バイクインプレッション2015「SPECIALIZED DIVERGE COMP SMARTWELD」 油圧ディスクブレーキと105コンポ装備の本格グラベルバイク
レースシーンには欠かせない存在となったアメリカのバイクブランド、スペシャライズド。揺るぎないコンセプトのもと、様々なジャンルにおいて理想のバイクを生み出してきた。付随するアクセサリ類も充実し、シューズやウェアから、ライトや工具まで幅広く揃う。今回はグラベルバイクの「DIVERGE」(ディバージュ)のアルミフレーム版、「DIVERGE COMP SMARTWELD」に試乗した。
DIVERGE COMP SMARTWELD(スペシャライズド ディバージュ コンプ スマートウェルド)
価格:269,000円(完成車、税込)
サイズ:49cm、52cm、54cm、56cm、58cm
カラー:ダークグレイ
問い合わせ先:スペシャライズド・ジャパン
http://www.specialized.com/ja/ja/bikes/road/diverge
スペック
フレーム:Specialized E5 Premium Aluminum
フォーク:Specialized FACT carbon w/ Zertz
変速機:シマノ・105(F)&(R)
ギヤ:Praxis Works, TURN Zayante 50×34T、シマノ・105 11-32T(11s)
ホイール:AXIS 3.0 Disc
重量: 10.40kg(54サイズ完成車、写真の仕様で実測)



インプレッション BY 松尾修作・米山一輝

松尾 エンデュランス系のジオメトリーで、長距離のライドに向いている 「DIVERGE」は、アルミモデルとカーボンモデルがありますが、どちらもクランクを除いてドライブトレインは105ですね。
米山 発展途上のジャンルでありながら、このグレードからというのは少し敷居が高いかもしれないけれど、乗り手の環境や使い方にマッチすれば、価格に見合った楽しみがあるのでは。いつものロードバイクコースで気になっていたやや茂った脇道にも、これなら行けそうなんて思う人もいるでしょう。
松尾 耐パンク性能が高い「ルーベプロ700×30/32c」を装備したこのバイクならという気持ちにさせますね。試乗した印象は、剛性が高くてとてもガッチリとしたバイクで、重厚感があります。フロントフォークとシートステーにはスペシャライズドのエンデュランスモデルでお馴染みのダンパー“ZERTZ”が採用されていましたね。
米山 うん。でも、エンデュランスロードの「ルーベ」とは付き方が異なっていた。フレームに挟み込むことで衝撃を和らげていると思っていたけれど、必ずしもそうではなく、フレームに貼るような付き方でも特定の周波数の振動を吸収してくれるという。ただ、これ自体の性能を体感するのは難しいし、逆に違和感もなかった。コンフォート性能はどちらかと言えばあまりソフトなタイプではないと感じたよ。
松尾 ポジションは上体がラクで、振動吸収性も悪くはないのでオフロードでの安定性は高く、快適性も意外と良かったと思いますよ。カーボンフレームの上位モデル「DIVERGE EXPERT CARBON」(日本未発売。フレームはCOMP CARBONと共通)も比較で乗らせてもらいましたが、それと比較しても、フィーリングはアルミモデルのほうがボク好みでした。

米山 ボクは今回うまい踏みどころが見つけられなかった。ロードとしては、ちょっと完成車重量が重めなのもあったのかな。
松尾 フロントフォークからヘッドにかけての剛性が高くて、力をかけると重量を気にせずにしっかりと速度を乗せることができましたよ。悪路ではその硬さも気にならずに、むしろ乗り心地は悪くなかったと思います。重量もあるので、加速が得意というモデルではありませんが、舗装路でもがいてみるとすぐに50km/hほどまで上げることができたので、オンロードでの性能も大きく犠牲にしていない良さを感じました。
米山 なるほど。重量に関しては、この試乗車は適合するフルカウルのアルミ製フェンダー“Plug and Play Fender Set”や、ボトルケージと収納ケースがセットになった“SWAT MTB XC KIT”が装備されていた影響もあるだろう。こういう凝った純正アクセサリーが色々あるのは、大きなメーカーならではで面白いと思う。

TEXT BY 齋藤むつみ / PHOTO BY 佐藤正巳