アルデンヌクラシック2冠達成バルベルデがリエージュ~バストーニュ~リエージュ制覇 新城幸也は集団落車で負傷リタイア

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 アルデンヌクラシック3連戦の最終戦で、春のクラシックを締めくくるリエージュ~バストーニュ~リエージュ(UCIワールドツアー)が4月26日、ベルギー・ワロン地方で開催された。中盤以降、大混戦の様相となったレースは10選手によるスプリント勝負となり、得意の展開に持ち込んだアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)がこの大会3回目の優勝を飾った。

アレハンドロ・バルベルデがゴールスプリントを制し、7年ぶり3度目の優勝を飾ったアレハンドロ・バルベルデがゴールスプリントを制し、7年ぶり3度目の優勝を飾った

“最古参”のクラシック

 1892年に第1回大会が行われた最古のクラシック、リエージュ~バストーニュ~リエージュ。“ラ・ドワイエンヌ(La Doyenne=最古参)”とも呼ばれ、クラシックレースの中でも特に高い格式と歴史を誇る「モニュメント」の1つに数えられている。

 ベルギー南部、ワロン地域の中心都市であるリエージュをスタート。南下してバストーニュで折り返すと北へ進路をとり、リエージュ近郊のアンスに設けられたゴールを目指す。レース距離は253km。地図で見るとおおよそ八の字にルートが作られており、絶えずアップダウンが待ち受ける。なかでも難易度の高い10カ所の登坂区間には、頂上に山岳賞が設定された。

 グランツールで活躍するオールラウンダーやクライマーが強さを発揮することが多く、アルデンヌクラシックの他の2レース(アムステル・ゴールドレース、ラ・フレーシュ・ワロンヌ))比較すると、パンチャーやアタッカー以外の選手にもチャンスがあると言われている。

新城幸也(中央)らヨーロッパカーがメーン集団を積極的にコントロール新城幸也(中央)らヨーロッパカーがメーン集団を積極的にコントロール

 レースは現地時間10時30分にスタート。逃げ狙いのアタックが次々と発生し、ようやくレースが落ち着きを見せ始めたのは、8選手の逃げが容認された31km地点だった。8分近いリードを築いたが、メーン集団はピエール・ローラン(フランス)擁するチーム ヨーロッパカーが積極的にコントロール。その隊列の中には新城幸也も含まれ、チーム一丸となってペースアップを図った。

 残り100kmを切ったあたりからは他チームもメーン集団前方での位置取りを試み、自然にペースが上昇。残り75kmを切った時点で、逃げていた選手は全員吸収されてしまった。

主導権を握ったアスタナ

 そのタイミングと前後して、メーン集団からはアタックが多数発生した。サイモン・イェーツ(イギリス、チーム スカイ)が飛び出したことをきっかけに、有力チームが実力者を前へと送り込むべく、先頭集団形成を狙った動きが活性化。

 そして、ミケーレ・スカルポーニ(イタリア)とタネル・カンゲルト(エストニア)のアスタナ プロチーム勢やヨアンエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)を中心とした5選手が先頭に立った。力のあるスカルポーニとカンゲルトを先行させたアスタナは、メーン集団内でも好位置をキープ。レースの主導権をつかんだ。

ミケーレ・スカルポーニら3人の逃げ集団ミケーレ・スカルポーニら3人の逃げ集団

 やがて2選手が脱落し、先頭集団は3人に。メーン集団との差は約1分に広がった。一方のメーン集団では約20人が巻き込まれる大クラッシュが発生。この中で最も大きな被害を受けた1人が新城だ。痛みに顔をゆがめ、しばらく起き上がることができない。チームスタッフに支えられて体勢を整えるも、立ち上がれず座り込んでいる状態が続いた。レース復帰することはできずリタイアし、救急車で病院へと搬送された。

 また、この集団落車には新城がアシストしていたローランのほか、前回優勝のサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)、2年前の覇者ダニエル・マーティン(アイルランド、チーム キャノンデール・ガーミン)らも含まれていた。ゲランスにいたっては、再び走り出した直後にまたしても落車。残り37kmを残し、2連覇の夢を諦めることとなった。

 先を急ぐメンバーからはカンゲルトが遅れ、スカルポーニとチャベスの2人に絞られた。メーン集団に対し30秒ほどのリードを保っていたが、残り24kmとなったところで集団に吸収され、レースは振り出しに戻った。

バルベルデとカチューシャ勢の駆け引き

メーン集団から抜け出したロマン・クロイツィゲルメーン集団から抜け出したロマン・クロイツィゲル

 レースは激しさを増し、最後から2つ目の登坂区間であるコート・ド・ラ・ロッシュ・オウ・フォーコン(距離1.5km、平均勾配9.4%)からいよいよ優勝争いに直結する動きが始まった。ロマン・クロイツィゲル(チェコ、ティンコフ・サクソ)がアタックすると、ジャンパオロ・カルーゾ(イタリア、チーム カチューシャ)がチェック。さらにはヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ プロチーム)が加わり、3選手が先行。

 数人の追走グループが形成される場面があったが、エティックス・クイックステップやモビスター チームのアシストがメーン集団を引っ張り、これ以上の抜け出しを許さない。コースでは雨が降りはじめ、路面はウエットな状態になった。

 残り10kmで先頭3人とメーン集団との差は20秒あったが、ラスト5kmで迎える最終盤の勝負どころコート・ド・サン・ニコラ(距離1.2km、平均勾配8.6%)で、バルベルデやセルジオルイス・エナオ(コロンビア、チーム スカイ)ら各チームのエースクラスが自らペースアップを図り、トップに合流した。

 この時点で、フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)、ミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)、ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)といった注目選手たちが脱落。優勝争いは13人に絞られた。

 決定的な攻撃に至らないままラスト1kmのフラムルージュを通過。すると、最後の上りでダニエル・モレノ(スペイン、チーム カチューシャ)が敢然とアタック。集団がお見合い状態となるなか、ただ1人その差を広げていく。残り500mのマーカーが見えたところでバルベルデがペースを上げてモレノを追う。これには、モレノのチームメートであるホアキン・ロドリゲス(スペイン)やジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)が食らいつく。そして、モレノを捉えた先頭集団は10人が一団となって最終コーナーを通過。勝負は小集団スプリントに委ねられた。

 そして最終局面。最後の最後まで脚が残っていたのはバルベルデだった。好ポジションでスプリントを開始すると、ライバルを全く寄せ付けなかった。両手を大きく広げてフィニッシュラインを通過し、歓喜の瞬間を迎えた。

ラ・フレーシュ・ワロンヌとの2冠は9年ぶり

 バルベルデにとって、リエージュ~バストーニュ~リエージュの優勝は7年ぶり3回目。1週間前のアムステルゴールドレースは2位、4日前のラ・フレーシュ・ワロンヌでは優勝と、見事にアルデンヌクラシックの時期に調子のピークを合わせた。なお、ラ・フレーシュ・ワロンヌとの2冠は9年前の2006年にも達成している。

 2位にはラ・フレーシュ・ワロンヌに続きアラフィリップが入賞。プロ2年目で、初めてのアルデンヌクラシック本格参戦ながら、2戦続けて優勝争いを演じる活躍を見せた。3位に続いたのはロドリゲス。チームメートのカルーゾやモレノのお膳立てのもと初優勝を狙ったが、惜しくも届かず。悔しさから、表彰台での表情は曇りがちだった。

(左から)ジュリアン・アラフィリップ、アレハンドロ・バルベルデ、ホアキン・ロドリゲス(左から)ジュリアン・アラフィリップ、アレハンドロ・バルベルデ、ホアキン・ロドリゲス

 日本勢は、新城と別府史之(トレック ファクトリーレーシング)が出場。まさかのアクシデントでレースを去った新城は、左の肩甲骨骨折と頭部を負傷したことが大会主催者によって発表されている。別府も途中でリタイア。レース後にツイッターで「とてもタフなレースだった。序盤に逃げを試みたが、上手くいかなかった。今回はチームに運がなかった」との旨を英語でコメントしている。

 大きな盛り上がりを見せた春のクラシックシーズンが終了。次なる戦いはステージレースへと移っていく。同日に開幕したツアー・オブ・ターキー(トルコ、UCI2.HC)や、28日開幕のツール・ド・ロマンディ(スイス、UCIワールドツアー)には、多数の有力選手が参戦。そして、5月9日には今年最初のグランツールであるジロ・デ・イタリアが開幕する。

文 福光俊介・写真 砂田弓弦

リエージュ~バストーニュ~リエージュ結果
1 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) 6時間14分20秒
2 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ) +0秒
3 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ) +0秒
4 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ) +0秒
5 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、ティンコフ・サクソ) +0秒
6 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +0秒
7 セルジオルイス・エナオ(コロンビア、チーム スカイ) +0秒
8 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +0秒
9 ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ プロチーム) +0秒
10 ダニエル・モレノ(スペイン、チーム カチューシャ) +0秒
DNF 新城幸也(チーム ヨーロッパカー)
DNF 別府史之(トレック ファクトリーレーシング)

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