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ジロ・デ・イタリア2015 第20ステージ“チーマコッピ”のステージをアールが制し2連勝 コンタドールが総合優勝をほぼ手中に

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 ジロ・デ・イタリア第20ステージが5月30日、サン・ヴァンサンからセストリエーレまでの196kmで行われ、残り約2kmでアタックを決めたファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム)が前日に続いて山岳ステージ2連勝を飾った。個人総合首位のアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)は今大会のチーマコッピ(最高標高地点)であるコッレ・デッレ・フィネストレでアールらから遅れたが、リードを守り切って総合優勝を確実なものにした。

ステージ2連勝を飾ったファビオ・アールステージ2連勝を飾ったファビオ・アール

 アルプス山脈で争われる山岳3連戦の最後のステージ。平坦基調の前半、中盤を経て、残り約46kmからチーマコッピのフィネストレ(標高2178m)の上りが始まる。登坂距離18.5km、平均勾配9.2%で、頂上までの約8kmには未舗装区間が待ち受ける。フィネストレ頂上から11kmを下り、9.2km、平均勾配5.4%の3級山岳、セストリエーレの頂上へとゴールするコースレイアウト。平坦ステージの最終日を前に、総合争いに決着が着くステージだ。

 スタート直後は逃げが決まらなかったものの、アレクセイ・サラモティンス(ラトビア、イアム サイクリング)とジャコモ・ベルラート(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ)のアタックをきっかけに、次々と追走の選手が合流して9人の逃げ集団が形成された。このなかにはニコーラ・ボエム(イタリア、バルディアーニ・CSF)、ディエーゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)、イルヌール・ザカリン(ロシア、チーム カチューシャ)といった今大会のステージ優勝者たちが含まれた。

 メーン集団はリーダーチームのティンコフ・サクソがコントロール役を担った。逃げ集団には総合上位の選手がいないため逃げ切りを許してもいい状況だが、タイム差を2分台でキープ。コンタドールでステージ優勝を狙いにいく意思をうかがわせた。また、山岳賞争いでジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター チーム)に次ぐ2位につけるスティーフェン・クルイシュウィック(オランダ)のチーム ロットNL・ユンボも、逃げを吸収するためコントロールに加わった。

 フィネストレに入ると、逃げ集団からはベルラートがアタックして先行するが、上りとタイムトライアルに強いザカリンが追走。ベルラートをかわし、単独先頭に立った。逃げ集団と約40秒差で上り始めたメーン集団は、ティンコフ・サクソに代わってアスタナが主導権を握り始めた。しかし前を行くザカリンは集団を上回るペースで、1分30秒以上のリードを築きながら上っていった。

 メーン集団では、未舗装路への突入を前に有力選手たちの動きが活発化し、一気に人数が絞られた。メンバーはアール、ミケル・ランダ(スペイン)、カンゲルト(エストニア)のアスタナ勢と、コンタドール、ライダー・ヘシェダル(カナダ、チーム キャノンデール・ガーミン)、スティーフェン・クルイシュウィック(オランダ、チーム ロットNL・ユンボ)、リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ)ら。

フィネストレ峠を上る総合上位選手らフィネストレ峠を上る総合上位選手ら

 このなかから、山頂まで残り5.5kmの地点でランダがアタック。チェックしようとしたコンタドールが追いつけないほどのスピードで駆け上った。残された6人では、山岳賞を狙うクルイシュウィックと、最終週に入ってから好調で総合7位まで浮上してきたヘシェダルが、さらなる上位を狙って積極的な牽引を見せた。

 そして、ヘシェダルのアタックを機に新たな展開が生まれた。コンタドールだけがこのアタックに対応できず、単独で取り残されたのだ。完全に“ブレーキ”がかかった状態で、30秒、1分と差が開いていった。

 このステージ開始の時点でアールはコンタドールと総合で4分37秒差、ランダは5分15秒差と、かなり大きなビハインドを背負っていた。しかし、もしこのままコンタドールのペースが上がらなければ、総合での逆転も狙えるシチュエーションがアスタナ勢に巡ってきた。

 ランダはじわじわとザカリンとの差を詰め、山頂の手前で合流することに成功。さらにその勢いで、大量にポイントが加算されるチーマコッピを1位通過。セストリエーレの頂上ゴールでの順位次第では山岳賞のマリアアッズーラに手が届くところまで、ポイントを積み重ねた。山頂通過時のタイム差は、追走集団まで30秒、コンタドールまでは1分30秒。ここからランダとアールがリードを広げるのか、コンタドールが粘れるのかが焦点となった。

セストリエールでファビオ・アールの集団を追うアルベルト・コンタドールセストリエールでファビオ・アールの集団を追うアルベルト・コンタドール

 下りに入ると、ランダが引く先頭集団に対し、追走集団はウランとヘシェダルが牽引しアールは付き位置、コンタドールは単独走行。ところがこの不利な状況でコンタドールはほとんどタイムを失うことなく、下り区間を耐えきった。むしろ追走集団は50秒差まで遅れてしまい、チャンスにも関わらず消極的なアールの姿勢に、ウランがいらだつような素振りを見せた。アールは奇跡的な逆転総合優勝よりも、ランダが逃げ切るか、追走集団が追いついた場合のステージ優勝を狙うような構えだ。

 ゴールまで残り10kmを切って、アスタナの狙いが明確になった。先頭を引くランダがペースダウンし、ザカリンとともに追走集団と合流。6人になった集団をランダが牽引し始めた。この時点で、コンタドールとの差は約1分。3級山岳ひとつでは、4分以上ある総合タイムを詰めるのは難しい。アスタナは総合逆転優勝、ランダの山岳賞獲得の可能性を投げうって、アールのステージ2連勝に賭けた。

 そして、エースとしての責務を背負ったアールが、期待に応えた。残り2kmでランダのアシストから放たれると、勢いのあるアタックでライバルたちを振るい落としにかかった。これにウランが食らいつくが、アールは再びアタック。完全にライバルたちを引き離した。イタリア期待のヒーローが、観衆の大歓声を受けながら独走でゴールへ。最難関の第19ステージに続いて、チーマコッピの第20ステージでも勝利を飾った。大会中にはアシストのランダに譲ることもあった総合2位の座もほぼ確定させた。

 大きなピンチを乗り越えたコンタドールは、総合でのリードを切り崩しながらも、マリアローザを守り切るタイムでゴール地点へとやってきた。3度、右手でガッツポーズを作りながら、2分25秒遅れの6位でゴール。アールとは2分2秒差で最終日を迎えることとなり、総合優勝争いが事実上決着した。

事実上、総合優勝を確定させたアルベルト・コンタドール事実上、総合優勝を確定させたアルベルト・コンタドール

 2位に入ったヘシェダルは総合5位に浮上。第3週開始の時点では総合13位というポジションだったが、終盤で大きく巻き返した。ランダはステージ4位に終わったものの、チーマコッピで見せた強さは際立っていた。これにより山岳賞はヴィスコンティが守り切った。

 2015年の最終ステージはトリノからミラノまでの178kmで行われる平坦ステージ。20ステージを戦い抜いてきた選手たちはパレードランを満喫したあと、ミラノの周回コースでゴールスプリントに向けたレースを繰り広げる。栄光の勝利を目指してのスプリント勝負の結果次第で、ポイント賞ジャージであるマリアロッサの行方も決まる。そして無事にゴールまでたどり着けば、コンタドールの2度目の総合優勝も果たされる。

文 平澤尚威・写真 砂田弓弦

第20ステージ結果
1 ファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム) 5時間12分25秒
2 ライダー・ヘシェダル(カナダ、チーム キャノンデール・ガーミン) +18秒
3 リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ) +24秒
4 ミケル・ランダ(スペイン、アスタナ プロチーム) +24秒
5 スティーフェン・クルイシュウィック(オランダ、チーム ロットNL・ユンボ) +34秒
6 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) +2分25秒
7 タネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ プロチーム) +2分28秒
8 フランコ・ペッリツォッティ(イタリア、アンドローニジョカットリ)
9 レオポルド・ケニッグ(チェコ、チーム スカイ))
10 ディエゴ・ローザ(イタリア、アスタナ プロチーム)
159 別府史之(トレック ファクトリーレーシング) +46分1秒

個人総合(マリアローザ)
1 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) 84時間3分30秒
2 ファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム) +2分02秒
3 ミケル・ランダ(スペイン、アスタナ プロチーム) +3分14秒
4 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター チーム) +8分19秒
5 ライダー・ヘシェダル(カナダ、チーム キャノンデール・ガーミン) +9分52秒
6 レオポルド・ケニッグ(チェコ、チーム スカイ) +10分50秒
7 スティーフェン・クルイシュウィック(オランダ、チーム ロットNL・ユンボ) +11分2秒
8 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMC レーシングチーム) +12分17秒
9 アレクサンドル・ジェニエス(フランス、エフデジ) +16分
10 ユーリ・トロフィモフ(ロシア、チーム カチューシャ) +16分23秒
114 別府史之(日本、トレック ファクトリーレーシング) +4時間58分11秒

ポイント賞(マリアロッサ)
1 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレック ファクトリーレーシング) 159pts
2 サーシャ・モドロ(イタリア、ランプレ・メリダ) 142pts
3 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チーム スカイ) 134pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター チーム) 125pts
2 ミケル・ランダ(スペイン、アスタナ プロチーム) 122pts
3 スティーフェン・クルイシュウィック(オランダ、チーム ロットNL・ユンボ) 115pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 ファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム) 84時間5分32秒
2 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、チーム キャノンデール・ガーミン) +1時間51分37秒
3 ファビオ・フェッリーネ(イタリア、トレック ファクトリーレーシング) +1時間53分55秒

チーム総合
1 アスタナ プロチーム 251時間46分13秒
2 BMC レーシングチーム +43分16秒
3 チーム スカイ +1時間11分59秒

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