外観はまさにツールボックスKTC「ものづくり技術館 匠工房」オープン 職人の“技”を見学、工具の組み立て体験も
世界的な工具メーカー「KTC」(京都機械工具)が、職人による工具の修理作業や、ユーザーサポートを行うための施設「KTC ものづくり技術館 匠工房」を京都府久御山町の本社工場内にオープンした。修理の様子を間近で見学できるほか、工具の使い心地を体感できるコーナー、自分に最適な工具選びの相談などのサービスが提供される。
使い手とのコミュニケーションの場
KTCはこれまで本社工場の敷地内で、同社の工具の歴史を知ることができる「ものづくり技術館」を運営してきた。新たに開設した匠工房は、ものづくり技術館の隣に並ぶ倉庫を改修して誕生。ユーザーとのコミュニケーションの場を作り、最適な工具の提案、修理などのサポートなどを行うことで、KTCの工具を安心して使ってもらうことを目的とする施設だ。

5月28日に匠工房の完成見学会がメディア向けに行われ、KTCの宇城(うしろ)邦英社長はあいさつのなかで「作り手の『こだわり』と、使い手のニーズに応える『ほどよさ』を兼ね備えたツール(工具)を作っていきたい。使い手の声を取り入れていくためにも、ぜひ匠工房を見に来てもらいたい」とアピールした。
匠工房のデザインは、まさに工具箱。KTCの両開きメタルケース「EK-10A」の形をモチーフとし、外装はコーポレートカラーの赤を中心に、温かみのある木目調も取り入れた。地上からは見えないが、屋根の上には取っ手が付けられ、KTCのロゴマークが描かれているこだわりようだ。
大ベテランの技術で工具を再生

匠工房には、修理専門の職人たちが作業を行うための「修理ボックス」という個室が5つ用意されている。職人たちはトルクレンチなどの計測機器、空気を動力源に大きな力を生み出すエアツール、自動車の専用機器など担当ごとに作業を分担。それぞれ快適に作業できるよう、道具の配置や室温の調節などをカスタマイズしている。
見学会ではエアツールの修理作業が公開された。ユーザーから送られてきたエアツールを分解し、故障の原因を特定。壊れた部品があれば代わりのパーツを使うが、部品を取り換えないで直ることもあるという。
匠工房で働く職人全員がKTCに40年以上勤めた大ベテランで、工具作りで培ってきた“匠の技”を、今度は工具の再生に生かしている。以前は職人たちが同じ部屋で作業していたが、匠工房ではより効率的に作業ができる。また、見学者とのコミュニケーションの場を設けることで、職人たちも仕事にやり甲斐を感じられるという。
匠工房内には、ほかにも問い合わせ窓口や、修理用の部品をストックする倉庫、修理した計測機器の精度をテストするための計測室などが設けられている。
見学者も工具の仕組みを体感

一般の来場者が匠工房を見学する場合、デジタル式トルクレンチ「デジラチェ」や、KTCの最高級ツール「ネプロス」のラチェットハンドルの操作などを体験できる。この日のメディア向け見学会では、ラチェットハンドルの組み立てと分解を体験することができた。組み立ててみると、見るだけではわからない仕組みがわかってくるのがおもしろい。精巧な作りでありながら、故障時にユーザー自身が内部のパーツを交換できるほど、シンプルな構造になっているのだ。
見学の申し込みは電話やFAX、メールで行う。その際、見学したい内容について相談できる。将来的には、修理の受付や、工具選びの相談なども匠工房内で行っていくことを計画しているという。
■KTCものづくり技術館 匠工房
場所:京都府久世郡久御山町佐山新開地128番地
見学申し込み受付:
TEL (0774)46-3959 / FAX (0774)46-3734
メール soumu@kyototool.co.jp