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ツアー・オブ・ジャパン2015 第7ステージ(東京)【レース詳報】乱戦を制したボニファジオ 今年も輝いたランプレ・メリダのホープ

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 ツアー・オブ・ジャパン(TOJ)で最も盛り上がる東京ステージを制したのは、またもランプレ・メリダのホープだったー。5月24日に開かれたTOJ第7ステージは、混戦となったゴールスプリントでニッコロ・ボニファジオ(イタリア、ランプレ・メリダ)が差しきり、同ステージ2年連続優勝を果たした。また、全7ステージを通じての個人総合成績で大会2連覇を達成したミルサマ・ポルセイェディゴラコール(イラン、タブリーズ ペトロケミカルチーム)は、「来年もぜひ来日して3連覇を狙いたい」と笑顔で語った。

2年連続でツアー・オブ・ジャパン東京ステージを制し、表彰台で花束を掲げるニッコロ・ボニファジオ2年連続でツアー・オブ・ジャパン東京ステージを制し、表彰台で花束を掲げるニッコロ・ボニファジオ

都心をスタート 華やかな最終ステージ

 最終日の東京ステージは、千代田区の日比谷シティ前をパレードスタートし、14.7kmを走って品川区の大井埠頭に入り、7.0kmの周回コースを14周する112.7kmで争われた。周回コースは完全に平坦で、前日までの厳しい山岳ステージを生き残ったスプリンターたちが、超高速のスプリントで栄光のゴールを争う華やかなステージだ。

日比谷のスタート地点で行われた、ランプレ・メリダのサイン会日比谷のスタート地点で行われた、ランプレ・メリダのサイン会
サインに応じる初山翔(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)。前日の伊豆ステージでは日本人最高位だったサインに応じる初山翔(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)。前日の伊豆ステージでは日本人最高位だった

 スタート前、チームテントが並んだ日比谷公園には朝から多くのサイクルロードレースファンが詰め掛け、選手たちも気さくにサインに応じるなどリラックスした雰囲気に包まれた。

 パレードランは、自転車活用推進議員連盟事務局長の岩城光英参議院議員や、元ロード日本チャンピオンの藤野智一さん、モデルの日向涼子さんらが先導。日本自転車競技連盟会長の橋本聖子参議院議員の号砲で、朝11時にスタートした。

スタート前の4賞ジャージ着用選手たちスタート前の4賞ジャージ着用選手たち
大会のVIPやゲストによるパレードランには、「グッド・チャリズム宣言プロジェクト」を代表してモデルの日向涼子さんも出場大会のVIPやゲストによるパレードランには、「グッド・チャリズム宣言プロジェクト」を代表してモデルの日向涼子さんも出場
東京・日比谷をスタートしていく選手やパレードランのゲストたち東京・日比谷をスタートしていく選手やパレードランのゲストたち

逃げ集団の思惑は一致せず

 正式スタートが切られてからは、逃げを狙う選手らによるアタック合戦が続いた。幾度か逃げの小集団が形成されては吸収された後、周回コース1周目の終わりに8人の逃げ集団が先行する形となった。メーン集団はリーダーチームのタブリーズ ペトロケミカルがコントロールする。

 逃げの8人には、西薗良太、内間康平(ともにブリヂストンアンカー サイクリングチーム)、山本元喜(NIPPO・ヴィーニファンティーニ)の日本人選手3人、そして日本チームのマトリックスパワータグからホセビセンテ・トリビオが加わった。海外勢は、ラファー・シティウィ、ウラジミール・グセフ(ともにスカイダイヴドバイ プロサイクリングチーム)、台湾人ライダーのフェン・チュンカイ(ランプレ・メリダ)、そしてディラン・ガードルストーン(ドラパック プロフェッショナルサイクリング)が含まれている。

品川区の大井埠頭を走る周回コース品川区の大井埠頭を走る周回コース

 逃げグループとメーン集団の差は最大で1分20秒ほどにまで広がった。しかし逃げグループにはゴールスプリントを狙うNIPPO・ヴィーニファンティーニやランプレ・メリダなどの選手が含まれたため、逃げ切りたい選手と後続をうかがう選手の間で思惑が一致しない。そこで、スカイダイヴドバイの選手らが時折アタックを仕掛け、メンバーをふるい落とそうとした。

 これにより、先頭を突き進む逃げグループから最初に山本、続いて西薗とガードルストーンが遅れた。また8周目終了時点でフェン、グセフの2人が自ら脚を止め、またシティウィのアタックで内間が遅れ、先頭はシティウィとトリビオの2人となった。

徐々に人数が減っていく逃げ集団徐々に人数が減っていく逃げ集団
タブリーズペトロケミカルと、RTSサンテック レーシングチームがコントロールするメーン集団タブリーズペトロケミカルと、RTSサンテック レーシングチームがコントロールするメーン集団

最終周回で落車が発生 大集団でスプリントへ

 レース中盤のメーン集団は、タブリーズペトロケミカルと、RTSサンテック レーシングチームがコントロール。後半に入ってランプレ・メリダ、NIPPO・ヴィーニファンティーニ、ドラパック、アヴァンティなどスプリンターを擁するチームが追走に参加し、逃げから戻ったフェンも牽引に加わった。先頭との差はラスト4周から一気に縮まり、残り2周を前に逃げの2人は吸収された。

 その後は面手利輝(日本ナショナルチーム)らが単発のカウンターアタックを仕掛けたものの、スプリンターチームが牽引するメーン集団は展開の変化を許さず、レースは大集団のまま残り1周に入った。

最後まで逃げに残ったホセビセンテ・トリビオ(左)とラファー・シティウィ最後まで逃げに残ったホセビセンテ・トリビオ(左)とラファー・シティウィ
各チームがメーン集団前方に選手を送り込みペースアップ各チームがメーン集団前方に選手を送り込みペースアップ
レース終盤、一つになった集団を、ランプレ・メリダやNIPPO・ヴィーニファンティーニ、ブリヂストンアンカーサイクリングチームなどが牽引レース終盤、一つになった集団を、ランプレ・メリダやNIPPO・ヴィーニファンティーニ、ブリヂストンアンカーサイクリングチームなどが牽引
メーン集団の前方に位置取りしたミルサマ・ポルセイェディゴラコールメーン集団の前方に位置取りしたミルサマ・ポルセイェディゴラコール
チームメートに囲まれ、ゴールスプリントに向けて脚を温存するニッコロ・ボニファジオチームメートに囲まれ、ゴールスプリントに向けて脚を温存するニッコロ・ボニファジオ

 最終周回ではブリヂストンアンカー、宇都宮ブリッツェン、愛三工業レーシングチームら日本チームが集団の先頭を牽引する姿もみられた。しかし集団内の位置取り争いが激しくなり、何度か落車も発生。確たる主導権を握るチームが現れないまま、集団は最終コーナーを抜けてゴールスプリントへと突入した。

 右へ左へ動きながら、やや乱戦気味となったラストスパート。最後にゴールラインで手を挙げたのは、昨年と同じボニファジオだった。今大会第1ステージ優勝のジョーンズ、第3ステージ優勝のマリーニらスプリンター同士の競り合いを制したボニファジオは、花の東京ステージで2年連続優勝。5位に黒枝咲哉(日本ナショナルチーム)、6位には大久保陣(宇都宮ブリッツェン)が入り、ともにUCI(国際自転車競技連合)ポイントを獲得した。

集団スプリントを制し、東京ステージ2連覇を達成したニッコロ・ボニファジオ集団スプリントを制し、東京ステージ2連覇を達成したニッコロ・ボニファジオ

ポルセイェディゴラコールは大会3連覇に意欲

東京ステージ連覇を飾ったニッコロ・ボニファジオ東京ステージ連覇を飾ったニッコロ・ボニファジオ

 レース後、ボニファジオは「最後は4番手で入り、前に強いスプリンターが2人いたが、うまくスペースが空いて追い込むことができた」とスプリントを振り返った。まだ21歳のホープは、今年は3月のミラノ〜サンレモで5位に入るなど好調。シーズン後半のワールドツアーレースで勝利を狙っていくという。

 ランプレ・メリダは今大会、ステージ2勝を挙げたほか、ポイント賞(ヴァレリオ・コンティ)と新人賞(イリア・コシェヴォイ)も獲得し、大会に唯一出場したUCIワールドチームとして実力をみせつけた。

活躍を見せたランプレ勢。(左から)新人賞のコシェヴォイ、ステージ優勝のボニファジオ、ポイント賞のコンティ活躍を見せたランプレ勢。(左から)新人賞のコシェヴォイ、ステージ優勝のボニファジオ、ポイント賞のコンティ
個人総合2連覇を達成したミルサマ・ポルセイェディゴラコール個人総合2連覇を達成したミルサマ・ポルセイェディゴラコール

 個人総合成績は、最終ステージをメーン集団で走りきったポルセイェディゴラコールが前日までのタイム差を守り、昨年に続き大会総合2連覇を達成。今季はツール・ド・フィリピンのステージ優勝、ツール・ド・台湾でのステージ優勝と総合優勝に続き4勝目を挙げた。「来年もチームが招待されれば、ぜひ来日して3連覇を狙いたい」と意欲をみせた。

(左から)ポイント賞のヴァレリオ・コンティ、新人賞のイリア・コシェヴォイ、総合優勝のミルサマ・ポルセイェディゴラコール、山岳賞のラヒーム・エマミ、ステージ優勝したニッコロ・ボニファジオ(左から)ポイント賞のヴァレリオ・コンティ、新人賞のイリア・コシェヴォイ、総合優勝のミルサマ・ポルセイェディゴラコール、山岳賞のラヒーム・エマミ、ステージ優勝したニッコロ・ボニファジオ
チーム総合優勝のピシュガマン・ジャイアントチームチーム総合優勝のピシュガマン・ジャイアントチーム

日本人選手は「惨敗」 異様な速さのイラン勢

 日本人選手の活躍が期待されたTOJだが、昨年に続き今年もステージ優勝者はなかった。世界選手権やオリンピックの出場枠につながるUCIポイントの獲得は、ステージ5位(東京:黒枝咲哉)と、2度のステージ6位(美濃:土井雪広、東京:大久保陣)による計8ポイントにとどまり、総合成績ではポイントが付与される12位に届かなかった。ステージ優勝で16ポイント、総合優勝では80ポイントを獲得できるレースを地元で開催しているだけに、「惨敗」と言わざるを得ない。いっそうの奮起が望まれる。

 一方で、上りだけの速さを競う富士山ステージで世界トップ級の異様な速さをみせるイラン勢に対し、日本の選手やチーム関係者からあきらめ交じりの冷ややかな視線が投げかけられたことも確かだ。昨年、TOJに出場したタブリーズ ペトロケミカルのメンバーの1人が、翌月のドーピング検査でEPO陽性が検出され処分を受けており、イラン勢に対する疑念は大会関係者も認識している。

 長い上りだけの一本勝負を競う、世界のステージレースの中でも特異なレイアウトの富士山ステージは必要なのか? ドーピングコントロールは十分なのか? 次回大会に向けて、主催者側は大会のあり方を再検証する必要があるだろう。

(文 米山一輝・写真 平澤尚威)

第7ステージ(東京)結果
1 ニッコロ・ボニファジオ(イタリア、ランプレ・メリダ) 2時間17分14秒
2 ブレントン・ジョーンズ(オーストラリア、ドラパック プロフェッショナルサイクリング)+0秒
3 ニコラス・マリーニ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ)
4 ボリス・シュピレフスキー(ロシア、RTSサンティック レーシングチーム)
5 黒枝咲哉(日本ナショナルチーム)
6 大久保陣(宇都宮ブリッツェン)
7 黒枝士輝(NIPPO・ヴィーニファンティーニ)
8 鈴木龍(那須ブラーゼン)
9 ベンジャミン・プラデス(スペイン、マトリックスパワータグ)
10 土井雪広(チームUKYO)

個人総合
1 ミルサマ・ポルセイェディゴラコール(イラン、タブリーズ ペトロケミカルチーム) 16時間17分53秒
2 ラヒーム・エマミ(イラン、ピシュガマン ジャイアントチーム) +24秒
3 ホセイン・アスカリ(イラン、ピシュガマン ジャイアントチーム) +52秒
4 アミール・ザルガリ(イラン、ピシュガマン ジャイアントチーム) +53秒
5 フランシスコ・マンセボ(スペイン、スカイダイヴ ドバイ プロサイクリング) +1分2秒
6 トマ・ルバ(フランス、ブリヂストンアンカー サイクリングチーム) +1分18秒
7 ディディエール・チャパッロ(コロンビア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) +1分37秒
8 ダミアン・モニエ(フランス、ブリヂストンアンカー サイクリングチーム) +1分55秒
9 ガーデル・ミズバニ・イラナグ(イラン、タブリーズ ペトロケミカルチーム) +2分36秒
10 イリア・コシェヴォイ(ベラルーシ、ランプレ・メリダ) +2分38秒

ポイント賞
1 ヴァレリオ・コンティ(イタリア、ランプレ・メリダ) 54pts
2 ルカ・ピベルニク(スロベニア、ランプレ・メリダ) 53pts
3 フランシスコ・マンセボ(スペイン、スカイダイヴ ドバイ プロサイクリング) 47pts

山岳賞
1 ラヒーム・エマミ(イラン、ピシュガマン ジャイアントチーム) 25pts
2 フェン・チュンカイ(台湾、ランプレ・メリダ) 14pts
3 アミール・ザルガリ(イラン、ピシュガマン ジャイアントチーム) 14pts

新人賞
1 イリア・コシェヴォイ(ベラルーシ、ランプレ・メリダ) 16時間20分31秒
2 トーマス・デイヴィソン(ニュージーランド、アヴァンティ レーシングチーム) +7秒
3 ルカ・ピベルニク(スロベニア、ランプレ・メリダ) +1分21秒

チーム総合
1 ピシュガマン ジャイアントチーム 48時間55分41秒
2 ブリヂストンアンカー サイクリングチーム +8分11秒
3 アヴァンティ レーシングチーム +11分0秒

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