ジョン・バーク社長、イェンス・フォイクト氏らが説明エアロ性能、快適性、一体化を追求 トレックの新型「マドン」プレゼンテーション詳報

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 アメリカのバイクメーカー「トレック」がオランダで6月30日に開いた新型「マドン」の発表会には、世界各国から自転車関連メディアやジャーナリストが駆けつけた。この席で、トレックのジョン・バーク社長、プロダクトマネージャーのベン・コーツ氏、そして昨シーズンまでトレック ファクトリーレーシングの選手だったイェンス・フォイクト氏らが登壇し、開発の狙いやエピソードを披露した。新型マドンについて社長や開発責任者が自ら語った注目のプレゼンテーションの模様をお届けします。

トレックが発表した新型「マドン」。最先端のエアロロードバイクへと進化を遂げたトレックが発表した新型「マドン」。最先端のエアロロードバイクへと進化を遂げた

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「プロダクトがすべて」

ジョン・バーク社長 本日、最新テクノロジーを搭載したバイクを発表いたします。トレックのブランドピラー(ブランドの重要な柱)の一つは「Raised on Rocket Science」(ロケットサイエンスによる向上)があります。開発には相当な投資を行ってきています。なぜなら、トレックではプロダクトがすべてであると考えているからです。100名にもおよぶエンジニアを抱えていますし、また彼らが開発するための設備も備えています。開発チームは日々、自分たちが思い描くプロダクトを実際に形にするために頑張っています。そんな彼らのエンジニアリングが詰まったバイクを、今日ここで紹介いたします。

ユトレヒト郊外ザイストのシアターを使って開催されたトレック「新型マドン」のプレゼンテーション (田中苑子撮影)ユトレヒト郊外ザイストのシアターを使って開催されたトレック「新型マドン」のプレゼンテーション (田中苑子撮影)
プレゼンテーションで熱弁を振るうトレックのジョン・バーク社長 (田中苑子撮影)プレゼンテーションで熱弁を振るうトレックのジョン・バーク社長 (田中苑子撮影)

 もう一つのブランドピラーは「Race to Win」(勝つためにレースを戦う)。トレックファクトリーレーシングがそれにあたります。なぜチームを保有し、そこに投資するかというと、やはりすべてはプロダクトのためです。そして彼らの役割の一つが開発に関わることです。実際のテストはオフィスでは行えません。ファビアン・カンチェッラーラしかり、トレックファクトリーレーシングの選手達がテストを行い、そのフィードバックを製品に反映させていきます。

 今日ここで発表しますマドンに関しても、100種類以上の異なるフレームを製作して完成に至っています。昨年にはエモンダを発表し、今回のマドンもそうですが、これらは偶然に完成するものではありません。開発チーム、プロ選手らが一緒になって、細部に至るまで様々な可能性を試して完成させたのです。

トレックのジョン・バーク社長によるプレゼンテーションがスタート。「このバイクを発表できることを心から嬉しく思う」と大きな自信を示した (田中苑子撮影)トレックのジョン・バーク社長によるプレゼンテーションがスタート。「このバイクを発表できることを心から嬉しく思う」と大きな自信を示した (田中苑子撮影)

 トレックにおいてマドンは非常に歴史があり、重要なバイクになります。そしてここで紹介するバイクは業界の中でも最も進んだ技術を搭載したモデルになります。今からおよそ1年半前にR&Dで初めてプロトタイプを目にした時、「Wow, that is amazing!!」(ワオ、なんて素晴らしいバイクなんだ)と感じました。それから1年半が経ち、製品化にあたっては細部が修正されて完璧な姿になりました。このモデルを発表出来ることを非常に嬉しく思います。製品紹介にあたり、まずはプロダクトマネージャーで開発に大きく関わってきたBen Coates(ベン・コーツ)を呼びたいと思います。それから(元プロレーサーの)イェンス・フォイクトも紹介しましょう。ベン、さっそくマドンを紹介してくれないか?

究極のレースバイクを開発

プレゼンテーションで壇上に並んだ(左から)ジョン・バーク社長、プロダクトマネージャーのベン・コーツ氏、そしてイェンス・フォイクト氏 (田中苑子撮影)プレゼンテーションで壇上に並んだ(左から)ジョン・バーク社長、プロダクトマネージャーのベン・コーツ氏、そしてイェンス・フォイクト氏 (田中苑子撮影)

ベン・コーツ氏 マドンの開発は非常にシンプルでした。それは究極のレースバイクを作ること。そこからスタートしたのです。究極のエアロ、究極の乗り味、究極のインテグレーション(一体化)のバイクを作ることが目的でした。これは言葉で言うのは簡単なのですが、実行していくのは非常に難しいことです。このバイクの開発にあたり、私達は大きなチームでとりかかりました。それはエンジニア、工業デザイナー、エアロダイナミクスチームなどで、彼ら全員が一緒になって開発にあたりました。

イェンス・フォイクト氏 最初のスケッチの時点からこのプロジェクトに関わったのですが、完成品に乗ったときには選手として引退するタイミングが早すぎたかなと思いました。ハンドルバーやブレーキなどすべてが内蔵で一体構造となったことで、見た目にも非常に美しい仕上がりのバイクになっています。

コーツ氏 まずエアロに関してですが、様々なテストを繰り返して完成した新マドンは風洞実験で最速のバイクであることが証明されました。そしてフレームはトレックが誇るOCLVカーボンで作っていますので、フレーム形状というのはどのような形にでも作れます。すでに実証済みのKVFチューブをまた新しい次元の形状に仕上げました。そして軽量かつこれまでで最も進んだインテグレーションシステムのバイクになっています。

エアロロードの弱点を克服

バーク社長 すでに様々なメーカーがエアロバイクを出しています。見た目が素晴らしいものもあれば、そうでないものもあります。しかし、乗り味に関しては素晴らしいと言い難いものが多いですよね?

コーツ氏 マーケットにはエアロに特化したバイクはいろいろ存在します。しかし、エアロすなわち空力だけを考慮したバイクであり、乗り心地を考慮しているものは皆無ですね。新型マドンの特徴の一つが、IsoSpeed(アイソスピード)テクノロジーを搭載している点にあります。(シートチューブを積極的にしならせて乗り心地を高める)この技術を搭載することで、エアロ効果と乗り心地という二つの要素を手に入れることが出来たのです。外見上は通常のエアロ形状のシートチューブに見えますが、エアロ形状のチューブの中にしなりを生み出す円形のパイプが組み込まれているのです。これを「Tube in Tube」(チューブ イン チューブ)テクノロジーと呼んでいます。

プレゼンテーションに参加したイェンス・フォイクト氏 (田中苑子撮影)プレゼンテーションに参加したイェンス・フォイクト氏 (田中苑子撮影)

フォイクト氏 そうですね、エアロロードバイクには弱点があります。重量が重くなったり、もしくは剛性が高くなりすぎてバイクコントロールが難しくなることもあります。例えば高速のコーナーリングを考えた場合、剛性が高いがゆえにバイクがはねるような動きをしたりします。しかし、このマドンではそのような事がありません。どこのメーカーよりもエアロ性能が高く、そして乗り心地を同時に手に入れている点は本当に素晴らしいですね。

コーツ氏 実際にどれくらい快適かというと、バーティカル・コンプライアンス(縦方向への柔軟性)の数値で見れば一目瞭然です。他社製品に比べて倍以上の数値が見てとれますが、それだけシートチューブがしなることで乗り味を高めていることになります。

バーク社長 離れて見ても非常に美しい形状ですが、近くで見るとさらにその素晴らしさが分かっていただけます。新しいテクノロジーを送り出しただけでなく、同時にそれをフレームと一体化させることまでやってのけたのです。このずば抜けたインテグレーション(一体化、内蔵式)こそ、新マドンが誇るポイントでもあります。

コーツ氏 ここでいうインテグレーションは、ただ単にワイア類を内蔵したことを言っているわけではありません。走りの性能までも考え、そして軽量化にも貢献しているのです。例えばハンドルバーがいい例です。ステムとハンドルを一体型にすることで、軽量化はもちろんですが、同時に空力を高めつつ剛性も高めています。これは走りのパフォーマンスに非常に影響するポイントです。

フレームジオメトリーを選択可能

プレゼンテーションで披露されたトレック「新型マドン」に、世界各国のメディア関係者の視線が注がれた (田中苑子撮影)プレゼンテーションで披露されたトレック「新型マドン」に、世界各国のメディア関係者の視線が注がれた (田中苑子撮影)

フォイクト氏 空力性能を高めるために作られたハンドルですが、快適性にもつながっています。フラット部を持っているとラウンド形状よりも快適に感じます。また、見た目の美しさもあるし、剛性感も高いので、ハンドリング性能にもいい意味で影響してくるね。

コーツ氏 インテグレーションについて言えば、ブレーキも忘れていはならないポイントです。エアロ効果を高めるだけでなく、ダイレクトマウントによりキャリパー自体のたわみを抑えた結果、非常に制動力の高いブレーキに仕上がっています。ワイアの取り回しもしっかり考えているので、ブレーキレバーを握った際の引きも非常にスムーズ。そしてケーブル関連はほぼすべて内装化されています。内装化したからこそ、ライダーにとって(調整などを)使いやすくする必要があります。そのために新しく生まれたのが、ダウンチューブに装備された「コントロールセンター」と呼ばれるワイア調整を行うポイントです。電動コンポーネントのDi2の場合はここにジャンクションが収まり、ワイア式の際はここがアウターワイアのハウジングになって、フロントディレイラーのアジャストが可能になります。そしてウォータボトルの取付位置もしっかりと計算されています。何百通りというボトルケージの取付パターンを解析し、どこに装着するのが最もエアロ効果が得られるのかを調べ上げたのです。

先進のエアロダイナミクス、乗り心地の良さ、一体設計によるパフォーマンス向上、そしてライダーに最適なフレームジオメトリーを選択できることも新型マドンの大きな特徴だ (田中苑子撮影)先進のエアロダイナミクス、乗り心地の良さ、一体設計によるパフォーマンス向上、そしてライダーに最適なフレームジオメトリーを選択できることも新型マドンの大きな特徴だ (田中苑子撮影)

バーク社長 これまでの情報をシンプルにまとめると?

コーツ氏 まずは、エアロ効果に優れた最も速いバイクです。次に、エアロバイクが苦手とするライドクオリティーとハンドリング性能を高めた点です。そしてパフォーマンスインテグレーションになります。エアロブレーキ、ワイアなどすべてがフレームと一体化されることで軽量化を果たし、パフォーマンス向上にもつながっています。

バーク社長 そして、H1、H2、WSDとライダーの好みに応じてフレームジオメトリーを選択できる点を忘れてはいけないですね。多くのブランドは、ハイエンドバイクであっても、そのフレーム選択は一つしかありません。選択肢を増やすには、かなりの投資が必要になりますが、しかしトレックはライダーが快適にロードバイクに乗って、そしてパフォーマンスを高めるためにこれらのチョイスを準備しました。そしてトレックが提供しているカスタムオーダーシステム「プロジェクトワン」もそうですね。他社と比較した際、他社の多くはハイエンドバイクであっても1色展開しかない場合も少なくありません。プロジェクトワンで選択すれば、カラーチョイスは無限大に広がりますし、用途や予算に応じたパーツの組み合わせを行うことも可能です。

(写真:田中苑子 取材協力:トレック・ジャパン)

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