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はらぺこサイクルキッチン<36>片道60時間をかけ参戦した「アルパックアタック」で総合優勝 “地球の裏側”のレースを食レポ

by 池田清子 / Sayako IKEDA
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 南米アルゼンチン、チリを舞台として4月12日~19日、6日間のステージレース「アルパックアタック2015」(Alpac Attack)が初開催され、夫の池田祐樹(トピーク・エルゴンレーシングチームUSA)が日本からただ一人参戦。全てのステージを制する完全優勝を果たし、初代チャンピオンとなりました。6日間でおよそ700kmを駆け抜けた池田祐樹を支えたレース時の食や、“地球の裏側”での食レポをお届けします。

アルゼンチン、チリが舞台のステージレース「アルパックアタック」では回復走がてら街へ野菜を仕入れに出かけたという池田祐樹。無塩発酵食品「テンペ」のバーガーを作っているママといっしょに撮影アルゼンチン、チリが舞台のステージレース「アルパックアタック」では回復走がてら街へ野菜を仕入れに出かけたという池田祐樹。無塩発酵食品「テンペ」のバーガーを作っているママといっしょに撮影

持参フードを巧みに活用して“秘密兵器”に

上りでアタックをかける池田祐樹 ©SportStock by Harry Kikstra上りでアタックをかける池田祐樹 ©SportStock by Harry Kikstra

 レース向けに日本から持参したのは、チアシード、モリンガ、ビーツ、ほうれん草、ケール、ヘンプ――日頃よく使い慣れたスーパーフードです。それらをあらかじめジッパー付きの袋にミッスクスしておき、現地で使いやすいように工夫しました。どれも農薬を使用せずに栽培された原料100%の粉末を使用し、食物繊維、ビタミン、ミネラル、タンパク質が豊富で、免疫力アップにも繋がる“スーパーフードパウダーミックス”です。この「栄養のちょい足し」は手軽で保存も容易なので、おススメですよ。普段と違う食生活の中で食べ慣れたものがあると、精神的にも安心できますね。

日本から持参したスーパーフードはレース中も大活躍日本から持参したスーパーフードはレース中も大活躍
出発前に各食材を自身で袋詰めする祐樹さん出発前に各食材を自身で袋詰めする祐樹さん

 今回私は、日本で留守番をしていました。なのでレース中は、本人が食事も管理。持参したスーパーフードパウダーミックスは、そんな食事管理の面で大正解だったそう。食事の内容は驚くほど肉がメインで、野菜は添え物程度。祐樹さんが最近食べていなかった、油の多い肉、クロワッサン、乳製品、菓子パンなどが並びました。ベジタリアンミールを数回用意してもらったそうですが、後半は「野菜が恋しくて仕方なかった」とのこと。

野菜が恋しかったと話す池田祐樹。回復走がてら新鮮な野菜を買い出し野菜が恋しかったと話す池田祐樹。回復走がてら新鮮な野菜を買い出し

 レース後に回復走がてら街へ行き、自ら野菜を調達したという祐樹さんは、「アボカドやトマトが30円くらいと安価ですごくおいしかったし、偶然オーガニック食材のマーケットを見つけることができた。結構楽しかった!」と話していました。

 スーパーフードパウダーミックスは最初、レーサー全員から「それは何!?」「怪しい」「変な色だね」と物珍しそうに言われたそうですが、毎日優勝という結果を残していくと徐々に「勝つ秘密兵器だ」「次回は自分も持ってこようかな」と見る目が変わったそうです。

自ら調達した野菜でリカバリーサンドイッチを作りました自ら調達した野菜でリカバリーサンドイッチを作りました

 祐樹さんは、「食事だけで勝ったとは思わないけど、1%でも勝つ要因が高まるのであれば、持参したのも、無理を言ってベジタリアンミールを用意してもらったのも、無駄ではなかったと思う。体調を崩すレーサーが続出する中でも、万全な状態で臨めたのは日頃の体調管理の成果。異なる環境でもなるべくストレスを感じないことと、コントロールできる部分は自分で工夫することが大事」と振り返りました。

 特にリカバリーに関して、「現地で炭水化物などのエネルギーは得られるけれど、良質なビタミン、たんぱく質、ミネラルなどの栄養素を自分のタイミングかつ必要な量を摂取できたのは、持参したおかげ」と話しています。

持参したスーパーフードパウダーミックスを食事にちょい足し! 周りのレーサーたちからも注目度大持参したスーパーフードパウダーミックスを食事にちょい足し! 周りのレーサーたちからも注目度大
レース中は特別にベジタリアンミールをオーダーして対応してもらいましたレース中は特別にベジタリアンミールをオーダーして対応してもらいました
初日は1秒差(!)を守り6日間連続で完全優勝を果たした池田佑樹 ©SportStock by Harry Kikstra初日は1秒差(!)を守り6日間連続で完全優勝を果たした池田佑樹 ©SportStock by Harry Kikstra

長時間フライトでは飲食を我慢しない

 現地と日本の時差は12時間あり、朝晩が完全に逆転しています。移動も、片道約60時間をかけて行いました。乾燥が“砂漠以上”の飛行機内ではマスクと、むくみ防止のコンプレッションソックスはマストアイテム。こまめに立ってストレッチをすることも普段から意識しています。

南米までの移動は60時間。機内に持ち込んだ持参フードでコンディショニング南米までの移動は60時間。機内に持ち込んだ持参フードでコンディショニング

 機内に持ち込んだ持参フードは、ミックスナッツ(塩・油のついていない素焼きのもの)、クコの実、干しぶどう、梅エキス粒、胃腸薬(「御岳百草丸」を愛用)、そして手作りのエナジーバー。エナジーバーは、動物性食品・乳製品・砂糖不使用。オートミールとドライフルーツ、ナッツで作りました。

 食べるタイミングは特にシビアにならずとも、機内食は胃の負担も考えて、ベジタリアンミールを事前にオーダー。小腹が空いたら持参したナッツや手作りバーを食べていました。水分を含め、飛行機サービスで提供されるまで待たずに「欲しい」と思った時に口にできる準備をしていきました。

 さらに、機内食は脂っぽかったり調理から時間が経って酸化していることもあるので、酵素を摂取するため&リフレッシュのためにも、トランジットの空港ではフレッシュなサラダを食べていました。プラスして、しぼりたての果物と野菜のジュースも飲んでいたそうです。

“地球の裏側”では日本とはまるで違う景色の中走行した ©SportStock by Mônica Arruda“地球の裏側”では日本とはまるで違う景色の中走行した ©SportStock by Mônica Arruda

地元の食文化もうまく楽しむ

ニュートラルスタートでは大自然を楽しみながら走行 ©SportStock by Mônica Arrudaニュートラルスタートでは大自然を楽しみながら走行 ©SportStock by Mônica Arruda

 現地の食事での最大の特徴と言えたのは、夕食の開始時間。アルゼンチンもチリも、夕食の時間が大体21時から始まるのです。レストランの開店時間も早くて20時半、大抵は21時を回ってからのオープンなのだそうです。

 レースが始まる前の数日間、他のレーサーたちは夜外出して行く中、祐樹さんは生活リズムを壊さないためにも、自炊していました。「今夜はこんなものを作った」と送られてきた携帯メッセージには、おいしそうなキヌアとパクチーのサラダの写真も添付されていました。ヘルシーで栄養価の高い食事です。外出組は、朝起きるのがとっても遅かったそうです。

祐樹さんが自炊で作ったキヌアとパクチーのサラダ。おいしそう!祐樹さんが自炊で作ったキヌアとパクチーのサラダ。おいしそう!
夕食時の風景 ©SportStock by Mônica Arruda夕食時の風景 ©SportStock by Mônica Arruda
アルゼンチンのフィードではフルーツ、スナック、チーズサンドなどが提供されました ©SportStock by Mônica Arrudaアルゼンチンのフィードではフルーツ、スナック、チーズサンドなどが提供されました ©SportStock by Mônica Arruda

 レース中は基本的に宿を移動していくのですが、ホテルが用意してくれる夕食の時間もやっぱり21時前後だったとか。レース後は昼食として軽食を各自でとるため、しっかりとした回復のためにも夕飯は少しでも早く食べたいところ。レーサー達が頼み込んで20時位に早めてもらったのだそうです。習慣化していることなのでしょうが、寝る時間は一体何時なのかと不思議になってしまいます。でもそれはそれで、楽しそうな雰囲気。生活リズムも国の文化の一部ですね。

フィードステーションto スタッフ ©SportStock by Mônica Arrudaフィードステーションto<br />スタッフ ©SportStock by Mônica Arruda
毎フィニッシュ直後にもらうパンとバナナ。栄養補給に、バナナはどこでも重宝! ©SportStock by Mônica Arruda毎フィニッシュ直後にもらうパンとバナナ。栄養補給に、バナナはどこでも重宝! ©SportStock by Mônica Arruda

 またレーサーたちの間で盛り上がった食事メニューは、アルゼンチンで出たカステラ風の甘い生地にハムやチーズが挟まった料理。レースには13カ国から選手が集まりましたが、誰もが初めて食べる「珍しいもの」だったそうです。祐樹さんによれば、「生地はめちゃくちゃ甘くて、中はしょっぱい。自分にとっては好みでしたが、不評の意見が多かったかな(笑)」とのこと。話題になるほど思い出深い一品も、悪くないですよね。

 街へ出かけた際に見つけたオーガニックファーマーズマーケットでは、大豆テンペ菌で発酵させた納豆のような無塩発酵食品を使った「テンペバーガー」にも出会いました。塩分とスパイスによる味付けで「ものすごくおいしかった」そうです。

選手間で話題になった一品。甘~い生地に、ハムやチーズが挟まっている選手間で話題になった一品。甘~い生地に、ハムやチーズが挟まっている
「テンペバーガー」は絶品でした「テンペバーガー」は絶品でした

◇         ◇

最終日のホテルは超豪華。野菜も沢山あって、思わず笑顔の祐樹さん最終日のホテルは超豪華。野菜も沢山あって、思わず笑顔の祐樹さん

 レースを終えると、再び3日かけて帰国。最初の食事は「和食で、野菜を沢山食べたい」というリクエストで、植物性の食材のみで食事を作りました。

 レース期間も続けた工夫は、帰国後も続くレースのことを考え、日々できる限り回復することを重視した結果です。食事以外にも、レース後は毎日マッサージをお願いしたり、ストレッチを欠かさず行ったりしました。まだまだシーズンは始まったばかりですからね。次のレースには、国内最大の長距離マウンテンバイクレース「SDA in 王滝」が待っています!

※「アルパックアタック2015」のレースレポートは、池田祐樹公式ブログ「Yuki’s Mountainbike Life」に掲載されています。

野菜があるホテルのビュッフェにて。祐樹さんチョイスはこんな感じになります野菜があるホテルのビュッフェにて。祐樹さんチョイスはこんな感じになります
帰国した日の夕食は、リクエストに応えて和食をメインに野菜が盛りだくさん帰国した日の夕食は、リクエストに応えて和食をメインに野菜が盛りだくさん
池田清子池田清子(いけだ・さやこ)

アスリートフード研究家。モデル事務所でのマネージャー経験を生かし2013年夏よりトピーク・エルゴンレーシングチームUSA所属ライダー、池田祐樹選手のマネージメントを開始、同秋結婚。平行して「アスリートフードマイスター」の資格を取得。アスリートのパフォーマンス向上や減量など、目的に合わせたメニューを日々研究している。ブログ「Sayako’s kitchen」にて情報配信中。

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