SANKEI EXPRESS連載 【今、何が問題なのか】よりがん克服した“元”ツール王者…不滅の「LIVESTRONG」

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 米反ドーピング機関(USADA)との法廷闘争を断念し、薬物違反が確定した自転車ロードレースの元王者、ランス・アームストロング氏(40)。スポーツ選手としての名声は損なわれても、がん撲滅運動のカリスマであることに変わりはないようだ。自らがんを克服したアームストロング氏は他の大勢のがん患者を勇気づけてきた。きょうのテーマは「不滅のLIVESTRONG」とした。(内畠嗣雅 SANKEI EXPRESS

モンロワイヤル公演でのトレーニング・ランに先駆け、参加者に話しかけるランス・アームストロング氏 =8月29日、モントリオール(AP)モンロワイヤル公演でのトレーニング・ランに先駆け、参加者に話しかけるランス・アームストロング氏 =8月29日、モントリオール(AP)

薬物違反が確定

 選手として前途洋々のアームストロング氏が睾丸(こうがん)がんだと診断されたのは1996年10月、25歳のときだった。腹部などに転移しており、「生存率50%」と宣告された。だが、2度の手術と化学療法で克服。98年、第一線に復帰し、99~2005年、最高峰のレース、ツール・ド・フランスで前人未到の7連覇を達成した。薬物疑惑はこのころから度々指摘されてきた。

 USADAは今年6月、筋肉増強剤などを使っていたとしてアームストロング氏を告発。元同僚ら10人が薬物違反を証言すると通告した。アームストロング氏は先月23日、「これは魔女狩り。もう十分だ」と法廷闘争の断念を表明。USADAは薬物違反を受け入れたとみなし、翌24日、アームストロング氏の永久資格停止とツール・ド・フランス7連覇を含む98年8月以降の全成績の抹消を発表した。

「ランスが必要」

 元王者の伝説は崩壊した。だが、私たちはなお、ランス(アームストロング氏)を必要としている-。AP通信がこんな記事を配信した。アームストロング氏に勇気をもらったがん患者は少なくない。北京五輪(2008年)、ロンドン五輪の競泳男子平泳ぎ米代表、エリック・シャントゥ氏(28)もその一人だ。

 アームストロング氏は97年、がん撲滅を目指す「ランス・アームストロング財団」を設立している。

 シャントゥ氏は北京五輪直前にアームストロング氏と同じ睾丸がんであることが判明。五輪後、治療に先立ち、財団の活動を訪ねた。「誇張でなく、アームストロング氏は何人もの命を救っている。命を救うことは、スポーツ選手のどんな業績よりもはるかに重要だ。アームストロング氏の活動により、人々はがんを受け入れ、がんについて語り、がん撲滅に取り組むようになった」と語った。

 04年に財団がスポーツメーカーのナイキと共同で売り出した黄色いリストバンドは大ヒットだった。アームストロング氏の名前をもじった「LIVESTRONG」(強く生きる)の文字が入っている。収益で多額の寄付が集まっただけでなく、大勢の人の手首に黄色いリストバンドがあることががん患者を励ました。

 24日にUSADAがアームストロング氏の成績抹消などを発表した後、財団への寄付は逆に増えたという。設立から15年で、財団に寄せられた寄付は5億ドル(約400億円)に上る。

がん撲滅の先頭に

 アームストロング氏は29日、カナダのモントリオールで開かれたがん関連の会合に出席。「ランス・アームストロングです。がんを克服した。5人の子供の父親…。ツール・ド・フランス7連覇」とあいさつした。アームストロング氏は自ら、薬物違反を認めたわけではない。USADAとの法廷闘争を断念したのは、「(財団などの活動を)これ以上邪魔されたくなかったから」だという。

 会合のあと、アームストロング氏は自分のツイッターでの呼びかけで集まった人たちとともに、モントリオール市内のモンロワイヤル公園内の7.5キロを走り、汗を流した。
SANKEI EXPRESSより)

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