京都産業大がロードで日本一を輩出落車を乗り越えラスト1kmで飛び出した中井路雅に初の栄冠 全日本ロード・U23詳報

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 序盤から続いた激しいアタック合戦に終止符が打たれたのは、ラスト1kmでの一瞬の動きからだった―。栃木県那須町で6月27日に開かれた「全日本選手権自転車競技大会ロードレース」アンダー23(160km)。アタックと吸収が繰り返された末、思い切った飛び出しが勝負を決めた。後続を引き離してフィニッシュ地点に飛び込んだ中井路雅(滋賀・京都産業大学)は、序盤の落車トラブルを乗り越えて栄冠をつかんだ。(文・福光俊介、写真・田中苑子)

残り1kmで飛び出した中井路雅(滋賀・京都産業大学)が集団から逃げ切って優勝。後方では2位争いの集団スプリント残り1kmで飛び出した中井路雅(滋賀・京都産業大学)が集団から逃げ切って優勝。後方では2位争いの集団スプリント

ロード初タイトルが日本チャンピオン

 表彰式で日本チャンピオンジャージに袖を通し、晴れやかな笑顔をみせた中井。その後の記者会見では開口一番、「高校から始めた自転車競技で初めて優勝できて本当に嬉しい」と満面の笑みを浮かべた。

初のビッグタイトル獲得となった中井初のビッグタイトル獲得となった中井

 瀬田工業高校時代にシクロクロスで頭角を現し、日本代表として世界選手権に出場してきた実績を持つ。国際経験も豊富な中井だが、ロードでは初のタイトル。多くの名選手を輩出する京都産業大学にとっても、ロードレースの日本チャンピオンを生んだのは初めてだ。

 フィニッシュ時に高々と掲げた右腕と、右膝からの流血が痛々しい。実は、1周回目の下りで数選手が絡む落車に巻き込まれていたのだ。傷の痛みだけでなく、集団復帰に脚を使うことを余儀なくされたが、チームメートがメーン集団で走っている姿を励みにペダルを踏んだという。

ゴールでガッツポーズの中井。肘と膝には落車の傷ゴールでガッツポーズの中井。肘と膝には落車の傷
記者会見での中井。落車の傷がまだ生々しい記者会見での中井。落車の傷がまだ生々しい

 勝利を決めた動きは、ラスト1kmでのアタック。「今日は最後まで集団に残ることができれば、どこかのタイミングで捨て身の攻撃をしようと思っていた」と述べ、作戦がピッタリとはまったことを強調した。とはいえ、レース中は「集団内に残ることで精一杯だった」「勝てるとは思っていなかった」とも。

 ゴールまでの逃げを「競技人生で一番長く感じた1km」と表した中井。チームオーダーなどは特に設けていなかったといい、まさに自らで切り拓いた勝利だった。

 大学3年生でU23日本王者となった中井にとって、もう一つのビッグタイトルであるインカレが重要なイベントとなる。表彰台でのインタビューでも、「次はインカレが目標」と明言した。

上りの集団。中央に優勝した中井上りの集団。中央に優勝した中井
コーナーを通過する集団。先頭は横山航太(長野・シマノレーシング)。中井の姿もコーナーを通過する集団。先頭は横山航太(長野・シマノレーシング)。中井の姿も

将来のトッププロ予備軍が躍動

選手宣誓をする、地元・那須ブラーゼン所属の小野寺玲選手宣誓をする、地元・那須ブラーゼン所属の小野寺玲

 レースは1周16kmのコースを10周、計160kmで争われた。U23は年代別カテゴリーでは最上位に位置し、その上はエリートクラスのみとなる。現在トップライダーとして活躍している選手たちも、かつてはU23カテゴリーで頭角を現し、ステップアップしていった。このカテゴリーの選手たちには大きな可能性が秘めているのだ。

 スタート直後から次々とアタックが発生し、数選手がグループを形成しようと試みるが、メーン集団がそれを許さない。動きがあるたびに、実力者をそろえる大学自転車界の雄・鹿屋体育大学勢が必ず加わるものの、思うように主導権を握れない。

水しぶきを上げながら進むメーン集団水しぶきを上げながら進むメーン集団
田園地帯を進む集団田園地帯を進む集団
上りでの集団。先頭は小山貴大(群馬・シマノレーシング)上りでの集団。先頭は小山貴大(群馬・シマノレーシング)

 中盤に差し掛かり、5周目を迎えたところで7人の逃げグループが形成された。抜け出したのは、秋田拓磨(福井・朝日大学)、小山貴大(群馬・シマノレーシング)、山本大喜(奈良・鹿屋体育大学)、吉田優樹(福島・日本大学)、野本空(愛媛・明治大学)、渡邉雄太(長野・駒澤大学)、岡部祐太(広島・日本体育大学)。さらに紺野元汰(神奈川・イナーメ信濃山形)が単独で合流し、8人が協調しながら先を急いだ。

 しかし、力のある選手で形成された先頭集団を容認するわけにはいくまいと、メーン集団も一気にペースアップ。残り2周で難なく吸収した。

ハイペースでの上りに表情が歪むハイペースでの上りに表情が歪む
ダンシングで上りをこなす黒枝咲哉(大分・鹿屋体育大学)ダンシングで上りをこなす黒枝咲哉(大分・鹿屋体育大学)

“地元V”を賭け那須ブラーゼン勢がアタック

単独飛び出して最終周回に入る小野寺玲(栃木・那須ブラーゼン)単独飛び出して最終周回に入る小野寺玲(栃木・那須ブラーゼン)

 ラスト1周の鐘を聞こうかというタイミングでメーン集団から飛び出したのは、地元・那須ブラーゼンの小野寺玲だ。あっという間にタイム差は広がり、メーン集団に約1分のリードを得た。一方の集団は、各チームのエースクラスが自ら追う姿勢を見せ始めた。

 小野寺とメーン集団とのタイムが縮まり始めたところで、今度は小野寺のチームメートである新城雄大と、1週間前の個人タイムトライアル王者の小石祐馬(京都・CCC p/b CHAMPION SYSTEM)が追走を開始。すぐに小野寺に合流した。那須ブラーゼンは2人を前方に送り込むことができ、数的優位に立った。

縦長に伸びて小野寺を追走するメーン集団縦長に伸びて小野寺を追走するメーン集団
集団先頭に立つ小石。この後アタックし一度は先頭に立つが…集団先頭に立つ小石。この後アタックし一度は先頭に立つが…

 残り8kmで小野寺が力尽きると、新城と小石の一騎打ちのムードが高まる。メーン集団は追走の意思が統一されず、ペースが上がりきらない。そして、フィニッシュまで残り2kmとなった上りで小石が独走を開始。地元Vを狙った那須ブラーゼンの望みを摘むとともに、自らのロード・TT2冠に向け最後の力を振り絞った。

 しかし、ラスト1kmを前に約25人に絞られた集団が小石を吸収。土壇場でレースが振り出しに戻ったところで、中井がアタックを決め、勝利への独走を繰り広げた。

ゴールして勝利をかみしめる中井ゴールして勝利をかみしめる中井
2位は黒枝咲哉(大分・鹿屋体育大学)が獲った2位は黒枝咲哉(大分・鹿屋体育大学)が獲った
男子U23表彰。(左から)2位の黒枝、優勝の中井、3位の岡本男子U23表彰。(左から)2位の黒枝、優勝の中井、3位の岡本

男子U23(160.0km)
1 中井路雅(滋賀・京都産業大学) 3時間55分40秒
2 黒枝咲哉(大分・鹿屋体育大学) +4秒
3 岡本隼(和歌山・和歌山県)
4 相本祥政(山口・法政大学)
5 間瀬勇毅(大阪・京都産業大学)
6 松本祐典(京都・明治大学)
7 柳瀬慶明(大阪・Coraggio Kawanishi Cycling Team)
8 草場啓吾(京都・日本大学)
9 秋田拓磨(福井・朝日大学) +5秒
10 片桐善也(新潟・日本大学)

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