山口和幸の「ツールに乾杯! 2015」<1>野ウサギにもミッフィーにも出会えるユトレヒト 欠場で再認識した新城幸也のスゴさ

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 ツール・ド・フランス開幕地のユトレヒトから南に50kmほどのアムステルダムに空路で入った。ここには欧州のハブ空港であるスキポール空港があって、同じオランダのロッテルダムで開幕した2010年のときも、そういえばここに来たなあと、空港の周囲をジョギングしながら気がついた。

開幕地ユトレヒトのオフィシャルブティック ©Mercis bv開幕地ユトレヒトのオフィシャルブティック ©Mercis bv
ユトレヒトの市民も自転車が大切な生活アイテムだ。©オランダ政府観光局ユトレヒトの市民も自転車が大切な生活アイテムだ。©オランダ政府観光局

 空港近くのホテルに宿泊したときに、なにが一番やっかいかというと朝のジョギングをするコースがないことだ。重いスーツケースなどを携行する人ばかりなので移動はクルマが基本。それゆえ歩行者のための歩道がない。それでいて自転車道はしっかりと整備されているのだが、さすがに自転車道をジョギングするのは気が引けるので、路側にある原っぱをクロスカントリーっぽく走ることになる。

 のんびり走っていると野ウサギがピョンピョンと跳ねている姿を見かける。でもこれがクセモノで、草むらを走っているとウサギが掘った穴に足を突っ込んで何度もねんざしそうになる。

 やっぱりウサギはこのあたりでは親しみやすい動物のようで、ユトレヒト出身のディック・ブルーナが60年前にミッフィーの絵本を刊行したのもうなずける。今回のツール・ド・フランスはミッフィー誕生60周年でもあり、うさこちゃんがいたるところに登場するわけだ。

世界でここしかないミッフィーちゃんの歩行者信号。©Mercis bv世界でここしかないミッフィーちゃんの歩行者信号。©Mercis bv
ミッフィーちゃんの歩行者信号。赤と青でデザインが違う©Mercis bvミッフィーちゃんの歩行者信号。赤と青でデザインが違う©Mercis bv

 こうして、27回目のツール・ド・フランス取材にやってきたわけだが、2010年のときと同様に自転車大国オランダの人たちがツール・ド・フランスの到来を心から楽しみにしていることはまったく変わっていない。あのときと違うことがあるとすれば、新城幸也が参加していないことかな。

 日本選手の活躍を追いながら一緒にパリを目指し、そして選手と取材陣の違いこそあれ完走を果たすという共有感が、ここ数年のボクたち日本の取材陣のモチベーションだった。だから今回のツール・ド・フランス欠場には茫然自失となったわけだ。

 それは日本のファンも同じだと思うが、出場を逃したいま冷静に考えてみると、当たり前のようにツール・ド・フランスに出場してきた新城のスゴさを改めて再認識することができた。日本自転車界で未踏の領域を走り続けてきたのだから、当たり前に思ってはいけないのである。

ジョギング姿のままサルドプレスに来てしまいましたジョギング姿のままサルドプレスに来てしまいました
とりあえずミッフィーちゃんをゲット。©Mercis bvとりあえずミッフィーちゃんをゲット。©Mercis bv
この樹木は山岳が得意そうだこの樹木は山岳が得意そうだ

 四半世紀におよぶツール取材の中では、長い間「日本選手いないのになんで取材に来ているの?」と平気で言われ続けた。だから日本選手がいなくても、今年もツール・ド・フランスへ。パリ・シャンゼリゼへ。うさこちゃんの穴にハマってねんざしないように注意しながら頑張りたい。

山口和幸山口和幸(やまぐち・かずゆき)

ツール・ド・フランスをはじめ、卓球・陸上・ボート競技などを追い続け、日刊スポーツ、東京中日スポーツ、ナンバー、ターザン、YAHOO!などで執筆。国内で行われる自転車の国際大会では広報を担当。著書に「ツール・ド・フランス」(講談社現代新書)、「もっと知りたいツール・ド・フランス」(八重洲出版)など。

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