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)が遅れ、パヴェを得意としていたアレクサンドル・クリツォフ(ノルウェー、チーム カチューシャ)はパンクでメーン集団へ復帰できなかった。総合を狙うティボ・ピノー(フランス、エフデジ)もメカトラブルが続き、チームメートがアシストにまわるも集団へ戻ることができなかった。逃げていた4人はこの時点で全て吸収されている。

 続くパヴェ区間でもニバリがアタックをかけ続けた。しかし、自身を含めた4強と称される他の選手、アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)、クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)、ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)を振り切ることができない。

 ニバリや石畳を得意とする選手の散発的なアタックが仕掛けられ、集団の人数は減っていくも決定的な逃げが生まれない。このまま集団スプリントになるかと思われた矢先、残り3kmでマルティンがアタックし、集団との差を広げてフィニッシュ地点を目指し独走を開始した。マルティンは残り19km地点でメカトラブルによりチームメートのマッテーオ・トレンティン(イタリア、エティックス・クイックステップ)からバイクを受け取り、“借り物のバイク”で走行していた。

 チームの人数を残すチーム ジャイアント・アルペシンやコフィディス ソリュシオンクレディがマルティンを追うも、コーナーが多いレイアウトに阻まれマルティンとの差が縮まらない。

最後独走に持ち込み第4ステージを制したトニー・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ)最後独走に持ち込み第4ステージを制したトニー・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ)

 背後に集団が見えるも3秒リードし、マルティンが逃げ切り勝利を飾った。ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、チーム ジャイアント・アルペシン)が2位でフィニッシュし、3位にはコンタドールを終始アシストしたサガンが入っている。

 連日、僅差でマイヨジョーヌを逃し、総合成績1秒差の2位でこのステージをスタートしたマルティンは実力でタイムを縮め、ようやく黄色のジャージを着用することができた。マルティンは「バイクを交換した時点でサドルが高く、サイズも合わなかったのでもう駄目かと思ったが、残り5km切ってから“フルガス”で走りきった。とにかく勝てて嬉しい。幸運だった」とコメントした。

 翌日の第5ステージはアラス・コミュノテ・ウルベーヌからアミアン・メトロポールまでの189.5kmで争われる。伝統の激坂、石畳と続いてきたが、第5ステージは“普通”の平坦ステージだ。カヴェンディッシュやグライペルをはじめピュアスプリンター同士のハイスピードなゴール勝負が見どころになるだろう。

(文 松尾修作/写真 砂田弓弦、柄沢亜希)

第4ステージ結果
1 トニー・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ) 5時間28分58秒
2 ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、チーム ジャイアント・アルペシン) 5時間29分1秒 + 00′ 03”
3 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) 5時間29分1秒 + 00′ 03”
4 グレッヒ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMC レーシングチーム) 5時間29分1秒 + 00′ 03”
5 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、MTN・クベカ)
5時間29分1秒 + 00′ 03”
6 ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス ソリュシオンクレディ) 5時間29分1秒 + 00′ 03”
7 ヤコポ・グアルニエーリ(イタリア、チーム カチューシャ) 5時間29分1秒 + 00′ 03”
8 トニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル) 5時間29分1秒 + 00′ 03”
9 ズデニェック・シュティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ) 5時間29分1秒 + 00′ 03”
10 ブライアン・コカール(フランス、チーム ヨーロッパカー) 5時間29分1秒 + 00′ 03”

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 トニー・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ) 12時間40分26秒
2 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 12時間40分38秒 + 00′ 12”
3 ティージェイ・ヴァンガードレン(アメリカ、BMC レーシングチーム) 12時間40分51秒 + 00′ 25”
4 トニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル) 12時間41分4秒 + 00′ 38”
5 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) 12時間41分5秒 + 00′ 39”
6 グレッヒ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMC レーシングチーム) 12時間41分6秒 + 00′ 40”
7 リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ) 12時間41分12秒 + 00′ 46”
8 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) 12時間41分14秒 + 00′ 48”
9 ゲラント・トーマス(イギリス、チーム スカイ) 12時間41分41秒 + 01′ 15”
10 ズデニェック・シュティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ) 12時間41分42秒 + 01′ 16”

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 84 pts
2 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) 78 pts
3 ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、チーム ジャイアント・アルペシン) 60 pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ) 2 pts
2 ミヒャエル・シャール(スイス、BMC レーシングチーム) 1 pts
3 ラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) 1 pts

新人賞(マイヨブラン)
1 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) 12時間41分5秒
2 ワレン・バルギル(フランス、チーム ジャイアント・アルペシン) 12時間41分45秒 + 00′ 40”
3 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) 12時間42分34秒 + 01′ 29”

チーム総合
1 BMC レーシングチーム 38時間2分55秒
2 エティックス・クイックステップ 38時間3分19秒 + 00′ 24”
3 ティンコフ・サクソ 38時間4分39秒 + 01′ 44”

敢闘賞
ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)

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