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ジロ・デ・イタリア2015 第16ステージランダが山岳2連勝で総合2位に コンタドールはモルティローロ峠で圧巻のヒルクライム

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 ジロ・デ・イタリア第16ステージは5月26日、ピンツォーロからアプリーカまでの174kmで行われ、5つの山岳が登場する難関ステージをミケル・ランダ(スペイン、アスタナ プロチーム)が制した。ランダは第15ステージに続く2連勝を飾り、チームメートのファビオ・アール(イタリア)を抜いて総合2位に浮上した。総合首位のアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)はランダから38秒遅れの3位でゴールし、総合リーダージャージのマリアローザを守っている。

難関山岳ステージを制し、2連勝を飾ったミケル・ランダ。チームのエース、ファビオ・アールを抜いて総合2位に浮上難関山岳ステージを制し、2連勝を飾ったミケル・ランダ。チームのエース、ファビオ・アールを抜いて総合2位に浮上

 イタリア北部の山岳地帯に突入したジロは、総合争いで重要なステージを迎えた。この日のコースは、スタート直後から2級山岳を上り始め、下るとすぐに2つ目の2級山岳が現れる。続いて、この日のゴール地点となる3級アプリーカを一度通過するとジロの名物峠の一つ、モルティローロが登場。登坂距離11.8kmで平均10.9%、最大18%という厳しい勾配を誇り、故マルコ・パンターニが1994年に劇的なアタックで勝利を飾ったことで知られる1級山岳だ。モルティローロを下りきると、再びアプリーカの頂上ゴールへと向かう。アプリーカは14kmで平均勾配3.5%ながら、序盤に15%の区間がある上り。第3週の初日にして、5つの山岳を合わせて4000m以上を上る、過酷なステージだ。

序盤から逃げ続け、終盤まで第2グループで粘ったライダー・ヘシェダル序盤から逃げ続け、終盤まで第2グループで粘ったライダー・ヘシェダル

 13km地点にある第1山岳の頂上に向けて、ベニャト・インチャウスティ(スペイン、モビスター チーム)やカルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼール ラモンディアル)ら山岳ポイントを狙う選手たちが集団から抜け出した。2人はポイントを通過すると集団に戻ったが、ライダー・ヘシェダル(カナダ、チーム キャノンデール・ガーミン)ら10人がそのまま先行し、逃げ集団を形成した。第2山岳の下りではサイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)も合流し11人で下っていった。

 メーン集団はコンタドールを擁するティンコフ・サクソがコントロールし、逃げ集団とのタイム差は2分前後でキープ。ティンコフ・サクソとしてはステージ優勝を狙う必要はない状況だが、あまりリードを与えずにレースを展開していった。

 そんな展開を嫌ってか、1回目のアプリーカの上りで、ヘシェダルが単独で逃げ集団から飛び出した。そのまま独走で頂上を通過し、モルティローロを目指して下っていく。メーン集団では、チーム カチューシャが3選手を前方に送り込み、ペースアップを図った。するとこの下りで、コンタドールがパンクで遅れるというトラブルが起きた。遅れたコンタドールのためにアシスト陣が一気に下がったことで、カチューシャ3選手の後ろがぽっかりと空き、少し間を空けてアスタナ プロチームら、さらに遅れてティンコフ・サクソを含むグループと、メーン集団が分断された。

 ロードレースでは総合リーダーがトラブルで遅れた場合、集団はリーダーの合流を待つという暗黙のルールが実践されている。しかしカチューシャはペースを落とすことなく、逃げ集団に合流。さらに単独で先頭を走るヘシェダルを追って強力に踏み続けた。この動きに対応するように、メーン集団のアスタナも追走。カチューシャらの集団を捉え、モルティローロを前にヘシェダルも吸収し、アスタナが先頭集団の前方を牽引し始めた。

 ティンコフ・サクソはコンタドールを合流させるために追い上げるが、タイム差が縮まることなくアシストが一人、また一人と減っていく。モルティローロの上りへようやくたどり着いた頃には最後の一人も力尽き、コンタドールは50秒差を単騎で追い上げることとなった。コンタドールが上りで踏み始めると、これまで後ろについていた選手たちはちぎられ、厳しい上りでメーン集団から脱落した選手たちもあっという間に抜き去られていった。

終盤の山岳でアルベルト・コンタドールとミケル・ランダの前を引き続けたスティーフェン・クルイシュウィック終盤の山岳でアルベルト・コンタドールとミケル・ランダの前を引き続けたスティーフェン・クルイシュウィック

 上りではメーン集団もあっという間にばらばらになり、先頭はアスタナのファビオ・アールとランダ、チーム ロットNL・ユンボのスティーフェン・クルイシュウィック(オランダ)の3人に絞られた。とはいえ、エースのアールが苦しそうな表情なのに対し、アシストのランダは力強い走り。クルイシュウィックも余裕の表情だ。

 アールのペースが上がらないなか、ヘシェダルとユーリ・トロフィモフ(ロシア、チーム カチューシャ)の第2グループにコンタドールが追いついた。追い上げてくるコンタドールを警戒するように、クルイシュウィックはアールらを置き去りにして単独で頂上へと向かう。そしてコンタドールはトロフィモフを引き連れるようにして、モルティローロの中腹でいよいよアールとランダを捉えた。パンターニが鮮やかな勝利を飾った地で、コンタドールも圧巻のヒルクライムを展開した。

 さらにコンタドールは、総合争いのライバルに対しアタックを繰り出した。対応できないアールに対し、好調のランダはしっかりとコンタドールをマーク。コンタドールとランダはクルイシュウィックと合流。クルイシュウィックを先頭に、安定したペースで上っていった。アシストについていけなくなったアールは、トロフィモフやヘシェダル、アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター チーム)にも抜き去られ、タイム差を広げられていった。

 モルティローロの頂上はクルイシュウィックが先頭通過。ステージ2位でゴールすれば山岳賞のマリアアッズーラを獲得できるところまで、ポイントを積み上げた。トロフィモフらは50秒遅れ、アールは1分50秒遅れで通過した。アールは下りで一旦アマドールと合流したものの、アプリーカの上りに向かう途中でパンクしてしまう不運にも見舞われ、単独での追走を余儀なくされた。

 アプリーカの上りでは、クルイシュウィックが再び先頭にたち、コンタドール、ランダが続いた。そして残り4km、長くて緩い坂を引き続けてきたクルイシュウィックがアタックすると、「エースのアールを待つ」という役目に見切りをつけたランダが、温存していたパワーを一気に爆発させた。コンタドールもちぎられ、あっという間に2人の視界からランダがいなくなった。ランダはローテーションする2人を独走で引き離しゴールへ。終始余裕のあるレース運びで、ステージ2連勝を飾った。

総合2位から3位に後退したファビオ・アール総合2位から3位に後退したファビオ・アール

 コンタドールらは38秒遅れでゴール。2位にはクルイシュウィックが入り、山岳賞でトップに浮上した。2位と3位ではボーナスタイム2秒の差があるものの、コンタドールは2位を譲った格好だ。アールはランダから2分51秒遅れでのゴール。総合順位はコンタドールが首位を守り、ランダが4分2秒遅れで2位に浮上、アールが4分52秒遅れの3位に後退した。

 ランダはレース後のインタビューに対し「コンタドールが下がっていったのは見えていたが、カチューシャが動いたので私たちは追っていった。モルティローロでは、アールが私に対して『コンタドール、クルイシュウィックと一緒に行ってくれ』と言った」とレースを振り返った。

 27日に行われる第17ステージは、ティラーノをスタートし、今大会初めて国境を越えスイスのルガーノにゴールする134kmで争われる。序盤に3級山岳を越えるほか、細かいアップダウンもあるが、スプリンターが勝利を狙える平坦ステージだ。

文 平澤尚威・写真 砂田弓弦

第16ステージ結果
1 ミケル・ランダ(スペイン、アスタナ プロチーム) 5時間2分51秒
2 スティーフェン・クルイシュウィック(オランダ、チーム ロットNL・ユンボ) +38秒
3 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
4 ユーリ・トロフィモフ(ロシア、チーム カチューシャ) +2分3秒
5 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター チーム)
6 ライダー・ヘシェダル(カナダ、チーム キャノンデール・ガーミン) +2分10秒
7 ファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム) +2分51秒
8 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMC レーシングチーム) +3分16秒
9 レオポルド・ケニッグ(チェコ、チーム スカイ) +3分19秒
10 カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼール ラモンディアル)
144 別府史之(トレック ファクトリーレーシング) +38分16秒

個人総合(マリアローザ)
1 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) 65時間4分59秒
2 ミケル・ランダ(スペイン、アスタナ プロチーム) +4分2秒
3 ファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム) +4分52秒
4 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター チーム) +5分48秒
5 ユーリ・トロフィモフ(ロシア、チーム カチューシャ) +8分27秒
6 レオポルド・ケニッグ(チェコ、チーム スカイ) +9分31秒
7 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMC レーシングチーム) +9分52秒
8 スティーフェン・クルイシュウィック(オランダ、チーム ロットNL・ユンボ) +11分40秒
9 アレクサンドル・ジェニエス(フランス、エフデジ) +12分48秒
10 ライダー・ヘシェダル(カナダ、チーム キャノンデール・ガーミン) +12分49秒
116 別府史之(日本、トレック ファクトリーレーシング) +3時間16分26秒

ポイント賞(マリアロッサ)
1 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チーム スカイ) 119pts
2 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレック ファクトリーレーシング) 114pts
3 ニコーラ・ボエム(イタリア、バルディアーニ・CSF) 109pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 スティーフェン・クルイシュウィック(オランダ、チーム ロットNL・ユンボ) 92pts
2 ベニャト・インチャウスティ(スペイン、モビスター チーム) 91pts
3 ミケル・ランダ(スペイン、アスタナ プロチーム) 73pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 ファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム) 65時間9分51秒
2 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、チーム キャノンデール・ガーミン) +43分17秒
3 ファビオ・フェッリーネ(イタリア、トレック ファクトリーレーシング) +1時間27分6秒

チーム総合
1 アスタナ プロチーム 194時間52分42秒
2 モビスター チーム +24分35秒
3 BMC レーシングチーム +33分48秒

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