未来を担う十代のレーサーたちが熱戦アジア女王の梶原悠未が強さ発揮、男子は沢田桂太郎が“連覇” 全日本ロード・ジュニア詳報

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 栃木県那須町で6月27日開幕した「全日本選手権自転車競技大会ロードレース」の女子ジュニアで、梶原悠未(埼玉・筑波大学坂戸高校)が貫録の2連覇を達成。今年2月のアジア選手権のジュニア種目でトラック・ロード4冠を達成したこの世代の第一人者が、期待に違わぬ走りを見せた。男子ジュニアは、昨年大会でU17+U15カテゴリーを制した沢田桂太郎(宮城・東北高校)が上りスプリントを制して優勝を決め、カテゴリー違いながら2年連続で同年代の頂点に立った。(文・福光俊介、写真・田中苑子)

女子ジュニアのレースは、梶原悠未(埼玉・筑波大学坂戸高校)がレースの大半を一人で走って逃げ切る圧勝劇。自らを追い込み、苦痛に顔を歪めてのゴール女子ジュニアのレースは、梶原悠未(埼玉・筑波大学坂戸高校)がレースの大半を一人で走って逃げ切る圧勝劇。自らを追い込み、苦痛に顔を歪めてのゴール

追いつかれても再び独走 梶原がレースを完全支配

スタート前の梶原。アジアチャンピオンジャージを着てスタートスタート前の梶原。アジアチャンピオンジャージを着てスタート

 関東では初開催となる全日本ロードの舞台は、観光地として名高い那須高原のお膝元・那須町。1周16kmのコースは大田原市、那須塩原市にもまたがる広域ルートだ。平坦な箇所が見当たらないほどのアップダウンの連続で、周回コースのほぼ中間にあたる「西坂の登り」は登坂距離こそ600mながら、平均勾配は7.3%に上る。ほかにも勾配5〜6%の上りが連続し、選手たちをふるいにかけていく。

 ジュニア女子は3周回・48kmで争われ、優勝候補筆頭の梶原に対し、誰が食らいつくかが注目された。

 午前9時5分のスタートと同時に梶原が飛び出した。しかし雨脚が強まり、路面が滑りやすくなったため慎重に進む。そのせいか、メーン集団とのタイム差は10秒前後のまま推移し、2周回目に入ったところで一度は吸収されてしまう。

2周目、すでに後続は視界から消えた2周目、すでに後続は視界から消えた

 しかし、ここからが梶原の真骨頂。再度ペースを上げて集団から抜け出すと、みるみるうちにタイム差を広げた。2周回目を終える頃には約1分のリードを築き、最終周回へと突入した。

 苦しさに顔を歪めながらも、しっかりとしたペダリングで先を急ぐ。後続では高橋智香(愛知・桜丘高校)が飛び出す場面があったものの、メーン集団もペースが上がり単独追走を許さない。だが、梶原を追うほどの勢いはない。

 最後の上りをクリアし、1人でフィニッシュ地点に現れた梶原。1週間前の個人タイムトライアルと合わせ、2年連続のロード・TT2冠達成だ。レースを振り返り、「独走で勝ててよかった」とコメント。一度は集団に吸収されながらも、自らの力でしっかりレースを組み立てられたことを喜んだ。

ゴール後、部の顧問の祝福を受けるゴール後、部の顧問の祝福を受ける
2020年東京五輪を見据える2020年東京五輪を見据える

 名実ともにこの年代トップに君臨し、今後の走りにも期待がかかるが、次なる目標は「世界選手権ロードレースでのメダル獲得」だ。かねてからの課題であるスプリントを強化するため、これまで室内で行っていた朝練習を約30kmのロード走行に切り替えたほか、通常練習にウエイトトレーニングを導入するなど、あらゆるアプローチを施しているという。そして、将来的なビジョンとしては、「大学へ進学し、チャンスがあれば2016年のリオ五輪でのトラック・チームパシュートでのメンバー入り、そして2020年の東京五輪には確実に出場すること」を掲げた。

 なお、後続はスプリント勝負となり、2位に細谷夢菜(埼玉・浦和工業高校)、3位に内村舞織(鹿児島・南大隅高校)が入った。細谷は同時開催の女子U17のタイトルを獲得した。

女子ジュニア表彰。(左から)2位の細谷、優勝の梶原、3位の内村女子ジュニア表彰。(左から)2位の細谷、優勝の梶原、3位の内村
優勝者に贈られる花束は、那須らしく、りんどうの花だ優勝者に贈られる花束は、那須らしく、りんどうの花だ
2位でゴールの細谷が女子U17優勝2位でゴールの細谷が女子U17優勝

180cm超の大型スプリンター沢田がグングン加速

 男子ジュニアのレースは午前11時35分にスタート。7周回・112kmで争われた。前回大会のU17+U15カテゴリーで上位を占めた選手たちがジュニア世代となり、レースは彼らを中心に展開すると予想された。

レーススタート前。中央が優勝の沢田レーススタート前。中央が優勝の沢田
沢田は昨年のU15+U17チャンピオン沢田は昨年のU15+U17チャンピオン

 序盤からアタックが散発するが、決定的な動きにはならない。3周回目には7選手が一時的に逃げグループを形成したものの、メーン集団に吸収されてしまった。一方で、アタックと吸収の動きが繰り返されるうちに、集団の人数は少しずつ減っていき、残り1周の鐘が鳴る頃には3分の1近くの38人にまで絞られた。

田んぼの横を走る集団。細かくアタックがかかり集団は不安定田んぼの横を走る集団。細かくアタックがかかり集団は不安定
上りをこなす集団上りをこなす集団
集団の先頭を走る渡邉歩(福島・学校法人石川高校)集団の先頭を走る渡邉歩(福島・学校法人石川高校)

 最後の周回でもアタックは決まらず、勝負は約25選手によるスプリントに委ねられた。ゴール前は上り基調で、集団内でのポジショニングと仕掛けるタイミングがカギを握る。ここで、集団前方からグングンと加速したのは沢田だ。フィニッシュ直前で迫ってきた中川拳(北海道・帯広三条高校)にも逆転を許さず、昨年のU17+U15に続いて日本チャンピオンに輝いた。2位には中川、3位には武山晃輔(山梨・甲府工業高校)が入った。

ゴールスプリントで主導権を握った沢田ゴールスプリントで主導権を握った沢田
中川拳(帯広三条高校)が追い込むが届かない中川拳(帯広三条高校)が追い込むが届かない
持ち前のスプリント力を生かし、全日本ロードをクラスをまたいで“2連覇”した沢田持ち前のスプリント力を生かし、全日本ロードをクラスをまたいで“2連覇”した沢田

 180cmを超える長身から繰り出されるスプリントは、この世代では群を抜いている。女子の梶原同様、今年のアジア選手権ロードで優勝しており、今後は海外でのネーションズカップ(年代別の国別対抗戦)ポイントの獲得を狙う考えだ。

 沢田はこの日のレースを振り返り、「勝利を確信したのはゴール前20mあたり。先頭からスプリントを開始できなかったので、どうなるか自分でもギリギリまで勝てるか分からなかった」と述べた。また、トラック競技にも力を入れていきたいとアピールした。現在は個人追抜やポイントレースで活躍しているが、将来はオムニアム(6種目の混成競技)で世界と勝負することを見据えているという。

男子ジュニア表彰。(左から)2位の中川、優勝の沢田、3位の武山男子ジュニア表彰。(左から)2位の中川、優勝の沢田、3位の武山
トラックレースでも世界を目指すトラックレースでも世界を目指す

“金の卵”U17+U15は篠田が上りスプリントを制する

 男子U17+U15は4周回64kmで争われ、篠田幸希(群馬・前橋工業高校)が優勝した。

 今大会最初の種目として午前9時にスタート。徐々に人数を減らしながら進み、最後は26人で最終局面へ。ラスト500mで飛び出した篠田がゴールまでの上りでトップを疾走し、先頭を譲ることなく歓喜のフィニッシュを迎えた。

この日最初のレースとなった男子U17+U15。レース前、高久勝那須町長があいさつこの日最初のレースとなった男子U17+U15。レース前、高久勝那須町長があいさつ
スタートを待つ男子U17+U15の選手スタートを待つ男子U17+U15の選手
レースは序盤から落車が多発したレースは序盤から落車が多発した
集団先頭を走る小野寺慶(栃木・ブラウブリッツェン)。1週間前の個人TT優勝者だ集団先頭を走る小野寺慶(栃木・ブラウブリッツェン)。1週間前の個人TT優勝者だ
ゴールスプリントを制した篠田幸希(群馬・前橋工業高校)ゴールスプリントを制した篠田幸希(群馬・前橋工業高校)
男子U17+U15表彰。(左から)2位の日野、優勝の篠田、3位の石井男子U17+U15表彰。(左から)2位の日野、優勝の篠田、3位の石井

 「レース中は集団に食らいつくので精一杯だった」と篠田。しかし、ラスト1kmを迎えたところで集団が牽制状態になったことで手応えを感じ、前方への位置取りを図ったという。「スプリント勝負になればラスト500mで仕掛けようと決めていた。狙い通りの走りができた」と作戦成功を喜んだ。未来ある有望株がそろう年代のトップに立ち、将来のビジョンを問うと「ツール・ド・フランスに出たい!」とキッパリ。勝った喜びもあってか、屈託のない笑顔で話した。

 2位は最後に篠田に迫った日野泰静(愛媛・チームグロシャ)、3位には石井洋輝(福島・白川実業高校)が入った。

女子ジュニア+U17(48.0km)
1 梶原悠未(埼玉・筑波大学附属坂戸高校) 1時間19分20秒
2 細谷夢菜(埼玉・浦和工業高校) +1分20秒
3 内村舞織(鹿児島・南大隅高校)
4 古山稀絵(東京・昭和第一学園高校)
5 松本詩乃(東京・昭和第一学園高校)
6 髙橋智香(愛知・桜丘高校) +1分21秒

男子ジュニア(112.0km)
1 沢田桂太郎(宮城・東北高校) 2時間44分10秒
2 中川拳(北海道・帯広三条高校) +0秒
3 武山晃輔(山梨・甲府工業高校) +1秒
4 石井駿平(群馬・前橋工業高校)
5 徳田匠(京都・北桑田高校)
6 今村駿介(福岡・祐誠高校)
7 溝口智貴(京都・北桑田高校)
8 石上優大(神奈川・横浜高校)
9 渡邉歩(福島・学校法人石川高校) +2秒
10 中村圭佑(東京・昭和第一学園高校)

男子U17+U15(64.0km)
1 篠田幸希(群馬・前橋工業高校) 1時間36分45秒
2 日野泰静(愛媛・チームグロシャ) +0秒
3 石井洋輝(福島・白河実業高校) +1秒
4 成海大聖(沖縄・普天間高校)
5 佐藤健(熊本・九州学院高校)
6 片桐東次郎(東京・昭和第一学園高校)

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