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栗村修の“輪”生相談<50>18歳男性「大学から自転車競技を始めるのに、初心者の自分がついていけるのか心配です」

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現在、大学受験真っただ中の高校生です(編集注:質問時)。

 大学から自転車競技を始めようと思うのですが、その部のHPを見ていると経験者が多く(どこもそうだと思いますが)、初心者の自分がついていけるのか心配になります。

 中学の時は野球部で、経験者として入ったので初心者側の気持ちや思いというのをあまり考えたことがありませんでした。入るからには落ちこぼれずにやりきる覚悟でいますが、初心者の自分は部活に対してどう取り組むべきでしょうか?

(18歳男性)

 ご質問から推察するに、それなりに競技レベルの高い部なのでしょうか。だとすれば、質問者さんの気持ちもよくわかります。

 自転車競技に限った話ではありませんが、あるいはスポーツ以外にも通じる話かもしれませんが、何をやるにしても、段階を経ることが大切だと僕は思います。たとえ非凡な才能を秘めていたとしても、いきなり高いレベルのトレーニングを行ってしまっては、体も心もオーバートレーニングになり、せっかくの才能が立ち消えになってしまうかもしれません。そこは要注意です。

 重要なのは、質問者さんの現在のレベルと、部のレベルとのすり合わせですね。質問者さんが、ご自身よりも高いレベルの部のトレーニングに付いていくことができれば、強くなるでしょう。でも、先ほど言ったように、オーバートレーニングで心身が台無しになるリスクはあります。インターハイやインカレなどを勝ち抜いてきたエリートたちの中に初心者がいきなり飛び込むのは相応のリスクがあります。

 逆に(この場合ありそうもないですが)質問者さんよりもレベルが低い部でだらだらと過ごしても、自分の殻を破って成長することは難しいですよね。

日本学生自転車競技連盟(JICF)ではロード・トラック合わせて年間30大会以上を開催する。カテゴリーも実業団同様に整備されている日本学生自転車競技連盟(JICF)ではロード・トラック合わせて年間30大会以上を開催する。カテゴリーも実業団同様に整備されている

 要は程度問題なんですが、適切な程度がどこにあるかを見極めるのはとっても難しい。限界を超えないレベルでトレーニングを重ねることが強くなる王道ですが、じゃあ、限界はどこにあるの、という話になります。それは簡単にはわからないでしょう。

 理想は、部に、質問者さんのレベルとトレーニングのレベルを絶妙に調整してくれる先生なり先輩なりがいて指導してくれることですが、その可能性に賭けるのもちょっとリスキーかもしれません。結局、ご自分で判断するしかないと思います。

 野球部出身ということで体育会系的根性はお持ちだと思いますが、それも良し悪しかもしれませんね。未経験にも関わらず、気合と根性でトレーニングに付いていければ、質問者さんは強くなるでしょう。でも、気合と根性で食らいつくのがオーバートレーニングだったら、心身はガタガタになってしまいます。
 
でも、大丈夫。その場合、大学の外に走る場所を探せばいいんです。クラブチームなどですね。別に、大学生は絶対に大学の競技部に入らないといけない、という決まりはありませんから。

 これは決して逃げじゃないですよ。自分のレベルにあったトレーニング環境を探すことは逃げじゃないんです。選手として必要な能力です。ご自身の心身をしっかり観察しながら、場合によっては戦略的撤退も視野に入れてチャレンジされてはいかがでしょうか?

(編集 佐藤喬・写真 中尾亮弘)

回答者 栗村修(くりむら おさむ)

 一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役、ツアー・オブ・ジャパン 大会副ディレクター、スポーツ専門TV局 J SPORTS サイクルロードレース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまでお寄せください。

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