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子育て満点バイク in アジア<14>自転車旅トークが咲く宿 世界中のサイクリストが集まるシンガポールの「Tree in Lodge」

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 シンガポールは世界一物価が高いと言われています(英誌「エコノミスト」調査部門エコノミスト・インテリジェンス・ユニット「EIU」調べ)。屋上の巨大なプールが有名なマリーナベイサンズ、歴史あるラッフルズホテルなどは1泊数万円はしますし、外に飲みに出かけたら生中が1杯千円、ワイン1本5千円、軽いつまみのつもりで頼んだナッツが千円(!?)なんてことも。なので、てっきりシンガポールにはバックパッカー文化なんてないと思っていたのですが、2千円くらいから泊まれる宿を調べてみると――あるある! 今回はそんな宿へ行ってきました。

全員が自転車旅行中という顔ぶれの「Tree in Lodge」宿泊客。左からドイツ人カップル、バックパッカー女性、世界をめぐるオーストリア人サイクリスト、SKさん、ヨーロッパの男性、筆者、自転車冒険家の西川昌徳さん全員が自転車旅行中という顔ぶれの「Tree in Lodge」宿泊客。左からドイツ人カップル、バックパッカー女性、世界をめぐるオーストリア人サイクリスト、SKさん、ヨーロッパの男性、筆者、自転車冒険家の西川昌徳さん

“ちゃんとした”アジアの文化

 私にとっての“ちゃんとした”アジアとは、タイやインドネシアなどの混沌としてにぎやかな場所。さらにそんな町に良くも悪くも適当で、おちゃめな愛すべき人がたくさんいるイメージです。手頃な価格の宿の存在も欠かせません。

 シンガポールで見つけた中でも、旅系サイクリストにとって一度は訪れてみたいのが、「Tree in Lodge」。「タイからシンガポールまで2500kmを自転車で旅をしてきたばかり」という自転車冒険家の西川昌徳さんから、「ぜひ宿のオーナーに会ってみて」と紹介され、行ってきました。

「Tree in Lodge」宿泊中のサイクリストたちの自転車が並ぶ「Tree in Lodge」宿泊中のサイクリストたちの自転車が並ぶ
サイクリストたちの写真はすてきなインテリアサイクリストたちの写真はすてきなインテリア

 Tree in Lodgeは「サイクリストにフレンドリー」とうたっていて、なんと世界旅行中のサイクリストは宿代が半額になります。Facebookやブログなどで紹介されるなど口コミで広がり、世界中から日々サイクリストが訪れているのだそうです。

 またTree in Lodgeは町のほぼ中心にあり、セントーサ島やチャイナタウンなど主要な観光地までバスで5分という好立地。HDBという公団住宅の一角にあり、特に大きなビルというわけではありません。エントランス前には数台の自転車が止まっていて、中には大きなキャリアをつけた自転車も。これは期待できそう。

宿の壁にはサイクリストたちの写真と記事がびっしりと貼られていた宿の壁にはサイクリストたちの写真と記事がびっしりと貼られていた

2万3000kmの自転車旅がオープンのきっかけ

入口にとめてあったSKさんの自転車。なんとここに子どもを乗せる!入口にとめてあったSKさんの自転車。なんとここに子どもを乗せる!

 オーナーのSKさんは、メガネをかけた小柄な男性。会話はもちろん英語ですが、日本語で「そうそうそうそう」と相槌を打ってくれる親しみやすい人でした。私が訪れた日には、西川さんのほかに、全員が自転車旅行中という顔ぶれが宿泊していました。20年以上25万kmを旅しているオーストリアから来た男性、3カ月のアジア旅行をしているドイツ人カップル、ヨーロッパからおよそ1年かけて走ってきたという男性…皆さん、こんがり焼けてさわやかです。

 SKさん自身もサイクリストです。かつて、友人と2人で1年半をかけてフィンランドからシンガポールまでの2万3000kmの「北極圏から赤道自転車旅」をした経験が、この宿をオープンさせるきっかけになったと言います。

 なぜここに、こんなにも旅系サイクリストが集まってくるのでしょうか? その理由は、マレー半島の最南端というシンガポールの位置にあります。多くのサイクリストが、ゴールまたはスタート、または次の大陸への経由地に設定しているのです。

旅ごころくすぐる世界地図旅ごころくすぐる世界地図
階段横には自転車のチューブが階段横には自転車のチューブが

宿のインテリアには旅自転車がいっぱい

旅人が置いていった自転車もインテリアに旅人が置いていった自転車もインテリアに

 Tree in Lodgeには、これまで訪れたサイクリストたちの写真や、一時帰国をする旅人が置いていった自転車、スペアのチューブやパーツがあちこちに飾ってありました。キッチンには、サイクリストが大好きなバナナを常備。自転車で訪れた私も、ちゃっかり1本いただきました。

 宿泊中の皆さんと話をしていると、「テントで寝ていたらハイエナに囲まれちゃってさー」「私なんてサソリがテントの下にいたよ」など、日常とは違った話ができて久しぶりにわくわくしました。

 「世界はそんなに大きくない。キロメーターで測れる距離を超えて友情は結ばれる」と話すSKさん。私のモットーである「自転車は世界を繋ぐ」と共通した思いがあり、嬉しくなりました。ここに日本からのサイクリストも迎えられたらなぁ。

山田美緒山田美緒(やまだ・みお)

サイクリストとして世界中を旅した経験から一般社団法人コグウェイを設立し、「四国ディスカバリーライド」「コグウェイin台湾」などを主催。著書に、アフリカ大陸縦断記をまとめた『マンゴーと丸坊主』、女性サイクリストたちとの旅や交流の体験記『満点バイク』がある。2014年3月よりシンガポール在住。ブログ「満点バイク」を掲載。

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