ツール・ド・フランス2015 レースプレビューニバリら“ファンタスティック4”のマイヨジョーヌ争い 新ルールのポイント賞も注目

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 世界最大の自転車レース、ツール・ド・フランス2015は7月4日、オランダ・ユトレヒトで開幕し、ベルギーを通過した後、フランス一周の旅を進めていく。全21ステージ、総走行距離3360kmの戦いでは、山岳、スプリント、タイムトライアル(TT)、パヴェ(石畳)とさまざまなコースを走る。サイクルロードレース界の最高峰に立つ22チーム・198選手の中から、第102回大会の王者となるのは誰か。4賞ジャージの行方を中心に、3週間の熱き戦いを展望する。

2015年ツール・ド・フランスの総合優勝候補(左から)クリストファー・フルーム、ヴィンチェンツォ・ニバリ、アルベルト・コンタドール、ナイロアレクサンデル・キンタナ<写真・砂田弓弦>2015年ツール・ド・フランスの総合優勝候補(左から)クリストファー・フルーム、ヴィンチェンツォ・ニバリ、アルベルト・コンタドール、ナイロアレクサンデル・キンタナ<写真・砂田弓弦>

マイヨジョーヌ争いのポイントは第1週目にあり?

 まずは個人総合時間賞、ツールを象徴する栄光のリーダージャージ「マイヨジョーヌ」争いから占っていきたい。

 中心となるのは、前回王者ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)、今年のジロ・デ・イタリア王者アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)、2年ぶりの王座奪還を狙うクリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)、初のツール制覇を目論むナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)の4人。海外メディアは彼らのことを“ファンタスティック4”と呼んでいる。

クリテリウム・ドゥ・ドーフィネでステージ勝利を挙げ、イタリア選手権を2連覇してツールに乗り込む ヴィンチェンツォ・ニバリ©PresseSports/B.Paponクリテリウム・ドゥ・ドーフィネでステージ勝利を挙げ、イタリア選手権を2連覇してツールに乗り込む ヴィンチェンツォ・ニバリ©PresseSports/B.Papon

 ニバリは昨年ツール総合初優勝を果たし、3大ツールすべてで頂点に立った選手だけが資格を持つ「エリートクラブ」の仲間入り。ツールを制するため、ピーキングを徹底的に管理するスタイルがこのところ話題だ。

 昨年はシーズン序盤に精彩を欠いた走りが続き、ツール本番が不安視されたが、そうした雑音をよそに自身は淡々と調整。直前のイタリア選手権ロードを制すると、そのままの勢いでステージ4勝を挙げ、ツール総合優勝を飾った。今年もほぼ同様の流れでここまで来ており、6月上旬のクリテリウム・ドゥ・ドーフィネでステージ1勝、同27日のイタリア選手権ロードでは圧倒的強さで2連覇。しっかりと仕上げてきている印象だ。

ジロ・デ・イタリアとの“ダブルツール”に挑むアルベルト・コンタドール<写真・砂田弓弦>ジロ・デ・イタリアとの“ダブルツール”に挑むアルベルト・コンタドール<写真・砂田弓弦>

 コンタドールもジロとツールの2冠“ダブルツール”に向け、視界は良好だ。ジロでは山岳とTTとのバランスを保ったクレバーな走りが光ったが、ツールではどこに重点を置いて臨むのかが興味深い。ファンタスティック4の中では最年長で、経験・実績ともに群を抜く。ここ数年、敗戦時には調整不足などフィジカル面での問題が露わになっていたが、今回はジロ後のリカバリーも上々のよう。調整レースに充てたルート・ドゥ・スッドでは総合優勝を果たしている。

クリテリウム・ドゥ・ドーフィネで総合優勝し、好調を示したクリストファー・フルーム ©ASO/X.Bourgoisクリテリウム・ドゥ・ドーフィネで総合優勝し、好調を示したクリストファー・フルーム ©ASO/X.Bourgois

 フルームは、直前のドーフィネを制覇。ステージごとに調子を上げて、最終日に逆転した。今シーズンは、3月に体調を崩したこともあり、ツールに向けてゆっくりと調子を整えてきた。ドーフィネ後には高地トレーニングを行っており、ベストな状態でユトレヒトに入ることだろう。

前哨戦のルート・ドゥ・スッドでは総合2位に入ったナイロアレクサンデル・キンタナ Photo: Movistar Team前哨戦のルート・ドゥ・スッドでは総合2位に入ったナイロアレクサンデル・キンタナ Photo: Movistar Team

 2年ぶりのツール復帰となるキンタナは、ルート・ドゥ・スッド総合2位。上りでは終始コンタドールのペースに合わせ、下りでもリスクを冒さず、手の内を見せなかった。5月から6月にかけてはコロンビアに帰国し、高地にあたる地元でのトレーニングに集中。「極端にレース数を絞っているのではないか」と、レース勘を不安視する声も挙がっているようだが、彼の力をもってすればそんな心配は無用だろう。

 4人とも、山岳での決定的なアタックや、スイッチが入った時の猛烈な登坂ペースが武器。とはいえ、上りの力そのものはほぼ同等ゆえ、今回のコース設定でタイム差が生まれるとすればパヴェやチームTTとなってくることが考えられる。

 そこでカギを握るのはアシストの存在だ。ニバリ擁するアスタナは、パヴェで争われた前回の第5ステージのトップ3がそろう。優勝のラルス・ボーム(オランダ)、2位のヤコブ・フルサング(デンマーク)が今回も力を見せるはずだ。スカイはゲラント・トーマス、イアン・スタナード、ルーク・ロウ(いずれもイギリス)がパヴェに強い。

チームタイムトライアルで強力な戦力をそろえるモビスター チーム(ジロ・デ・イタリア2015)<写真・砂田弓弦>チームタイムトライアルで強力な戦力をそろえるモビスター チーム(ジロ・デ・イタリア2015)<写真・砂田弓弦>

 一方で、ティンコフ・サクソとモビスターはチームTTで力を発揮するであろうメンバーをそろえた。コンタドールを支えるのは、ポイント賞のマイヨヴェール候補筆頭にも挙がるペテル・サガン(スロバキア)やイヴァン・バッソ(イタリア)、マイケル・ロジャース(オーストラリア)ら。キンタナの脇には、TTスペシャリストのアドリアーノ・マローリ(イタリア)、アレックス・ドーセット(イギリス)のほか、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン)も控える。

 いずれも、山岳で強さを発揮することが前提にあり、加えて前半ステージでどれだけエースに貢献できるかという面を重視した印象だ。パヴェの第4ステージ、チームTTの第9ステージを軸に、大会序盤から有力チームがにらみ合う日々になるだろう。

4人の牙城を揺るがす“5人目の男”争い

 “ファンタスティック4”の存在が大きいこともあり、彼らに続く選手たちにとっては「総合表彰台の一角」が現実的な目標となりそうだ。そのためには、上を行く4選手のいずれかを撃破しなければならない。

昨年のツールでは総合5位に終わったティージェイ・ヴァンガードレン(ツール・ド・フランス2014)<写真・砂田弓弦>昨年のツールでは総合5位に終わったティージェイ・ヴァンガードレン(ツール・ド・フランス2014)<写真・砂田弓弦>

 その筆頭株は、ティージェイ・ヴァンガードレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)。ドーフィネではフルームと熾烈な総合優勝争いを繰り広げ、惜しくも2位だったがツールを前に十分なインパクトを残した。山岳では一定ペースで上る走法で、ライバルのアタックに惑わされず、フィニッシュまでに追い上げる。アシストには、ジロ総合8位のダミアーノ・カルーゾ(イタリア)や、サムエル・サンチェス(スペイン)らが控え、ローハン・デニス(オーストラリア)はチームTTでエースを総合上位へと送り込むことだろう。

 前回総合3位のティボ・ピノー(フランス、エフデジ)は、調整レースにツール・ド・スイスを選択。頂上ゴールを制し、総合では4位で終えた。ツールでは前半ステージをまとめ、中盤からの山岳ステージで本領発揮といきたい。

 ピノーと同じくフランス人クライマーのロマン・バルデ(アージェードゥーゼール ラモンディアル)も総合争いに加わるだろう。前回総合2位のジャンクリストフ・ペロー(フランス)の調子が上がらず、バルデの走りにチームの命運がかかっている。積極的な走りは、レースをかき回す可能性に満ちている。

昨年総合3位で新人賞を獲得したティボ・ピノー(ツール・ド・フランス2014)<写真・砂田弓弦>昨年総合3位で新人賞を獲得したティボ・ピノー(ツール・ド・フランス2014)<写真・砂田弓弦>
総合6位だった昨年以上の活躍が期待されるロマン・バルデ(ツール・ド・フランス2014)<写真・砂田弓弦>総合6位だった昨年以上の活躍が期待されるロマン・バルデ(ツール・ド・フランス2014)<写真・砂田弓弦>

 ベテランのホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ)、ドーフィネで好調だったルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)も総合上位候補として押さえておきたい。ここまで静かなシーズンを送るバウケ・モレマ(オランダ、トレック ファクトリーレーシング)、念願のツール初出場を果たすワレン・バルギル(フランス、チーム ジャイアント・アルペシン)も本番に向け調整を進める。

 ステージ上位3人へのボーナスタイムが今大会から復活することもあり、有力選手たちの果敢な攻めがこれまで以上に見られるはずだ。なお、付与されるのは1位10秒、2位6秒、3位4秒となる。

キッテル不在のスプリンター陣

マイヨヴェールはペテル・サガンが3連覇中だ(ツール・ド・フランス2014)<写真・砂田弓弦>マイヨヴェールはペテル・サガンが3連覇中だ(ツール・ド・フランス2014)<写真・砂田弓弦>

 スプリンターの栄誉、緑のポイント賞ジャージ「マイヨヴェール」争いをチェックしていこう。過去3年はサガンが獲得。昨年はステージ優勝こそなかったものの、中間スプリントポイントも積み上げる計算高い走りでライバルを圧倒した。

 今年から新たなポイント配分となり、平坦ステージでの付与ポイントがアップする。ピュアスプリンターがよりポイントを獲得しやすくするための措置だ。一方で、山岳ステージやTTステージ、中間スプリントでの付与ポイントには変化がないことから、上れるスプリンターや逃げにも対応するスピードマンであれば、近年よくみられる“ポイント貯金”(中間スプリントなどで着実にポイントを積み重ねる作戦)も可能なレギュレーションといえる。

 昨年まで2年連続で第1ステージとパリ・シャンゼリゼでのスプリントを制したマルセル・キッテル(ドイツ、チーム ジャイアント・アルペシン)が今回は欠場。春先の体調不良が影響し、調整不足との判断に至った。彼の不参加がスプリンター陣の構図に大きな変化を与えることは間違いない。

 ピュアスプリンターのトップに立つのは、やはりマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)だ。地元開幕で並々ならぬ意欲で臨んだ前回は、第1ステージゴール前で激しく落車。まさかの負傷リタイアを喫した。2011年に悲願のマイヨヴェール獲得を果たしたが、以降はサガンの後塵を拝している。それでも、ゴールスプリントでは強さを発揮し続けてきた。今シーズンも好調で、直前のイギリス選手権では2位に入って手ごたえをつかんだ。チームもスプリントトレインを構築すべく、強力アシストをそろえる。平坦ステージが集まった第1週でポイントをしっかりと稼ぎたい。

4月から5月にかけて開催されたツアー・オブ・ターキーで、ステージ3勝を挙げたマーク・カヴェンディッシュ<田中苑子撮影>4月から5月にかけて開催されたツアー・オブ・ターキーで、ステージ3勝を挙げたマーク・カヴェンディッシュ<田中苑子撮影>

 続くのは、アレクサンドル・クリツォフ(ノルウェー、チーム カチューシャ)とジョン・デゲンコルプ(ドイツ、チーム ジャイアント・アルペシン)。いずれも「上れるスプリンター」の代表格だ。春のクラシックシーズンに大暴れした2人だが、その後はツールに向けて調整を進めてきた。クラシックハンターだけに、ユイの壁を上る第3ステージ、パヴェを行く第4ステージを上位でクリアすることも大いに考えらえる。また、逃げに乗ることもできるタイプであることから、山岳ステージが続く大会中盤以降は中間スプリントポイント獲得を狙った動きに終始する可能性もある。

スプリンターでありながら上りや悪路にも強いアレクサンドル・クリツォフ(ツール・デ・フランドル2015)<写真・砂田弓弦>スプリンターでありながら上りや悪路にも強いアレクサンドル・クリツォフ(ツール・デ・フランドル2015)<写真・砂田弓弦>
“スプリンターズクラシック”ミラノ~サンレモを制覇したジョン・デゲンコルプ<写真・砂田弓弦>“スプリンターズクラシック”ミラノ~サンレモを制覇したジョン・デゲンコルプ<写真・砂田弓弦>
アシストとしての働きながら自身の成績も残したいペテル・サガン(ツアー・オブ・カタール2015)<写真・砂田弓弦>アシストとしての働きながら自身の成績も残したいペテル・サガン(ツアー・オブ・カタール2015)<写真・砂田弓弦>

 マイヨヴェール4連覇がかかるサガンも忘れるわけにはいかない。絶対エースであるコンタドールを擁するチームにあって、これまでのような“ポイント貯金”作戦がチームオーダー的に許されるかは微妙なところ。あくまでもコンタドールのアシストであることが求められる。その一方で、どのようにしてポイントを積み重ねていくかに注目したい。最近はゴールスプリントでの強さが戻りつつあるだけに、勝負勘が冴えわたればチームのミッションでもある「マイヨジョーヌ&マイヨヴェール2冠」の偉業達成もあり得る。新たな戦い方を切り拓くことができるか。

 賞レースへの色気は薄いものの、勝負どころはしっかりと押さえるアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)。上りにも強いマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)、エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、MTN・クベカ)、伏兵的存在のサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・アルゴン18)もステージ優勝争いに顔を出してくるだろう。アルノー・デマール(エフデジ)、ブライアン・コカール(チーム ヨーロッパカー)、ナセル・ブアニ(コフィディス ソリュシオンクレディ)のフレンチスプリンターもモチベーションが高い。

ステージ、中間スプリントのポイント設定

【第2、5、6、7、15、21ステージ】
50、30、20、18、16、14、12、10、8、7、6、5、4、3、2ポイント

【第3、4、8、10、13、14、16ステージ】
30、25、22、19、17、15、13、11、9、7、6、5、4、3、2ポイント

【第1、11、12、17、18、19、20ステージ】
20、17、15、13、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1ポイント

【中間スプリント(第1、9ステージを除く全ステージ)】
20、17、15、13、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1ポイント

※いずれも1位から15位まで
※合計ポイント数が同じ場合の順位決定方法は、ステージ優勝数、中間スプリントポイント1位通過数、個人総合順位の順で優先される
※タイムアウト救済措置の対象となった選手は、ステージ優勝者に与えられるゴールポイントと同数を減点される

将来のツール王者を占う!? 山岳賞、新人賞争い

 山岳賞は、白地に赤の水玉があしらわれるマイヨアポアを着る。総合争いから何らかの理由で脱落した選手や、山岳逃げのスペシャリストが獲得するケースが多い。昨年は、エースのコンタドールを落車リタイアで失ったティンコフ・サクソから、ラファウ・マイカ(ポーランド)が山岳賞狙いに切り替え、大会終盤のステージを制圧。大ブレークのきっかけをつかんだ。

 今回は、ステージ優勝狙いを明言しているリゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ)や、ジロ・デ・イタリアで山岳賞を獲得した実績があるジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレック ファクトリーレーシング)らが有力。そのほか、総合上位候補も展開次第でこちらへとシフトしてくることだろう。

ジロでは成績が振るわなかったリゴベルト・ウラン。ツールではステージを狙う(ジロ・デ・イタリア2015)<写真・砂田弓弦>ジロでは成績が振るわなかったリゴベルト・ウラン。ツールではステージを狙う(ジロ・デ・イタリア2015)<写真・砂田弓弦>
2014年のジロ・デ・イタリアで山岳賞のマリアアッズーラを獲得したジュリアン・アレドンド<写真・砂田弓弦>2014年のジロ・デ・イタリアで山岳賞のマリアアッズーラを獲得したジュリアン・アレドンド<写真・砂田弓弦>

山岳賞のポイント設定

【超級山岳】
1位から10位まで:25、20、16、14、12、10、8、6、4、2ポイント

【1級山岳】
1位から6位まで:10、8、6、4、2、1ポイント

【2級山岳】
1位から4位まで:5、3、2、1ポイント

【3級山岳】
1位から2位まで:2、1ポイント

【4級山岳】
1位のみ:1ポイント

※頂上ゴールはポイントが2倍。適用されるのは第10(超級)、第12(超級)、第17(2級)、第19(1級)、第20(超級)の5ステージ
※合計ポイント数が同じ場合の順位決定方法は、超級山岳トップ通過数、1級山岳トップ通過数、2級山岳トップ通過数、3級山岳トップ通過数、4級山岳トップ通過数、個人総合順位の順で優先される

 25歳以下が対象の新人賞は、総合最上位の選手が純白のマイヨブランを着用する。近年は対象選手が総合優勝争いに加わることも多く、マイヨブランをかけた戦いもハイレベル。特に今回は“ゴールデンエイジ”と称される1990年生まれの選手にとって、新人賞の対象となる最後の年にあたり、過去最高レベルの新人賞争いになる可能性も高い。

 候補はキンタナ、ピノー、バルデ、バルギル、アダムとサイモンのイェーツ兄弟(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)、ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、チーム ロットNL・ユンボ)あたりか。

チーム総合、逃げ、TT… その他の見どころも満載

 ここからは、4賞ジャージ以外の見どころをピックアップしていこう。

 まず、チーム総合時間賞。各ステージ、チーム内上位3選手のタイムを合算し、それを毎ステージ加算して順位を決定する。チーム力がそのまま反映されるわけではないのがユニークなところで、大逃げが決まった際には予想外のチームが上位に名を連ねることも。大会終盤には、この賞をかけたチーム間の駆け引きも見られるだろう。

積極的な逃げでステージ優勝や山岳賞を勝ち取ってきたトマ・ヴォクレール(ツール・ド・フランス2014)<写真・砂田弓弦>積極的な逃げでステージ優勝や山岳賞を勝ち取ってきたトマ・ヴォクレール(ツール・ド・フランス2014)<写真・砂田弓弦>

 「ツールの逃げ」といえば、真っ先に挙がるのがトマ・ヴォクレール(フランス、チーム ヨーロッパカー)。かつては総合4位や山岳賞を獲得した実績があるが、いずれも逃げから流れを呼び込んだ。

 マイヨアルカンシエルを着るミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)やサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)は、第3ステージ・ユイの壁の征服に挑む。第4ステージのパヴェでは、春のクラシックを棒に振ったファビアン・カンチェッラーラ(スイス、トレック ファクトリーレーシング)、パヴェ巧者のセップ・ヴァンマルク(ベルギー、チーム ロットNL・ユンボ)、ツール初出場のズデニェック・シュティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ)らが優勝候補。

5年ぶりにマイヨジョーヌ着用できる可能性を秘めるファビアン・カンチェッラーラ(ティレーノ~アドリアティコ2015)<写真・砂田弓弦>5年ぶりにマイヨジョーヌ着用できる可能性を秘めるファビアン・カンチェッラーラ(ティレーノ~アドリアティコ2015)<写真・砂田弓弦>

 そして、今大会最初のマイヨジョーヌ着用者が誰になるかも注目だ。第1ステージはオランダ・ユトレヒトでの13.8km個人TT。独走力自慢の晴れ舞台だ。過去幾度となく開幕ステージを制したカンチェッラーラのマイヨジョーヌ返り咲きはあるのか。初のマイヨジョーヌ獲得を目指すトニー・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ)、地元期待のラルス・ボーム(アスタナ プロチーム)とトム・ドゥムラン(チーム ジャイアント・アルペシン)にとってもビッグチャンスだ。

 そのほかTTステージを除く各ステージで、印象的な走りを見せた選手には「敢闘賞」が与えられ、次のステージでは赤いゼッケンを付けてレースに臨む。さらには、大会を通じて最もインパクトを与えた選手には「スーパー敢闘賞」が、パリ・シャンゼリゼの総合表彰台で授与される。

 また、ゴール前3km以内での落車(巻き込まれた選手やアシストも含む)・パンク・メカトラブルにあった選手は、救済措置としてその時点で属していた集団と同じフィニッシュタイムが適用される。なお、ステージ順位はフィニッシュライン通過順となる(負傷の場合は通過しなくても完走扱い)。ただし、第1、3、8、9、10、12、14、17、19、20ステージは救済が適用されない。

(文・福光俊介)

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