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はらぺこサイクルキッチン<37>御嶽山噴火からの復興イベントへ 王滝村にしかない美しい景色と優しい味

by 池田清子 / Sayako IKEDA
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2014年の春に行われた「SDA in 王滝」の模様2014年の春に行われた「SDA in 王滝」の模様

 木曽御嶽山のふもとの長野県王滝村で毎年、春と秋に開かれ、それぞれ1500人以上が参加する長距離マウンテンバイクレース「セルフディスカバリーアドベンチャー(SDA) in 王滝」。ワンループ(一周)で最大100km走ることができる国内最大のMTBマラソンレースで、夫・池田祐樹は2011年から欠かさず参戦してきました。

 昨年9月に開かれた同レースのおよそ2週間後、御嶽山は噴火しました。戦後最大の火山災害。レース会場に使われている松原スポーツ公園は救助活動のヘリポート基地となり、テレビで映し出されるそこは、いつもの楽しく賑わう雰囲気とはまるで違うものでした。

 あれから間もなく8カ月が経とうとしています。観光客の減少、そして王滝村の基幹産業であるスキー場の営業がおよそ2カ月間に留まるなど、噴火以降、地域経済には多大な影響が出ています。

献花台から見える白煙の御嶽山

 そんなさなか、SDA in 王滝を主催している「パワースポーツ」が、ゴールデンウィーク中の5月2、3日に、村の再生や支援を目的とするアウトドアスポーツのイベントを開きました。その名も「みんな集まれ!王滝村へ!」。

MTBツーリングスタート前に記念撮影。たくさんのライダーが集結しましたMTBツーリングスタート前に記念撮影。たくさんのライダーが集結しました
松原スポーツ公園に設けられた献花台。たくさんの献花や千羽鶴が手向けられていました松原スポーツ公園に設けられた献花台。たくさんの献花や千羽鶴が手向けられていました

 今回のイベントも松原スポーツ公園が会場となりました。公園は、噴火で亡くなった方々への献花台が設置されている場所でもあります。視線の先には、現在も白煙が立ち上る御嶽山が見えました。

 SDA in 王滝のスタート前には、必ず全選手全員で御嶽山に向かって「山に入らせていただきます」という気持ちで頭を下げます。この日も献花台から手を合わせると、「あの時と同じ御嶽山なんだ」となんとも言えないつらい気持ちに駆られました。

2014年春の王滝レースにて。スタート前に一斉に御嶽山に向かって一礼する2014年春の王滝レースにて。スタート前に一斉に御嶽山に向かって一礼する
献花台からは、今でも白煙が出ている御嶽山が見えました献花台からは、今でも白煙が出ている御嶽山が見えました

王滝の魅力が詰まったイベント

 「みんな集まれ!王滝村へ!」では幅広いイベントが展開されました。約150人が参加したマウンテンバイクレースのほか、43人の有名選手がデッドヒートを繰り広げたトレイルランニングレース、MTBツーリング、6時間ネイチャーラン、カヤック、スタンドアップパドル、親子ランニング、森林鉄道体験、クライミング、棒パン焼き―などなど。さらに、家族で楽しめる多数の催しや、地元のお店による飲食や衣類の販売など盛りだくさんでした。

棒パン焼きは棒の先にパン生地を巻きつけて直火で焼くもの。アウトドアならではの楽しみ方棒パン焼きは棒の先にパン生地を巻きつけて直火で焼くもの。アウトドアならではの楽しみ方
親子で出来立ての棒パン焼きを食べて「美味しい!」親子で出来立ての棒パン焼きを食べて「美味しい!」

 私は「御岳ごへい」という、エゴマをトロトロになるまで擦り潰したアメをのせて食べる王滝の郷土食や、地ビールに舌鼓を打ちましたよ。東京へ帰る際にはここで知ったお店に立ち寄り、お土産を購入。微力ながらブログやSNSを通じて王滝村の素晴らしい魅力をお伝えし、少しでもPRのお役に立てばという気持ちで過ごしました。

 読者の皆さんの中には、レースやイベント、ツーリングなどで旅行へ行かれた際には「その土地でなるべくお金を使う」をモットーにしている方も多いかと思います。私たちも海外を含め、その土地を楽しみながらお金を使うことにしています。もちろん可能な範囲ですが、被災した場所であってもそうでなくても、地域活性化の一部になればという気持ちがあります。

王滝の郷土食「御岳ごへい」はご飯にエゴマの葉を擦り潰したタレをかけて食べるシンプルな料理ながら、栄養満点王滝の郷土食「御岳ごへい」はご飯にエゴマの葉を擦り潰したタレをかけて食べるシンプルな料理ながら、栄養満点
大人気のクライミングは、キッズも大勢チャレンジしていました大人気のクライミングは、キッズも大勢チャレンジしていました
ナイトパーティーではたくさんの出店が。ステーキも大人気でしたナイトパーティーではたくさんの出店が。ステーキも大人気でした

美しい新緑に感じた生命の息吹

豚汁、いただきます!豚汁、いただきます!

 地元住民の方々もこのイベントを楽しんでいらっしゃる様子でした。いつもボランティアのお母さんたちがレース会場で提供してくださる名物の豚汁があるのですが、この日もナイトパーティーの参加者へ大盤振る舞い! 熱い大鍋の前で汗を流しながら、一生懸命作ってくださいました。

 「これこれ!」
ここでしか味わえない、なんとも優しい美味しさ。一口飲めば、レースの緊張から解かれてほっと和む瞬間でもあるのです。地元の方、そして各県から集まった方々と交流を深める有意義な時間となりました。

豚汁を振る舞ってくださる地元ボランティアスタッフのお母さん方。いつもありがとうございます!豚汁を振る舞ってくださる地元ボランティアスタッフのお母さん方。いつもありがとうございます!
出店で出会った地元の銘菓店「ひめや」。お土産を買いに立ち寄りました。中でもアップルパイが人気!出店で出会った地元の銘菓店「ひめや」。お土産を買いに立ち寄りました。中でもアップルパイが人気!

 夫の祐樹は、2日に開かれたMTBツーリングの案内役として、同夜に開かれた「王滝スペシャルナイト」のトークショーゲストとして、また翌3日には「チャレンジOTAKI 80km耐久レース」に招待選手として参加しました。(しかしながら夫の結果は、遠征からの体調不良による途中棄権でした)

 王滝の自然の美しさは格別です。特に、いまは新緑の季節。美しく青々とした幾重もの緑に、力強い生命の息吹を感じました。また会場では、トレイルランニングとマウンテンバイクのイベントが融合したことで、出店ブースの面々もフレッシュに感じ、いつもと違った雰囲気も楽しめました。

「チャレンジOTAKI80km耐久レース」スタート時の様子「チャレンジOTAKI80km耐久レース」スタート時の様子
MTB80km耐久レースに参加されたライダーは、約150人MTB80km耐久レースに参加されたライダーは、約150人
天候にも恵まれ、新緑が一層美しかったです天候にも恵まれ、新緑が一層美しかったです

「集まってくれた方々に感謝」

 イベント終了直後に、パワースポーツの滝川次郎社長に話をうかがいました。

――イベントを終えて、いかがでしたか。

トレイルランの選手と王滝村でのレースを振り返ってのトークショー。(写真左から)パワースポーツ代表の滝川次郎氏、石川弘樹選手、渡邊千春選手、大内直樹選手、竹谷賢二選手、池田祐樹選手、山中真選手トレイルランの選手と王滝村でのレースを振り返ってのトークショー。(写真左から)パワースポーツ代表の滝川次郎氏、石川弘樹選手、渡邊千春選手、大内直樹選手、竹谷賢二選手、池田祐樹選手、山中真選手

滝川社長「いろんな人が集まってくれました。企業では17社が協力してくれましたし、また今まで王滝レースに出ていた方々が家族を連れてきてくれました。感謝です。四季を通じてアクティビティーを楽しめる王滝村なので、これからも一つの種目だけでなくさまざまなスポーツを通して、みんなに来てもらいたいですね」

 一時はレース中止が懸念されましたが「今年も(こそ)、王滝村へ来て欲しい」という滝川社長の熱意で、SDA in 王滝 2015の開催が決定しました。5月24日に20km/40km/100kmのMTBレースが、そして来月には噴火の際に規制がかかっていた田の原をゴールにしたヒルクライムレースが待っています。

MTBツーリングで20km近くを走った皆さん。小学生のお二人も、炎天下のなか大人顔負けの力強い走りでした!MTBツーリングで20km近くを走った皆さん。小学生のお二人も、炎天下のなか大人顔負けの力強い走りでした!
多くの協賛社がブースを出店多くの協賛社がブースを出店

 現在、王滝村の河川は火山灰で白濁していますが、飲料水は別の水源のため被害はありません。大気観測及び水質検査の結果は基準値以下で、村の公式ホームページにも公開されています。

 今年のSDA in 王滝も多くの方が集まり、熱い戦いが繰り広げられることでしょう。レース前には改めて、災害の犠牲になった方々、まだ山で眠っている方々へ謹んで哀悼の意を表するとともに、村の面積の96%が森林である王滝村が、これからも変わらず美しくあることを心から願いたいと思います。

イベント終了後、瀬戸村長もご一緒に記念撮影。みんないい笑顔!イベント終了後、瀬戸村長もご一緒に記念撮影。みんないい笑顔!
小川で遊ぶ甥っ子たち。都会ではなかなかできない経験を楽しんでいました小川で遊ぶ甥っ子たち。都会ではなかなかできない経験を楽しんでいました
池田清子池田清子(いけだ・さやこ)

アスリートフード研究家。モデル事務所でのマネージャー経験を生かし2013年夏よりトピーク・エルゴンレーシングチームUSA所属ライダー、池田祐樹選手のマネージメントを開始、同秋結婚。平行して「アスリートフードマイスター」の資格を取得。アスリートのパフォーマンス向上や減量など、目的に合わせたメニューを日々研究している。ブログ「Sayako’s kitchen」にて情報配信中。

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