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ジロ・デ・イタリア2015 第10ステージ逃げ切った4人の戦いを制したボエムがジロ初勝利 終盤パンクのポートに痛恨のペナルティ

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 ジロ・デ・イタリアは第10ステージが5月19日、チヴィタノーヴァ・マルケからフォルリまでの200kmで行われ、逃げ切りに成功した4人によるスプリントを制したニコーラ・ボエム(イタリア、バルディアーニ・CSF)がジロ初勝利を挙げた。総合優勝候補のリッチー・ポート(オーストラリア、チーム スカイ)はレース終盤でパンクに見舞われてメーン集団から遅れ、さらにルール外の機材提供を受けたとしてペナルティタイムを課せられたため、総合3位から12位へと大きく順位を落とした。

逃げ切った小集団のスプリントを制したニコーラ・ボエム(イタリア、バルディアーニ・CSF)がステージ優勝逃げ切った小集団のスプリントを制したニコーラ・ボエム(イタリア、バルディアーニ・CSF)がステージ優勝

 最初の休息日を終えたジロは第2週のレースに突入した。この日はイタリア半島の東海岸沿いを北上するコース。ほぼフラットのため、定石通りスプリンターステージになると予想されていたが、ステージ優勝争いも、総合成績においても波乱の一日となった。

 レースはスタートしてすぐに5人の逃げが形成される。オスカル・ガット(イタリア、アンドローニジョカットリ)、ニコーラ・ボエム(イタリア、バルディアーニ・CSF)、アレッサンドロ・マラグーティ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ)、マッテーオ・ブザート(イタリア、サウスイースト)、アラン・マランゴーニ(イタリア、チーム キャノンデール・ガーミン)による逃げの展開は、スプリンターチームにとっても総合争いのチームにとっても危険ではない、セオリー通りと言えるものだ。メーン集団は早々に逃げを容認し、その差はすぐに広がった。

食糧補給を行うティンコフ・サクソの宮島正典マッサー食糧補給を行うティンコフ・サクソの宮島正典マッサー

 タイム差が4分強まで広がって迎えたレース後半、メーン集団ではスプリンターを抱えるチームがじわじわと追走を開始する。ここもセオリー通りに、残り10kmを切ってから逃げを捕える計算だ。別府史之(トレック ファクトリーレーシング)が集団でのローテーションに加わり、何度も追走の先頭に立つ姿が見られた。

 全員がイタリア人の逃げの5人は、完璧な協調体制。途中の4級山岳ポイントはマラグーティが、後半の2度の中間スプリントポイントはともにガットが先頭で通過した。

 徐々に異変が見え始めたのは、残り40kmを切ってからだ。ロット・ソウダル、チーム ジャイアント・アルペシンといったスプリンターチームの選手が必死の表情で前を追うが、思うように逃げとの差が縮まらないのだ。アドリア海沿いを北東へとひた走るこの日のステージ、吹き続ける追い風が文字通り、逃げ集団にとっての追い風となった。残り20kmでタイム差2分と微妙な展開だ。

 残り13kmで逃げ集団のガットがパンクで脱落。先頭の5人のなかでは唯一ジロのステージ優勝経験があるガットが遅れたことで、メーン集団に有利に働くかとも思われたが、残る4人はペースを落とさない。残り10kmで1分30秒差をキープし、徐々に逃げ切りが濃厚になってきた。

1995年のツール・ド・フランスで命を落としたファビオ・カザルテッリの息子マルコからジャージを受け取るアール1995年のツール・ド・フランスで命を落としたファビオ・カザルテッリの息子マルコからジャージを受け取るアール

 残り10kmを切ったメーン集団後方では、チーム スカイの選手が数人、後ろを気にしながら集団最後尾のさらに後方へと下がった。なんとチームリーダーのポートが、パンクでストップしてしまったのだ。車輪を交換して再スタートしたポートを引き連れ、メーン集団への復帰を試みるが、ゴールに向けて集団が最高速に達しているなか、なかなかその差は縮まらない。

 差が縮まらないのは先頭とメーン集団の間も同様だった。逃げ切りは確実となり、先頭では残り1kmを前にマランゴーニがアタック。残る3人は一瞬、牽制状態となるものの、最終コーナーでマランゴーニを捕えた。最後の直線での力勝負ではボエムが先行。ブザートが追い込もうとするがかなわず、そのままボエムがガッツポーズでゴールした。25歳のボエムは嬉しいジロ初勝利だ。

 遅れること18秒、メーン集団がジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレック ファクトリーレーシング)を先頭にゴールした。ポートはここからさらに47秒遅れてゴール。終盤のアクシデントにより、総合争いで手痛いタイム差を失ってしまった。

 ポートは突然のパンクに、近くにいた同じオーストラリア人のサイモン・クラーク(オリカ・グリーンエッジ)から前輪の提供を受けていた。チームの枠を超えた友人の助けに感謝を述べたポートだったが、レース後、この行為がUCIルールに違反するとして、ポートとクラークに対しペナルティが課せられた。両者には2分のペナルティタイムが与えられ、ポートは本来総合4位だったところが、12位まで大きく順位を下げてしまった。

総合首位を守ったコンタドール総合首位を守ったコンタドール

 総合首位はアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)がキープ。ミケル・ランダ(スペイン、アスタナ プロチーム)がポートに代わって総合3位に浮上した。この日優勝のボエムはポイント賞ジャージも同時に獲得した。

 翌20日の第11ステージは、フォルリからイモラまでの153kmで争われる。イモラではF1のサンマリノGPで知られるイモラサーキットを含む16.9kmの周回コースを4周する。強烈な上りはないものの、全体にアップダウンが続き、ステージ勝利のワンチャンスを狙う選手にとってはチャレンジの一日となるだろう。

文 米山一輝・写真 砂田弓弦

第10ステージ結果
1 ニコーラ・ボエム(イタリア、バルディアーニ・CSF) 4時間26分16秒
2 マッテーオ・ブザート(イタリア、サウスイースト) +0秒
3 アレッサンドロ・マラグーティ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) +2秒
4 アラン・マランゴーニ(イタリア、チーム キャノンデール・ガーミン) +4秒
5 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレック ファクトリーレーシング) +18秒
6 サーシャ・モドロ(イタリア、ランプレ・メリダ)
7 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)
8 ルカ・メズゲッツ(スロベニア、チーム ジャイアント・アルペシン)
9 ニコーラ・ルッフォーニ(イタリア、バルディアーニ・CSF)
10 ダヴィデ・アッポッローニオ(イタリア、アンドローニジョカットリ)
69 別府史之(トレック ファクトリーレーシング) +28秒

個人総合(マリアローザ)
1 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) 42時間58分09秒
2 ファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム) +3秒
3 ミケル・ランダ(スペイン、アスタナ プロチーム) +46秒
4 ダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ プロチーム) +1分16秒
5 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、ティンコフ・サクソ) +1分46秒
6 リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ) +2分10秒
7 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター チーム) +2分12秒
8 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMC レーシングチーム) +2分20秒
9 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター チーム) +2分24秒
10 レオポルド・ケニッグ(チェコ、チーム スカイ) +2分30秒
144 別府史之(日本、トレック ファクトリーレーシング) +1時間46分58秒

ポイント賞(マリアロッサ)
1 ニコーラ・ボエム(イタリア、バルディアーニ・CSF) 98pts
2 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 85pts
3 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チーム スカイ) 78pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 シモン・ゲシュケ(ドイツ、チーム ジャイアント・アルペシン) 50pts
2 ベニャト・インチャウスティ(スペイン、モビスター チーム) 39pts
3 スティーフェン・クルイシュウィック(オランダ、チーム ロットNL・ユンボ) 37pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 ファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム) 42時間58分12秒
2 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、チーム キャノンデール・ガーミン) +2分58秒
3 ヤン・ポランツェ(スロベニア、ランプレ・メリダ) +20分25秒

チーム総合
1 アスタナ プロチーム 128時間15分41秒
2 BMC レーシングチーム +6分12秒
3 チーム スカイ +6分22秒

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