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ツアー・オブ・ジャパン2015 第4ステージ(南信州)マトリックスのプラデスが小集団スプリントを制し勝利 総合首位はフェランが奪取

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 ツアー・オブ・ジャパン(TOJ)は5月21日、長野県飯田市などで第4ステージ(南信州ステージ)が行われ、23人の集団でのスプリントを制したベンジャミ・プラデス(スペイン、マトリックスパワータグ)がステージ優勝を挙げた。このステージで2位に入った白い新人賞ジャージのアダム・フェラン(オーストラリア、ドラパック プロフェッショナル)が個人総合でも首位に立ち、緑の総合リーダージャージに袖を通した。

激しいアップダウンで人数が絞られた集団でのゴールスプリントを、ベンジャミ・プラデス(スペイン、マトリックスパワータグ)が制した激しいアップダウンで人数が絞られた集団でのゴールスプリントを、ベンジャミ・プラデス(スペイン、マトリックスパワータグ)が制した

総合力が求められる難コース

JR飯田駅前からのスタートJR飯田駅前からのスタート

 この日のコースはJR飯田駅前を出発し、7.3kmのパレードランの後に、周回コースに入って正式スタート。12.2kmを10周し、最後は周回から離れて1.6kmを走り、飯田市松尾総合運動場前にゴールする。レース距離は123.6kmと長くはないが、周回コースでは前半の山岳ポイントに向けて平均斜度10%近い急勾配が2kmほど続き、後半には時速70km/h以上に達する高速ダウンヒルがあるなど、アップダウンの激しい難コースだ。

 上りの実力とともに、レースの流れを読む勝負勘も重要。例年このステージで総合成績は大きく入れ替わり、総合優勝を目指すチームや選手が本格的な勝負を仕掛ける。2005年の初開催以来10回目となる南信州ステージは、牧野光朗・飯田市長らの先導で、晴れわたった空のもとでパレードスタートした。

地元の幼稚園児がスタート地点を訪問地元の幼稚園児がスタート地点を訪問
沿道で旗を振って選手を応援沿道で旗を振って選手を応援
飯田市の牧野光朗市長が「飯田市で行われる国際大会はTOJだけです」と歓迎飯田市の牧野光朗市長が「飯田市で行われる国際大会はTOJだけです」と歓迎

集団はリーダーチームがコントロール

序盤に飛び出した9人の逃げ。しかしメーン集団もわずかな差で追いかける序盤に飛び出した9人の逃げ。しかしメーン集団もわずかな差で追いかける

 パレードを終えて周回コースの1周目、山岳ポイントを越えた先のアップダウン区間で、まず内間康平(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム)が飛び出した。これを追う形で8人が合流し、2周目に9人の逃げ集団となった。

 後方のメーン集団は1分弱の差で、個人総合首位のラファー・シティウィ(チュニジア、スカイダイヴドバイ プロサイクリングチーム)を擁するスカイダイヴドバイがコントロール。逃げに大差を許さずにペースを保つ。この集団後方では、上りの苦手なスプリンターや日本人若手選手らが早くも遅れ始め、完走を目指すグルペットも形成された。

 3周目、最初の山岳賞は、チュンカイ・フェン(台湾、ランプレ・メリダ)がスプリントして先頭通過する。しかしメーン集団は4周目に入ったところで逃げの9人を早々に吸収。上り区間では再びアタック合戦が始まった。

縦に長く伸びた集団での上りの攻防縦に長く伸びた集団での上りの攻防

 4周目後半にヴァレリオ・コンティ(イタリア、ランプレ・メリダ)と、ディラン・ガードルストーン(ロシア、ドラパック プロフェッショナルサイクリング)の2人が抜け出し、すぐに集団から1分のリードを築いた。スカイダイヴドバイのコントロールは変わらないが、この2人の逃げは容認され、しばらく落ち着いた展開となった。

 逃げと集団の差は、最大で約3分まで拡大。6周目の山岳賞では2人が争わず、ガードルストーンが先頭で通過した。

中盤に逃げたコンティ(前)とガードルストーン中盤に逃げたコンティ(前)とガードルストーン
変わらずスカイダイヴドバイがコントロールするが、逃げは容認へ変わらずスカイダイヴドバイがコントロールするが、逃げは容認へ

めまぐるしい終盤の攻防

 レース後半、メーン集団では、先頭を引くのがピシュガマン・ジャイアント チームへと変わり、徐々に追撃体勢へと移った。先頭との差はどんどん縮まり、上りでは先頭のペースアップに、集団後方の選手が必死の形相で食らいつく。総合首位のグリーンジャージを着るシティウィも苦しい表情を浮かべて、徐々に集団内でのポジションを落としていった。

追走がいよいよ先頭を視界に捉えた。ブリッジを仕掛ける選手も追走がいよいよ先頭を視界に捉えた。ブリッジを仕掛ける選手も
昨年総合優勝のミルサマ・ポルセイェディゴラコール(イラン、タブリーズ ペトロケミカル チーム)も集団前方で積極的だ昨年総合優勝のミルサマ・ポルセイェディゴラコール(イラン、タブリーズ ペトロケミカル チーム)も集団前方で積極的だ
グリーンジャージを着るシティウィが遅れるグリーンジャージを着るシティウィが遅れる

 9周目の山岳ポイント付近で、ついに後続が逃げの2人を捕える。ダミアン・モニエ(フランス、ブリヂストンアンカー サイクリングチーム)らが合流し、先頭グループは5人となった。さらに下りとその後の平坦区間で、ホセビセンテ・トリビオ(スペイン、マトリックスパワータグ)が追いついて、6人がメーン集団に約40秒の差を付けて、最終周回に入った。

 先頭の6人のなかでは、モニエが唯一、いなべの第2ステージで先行集団に入っており、このままゴールすればモニエが総合首位を奪える計算だ。積極的に先頭を引くモニエ。しかしメーン集団も、フランシスコ・マンセボ(スペイン、スカイダイヴ ドバイ プロサイクリング)ら実力者が上りで一気にペースを上げる。結局この6人の逃げは、上りの途中で潰されてしまった。

先行して最終周回に入った6人だが、後ろにメーン集団が迫る先行して最終周回に入った6人だが、後ろにメーン集団が迫る
集団先頭をマンセボがペースアップ集団先頭をマンセボがペースアップ

 代わって単独での飛び出しに成功したのは、現アジア王者のホセイン・アスカリ(イラン、ピシュガマン・ジャイアント チーム)だ。一時は集団に1分の大差をつけるが、下りを終えたところで、しきりにホイールの様子を気にする仕草をみせてスローダウン。そのまま集団に吸収され、ステージ優勝の夢はついえた。

 上りで絞られたメーン集団は20人強となり、モニエが積極的にペースを保つ。アタックを仕掛ける選手が出ないまま、周回コースを抜けて残り1kmの直線路へと入り、勝負はゴールスプリントへと委ねられた。すでに各チームとも人数を減らし、戦略的なスプリントというよりは、各選手の地力勝負のようなゴール争いとなった。

マトリックスの戦略が的中

数選手がほぼ横一線に並んでのゴールスプリント数選手がほぼ横一線に並んでのゴールスプリント

 広がった集団がゴールラインを抜け、まずガッツポーズをしたのはプラデス。しかし続いて新人賞ジャージを着るフェランも手を挙げる。微妙な判定の軍配はプラデスに上がり、TOJのステージ初優勝を飾った。

 プラデスは昨シーズンから来日しマトリックスパワータグに所属。今年は好調で、TOJ直前の5月6〜9日にインドネシアで行われたツール・ド・イジェン(UCI2.2)でもステージ優勝。今回はそれに続くUCIレース通算2勝目となった。

 マトリックスパワータグにとっても、TOJではチーム創設10年目にして初勝利。安原昌弘監督は「チームの勝利」と胸を張る。プラデスを終盤に勝負させる戦略で、前半の動きには他の選手で対応するよう指示していたという。

 「小集団のスプリントは得意。終盤に集団が小さくなって、5人が逃げたときにはスピードに勝るホセ(トリビオ)が対応してくれた。逃げ切ればホセのチャンスになったし、ホセが動いてくれたことで、自分もスプリントに集中することができた」とプラデスはレースを振り返った。

優勝したプラデス(左)を祝福する安原昌弘監督優勝したプラデス(左)を祝福する安原昌弘監督
水引で有名な飯田市。表彰式では水引の冠や地元名産品が贈られた水引で有名な飯田市。表彰式では水引の冠や地元名産品が贈られた

 ※ソニー「アクションカム」で撮影 

フェランが総合首位 勝負の富士山ステージへ

総合首位に立ったフェラン。市長と地元TOJキッズが祝福総合首位に立ったフェラン。市長と地元TOJキッズが祝福

 2位のフェランはゴールのガッツポーズが幻となってしまったが、個人総合争いでは総合3位から首位に浮上。これまでの新人賞に加え、個人総合首位のグリーンジャージも手に入れた。ポイント賞ジャージはマンセボが獲得し、総合でも変わらず2位につける。山岳賞ジャージはマッティア・ポッツォ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ)が守った。

 22日に開催される第5ステージ(富士山)は、その名の通り富士山を駆け上るヒルクライムステージ。舞台となるふじあざみラインは、5合目に至る舗装道路としては最も斜度が厳しく、11.4kmで高低差は約1200mに及ぶ。平均斜度10%、最大斜度22%という激坂だ。総合成績は毎年大きく変動し、ここで首位に立つ選手は間違いなく総合優勝の最右翼となる。総合上位を狙える選手も大きく絞られることになるだろう。

(文 米山一輝・写真 米山一輝、福光俊介)

ポイント賞ジャージのマンセボ。総合でも2秒差の2位ポイント賞ジャージのマンセボ。総合でも2秒差の2位
この日はポイントを伸ばせなかったが、山岳賞ジャージは守ったポッツォこの日はポイントを伸ばせなかったが、山岳賞ジャージは守ったポッツォ
新人賞もキープするフェラン。長野県のPRキャラクター「アルクマ」と新人賞もキープするフェラン。長野県のPRキャラクター「アルクマ」と
表彰選手によるシャンパン(シードル)ファイトが行われた。ちなみにスカイダイヴドバイは宗教上の理由から欠席表彰選手によるシャンパン(シードル)ファイトが行われた。ちなみにスカイダイヴドバイは宗教上の理由から欠席

第4ステージ(南信州)結果
1 ベンジャミ・プラデス(スペイン、マトリックスパワータグ) 3時間08分31秒
2 アダム・フェラン(オーストラリア、ドラパック プロフェッショナル) +0秒
3 トマ・ルバ(フランス、ブリヂストンアンカー サイクリングチーム)
4 ヴァレリオ・コンティ(イタリア、ランプレ・メリダ)
5 ルカ・ピベルニク(スロベニア、ランプレ・メリダ)
6 エドガル・ピント(ポルトガル、スカイダイヴドバイ プロサイクリングチーム)
7 トーマス・デイヴィソン(ニュージーランド、アヴァンティ レーシングチーム)
8 フランシスコ・マンセボ(スペイン、スカイダイヴ ドバイ プロサイクリング)
9 ディディエール・チャパッロ(コロンビア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ)
10 ホセビセンテ・トリビオ(スペイン、マトリックスパワータグ)

個人総合
1 アダム・フェラン(オーストラリア、ドラパック プロフェッショナル) 9時間54分24秒
2 フランシスコ・マンセボ(スペイン、スカイダイヴ ドバイ プロサイクリング) + 2秒
3 ルカ・ピベルニク(スロベニア、ランプレ・メリダ) +9秒
4 トマ・ルバ(フランス、ブリヂストンアンカー サイクリングチーム) +14秒
5 ダミアン・モニエ(フランス、ブリヂストンアンカー サイクリングチーム) +15秒
6 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、キナンサイクリングチーム) +16秒
7 ミルサマ・ポルセイェディゴラコール(イラン、タブリーズ ペトロケミカル チーム) +19秒
8 アミール・ザルガリ (イラン、ピシュガマン ジャイアント チーム) +21秒
9 イリヤ・ゴロドニチェフ(ロシア、RTSサンティック レーシングチーム)
10 ディディエール・チャパッロ(コロンビア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) +23秒

ポイント賞
1 フランシスコ・マンセボ(スペイン、スカイダイヴ ドバイ プロサイクリング) 33pts
2 アダム・フェラン(オーストラリア、ドラパック プロフェッショナル) 33pts
3 ルカ・ピベルニク(スロベニア、ランプレ・メリダ) 33pts

山岳賞
1 マッティア・ポッツォ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) 13pts
2 ディラン・ガードルストーン(ロシア、ドラパックプロフェッショナル) 12pts
3 チュンカイ・フェン(台湾、ランプレ・メリダ) 11pts

新人賞
1 アダム・フェラン(オーストラリア、ドラパック プロフェッショナル) 9時間54分24秒
2 ルカ・ピベルニク(スロベニア、ランプレ・メリダ) +9秒
3 トーマス・デイヴィソン(ニュージーランド、アヴァンティ レーシングチーム) +46秒

チーム総合
1 スカイダイヴ ドバイ プロサイクリングチーム 29時間44分47秒
2 ランプレ・メリダ +19秒
3 ブリヂストンアンカー サイクリングチーム +29秒

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