スマホで自転車をシェアリング 横国大で実験中の「コグー」を体験

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自転車を借りられる「ステーション」。固定ラックや精算機といった大掛かりな施設は不要だ =横浜市保土ヶ谷区の横浜国立大学自転車を借りられる「ステーション」。固定ラックや精算機といった大掛かりな施設は不要だ =横浜市保土ヶ谷区の横浜国立大学

 横浜国立大学で4月、スマートフォンを用いた無人の自転車シェアリングシステム「COGOO(コグー)」の実験運用が始まった。自転車の後輪に取り付ける電子錠と、それを管理するスマホのアプリケーションの連携が特徴で、スマホを操作することで錠の開閉、位置情報の送信、課金などがスムーズに行われる。これまでのレンタサイクルからどう進化したのか? 横国大のキャンパスで実際に体験してみた。

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 コグーの実験運用に提供されている自転車は、小さめの車輪やレザー風のサドルがスタイリッシュなシティサイクル。鮮やかなグリーンの車体が存在感を放っている。だが、一目見て、後輪を止めるリング状の鍵が巨大なことに気付く。ただの鍵ではなく、スマホとの通信装置やバッテリー、太陽電池などを搭載しているからだ。

 コグーの利用者は、アンドロイドOSのスマホに専用アプリをインストールすれば、ブルートゥースによる通信で、巨大な鍵をリモコンのように開錠できる。将来はiPhoneや従来型の携帯電話でも対応予定という。

コグーの実験運用に提供されているスタイリッシュな自転車。鮮やかなグリーンの車体が存在感を放っている =横浜市保土ケ谷区コグーの実験運用に提供されているスタイリッシュな自転車。鮮やかなグリーンの車体が存在感を放っている =横浜市保土ケ谷区
スマートフォンのアプリを操作して電子錠を開錠するスマートフォンのアプリを操作して電子錠を開錠する

 電子錠の電源は太陽電池でまかない、利用時の精算はアプリを通して行なう。このため、保管場所に精算機や電源、固定ラックなど大掛かりな装置を設置する必要がなく、わずか1台からの導入にも容易に対応できる。

 現在、自転車を借りられるステーションはキャンパス内に3カ所あり、台数は10台。今後は、ステーションを9カ所へ、台数も計100台へと増やす予定という。

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 コグーのシステムを開発したのは、省エネ等のコンサルティング会社、リレーションズ(東京都千代田区)。同社執行役員の加藤章太朗さんらが中心となり、2011年の初めから、外部のハード、ソフトメーカーを含め約10人のチームで開発を重ねてきた。

 電子錠の開閉、個体の位置情報の把握をスマートフォン側のソフトウェア上で行なう点が先進的だが、その連携を実現するには苦労もあった。加藤さんが「開発に特に時間がかかった」と話すのは、自転車の所在地や、個体の電池残量など詳細な情報を管理する仕組み。また今後は、盗難防止のため、電子錠に不自然な振動を感知するセンサーも組み込む予定という。

 本格運用を想定している場所は、観光地をはじめ、駅や公園といった公共スペース、さらにマンション、オフィスビル、商店なども含まれる。実際に、不動産開発会社や観光地のコンビニエンスストアなどから問い合わせが来ているという。

 海外展開も視野にあるが、無人運用のため「現段階では安全な国や都市で扱うことが前提」と加藤さん。「国土の狭い韓国やデンマークなどで利用が見込めるのではないか」と話している。

後輪を止める巨大なリング状の鍵。スマホとの通信装置やバッテリー、太陽電池などを内臓している後輪を止める巨大なリング状の鍵。スマホとの通信装置やバッテリー、太陽電池などを内臓している
コグーに採用された自転車は、扱いやすく、邪魔になりにくいコンパクトな車体が特徴だコグーに採用された自転車は、扱いやすく、邪魔になりにくいコンパクトな車体が特徴だ

 取材中に通りかかった工学部の女子学生らは、スマホの画面タッチで「カシャン」と開錠する操作方法を見て歓声を上げていた。自転車のメンテナンスや料金設定などの課題が残るが、駅周辺や商店街での新たな放置自転車対策として、またエコでコンパクトな地域密着型交通網として、運用の広がりが期待される。

文・写真 柄沢亜希

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