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ジロ・デ・イタリア2015 第19ステージアールが渾身のアタックでステージ優勝、総合2位へ再浮上 コンタドールが総合首位キープ

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 ジロ・デ・イタリアは5月29日、第19ステージがグラヴェッローナ・トーチェからチェルヴィニアまでの236kmで行われ、残り約6kmでアタックを成功させたファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム)が今大会初勝利となるステージ優勝。個人総合でも2位に再浮上した。個人総合首位のアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)は危なげない走りでレースを終え、マリアローザを守っている。

第19ステージを制したファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム)第19ステージを制したファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム)

 イタリアアルプスにおける山岳3連戦の2戦目となるステージ。イタリア北西部、マッジョーレ湖に近いグラヴェッローナ・トーチェを出発し、半円を描くように西へと進み、フランスやスイスとの国境地域にあたるヴァッレ・ダオスタ自治州へと踏み入れる。ゴールのチェルヴィニアはスキーリゾート地として名高く、アルプスの名峰マッターホルンの登山口にもあたる。コースは中盤までおおよそフラットだが、終盤に3つの1級山岳が登場。いずれも最大勾配12~13%に上る急坂だ。

 レースでは9選手が逃げ、残り85kmから始まるこの日最初の1級山岳サン・バルテレミーでは5人に絞られた。なかでもジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター チーム)が積極的で、山岳ポイントを加算する。一方のメーン集団では、山岳賞のマリアアッズーラを着用するスティーフェン・クルイシュウィック(オランダ、チーム ロットNL・ユンボ)と山岳賞2位のベニャト・インチャウスティ(スペイン、モビスター チーム)が熾烈なポイント争い。スプリント力に勝るインチャウスティが先着し、この時点で山岳賞首位に立つ。

 2つ目の1級山岳、コル・サン・パンタレオンは残り45kmを切ったところから登坂開始。上り始めてすぐに逃げのメンバーからヴィスコンティが飛び出し、独走態勢を築く。しばらくしてパヴェル・コチェトコフ(ロシア、チーム カチューシャ)が追走するが、ヴィスコンティのペースが勝りタイム差が広がる一方となる。そのままヴィスコンティが頂上をトップ通過。メーン集団に待機するクルイシュウィックは、インチャウスティのマークにあいポイントを伸ばせなかったため、この段階でヴィスコンティが山岳賞争いのトップに躍り出た。

この日も積極的な走りを見せたライダー・ヘシェダル(カナダ、チーム キャノンデール・ガーミン)この日も積極的な走りを見せたライダー・ヘシェダル(カナダ、チーム キャノンデール・ガーミン)

 ヴィスコンティから約2分30秒差を保ってレースを運ぶメーン集団は、終始アスタナ プロチームがコントロール。徐々にペースを上げていき、集団の人数を絞るだけでなく、マリアローザのコンタドール擁するティンコフ・サクソのアシストも減らしていく。チェルヴィニアを目指す、この日3つ目の1級山岳へと突入する頃には、コンタドールの脇を固めるのはイヴァン・バッソ(イタリア)とロマン・クロイツィゲル(チェコ)の2人だけとなっていた。

 ステージ優勝の可能性に賭けて粘りの走りを見せたヴィスコンティだったが、ゴールまで残り10kmとなったところでメーン集団に吸収された。いよいよ総合上位陣による勝負へと移る。まず仕掛けたのは、カンスタンティン・シウツォウ(ベラルーシ、チーム スカイ)。しかしこの動きは力なく、代わって動いたのはアスタナ勢。アシストを利用して加速したのは、総合2位のミケル・ランダ(スペイン)だ。これにはすかさずコンタドール、ライダー・ヘシェダル(カナダ、チーム キャノンデール・ガーミン)らが反応。遅れてアール、クルイシュウィック、リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ)が加わった。

 残り9kmを切ったところでは、アールがアタックしヘシェダルがチェック。直後に一瞬ペースが緩んだ隙を突いて、ヘシェダルとランダが立て続けにアタック。ランダの動きにはコンタドールが確実に対応する。

 そして、決定的だったのは残り約7.5km。アールがアタックすると、コンタドールらがこれを見送る。アールは先行していたヘシェダルに追いつくと、絶妙なタイミングで再度のアタック。ヘシェダルはついていくことができず、アールは単独でゴールを目指した。後方では、ウランがコンタドールらのグループから抜け出し、前を追った。

終盤のケニッグ、クルイシュウィック、ランダ、コンタドールの争い終盤のケニッグ、クルイシュウィック、ランダ、コンタドールの争い

 だが、アールはライバルの追撃を許すことなく、トップを快走。チェルヴィニアのフィニッシュ地点に最初に姿を現した。ここ数日は苦しい走りが続いたが、それを払拭する激走。熱き想いを込めた力強いガッツポーズでフィニッシュラインを通過した。

 アールはステージ優勝にあたり、「アンダー23時代に得意としていたジロ・デッラ・ヴァッレ・ダオスタ・モンブラン(2011、2012年に総合2連覇)での経験から、今日のラスト100kmのルートは熟知していた。私はこの地域との縁を感じずにはいられない。最後の数kmは(うれしさから)頭が真っ白になった。この約20日間、チームはいかなる時も私を支えてくれ、今日も素晴らしい働きをしてくれた。スタートからフィニッシュに至るまで、チームのみんながファンタスティックな走りだった」と喜びを語った。

終盤にアタックしたウラン終盤にアタックしたウラン

 アールから遅れること28秒、ここ数日好調のヘシェダルが2位。同じく1分10秒差でウランが3位となった。コンタドールはアールから1分18秒差のグループでフィニッシュ。このステージはランダのマークに徹した。

 コンタドールはレースを終えて、「チームにとってよい1日だった。最大のライバルであるランダのマークに専念した。ランダとアールは山岳で交互に攻撃する可能性が高いので、どのような戦術を講じるべきかしっかりと考える必要がある。本当はステージ優勝も狙いたいが、難しさを感じている」と述べた。アスタナに比べアシストが手薄ではないかとの指摘に対しては、「われわれはレース序盤にかなりの仕事をこなしているため、終盤にはアシストの人数を失う状況になっている」と理由を説明した。

 総合争いは実質残り1日となったが、「ステージ優勝かマリアローザ、どちらを取るのかと問われれば、もちろんマリアローザだ。ハードなステージが続く中で、この結果には満足している。明日のステージは、今日よりも難しく、厳しい上りが待ち受けている。ライバルの攻撃に耐え、自らアタックする必要があるだろう」と話す。そして、「アールは強く、素晴らしい勝利だった。総合2位に再浮上したことだけではなく、彼に明るい未来があることを願っている」と称えることも忘れなかった。

 このステージを終え、勝ったアールが総合2位に返り咲き。チームメートのランダは、アールの先行を受け集団に待機したことで、結果的に順位が入れ替わった。また、ケニッグとヘシェダルが総合順位を上げている。

 30日に行われる第20ステージは、サン・ヴァンサンからセストリエーレまでの196km。残り約48kmから上り始めるコッレ・デッレ・フィネストレ(標高2178m)が今大会のチーマコッピ(最高標高地点)となる。平均勾配9.2%の上りで、頂上までの約8kmに未舗装区間が待ち受ける。そして、セストリエーレの3級山岳頂上ゴールで、総合争いと山岳賞争いがほぼ決定する。

文 福光俊介・写真 砂田弓弦

第19ステージ結果
1 ファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム) 6時間24分13秒
2 ライダー・ヘシェダル(カナダ、チーム キャノンデール・ガーミン) +28秒
3 リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ) +1分10秒
4 タネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ プロチーム) +1分18秒
5 スティーフェン・クルイシュウィック(オランダ、チーム ロットNL・ユンボ)
6 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
7 ミケル・ランダ(スペイン、アスタナ プロチーム)
8 レオポルド・ケニッグ(チェコ、チーム スカイ) +1分21秒
9 ミケル・ニエベ(スペイン、チーム スカイ) +1分24秒
10 アレクサンドル・ジェニエス(フランス、エフデジ) +2分24秒
82 別府史之(トレック ファクトリーレーシング) +42分06秒

個人総合(マリアローザ)
1 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) 78時間48分40秒
2 ファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム) +4分37秒
3 ミケル・ランダ(スペイン、アスタナ プロチーム) +5分15秒
4 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター チーム) +8分10秒
5 レオポルド・ケニッグ(チェコ、チーム スカイ) +10分47秒
6 ユーリ・トロフィモフ(ロシア、チーム カチューシャ) +11分11秒
7 ライダー・ヘシェダル(カナダ、チーム キャノンデール・ガーミン) +12分05秒
8 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMC レーシングチーム) +12分14秒
9 スティーフェン・クルイシュウィック(オランダ、チーム ロットNL・ユンボ) +12分53秒
10 アレクサンドル・ジェニエス(フランス、エフデジ) +15分07秒
111 別府史之(日本、トレック ファクトリーレーシング) +4時間14分35秒

ポイント賞(マリアロッサ)
1 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレック ファクトリーレーシング) 159pts
2 サーシャ・モドロ(イタリア、ランプレ・メリダ) 142pts
3 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チーム スカイ) 134pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター チーム) 125pts
2 スティーフェン・クルイシュウィック(オランダ、チーム ロットNL・ユンボ) 109pts
3 ベニャト・インチャウスティ(スペイン、モビスター チーム) 107pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 ファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム) 78時間53分17秒
2 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、チーム キャノンデール・ガーミン) +1時間31分44秒
3 ファビオ・フェッリーネ(イタリア、トレック ファクトリーレーシング) +1時間46分39秒

チーム総合
1 アスタナ プロチーム 236時間06分06秒
2 BMC レーシングチーム +30分01秒
3 モビスター チーム +53分53秒

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