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ジロ・デ・イタリア2015 最終・第21ステージ栄光のミラノでケイスが逃げ切り勝利 コンタドールが7年ぶり2度目の総合優勝

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 ジロ・デ・イタリアの第21ステージが5月31日、トリノをスタートしミラノの周回コースでゴールする178kmで行われ、逃げ切りを決めたイイヨ・ケイス(ベルギー、エティックス・クイックステップ)がジロ初勝利を挙げた。個人総合首位の証であるマリアローザを着用するアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)は、リードを守り切って2008年以来2度目の総合優勝を果たした。またトレック ファクトリーレーシングの別府史之は4度目のジロ完走を達成した。

ミラノのゴールにたどりつき、自身2度目の総合優勝を決めたアルベルト・コンタドールミラノのゴールにたどりつき、自身2度目の総合優勝を決めたアルベルト・コンタドール

 最終ステージは、厳しい山岳を耐え抜いたスプリンターたちのために用意されたような、ほとんどアップダウンのない平坦ステージ。終盤、イタリア第2の都市ミラノの市街地に設けられた周回コースに入り、5.4kmの周回コースを7周する。ミラノへ向かう途中の86.6km地点と、7周のうち3周目のフィニッシュラインにあたる156.4km地点には中間スプリントポイントが設定されていて、ポイント賞ジャージのマリアロッサを狙う選手たちにとっては、ゴールと合わせて3箇所の勝負どころでポイント獲得を狙う。

 近年、ジロやツール・ド・フランスなどグランツールにおける最終ステージは、リラックスしたムードで始まるのが恒例だ。20日間を戦い抜いてきた選手たちは、ゆったりとしたペースでパレードランを楽しんだ。

表彰式でコンタドールの総合優勝を祝福するティンコフ・サクソの選手たちとオーナーのオレグ・ティンコフ氏表彰式でコンタドールの総合優勝を祝福するティンコフ・サクソの選手たちとオーナーのオレグ・ティンコフ氏

 ピンク色の総合リーダージャージ、マリアローザを着るコンタドールは、黒とピンクの2色に塗られた特別カラーのバイクで登場。リーダーチームとしてメーン集団をコントロールするティンコフ・サクソの選手たちのバイクにはピンクのバーテープが巻かれ、さらに髪をピンクに染め上げたチームオーナーのオレグ・ティンコフ氏が、チームカーから顔を出して選手たちを祝福した。

 1つ目のスプリントポイントが近づいてくると、フィリップ・ジルベール(ベルギー)らBMC レーシングチームの3選手と、マクシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン、ランプレ・メリダ)がメーン集団から飛び出したが、競り合うことなくジルベールが悠々と1位通過。ポイント賞争いで暫定で2位に浮上した。

 メーン集団はジルベールらを吸収し、再びゆったりとしたペースでミラノへと向かい、残り約40kmでティンコフ・サクソのトレインを先頭に周回コースに突入。

 2周目に入ると、ケイスとルーク・ダルブリッジ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)がアタックを仕掛けた。ケイスはエース格ではないがスプリント力のあるルーラータイプ、ダルブリッジはタイムトライアルのスペシャリストだ。

 3周目に入るとチーム スカイが集団の先頭でコントロールを開始。ポイント賞3位でこのステージに臨んだエーススプリンターのエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)のために集団を引いていった。しかし、中間スプリントまでに逃げる2人を捉えることはできず、またポイント賞争いトップで、さらなるポイント加算を目指して集団から飛び出したジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレック ファクトリーレーシング)の動きも容認。ニッツォーロはポイント賞のリードを広げることに成功した。スカイの集団牽引は、ポイントではなくヴィヴィアーニのステージ優勝を狙ってのものだった。

 逃げの2人を追うメーン集団は、約30秒差で5周目に入った。その時、ヴィヴィアーニにパンクが発生。ゴールラインに向かうストレートでは、1周目からパンクが次々に発生していて、ヴィヴィアーニもその被害者となってしまった。エースが遅れたスカイは、集団を牽引することができなくなった。

 代わって、ティンコフ・サクソが集団コントロールを担ったが、ステージ優勝狙いではないリーダーチームが牽引し始めたことでペースダウン。今大会好調のスプリンター、サーシャ・モドロ(イタリア)を擁するランプレ・メリダも加勢するが、ペースはなかなか上がらない。一方で、逃げ始めてから30kmほどのケイスとダルブリッジは快調なスピードを維持して先行する。

 タイム差1分で6周目を迎え、各チームが必死に追撃。なんとかタイム差を縮め、30秒差で最終周回を迎えたが、残り4kmで追走の統率が取れなくなってしまった。大量ポイントが与えられる1位、2位を逃げる2人に取らせてニッツォーロのポイント賞首位を確実なものにしたいトレックと、ケイスにステージ優勝を狙わせたいエティックス・クイックステップが集団の抑えに入った。

 2人の逃げ切りが濃厚になり、残り1.6kmからケイスは付き位置をキープ。先頭交代させようとするダルブリッジの要求を拒否して、タイミングをうかがった。最終ストレートではうねうねと蛇行しながらの牽制状態が続き、視界の後方にはメーン集団も見え始めた。残り200mでダルブリッジが先に仕掛け、ケイスもスプリントを開始。するとスプリント力に勝るケイスが、余裕を感じさせる表情で前に躍り出た。勝利を確信し、両手の人差し指を天にかざしながら栄光のミラノのゴールへ飛び込むケイス。スプリンター向によるスプリント勝負が予想されたステージで、見事な逃げ切り勝利を飾った。

逃げ切りで自身初のステージ優勝を挙げたイイヨ・ケイス逃げ切りで自身初のステージ優勝を挙げたイイヨ・ケイス

 ゴール後、スプリントに敗れたダルブリッジはケイスのもとに近寄って抱擁を交わした。最終ステージで逃げ切り成功させた2人が、お互いの走りを讃えあった。

 32歳のケイスは、これまでツアー・オブ・ターキーのステージ優勝などの実績はあるが、グランツールでの勝利は初めて。総合エースのリゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ)が振るわず、目立った活躍のなかったチームにとっても価値ある今大会初勝利となった。

 コンタドールはトップから9秒遅れでゴールし、マリアローザを獲得。今年の目標に掲げる、ジロとツール・ド・フランスでの“ダブルツール”制覇に向けて、まずは1つ目の関門を突破した。コンタドールは2008年のジロで総合優勝し、2011年にも個人総合で最上位となったが、その後にクレンブテロールの陽性反応によるドーピング認定で2011年のリザルトは剥奪された。そのため今回が2度目の総合優勝となるが、ゴール時には両手の指を3本ずつ立てて、自身“3度目の総合優勝”であることをアピールした。

トロフィーにキスするアルベルト・コンタドールトロフィーにキスするアルベルト・コンタドール

 ニッツォーロはメーン集団の3番手でゴールし、マリアロッサを守り切った。チームとしての大きな目標を達成し、別府のアシストとしての働きも実を結んだかっこうだ。山岳賞のマリアアッズーラはジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター チーム)、新人賞のマリアビアンカはファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム)が獲得した。アールが総合2位、ミケル・ランダ(スペイン)が総合3位に入るなど、今大会では圧倒的なチーム力を誇ったアスタナ プロチームがチーム総合優勝を飾った。

文 平澤尚威・写真 砂田弓弦

第21ステージ結果
1 イイヨ・ケイス(ベルギー、エティックス・クイックステップ) 4時間18分37秒
2 ルーク・ダルブリッジ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
3 ロジャー・クルーゲ(ドイツ、イアム サイクリング) +9秒
4 アレクサンドル・ポルセフ(ロシア、チーム カチューシャ)
5 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレック ファクトリーレーシング)
6 ルカ・メズゲッツ(スロベニア、チーム ジャイアント・アルペシン)
7 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チーム スカイ)
8 モレノ・ホフラント(オランダ、チーム ロットNL・ユンボ)
9 レオポルド・ケニッグ(チェコ、チーム スカイ))
10 ダヴィデ・アッポッローニオ(イタリア、アンドローニジョカットリ)
159 別府史之(トレック ファクトリーレーシング) +4分50秒

個人総合(マリアローザ)
1 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) 88時間22分25秒
2 ファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム) +1分53秒
3 ミケル・ランダ(スペイン、アスタナ プロチーム) +3分5秒
4 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター チーム) +8分10秒
5 ライダー・ヘシェダル(カナダ、チーム キャノンデール・ガーミン) +9分52秒
6 レオポルド・ケニッグ(チェコ、チーム スカイ) +10分41秒
7 スティーフェン・クルイシュウィック(オランダ、チーム ロットNL・ユンボ) +10分53秒
8 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMC レーシングチーム) +12分8秒
9 アレクサンドル・ジェニエス(フランス、エフデジ) +15分51秒
10 ユーリ・トロフィモフ(ロシア、チーム カチューシャ) +16分14秒
117 別府史之(日本、トレック ファクトリーレーシング) +5時間2分43秒

ポイント賞(マリアロッサ)
1 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレック ファクトリーレーシング) 181pts
2 フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMC レーシングチーム) 148pts
3 サーシャ・モドロ(イタリア、ランプレ・メリダ) 147pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター チーム) 125pts
2 ミケル・ランダ(スペイン、アスタナ プロチーム) 122pts
3 スティーフェン・クルイシュウィック(オランダ、チーム ロットNL・ユンボ) 115pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 ファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム) 88時間24分18秒
2 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、チーム キャノンデール・ガーミン) +1時間51分46秒
3 ファビオ・フェッリーネ(イタリア、トレック ファクトリーレーシング) +1時間54分4秒

チーム総合
1 アスタナ プロチーム 264時間42分31秒
2 BMC レーシングチーム +43分16秒
3 チーム スカイ +1時間13分51秒

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