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来日経験豊富、ファンには“おなじみ”の両チーム“オセアニア旋風”で幕を開けたTOJ ドラパックとアヴァンティの強さに迫る

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 5月17日に大阪・堺で開幕したツアー・オブ・ジャパン(TOJ)。その第1ステージは、ドラパック プロフェッショナルサイクリング(オーストラリア)とアヴァンティ レーシングチーム(ニュージーランド)の選手たちがトップ10のうち7人を占め、オセアニア旋風を巻き起こした。来日経験が豊富で、ファンにはおなじみともいえる両チームに、開幕日と移動日(18日)の2日間にわたって取材し、その強さの秘密に迫った。

チーム力で勝負を挑むドラパック プロフェッショナルサイクリングチーム力で勝負を挑むドラパック プロフェッショナルサイクリング
アジアやオセアニアで実績を積んだ選手がそろうアヴァンティ レーシングチームアジアやオセアニアで実績を積んだ選手がそろうアヴァンティ レーシングチーム

2.65kmのショートTTで上位を独占

 第1ステージは大阪・堺の大仙公園の外周をめぐる2.65kmのショートTT。1周で勝負が決まる、失敗の許されないレースだ。道幅が狭く、鋭角コーナーが連続するテクニカルなレイアウトで、スピードだけでなくバイクコントロールも求められた。

オールラウンダーのアダム・フェラン。総合上位進出に向け、第1ステージは4位と好発進オールラウンダーのアダム・フェラン。総合上位進出に向け、第1ステージは4位と好発進
第1ステージ2位のニール・ヴァンデルプローグは今大会有力スプリンターの1人第1ステージ2位のニール・ヴァンデルプローグは今大会有力スプリンターの1人

 そこで力を発揮したドラパックとアヴァンティ。まずドラパックのアダム・フェラン(オーストラリア)とトップに立つと、負けじとアヴァンティのトーマス・ディヴィソン(ニュージーランド)が逆転。最終の第6グループで出走したチームメートのニール・ヴァンデルプローグ(オーストラリア)がこの日最初に3分20秒を切って3分19秒78をマークし、アヴァンティ勢のワン・ツーフィニッシュが決まったかに思えた。

第1ステージ優勝のブレントン・ジョーンズ。次世代のエーススプリンター候補だ第1ステージ優勝のブレントン・ジョーンズ。次世代のエーススプリンター候補だ

 しかし、直後に飛び込んできたドラパックのブレントン・ジョーンズ(オーストラリア)がトップタイムを更新して優勝。その差はわずか0秒61だった。

 結果的にドラパックとアヴァンティが1位から4位を占め、ライバルたちにスピードの違いを見せつける格好となった。両チームの選手たちがほぼ互角の走りを見せた中で、ドラパックが勝利したのはプロコンチネンタルチームとしての意地だったのかもしれない。

「チーム力」で戦いを挑むドラパック

 2007年に続いて昨年、2度目のプロコンチネンタルチーム登録を果たし、オーストラリア人選手を中心に強化を進めるドラパック プロフェッショナルサイクリング。現在は、5月10~17日に開催されたツアー・オブ・カリフォルニア(アメリカ、UCI2.HC)とTOJとの2班に分かれて参戦している。昨年のTOJ第1ステージ(堺)でコースレコードをマークして優勝したウィル・クラークや、かつてラボバンクやベルキン プロサイクリングチームで活躍して今季に加入したグレーム・ブラウン(ともにオーストラリア)らはカリフォルニアに出場した。

17日に行われたエキシビションレース「堺国際クリテリウム」では終盤、ドラパックがレースをコントロール。第2ステージ以降もこのような状況が見られるかもしれない17日に行われたエキシビションレース「堺国際クリテリウム」では終盤、ドラパックがレースをコントロール。第2ステージ以降もこのような状況が見られるかもしれない

 今回のTOJには、規定より1人少ない5人で参戦している。その中心に立つジョーンズは、23歳のスプリンター。カリフォルニアで活躍したエーススプリンターのワウテル・ウィッパート(オランダ)に続く選手として期待されている。個人総合首位の証、グリーンジャージを着用する19日の第2ステージ(いなべステージ)に向けては、「調子は良いし、脚の状態も問題ない。今回は5選手での参加だが、チームメートはみんな強いから、安心してレースに臨めるよ」と表情は明るい。

トレーニングライドを終えて「調子の良さを実感している」と話したブレントン・ジョーンズトレーニングライドを終えて「調子の良さを実感している」と話したブレントン・ジョーンズ

 第1ステージ後の会見では、「個人的にはブルージャージ(ポイント賞ジャージ)が欲しいのだけれど…」と言って記者たちを笑わせたが、チーム一丸となってグリーンジャージを守る姿勢を貫くつもりだ。

 ジョーンズと同様に、ロバート・ティケーロ監督も「チーム力での戦い」を強調する。第2ステージ以降はアップダウンに富んだコースが連続するため、オールラウンドに力を発揮する選手の活躍が求められる。その意味で、ジョーンズのスプリントのみに頼るのではなく、レース展開次第では別の選手が上位フィニッシュを狙う可能性もあるだろう。2011年から2年間、BMCレーシングチームで走ったティモシー・ロエや、23歳以下のオーストラリア代表経験のあるアダム・フェラン(ともにオーストラリア)といった登坂力のある選手の活躍も期待される。

 ティケーロ監督は「4月下旬以降、ツアー・オブ・ターキー、ツール・ド・アゼルバイジャンを転戦し、良い状態で来日している。大会を通して好リザルトを残せるだろう」と自信を見せている。

移動日の18日にトレーニングライドを終えたドラパックの選手たち移動日の18日にトレーニングライドを終えたドラパックの選手たち

第3、第4ステージに賭けるアヴァンティ

 一方のアヴァンティ レーシングチームはニュージーランド籍のコンチネンタルチームで、所属する16選手の構成はニュージーランド人9人、オーストラリア人7人。アジア、オセアニアのUCI(国際自転車競技連合)公認レースをメーンに転戦している。主力選手には、同国のお家芸でもあるトラック・中距離種目を専門とするスピードマンも含まれている。

エキジビションレースの堺国際クリテリウムでは、テイラー・ガンマンが逃げを試みたエキジビションレースの堺国際クリテリウムでは、テイラー・ガンマンが逃げを試みた

 今回来日したメンバーは、ドラパックに匹敵する強力布陣。第1ステージ2位のニール・ヴァンデルプローグは、今年1月のオーストラリア選手権3位。堺国際クリテリウムで逃げを試みたテイラー・ガンマン(ニュージーランド)は、今年のオセアニアチャンピオンだ。

 そして、最も注目されるのはクライマーのベンジャミン・ディボール(オーストラリア)。激坂のヒルクライムを競うTOJ富士山ステージでは、2年前に当時のコースレコードとなる39分47秒をマーク。今大会では総合優勝候補の1人と目されている。

 そんな彼だが、プレッシャーは感じていない様子で、22日の第5ステージ(富士山ステージ)に向けては「目標は40分台。自己ベストから1分遅いタイムだけれど、今の調子を考えたら妥当と思う」と淡々と述べた。

ベンジャミン・ディボールは2年前の富士山ステージ覇者。今回もその登坂力に注目が集まるベンジャミン・ディボールは2年前の富士山ステージ覇者。今回もその登坂力に注目が集まる
ランプレ・メリダとともにトレーニングライドを行ったアヴァンティの選手たちランプレ・メリダとともにトレーニングライドを行ったアヴァンティの選手たち

 チームオーナーでもあるスティーヴ・プライス監督は、「富士山よりもまずは第3ステージ(美濃)、第4ステージ(南信州)で勝負をしたい。集団スプリント、逃げなど、あらゆる展開が考えられるので、上手くレースを進めたい」と話した。続く第5・富士山ステージについては「もちろんディボールが中心。期待していてほしい」と笑顔を見せた。

テイラー・ガンマンを中心にコースの確認。三重県四日市市内で約1時間のトレーニングライドを行ったテイラー・ガンマンを中心にコースの確認。三重県四日市市内で約1時間のトレーニングライドを行った

◇         ◇

 第1ステージの優勝によりジョーンズは個人総合首位、ポイント賞、新人賞と3つのリーダージャージを独占しているが、第2ステージではポイント賞、新人賞のジャージを下位の選手が繰り上げで着用する。このため総合首位のグリーンジャージはドラパックのジョーンズ、ポイント賞のブルージャージはアヴァンティのヴァンデルプローグ、新人賞のホワイトジャージはアヴァンティのディヴィソンが着用する。

個人総合首位のグリーンジャージを着用したブレントン・ジョーンズ個人総合首位のグリーンジャージを着用したブレントン・ジョーンズ
三重・四日市のマスコットキャラクター「こにゅうどうくん」と写真に収まるトーマス・ディヴィソン三重・四日市のマスコットキャラクター「こにゅうどうくん」と写真に収まるトーマス・ディヴィソン

 いまサイクルロードレース界で最も熱い地域の1つであるオセアニアの選手たちが、今大会をどこまで席巻し続けるか。レースを楽しむポイントとして、彼らの存在から目が離せない。

文・写真 福光俊介


ドラパック プロフェッショナルサイクリング メンバー
21 ディラン・ガードルストーン(南アフリカ) オールラウンダー
22 ティモシー・ロエ(オーストラリア) オールラウンダー
23 ブレントン・ジョーンズ(オーストラリア) スプリンター
24 ピーター・コニング(オランダ) TTスペシャリスト
26 アダム・フェラン(オーストラリア) オールラウンダー


アヴァンティ レーシングチーム メンバー
31 ベンジャミン・ディボール(オーストラリア) クライマー
32 テイラー・ガンマン(ニュージーランド) クライマー
33 ニール・ヴァンデルプローグ(オーストラリア) スプリンター
34 トーマス・ディヴィソン(ニュージーランド) クライマー
35 マーク・オブライエン(オーストラリア) オールラウンダー
36 ジェイソン・クリスティー(ニュージーランド) クライマー
 
※表記はゼッケン、名前、監督による脚質解説の順

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