ツール・ド・フランス2015 第3ステージロドリゲスが得意の「ユイの壁」を征服して勝利 2位フルームがマイヨジョーヌ獲得

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 ツール・ド・フランス第3ステージは7月6日、アンヴェール(アントワープ)からユイまでの159.5kmで争われ、春のクラシックレース「フレーシュ・ワロンヌ」でもおなじみのユイの壁の頂上フィニッシュをホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ)が勝利。ツール通算2勝目となるステージ優勝を挙げた。総合優勝候補の1人、クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)が2位に続き、総合首位のマイヨジョーヌを獲得した。また途中メーン集団に大規模な落車が発生し、大会主催者によってニュートラルの措置がとられ、レース進行がストップする場面があった。

得意の「ユイの壁」を制しステージ勝利を挙げたホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ)得意の「ユイの壁」を制しステージ勝利を挙げたホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ)

 開幕から2日間はオランダを進んだが、このステージからは隣国・ベルギーに入国。北部・フランデレン地域に属し、同国第2の都市であるアントワープをスタート。南に進路をとり、南部のワロン地域の街・ユイを目指した。ユイといえば、毎年4月に開催されるクラシックレースの1つ「フレーシュ・ワロンヌ」の舞台である、ユイの壁(ミュール・ド・ユイ)がおなじみ。この日はユイの壁の頂上がフィニッシュライン。登坂距離1.3km、平均勾配9.6%、最大勾配19%の激坂だけに、有力選手の間でもフィニッシュ時には数秒のタイム差がつくものと予想された。

 逃げはアクチュアル(正式)スタートと同時に容認された。メンバーはブライアン・ノロー(フランス、チーム ヨーロッパカー)、マルティン・エルミガー(スイス、イアム サイクリング)、ヤン・バルタ(チェコ、ボーラ・アルゴン 18)、セルジュ・パウェルス(ベルギー、MTN・クベカ)の4選手。メーン集団では、前日同様風が強かったことから、チーム単位でのポジション確保が展開された。その影響もあって、先行する4人とのタイム差は3分前後で推移した。その間、メーン集団内で今大会最初のマイヨジョーヌ着用者であったローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)が落車に見舞われたものの、大事に至らず再出走。バイクカメラに笑顔を振りまく余裕を見せ、レースに復帰した。

 上り基調の前半を終えると、後半からは今大会最初のカテゴリー山岳(4級)を含むアップダウンが登場する。最後に臨むユイの壁を見据え、レース後半を優位に進めようと意思表示を図るチームがメーン集団の前方へと顔を覗かせる。残り80kmを切ったあたりからは、逃げる4選手とのタイム差が急激に縮小した。

落車したヨハン・ヴァンスーメレン(ベルギー、アージェードゥーゼール ラモンディアル)落車したヨハン・ヴァンスーメレン(ベルギー、アージェードゥーゼール ラモンディアル)

 100km地点を過ぎ、逃げグループの吸収が時間の問題となっていた段階で、メーン集団に大きなトラブルが発生した。下り基調で時速60kmを超えるスピードの中、集団前方で落車が発生。ウィリアム・ボネ(フランス、エフデジ)が前を走る選手と接触しバランスを崩したことをきっかけに、後続の選手たちが次々と巻き込まれてしまった。人数にして50人以上が地面に叩きつけられ、その中には前日のステージ3位でマイヨジョーヌを着用していたファビアン・カンチェッラーラ(スイス、トレック ファクトリーレーシング)の姿も。顔面から落下したボネを筆頭に、新人賞のマイヨブランを着るトム・ドゥムラン(オランダ、チーム ジャイアント・アルペシン)、サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)が負傷しリタイアを余儀なくされた。

 メーン集団が逃げていた4選手を吸収したとほぼ同時に、大会主催者がレースをニュートラルにする判断をくだした。これはプロトンに帯同するレースドクターが落車選手の治療に対応していたための措置で、ドクターカーとともにコース復帰するまで待つことを決めた。しかし、チーム スカイやアスタナ プロチームがペースを急激に上げようと試みる場面があるなど、集団内は混乱状態に。レース続行を望むチームと、主催者判断を尊重する姿勢のチームとが言い争うシーンも見られた。結果的にコミッセールカーの指示により、走行そのものが止められ、その間にカンチェッラーラら落車に巻き込まれ遅れていた選手たちが集団に復帰した。

集団落車のためにレースが一時中断。審判と話すヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)集団落車のためにレースが一時中断。審判と話すヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)

 レースはその後、残り約50kmにあたる4級山岳、コート・ド・ボワソーの頂上から再開された。残り40kmを切ったあたりでティンコフ・サクソとアスタナ プロチームが中心となり、集団分断を狙った動きを見せるが、メーン集団が追い上げたため成功には至らない。その間に迎えた128km地点の中間スプリントポイントは、有力スプリンターが競った中からマイヨヴェールを着るアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)が1位通過。ポイントをさらに伸ばした。

 終盤に入ると、アルベルト・コンタドール(スペイン)擁するティンコフ・サクソと、クリストファー・フルーム(イギリス)が控えるチーム スカイとが集団の主導権争いを開始。両チームが交互に先頭に立つような形になり、ペースが上がっていく。この頃には、落車のダメージを大きく受けたカンチェッラーラは後方のグルペットでの走行となり、手に入れて間もないマイヨジョーヌを諦める形になった。

 このステージ3つ目の山岳ポイント、4級コート・ド・シュラヴを通過すると、フィニッシュまで5km。約30人に絞られ、いよいよ勝負のユイの壁へと突入する。ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、トレック ファクトリーレーシング)を先頭に、ラスト1kmのフラムルージュを通過すると、有力選手たちが集団前方の好位置を押さえ始める。勾配が厳しくなるところで先頭に出てきたのはフルーム。その後ろにはコンタドールがピッタリとマークする。

 残り300mとなったところで加速したのはロドリゲスだ。フレーシュ・ワロンヌでも優勝経験を持つ激坂ハンターがついに本領を発揮。しばらく食らいついたトニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル)を振り切ると、独走状態で頂上フィニッシュを目指した。

 その後方では、フルームがペースアップ。これにコンタドールは対応ができない。ライバルを置き去りにすると、前を行くロドリゲスに迫った。

 しかし、ロドリゲスのスピードが落ちることはなく、最後は後続との差を確認しながら両手を広げてフィニッシュラインを通過した。フルームもタイム差なしで続き、ステージ2位。総合争いのライバルと目されるヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)、ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)とは11秒、最後に失速したコンタドールとは18秒のタイム差をつけることに成功した。

 ロドリゲスはゴール後「昨日(トップから1分28秒差のステージ44位)は、パンクやクラッシュなどがすべてを台無しにしてしまい、とても悲しい1日だった。しかし、今日の勝利は最高だ。チームワークの成果であり、非常に満足している。このコースは私に合っているので、フルームやコンタドールに勝ったことは驚きではない」とコメント。この勝利で山岳賞のマイヨアポアを獲得したが、「第1週と第2週以降は別のものとして考えたい。マイヨアポアを守りたいが、まずは総合成績を目標とする」と話した。

マイヨジョーヌに袖を通すクリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)マイヨジョーヌに袖を通すクリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)

 第3ステージにしてマイヨジョーヌは早くもフルームの元へ。「ユイの壁はパンチ力のあるクライマー向けで、ロドリゲスのような選手が力を発揮する上りだ。私は彼をマークしていて、その結果としてステージ2位と総合争いのライバルにタイム差をつけられたことに驚いている。(途中リタイアした)昨年を思えば、マイヨジョーヌが手に入ってとても嬉しく思っている」と喜ぶ。そして翌日に控えたパヴェ(石畳)ステージを前に、「現段階でマイヨジョーヌを着ることを負担だとは思わない。パヴェを前に好ポジションを確保できた。山岳ステージまでの間は、毎ステージを大事に戦っていきたい」と述べた。

 クラッシュ後にアタックをかけるような素振りをみせたチーム スカイの動きに対し、無線でのチームオーダーだったのかと問われると、「いいえ。レース開始後にいつもどおり始めただけ。そのあとにレースがニュートラルになると聞いたんだ」と答えた。

 マイヨジョーヌ争いは、トップのフルームから2位トニー・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ)が1秒、3位ティージェイ・ヴァンガードレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)が13秒と僅差。総合争いにおいて最大のライバルとなるコンタドールは36秒差の総合8位、ニバリが1分38秒差の同13位、キンタナが1分56秒差の同17位となっている。

 また、ロドリゲスから11分43秒遅れでフィニッシュしたカンチェッラーラは、その後の病院へと直行。診断の結果、椎骨2カ所を骨折していることが判明し、大会からの離脱が濃厚となった。

 続く第4ステージは、スランからカンブレまでの223.5km。ステージ中盤からフランスへと入国する、今大会最長のステージだ。注目は7つのセクションにわたるパヴェ区間。総距離13.3kmの石畳が選手たちを苦しめる。かつてツールで登場したパヴェステージでは、いずれも波乱のレース展開となっており、有力選手間で大きな差がつくなど総合争いを左右してきた。落車やミスなどは許されない、大会序盤のヤマ場だといえよう。

(文 福光俊介/写真 砂田弓弦)

第3ステージ結果
1 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ) 3時間26分54秒
2 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 3時間26分54秒 + 00′ 00”
3 アレクシー・ヴュイエルモーズ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) 3時間26分58秒 + 00′ 04”
4 ダニエル・マーティン(アイルランド、チーム キャノンデール・ガーミン) 3時間26分59秒 + 00′ 05”
5 トニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル) 3時間27分2秒 + 00′ 08”
6 ティージェイ・ヴァンガードレン(アメリカ、BMC レーシングチーム) 3時間27分5秒 + 00′ 11”
7 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) 3時間27分5秒 + 00′ 11”
8 サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ) 3時間27分5秒 + 00′ 11”
9 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) 3時間27分5秒 + 00′ 11”
10 バウケ・モレマ(オランダ、トレック ファクトリーレーシング) 3時間27分5秒 + 00′ 11”

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 7時間11分37秒
2 トニー・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ) 7時間11分38秒 + 00′ 01”
3 ティージェイ・ヴァンガードレン(アメリカ、BMC レーシングチーム) 7時間11分50秒 + 00′ 13”
4 トニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル) 7時間12分3秒 + 00′ 26”
5 グレッヒ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMC レーシングチーム) 7時間12分5秒 + 00′ 28”
6 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) 7時間12分8秒 + 00′ 31”
7 リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ) 7時間12分11秒 + 00′ 34”
8 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) 7時間12分13秒 + 00′ 36”
9 ゲラント・トーマス(イギリス、チーム スカイ) 7時間12分40秒 + 01′ 03”
10 ズデニェック・シュティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ) 7時間12分41秒 + 01′ 04”

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 75 pts
2 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) 48 pts
3 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 40 pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ) 2 pts
2 ラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) 1 pts
3 ミヒャエル・シャール(スイス、BMC レーシングチーム) 1 pts

新人賞(マイヨブラン)
1 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) 7時間12分8秒
2 ワレン・バルギル(フランス、チーム ジャイアント・アルペシン) 7時間12分44秒 + 00′ 36”
3 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) 7時間13分33秒 + 01′ 25”

チーム総合
1 BMC レーシングチーム 21時間35分52秒
2 エティックス・クイックステップ 21時間36分19秒 + 00′ 27”
3 チーム スカイ 21時間37分35秒 + 01′ 43”

敢闘賞
ヤン・バルタ(チェコ、ボーラ・アルゴン 18)

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