故・和田力選手に捧げた今季チーム初勝利吉田隼人が集団ゴールスプリントを制す Jプロツアー「群馬CSCロードレース」2日目

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 国内最高峰のロードレースシリーズ「Jプロツアー」の第6戦、「JBCF 群馬CSCロードレース Day-2」が4月26日、群馬県みなかみ町の群馬サイクルスポーツセンター(群馬CSC)で開催された。勝負はメーン集団のゴールスプリント争いとなり、吉田隼人(マトリックスパワータグ)がこれを制してJプロツアー初勝利を挙げた。個人ランキング首位はパブロ・ウルタスン(スペイン、チームUKYO)が守った。
(レポート 米山一輝)

吉田隼人(マトリックスパワータグ)が集団ゴールスプリントを制して今季初勝利吉田隼人(マトリックスパワータグ)が集団ゴールスプリントを制して今季初勝利

 2日間連戦の「ツーインワン」開催となる今回の群馬大会。2日目は6kmのサーキットを20周で争う、120kmの個人ロードレースが行われた。快晴で日差しも強まるなか、22チーム・156人の選手がスタート。群馬CSCのコースは緩めのアップダウンが続く、ジェットコースターのようなスピードコースだ。

レーススタート前。応援団の旗がひるがえるレーススタート前。応援団の旗がひるがえる
レース序盤のアタック合戦レース序盤のアタック合戦

アタック合戦から19人の先頭集団形成

7周目に抜け出した3人7周目に抜け出した3人

 レース序盤はアタックと吸収が繰り返される小競り合い。選手の人数も多く、なかなか決定的な動きは決まらない。

 ようやく7周目、野中竜馬(キナン サイクリングチーム)、高岡亮寛、紺野元汰(イナーメ信濃山形)の3人が抜け出し、これを追った動きから8周目に、土井雪広(チームUKYO)らが加わって11人の先頭集団が形成された。

 しかしチームランキング2位の宇都宮ブリッツェンは、先頭集団に選手を送り込めなかったことで、追走グループを形成する。鈴木真理、阿部嵩之のブリッツェン2人を含む8人ほどが、レース半分の10周目を終えたところで先頭に合流し、先頭集団は19人に膨れ上がった。このほかにも先頭からメーン集団まで1分30秒ほどの間に、いくつかの追走グループが形成され、レースは活性化していった。

19人の先頭グループ19人の先頭グループ
「心臓破りの坂」は絶好の観戦ポイント「心臓破りの坂」は絶好の観戦ポイント
14周目の先頭グループ14周目の先頭グループ

 ランキング上位の有力チームは、それぞれ複数人を先頭集団に送り込んだ。なかでもマトリックスパワータグは、一昨年・昨年とJプロツアーの個人総合で2連覇しているホセビセンテ・トリビオをはじめ、スペイン人3選手が先頭に加わっている。

チームUKYOの手の内? 逃げを潰してゴール勝負へ

 このまま先頭グループが逃げ切るかと思われたが、ここでチームUKYOが、先頭のメンバー構成から不利と判断したのか、後続のメーン集団を強力に牽引。先を行く追走グループを全て吸収し、先頭から50秒差にまで詰め寄った。一方、先頭では15周目の後半にアタックがかかり、逃げ集団は11人に絞られた。ここでは宇都宮ブリッツェンが唯一、2選手(鈴木、阿部)を送り込んで有利な状況だ。

先頭でペースを上げる野中竜馬(キナン サイクリングチーム)をチェックする土井雪広(チームUKYO)先頭でペースを上げる野中竜馬(キナン サイクリングチーム)をチェックする土井雪広(チームUKYO)
15周目に先頭集団が分断。アタックするのはホセビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)15周目に先頭集団が分断。アタックするのはホセビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)
割れた集団の前10人に、下りで単独、阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)が追い付く割れた集団の前10人に、下りで単独、阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)が追い付く
先頭の11人。宇都宮ブリッツェンのみが2人を送り込んだ先頭の11人。宇都宮ブリッツェンのみが2人を送り込んだ

 しかし先頭から後退した8人がすぐにメーン集団に戻ったことで、新たな展開が生まれた。一旦ペースを緩めていたメーン集団が、再び猛烈な追走を開始したのだ。先頭に立つのはチームUKYO、つい先刻まで先頭の逃げ集団を走っていた土井が、別人のようなスピードで猛追する。この結果18周目の途中で、逃げ集団はあっけなく吸収されてしまった。

 その後、集団ではロイック・デリアック(フランス、キナン サイクリングチーム)がアタックを仕掛けるなど、終盤に入ってもスピードは下がらない。ここまで逃げ集団で積極的に展開した有力選手の数人は、このハイペースに耐え切れずメーン集団から脱落することになった。

メーン集団をチームUKYOがペースアップ。大集団が一列棒状にメーン集団をチームUKYOがペースアップ。大集団が一列棒状に
逃げを吸収したメーン集団から、ロイック・デリアック(キナン サイクリングチーム)がアタック逃げを吸収したメーン集団から、ロイック・デリアック(キナン サイクリングチーム)がアタック

 残り1周を前に、チームUKYOがレースの仕上げとばかりにアタックさせたのが、オスカル・プジョル(スペイン)だ。1周近くを単独で逃げ続け、集団を最後まで撹乱させ続ける。

残り1周を前にオスカル・プジョル(チームUKYO)がアタック残り1周を前にオスカル・プジョル(チームUKYO)がアタック
最終周回のバックストレート。まだプジョルが逃げ続ける最終周回のバックストレート。まだプジョルが逃げ続ける

スプリント一閃、吉田がJプロツアー初勝利

ゴールスプリントの勝負の行方は…ゴールスプリントの勝負の行方は…

 プジョルはようやく残り1kmで吸収され、最後は30人弱のメーン集団でのゴールスプリントとなった。集団の露払いとしてスピードを上げるのは土井。チームUKYOが最後までレースを掌握するかと思われたが、次の瞬間、集団中央で勢い良く飛び出したのは、マトリックスパワータグの緑のジャージ、吉田隼人だ。吉田は最後までスピードを維持し、追いすがるチームUKYOの畑中勇介、窪木一茂の2人のスプリンターを寄せ付ず、そのまま先頭でゴールを切った。

 一度後ろを見て、ようやく勝利を確信した吉田はゆっくりとガッツポーズ。マトリックスパワータグに今季初勝利をもたらした。吉田にとっては、国内ツアーでの優勝も今回が初めて。「ずっと勝ちにこだわってきたので、こうして結果を残せて嬉しい」と語り、2013年のツール・ド・台湾第7ステージ以来、2年ぶりの勝利をかみしめた。

ゴールラインを切り、後ろを見て、ようやく手が上がったゴールラインを切り、後ろを見て、ようやく手が上がった
ゴール後、チームメートと抱き合う吉田ゴール後、チームメートと抱き合う吉田

悲しみを乗り越えたマトリックス 和田選手に勝利を報告

ゴールスプリント直前、メーン集団では、アイラン・フェルナンデス(中央)が、吉田のために絶好の位置をキープしたゴールスプリント直前、メーン集団では、アイラン・フェルナンデス(中央)が、吉田のために絶好の位置をキープした

 チームの安原昌弘監督は、「チーム全員の勝利」と語る。めまぐるしい展開に各選手が反応し、後半の先頭グループではトリビオが攻撃を仕掛け、最後にゴールスプリント勝負が濃厚になってからは、吉田のためにチーム全体で完璧な布陣を敷いた。「皆がやるべきことを分かっていて、信頼し合えている状態。チームができて10年、今が一番チームワークが良い」と胸を張った。

 ゴール後、選手とスタッフは目を赤らめ、抱き合って勝利を喜んだ。そしてチームテントに飾っていた和田力選手の写真を持ち出し、勝利を報告。和田選手は今年3月、練習中の事故で亡くなり、今回の連戦初日にあたる4月25日が四十九日だったという。「和田がおるうちに勝ちたかったんや。ここから巻き返していくから、絶対見ていてほしい」という安原監督。悲しみを乗り越えたチームの、さらなる躍進を誓った。

目を赤らめ、和田選手の写真を中心に集まったチームの選手・スタッフ目を赤らめ、和田選手の写真を中心に集まったチームの選手・スタッフ
P1表彰。(左から)2位の畑中勇介、優勝の吉田隼人、3位の窪木一茂P1表彰。(左から)2位の畑中勇介、優勝の吉田隼人、3位の窪木一茂
Jプロツアーリーダーは変わらずオスカル・プジョル(右、チームUKYO)、U23リーダーは新城雄大Jプロツアーリーダーは変わらずオスカル・プジョル(右、チームUKYO)、U23リーダーは新城雄大

P1結果(120km)
1 吉田隼人(マトリックスパワータグ) 2時間55分40秒
2 畑中勇介(チームUKYO) +1秒
3 窪木一茂(チームUKYO)
4 パブロ・ウルタスン(チームUKYO)
5 小森亮平(アイサンレーシングチーム)
6 サルバドール・グアルディオラ(チームUKYO)
7 水野恭兵(キナン サイクリングチーム)
8 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)
9 鈴木真理(宇都宮ブリッツェン)
10 河賀雄大(ヴィクトワール広島)

Jプロツアーリーダー(ルビーレッドジャージ)
パブロ・ウルタスン(チームUKYO)

U23リーダー(ピュアホワイトジャージ)
新城雄大(那須ブラーゼン)

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