ツール・ド・フランス2015 第2ステージニバリらが遅れた波乱のステージをグライペルが制す カンチェッラーラがマイヨジョーヌ獲得

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 ツール・ド・フランス第2ステージは7月5日、オランダ・ユトレヒトからジーランドまでの166kmで争われ、分断され30人ほどに絞られた先頭集団でのスプリントを、アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)が制した。3位に入ったファビアン・カンチェッラーラ(スイス、トレック ファクトリーレーシング)がボーナスタイムで総合首位に浮上し、マイヨジョーヌを獲得。また、昨年総合優勝したヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)ら多くの総合エースたちが後方の集団に取り残され、1分以上遅れてゴールする波乱の展開になった。

少人数のスプリントになった第2ステージを制したロット・ソウダルのアンドレ・グライペル(写真・砂田弓弦)少人数のスプリントになった第2ステージを制したロット・ソウダルのアンドレ・グライペル(写真・砂田弓弦)

 この日は上りがほとんどない平坦ステージだが、オランダ特有の強風が予想され、荒れる展開が見込まれた。ゴール地点のジーランドは海沿いであり、特に強い風を受ける区間を走るため、各チームは警戒しながらのスタートとなった。

 リアルスタートの旗が振られた瞬間に4人が大会最初のアタックをかけて飛び出した。ペリグ・ケムヌール(フランス、チーム ヨーロッパカー)、ステフ・クレメント(オランダ、イアム サイクリング)、ヤン・バルタ(チェコ、ボーラ・アルゴン 18)、アルミンド・フォンセカ(フランス、ブルターニュ・セシェ アンヴィロヌマン)というTTや逃げに強い選手で逃げグループが構成された。

マイヨジョーヌを着て走るBMC レーシングチームのローハン・デニス(写真・砂田弓弦)マイヨジョーヌを着て走るBMC レーシングチームのローハン・デニス(写真・砂田弓弦)

 メーン集団は飛び出した4人を瞬時に容認。しかし、BMC レーシングチームとエティックス・クイックステップがコントロールする集団は、逃げ集団との差が開きすぎないよう2分30秒ほどのタイムギャップでレースを進めた。

 快晴だったスタート地点から40kmほど走った頃、空が暗くなり、風が木々を揺らし始めた。総合優勝を狙うチーム スカイやティンコフ・サクソなどのチームがメーン集団の前方へと上がってくる。62km地点で、アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)がチームメートに指示し集団前方でペースアップを図った。横風が吹く区間なので、メーン集団は中切れが起き分裂。しかし総合争いの主要選手が前方に多く残ったため、ペースアップの意義を見出せず集団は落ち着き、再びひとつとなった。

 85km地点のスプリントポイントは逃げ集団から飛び出したバルタが1位通過。残りの3人とほぼタイム差なしでメーン集団もスプリントポイントへ。スプリンター勢がポイント賞のマイヨヴェールを獲得するための動きを見せ、ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、チーム ジャイアント・アルペシン)、アレクサンドル・クリツォフ(ノルウェー、チーム カチューシャ)、ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)の順で通過した。

 ここでバルタ以外の逃げていたメンバーがメーン集団に吸収されるが、フォンセカとクレメントが再びアタックしバルタとの合流を図った。2人は程なくバルタに追いつき、メーン集団と1分ほどの差でレースを展開した。

 レースが大きく動いたのは雨と風が激しくなった残り67km地点で、再びメーン集団が分裂。先頭はロット・ソウダルやエティックス・クイックステップがペースを上げ、逃げていた3人はあっという間に吸収された。

レース終盤、追走集団での落車(写真・砂田弓弦)レース終盤、追走集団での落車(写真・砂田弓弦)

 その後も落車やパンクが相次ぎ、30人ほどの先頭集団と、総合上位を狙う選手が多く含まれる追走集団に分かれた。先頭にはコンタドール、クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)が含まれ、追走には総合優勝候補のヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)、ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)のほか、ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)、ティボ・ピノー(フランス、エフデジ)ら昨年の大会で上位だった選手たちが入り、後れをとった。

 先頭集団は各チームで均等にローテーションが行われスムーズに走行。対極に後方ではニバリのパンク、先頭付近の選手のラウンドアバウトでの落車、チームの戦略の違いなど、うまく噛み合わずペースが上がらない。一度は差を50秒まで縮めるも、それ以上は詰められず、その後は逆に開いてしまう。

2位でゴールしたペテル・サガン(写真・柄沢亜希)2位でゴールしたペテル・サガン(写真・柄沢亜希)

 残り10kmを切り、天候は回復。路面も乾いてきたコースを走る先頭集団ではマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)のスプリントへ向けてエティックス・クイックステップが前を固め、ロット・ソウダルがそれに続く。残り1kmでアシストを1枚残したエティックス・クイックステップがペースを上げ、500mを過ぎたところでカヴェンディッシュが発射。続いてグライペルとサガンがスプリントを開始し、僅かな差でグライペルが勝利を手にした。2位にはサガン、カンチェッラーラがカヴェンディッシュを差し切り3位に入った。

 追走集団は先頭から1分28秒差でフィニッシュし、ニバリを筆頭に多くの選手がタイムを失う波乱の展開となった。

 今年はボーナスタイム制度が設けられ、ステージ1位から3位まで順に10秒、6秒、4秒のタイムが総合タイムからマイナスされる。これにより3位に入ったカンチェラーラが、同タイムでゴールしたトニー・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ)を逆転し、マイヨジョーヌに袖を通した。

総合首位に浮上し、マイヨジョーヌを獲得したファビアン・カンチェッラーラ(写真・砂田弓弦)総合首位に浮上し、マイヨジョーヌを獲得したファビアン・カンチェッラーラ(写真・砂田弓弦)
レース後のファビアン・カンチェッラーラ(写真・柄沢亜希)レース後のファビアン・カンチェッラーラ(写真・柄沢亜希)

 カンチェッラーラは「スタートした時は天気がよかったのに、その後ものすごく荒れた。町やラウンドアバウトが考えていた以上に何度も登場して、気づいたらちょっとしか有力選手が残っていなかった。昨日は本当に疲れてしまったから万全とは言えないコンディションで、トップ3のスプリンターの中に入れたことは自信になった。今日マイヨジョーヌを獲得できるとは思ってもいなかった。このジャージはいつ着ても特別だ」とコメントした。

 また、記者会見で「グリーンジャージを守る予定?」と問われたグライペルは、「人生で初めてツールのグリーンジャージを着る。チームがうまく働いてくれたから2日目にして勝つことができた。これを着ていられることを楽しみたい」と答えた。

 翌日の第3ステージはアントワープからユイまでの159.5kmで争われる。フレーシュ・ワロンヌで代表される「ユイの壁」が登場し、ミニクラシックの様相を呈するだろう。

(文 松尾修作/写真 砂田弓弦、柄沢亜希)

第2ステージ結果
1 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 3時間29分3秒
2 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) +0秒
3 ファビアン・カンチェッラーラ(スイス、トレック ファクトリーレーシング)
4 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)
5 ダニエル・オス(イタリア、BMC レーシングチーム)
6 グレッヒ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMC レーシングチーム)
7 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)
8 トム・ドゥムラン(オランダ、チーム ジャイアント・アルペシン)
9 トニー・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ)
10 ワレン・バルギル(フランス、チーム ジャイアント・アルペシン)

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 ファビアン・カンチェッラーラ(スイス、トレック ファクトリーレーシング) 3時間44分1秒
2 トニー・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ) +3秒
3 トム・ドゥムラン(オランダ、チーム ジャイアント・アルペシン) +6秒
4 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) +33秒
5 ゲラント・トーマス(イギリス、チーム スカイ) +35秒
6 ダニエル・オス(イタリア、BMC レーシングチーム) +42秒
7 リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ)
8 ティージェイ・ヴァンガードレン(アメリカ、BMC レーシングチーム) +44秒
9 グレッヒ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMC レーシングチーム) +48秒
10 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 55 pts
2 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) 39 pts
3 ファビアン・カンチェッラーラ(スイス、トレック ファクトリーレーシング) 35 pts

新人賞(マイヨブラン)
1 トム・ドゥムラン(オランダ、チーム ジャイアント・アルペシン) 3時間44分7秒
2 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) +27秒
3 ミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ) +1分13秒

チーム総合
1 BMC レーシングチーム 11時間13分27秒
2 エティックス・クイックステップ +4秒
3 チーム スカイ +51秒

敢闘賞
ミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)

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