ツール・ド・フランス2015 コースプレビュー<後編>ピレネー、中央山塊、そしてアルプスでの最終決戦へ 山岳オンパレードの後半ステージ

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 ツール・ド・フランス2015は、大会前半に平坦ステージを集め、後半は山岳ルートを中心に構成されました。ツールの戦いには欠かせないピレネー、アルプスの両山脈が、今年も選手たちの通過を待ちわびています。

 そして、フィナーレはもちろん、パリ・シャンゼリゼ通りでのスプリント勝負。同時に第102回大会の総合優勝者が決定します。今回は第2週と第3週のルートを解説していきます。

プロトンは急峻な山岳を越え、パリ・シャンゼリゼを舞台にした最終ステージを目指す(ツール・ド・フランス2014)<写真・砂田弓弦>プロトンは急峻な山岳を越え、パリ・シャンゼリゼを舞台にした最終ステージを目指す(ツール・ド・フランス2014)<写真・砂田弓弦>

第10ステージ(タルブ~ラ・ピエール・サン・マルタン、167km、上級山岳ステージ) 7月14日(火)

第10ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第10ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 今大会最初の上級山岳ステージ。スタートからしばらくはほぼ平坦だが、ラスト15.3kmはフィニッシュまでひたすら上り続ける。目的地のラ・ピエール・サン・マルタンは、超級山岳頂上ゴール。平均勾配7.4%で、上り始め1kmほどで最大勾配10.8%に達する。

 休息日明けとあって、リズムをつかめず後れをとる選手が出ても不思議ではない。そして、この日はフランス革命記念日。同国が誇る若きオールラウンダー、ティボ・ピノー(エフデジ)やロマン・バルデ(アージェードゥーゼール ラモンディアル)が威信をかけて勝利を狙ってくるはずだ。

第11ステージ(ポー~コトレ、188km、上級山岳ステージ) 7月15日(水)

第11ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第11ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 ピレネー山脈中央部へと進路をとる。ツールではおなじみの街、ポーをスタートし、中盤で1級山岳アスパン峠と超級山岳トゥールマレー峠へ。だが、今回の目的地はトゥールマレー峠ではなく、その先の3級山岳コトレだ。

 レイアウト的には、超級や1級山岳でのフィニッシュではないことから、総合狙いのオールラウンダーやクライマーが勝負に出ることは考えにくい。そうなれば、逃げ集団や山岳賞狙いの選手に自由が与えられることになるか。

おなじみの超級山岳、トゥールマレー峠(ツール・ド・フランス2010)<写真・砂田弓弦>おなじみの超級山岳、トゥールマレー峠(ツール・ド・フランス2010)<写真・砂田弓弦>

第12ステージ(ラヌムザン~プラトー・ド・ベイユ、195km、上級山岳ステージ) 7月16日(木)

第12ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第12ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 元世界王者、ファビオ・カサルテッリの死から20年、彼が下りで落車し命を落としたポルテ・ダスペ峠を、この日の一行は最初に訪れる。中盤で2つの1級山岳を通過し、最後は超級山岳プラトー・ド・ベイユの頂上フィニッシュだ。

 選手の中には、ツールで最も厳しい山岳としてプラトー・ド・ベイユを挙げる者もいるほどで、ピレネーめぐりの最後にふさわしい舞台が用意された。

 ポイントを挙げるとするならば、フィニッシュ手前800mが急激に緩斜面へと変化するあたりか。総合上位陣が牽制を繰り返しながら上るようであれば、結果的にタイム差がつかないまま1日を終えることも考えられる。

第13ステージ(ミュレ~ロデズ、198.5km、中級山岳ステージ) 7月17日(金)

第13ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第13ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 ピレネーから中央山塊へ。アルプスに向かって進路をとる数日間が始まる。ロデズのフィニッシュは、ラスト570mから最大勾配9.6%の上り。パンチャーや上れるスプリンターに勝機が生まれそう。ポイント賞のマイヨヴェールの行方を占うには重要な1日となるかもしれない。ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)やアレクサンドル・クリツォフ(ノルウェー、チーム カチューシャ)らは、しっかりと活躍しておきたいステージだ。

第14ステージ(ロデズ~マンド、178.5km、中級山岳ステージ) 7月18日(土)

第14ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第14ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 中級山岳ステージにカテゴライズされ、有力選手の間で数秒単位のタイム差がつく可能性がある。フィニッシュへは、登坂距離3kmで平均勾配10.1%の2級山岳ラ・クロワ・ヌーヴを上りきると、ラスト1.5kmは緩斜面。マンド・ブルヌ飛行場内470mの最終ストレートでゴールとなる。

 ラ・クロワ・ヌーヴへは、エースを前方に引き上げるべく各チームがペースアップしてメーン集団の主導権を奪い合うことが予想される。ハイペースのまま上りへと入っていくので、ポジション争いでいかにしてスタミナを温存できるかがカギ。脚を使いすぎてしまうと、急坂でのライバルのアタックに対応できなくなってしまう。

第15ステージ(マンド~ヴァランス、183km、平坦ステージ) 7月19日(日)

第15ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第15ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 パリ・シャンゼリゼより前に迎える最後のスプリントステージ。とはいえ、ゴールを争うためには、序盤から中盤にかけての山岳ポイントを無難にクリアすることが条件となってくる。この日ばかりは、リーダーチームに代わってスプリンターチームがメーン集団の実権を握りたいところだ。

 フィニッシュは、ラスト280mでロータリーを右折し、最終ストレートへ。コーナーでのポジショニングが勝負を分けるポイントになってきそうだ。

第16ステージ(ブール・ド・ペアージュ~ギャップ、201km、中級山岳ステージ) 7月20日(月)

第16ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第16ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 ツールファンにはおなじみの街・ギャップへ。ダウンヒルを経てギャップに到達するステージでは、過去にさまざまな名場面が生まれている。

 2010年の第10ステージでは、セルジオ・パウリーニョ(ポルトガル、当時チーム レイディオシャック)とヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、当時ケスデパーニュ)。2011年の第16ステージでは、トル・フースホフト(当時ガーミン・サーヴェロ)とエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(当時チーム スカイ)のノルウェー人同士が一騎打ちを繰り広げ、それぞれパウリーニョとフースホフトが勝利。また、2013年の第16ステージでは、総合上位進出の望みを絶たれていたルイ・コスタ(ポルトガル、当時モビスター チーム)が“怒りの”独走劇を繰り広げた。

 過去の例では逃げ切りが許されており、総合争いにおける主要な選手たちは落ち着いて1日を終えている印象だ。2回目の休息日を前に、ステージ優勝を目指すチームや選手たちは執念を見せることだろう。

第17ステージ(ディーニュ・レ・バン~プラ・ルー、161km、上級山岳ステージ) 7月22日(水)

第17ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第17ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 ここから、戦いの舞台がアルプス山脈へと移る。プラ・ルーの2級山岳頂上ゴールは、登坂距離6.2km、平均勾配6.5%と総合上位陣でも展開次第で数秒単位の差がつく可能性がある。

 さらには、手前の1級山岳アロス峠の約15kmにわたるダウンヒルもポイントになりそうだ。名うてのオールラウンダーやクライマーでも、ダウンヒルとなれば大きな差がつくことがある。この下りでレースが動くか。

 同じコースで行われた6月のクリテリウム・ドゥ・ドーフィネ第5ステージでは、バルデが下りでアタックに成功。プラ・ルーへの上りも独走し、後続に36秒差をつけてステージ優勝を果たしている。

第18ステージ(ギャップ~サン・ジャン・ド・モリエンヌ、186.5km、上級山岳ステージ) 7月23日(木)

第18ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第18ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 第16ステージのフィニッシュ地点だったギャップに再び戻り、フランスアルプスの中央部を目指す。中盤から後半にかけてを占める超級山岳ル・グランドン峠は、登坂距離21.7kmで平均勾配が5.1%。これは途中に下りがあるからで、10%を超える勾配もたびたび登場するタフな上りだ。

 約20kmの下りを経て迎えるは、2級山岳ラセ・ド・モンヴェルニエ。3.4kmの間に18ものつづら折りが続き、平均勾配8.2%の数字以上に選手たちの体感では厳しいものとなるはずだ。ここが勝負ポイントの1つと考える有力選手もいるだろう。

第19ステージ(サン・ジャン・ド・モリエンヌ~ラ・トゥシュイール-レ・シベル、138km、上級山岳ステージ) 7月24日(金)

第19ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第19ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 総合優勝争いは佳境に差し掛かる。距離こそ138kmと短めながら、超級から2級まで、4つのカテゴリー山岳を凝縮した難関ステージだ。

 スタートして早々から1級山岳ル・ショシー峠を上るとあって、逃げ狙いのアタックが次々と発生しそう。特に有力チームは信頼できる山岳アシストを前方に送り込み、レース後半にエースが合流することを想定したいところだ。

 超級山岳ラ・クロワ・ド・フェール峠、2級山岳ル・モラール峠をクリアすると、ラスト19kmは1級山岳ラ・トゥシュイールの頂上フィニッシュへ。勾配の変化が少なく、淡々と上っていく印象だ。とはいえ、レース距離を考えてもハイペースで進行することだろう。勝負のアタックはもとより、スピードに耐え切れず後れを喫した選手が総合優勝争いから後退することになる。

 また、シャンゼリゼでのスプリント参戦を目指す選手たちにとっては、ここからの2日間をどのようにしのぐかを対策しておかなければならない。レース距離が短いとはいえ、あまりゆっくり走っているとタイムアウトになってしまう恐れがあるからだ。

第20ステージ(モダーヌ・ヴェルフェジュー~ラルプ・デュエズ、110.5km、上級山岳ステージ) 7月25日(土)

第20ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第20ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 ツール・ド・フランス2015、総合争い最終決戦の舞台は、おなじみのラルプ・デュエズだ。登坂距離13.8km、平均勾配8.1%が選手たちの到来を待ち受ける。

 そんななか、当初コース前半に設けられていたテレグラフ峠、中盤の超級山岳ガリビエ峠がキャンセルとなった。理由は、ガリビエからラルプ・デュエズに向かう途中のシャヴロントンネルに崩落の危険性があるため。道路が現在通行止めとなっており、レースで使用することも不可能との判断がくだされた。

 代替ルートとしては、超級山岳クロワ・デ・フェール峠が採用される。29km上ったのち、約30kmを下り、ラルプ・デュエズへ向かう平坦路をしばし進む。前日のステージ同様、かなりの高速ペースでレースが進行することは間違いなく、クロワ・デ・フェール登頂後の下りと平坦でリズムを整えられるかが重要になる。

2013年はラルプ・デュエズを舞台にマイヨジョーヌのクリストファー・フルームらが死闘を繰り広げた(ツール・ド・フランス2010)<写真・砂田弓弦>2013年はラルプ・デュエズを舞台にマイヨジョーヌのクリストファー・フルームらが死闘を繰り広げた(ツール・ド・フランス2010)<写真・砂田弓弦>

 そして、満を持して迎えるラルプ・デュエズで勝負が決する。トップに立つ者はマイヨジョーヌを守りきるために走り、追う者は捨て身のアタックを繰り出す。一進一退の攻防が繰り広げられる。泣いても笑っても、2015年のツール王者はこのステージで決定するのだ。

第21ステージ(セーヴル・グラン・パリ・セーヌ・ウエスト~パリ・シャンゼリゼ、平坦ステージ) 7月26日(日)

第21ステージ コースプロフィール ©A.S.O.第21ステージ コースプロフィール ©A.S.O.

 オランダ・ユトレヒトをスタートし、ベルギーを抜け、フランスを反時計回りに一周してきた旅は、パリ・シャンゼリゼで完結する。スタートからしばらくはパレード走行で進み、選手・チームスタッフ・関係者が3週間の戦いの労をねぎらい合う。

 レースが展開されるのは、シャンゼリゼの周回ルートに入ってから。ルーヴル美術館、コンコルド広場、エトワール凱旋門などをめぐる。そして、このステージのフィニッシュをもって、第102回ツール・ド・フランスの総合チャンピオンが決定する。個人総合時間賞のマイヨジョーヌを筆頭に、ポイント賞のマイヨヴェール、山岳賞のマイヨアポア、新人賞のマイヨブランの着用者が決まるほか、チーム総合優勝、ステージ優勝者が次々とシャンゼリゼ通りに設けられたポディウムに登壇。凱旋門をバックに祝福を受ける。

女性版ツール「ラ・クルス・バイ・ル・ツール・ド・フランス」

 ツール最終ステージが実施される7月26日、男子と同じシャンゼリゼ通りの周回コースを舞台に、女子レース「ラ・クルス・バイ・ル・ツール・ド・フランス(La Course by Le Tour de France)」が開催される。

2014年に初開催された「ラ・クルス・バイ・ル・ツール・ド・フランス」の表彰式。マリアンヌ・フォスが初代女王の座に就いた<写真・砂田弓弦>2014年に初開催された「ラ・クルス・バイ・ル・ツール・ド・フランス」の表彰式。マリアンヌ・フォスが初代女王の座に就いた<写真・砂田弓弦>

 2回目となる今大会。初開催だった昨年は、3週間の戦いを終えた男子選手たちの帰還を前にレースが行われ、大成功を収めた。初代女王にはマリアンヌ・フォス(オランダ、ラボ・リヴ ウィメンズサイクリング)が輝いた。

 レースは90kmで争われ、男子同様にスプリント勝負が予想される。女子ロードレースのトップシーンを走る20チームが主催者により選出されていて、1チーム6人編成で120選手がスタートラインに立つ。前回覇者のフォスはけがの回復が遅れているため出場するかは微妙だが、前回2位のキルステン・ワイルド(オランダ、ハイテックプロダクツ・UCK)、ジョルジア・ブロンジーニ(イタリア、ウィグル・ホンダ)、エリザベス・アーミステッド(イギリス、ボエルス・ドルマンス サイクリングチーム)、エマ・ヨハンソン(スウェーデン、オリカ・AIS)らが優勝候補に挙げられている。

 将来は本格的なステージレースへ進化させることを目標としており、シャンゼリゼでの盛り上がりが今後への後押しとなることは間違いない。表彰式では、ポディウムガールならぬ“ポディウムボーイ”が登場して勝者を称えるところも見逃せない。

(文・福光俊介)

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