別府、新城はアシストの任務果たし完走“ユイの壁”での激坂決戦はバルベルデに軍配 ラ・フレーシュ・ワロンヌ2連覇を達成

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 アルデンヌクラシック3連戦の2戦目にあたる、ラ・フレーシュ・ワロンヌ(UCIワールドツアー)が4月22日にベルギー・ワロン地方で開催され、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)が昨年に続く2連覇、通算3度目の優勝を果たした。この大会の名物である激坂“ユイの壁”での優勝争いは、ラスト200mでバルベルデが見せた急加速によって決着した。

2連覇を達成したアレハンドロ・バルベルデ2連覇を達成したアレハンドロ・バルベルデ

大会初登場「コート・ド・シュラーヴ」が新たなスパイスに

「ユイの壁」を上るメーン集団「ユイの壁」を上るメーン集団

 例年200km前後のレース距離が設定されるこの大会。今年は205.5kmで争われた。主催者A.S.O.が発表した登坂区間は11カ所と、前年と同数ではあるものの、コースの変化に伴い通過順も変動した。おなじみの「ミュール・ド・ユイ(ユイの壁)」は3回通過。登坂距離1.3km、平均勾配9.3%、最大勾配26%の激坂が選手たちを待ち受けた。さらに今回は、ゴール前5.5km地点に登坂区間「コート・ド・シュラーヴ」が初登場。登坂区間1.3km、平均勾配8.1%と、データ上ではユイの壁と類似しており、新たなアタックポイントになる可能性が指摘されていた。

 レースは199選手が出走してスタート。11km地点で7選手による逃げ集団が形成された。各登坂区間を1位通過した選手に賞金が与えられるルールが設定されているため、序盤は逃げメンバーが交代でトップを確保するシーンも見られた。メーン集団に対するリードは、22km地点で最大8分となったのを境に少しずつ縮小していった。

落車が多発 マーティン、ジルベール、フルームらが巻き込まれる

 激しいレースになることは予想されたが、今回は「落車の大会」となってしまった。レース中盤からは有力チームがメーン集団前方に位置し、ペースを上げていったが、次々に落車が発生。ユイの壁1回目の上り(118km地点)の入口では、ダニエル・マーティン(アイルランド、チーム キャノンデール・ガーミン)が他選手と接触して落車。再び走り始めたものの、その後リタイアしている。

 残り50kmを切ったところでは、フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)、ジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレック ファクトリーレーシング)らが落車。アレドンドはすぐに走り出したが、ジルベールは着ていたジャージのいたるところが破れ、激しく路面に打ち付けられたことがすぐに分かる状態だった。痛みをこらえて一度はバイクに跨ったが、リタイアを決断した。

 その後も落車は後を絶たず、残り40km地点では数選手がコース脇の側溝に落ちる事態に。2回目のユイの壁を前にした残り30km地点では、実力者のイェーレ・ヴァネンデル(ベルギー、ロット・ソウダル)、アレクセイ・ツァテヴィッチ(ロシア、チーム カチューシャ)らが落車しリタイアした。

 また、勝負どころに向けてスピードが上がっていた残り12km地点で、クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)ら数選手がクラッシュ。フルームは何とかレースに復帰したものの、集団からは大きく遅れ、完走を目指すのみとなってしまった。

メルクス氏に並ぶ3勝目は「この上ない喜び」

先行するジョヴァンニ・ヴィスコンティ(右)とルイスレオン・サンチェス先行するジョヴァンニ・ヴィスコンティ(右)とルイスレオン・サンチェス

 レース展開が動きを見せたのは、ユイの壁2回目を通過した176.5km地点。メーン集団からジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター チーム)とルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ プロチーム)が抜け出し、その後逃げ集団に合流。189km地点の登坂区間コート・デレフでは、序盤からの逃げメンバーを置き去りにし、2人でリードを広げた。一方のメーン集団では、ティージェイ・ヴァンガードレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)、ルイ・ヴルヴァーク(ベルギー、ロット・ソウダル)がアタックして追走を試みるが、この動きは失敗に終わる。

 好ペースで先行するヴィスコンティとサンチェス。実績豊富な2人がメーン集団に対し18秒のリードを持って、注目のコート・ド・シュラーヴを迎えた。しかし、エティックス・クイックステップを中心に集団のペースを上げ、前を行く2人を吸収。すると、今度はヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)がアタック。これにはロマン・クロイツィゲル(チェコ、ティンコフ・サクソ)、ジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)がしっかりとチェックした。

メーン集団から飛び出したティム・ウェレンスメーン集団から飛び出したティム・ウェレンス

 そして、一瞬ペースが緩んだ隙を突いて、猛然と飛び出したのはティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル)。ジャンパオロ・カルーゾ(イタリア、チーム カチューシャ)が追うが、下りを利用しさらにスピードに乗ったウェレンスは後続を寄せ付けない。

 メーン集団に14秒のリードでラスト1kmのフラムルージュを通過したウェレンス。いよいよ最後のユイの壁。泣いても笑ってもここで勝負が決する。

 快調に見えたウェレンスだが、上りに入ると失速。あっという間にメーン集団に飲み込まれてしまった。代わって前方に顔を見せたのは、バルベルデやミヒャエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)といった有力選手たち。来たるアタックポイントに備え、位置取りも重要だ。

 残り200m。勾配が厳しい場面で加速したのはバルベルデだった。この大会と相性抜群のスパニッシュクライマーがついに本領発揮。ライバルたちの追随を許さず、ゴールまで数十メートル残して早くも優勝を確信してガッツポーズを繰り出した。

 前大会で8年ぶりの優勝を飾ったバルベルデ。その時とほぼ同様の勝ち方で2連覇を達成した。大会連覇はモレノ・アルゼンティン(イタリア)以来24年ぶり、史上4人目。また、通算3回目の優勝はエディ・メルクス(ベルギー)らと並ぶ大会史上5人目の快挙だ。

(左から)ジュリアン・アラフィリップ、アレハンドロ・バルベルデ、ミヒャエル・アルバジーニ(左から)ジュリアン・アラフィリップ、アレハンドロ・バルベルデ、ミヒャエル・アルバジーニ

 バルベルデはレース後の記者会見で、「落車が多く、緊張感が漂うレースだった」と振り返った。3回目の優勝については、「偉大なエディ・メルクス氏と並んだことはこの上ない喜びだ」と口にした。

 なお、2位には22歳の新鋭アラフィリップが食い込み、3位にアルバジーニが続いた。3日前のアムステルゴールドレースを制したミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)は、最終局面までメーン集団に位置したが、勝負には絡めず33位に終わっている。

集団前方でエースの位置取りをサポート

エースを集団前方へ送り込んだ別府史之エースを集団前方へ送り込んだ別府史之

 今大会には別府史之(トレック ファクトリーレーシング)、新城幸也(チーム ヨーロッパカー)の2人が参戦。ともにレース後半までメーン集団の前方をキープする様子が見られた。

 別府はバウケ・モレマ(オランダ)のアシストとして集団内のポジション確保に努めた。ゴール後、自身のツイッターで「中盤から終盤にかけてチームメートのポジション取りをしてチームリーダーのバウケ・モレマを2度目のユイの坂の前に(集団の)前へ連れていってアシストの仕事を終えた」とコメント。路面状態が悪く、危険なレースであったことにも触れた。

スタート前の新城幸也スタート前の新城幸也

 新城もアシストとしてエースのピエール・ローラン(フランス)を最終局面へと送り込んだ。そのローランは最後のユイの壁で好位置をキープし、バルベルデから13秒差の14位でフィニッシュ。新城の貢献度の大きさがうかがえる結果となった。

 ともに完走し、新城がバルベルデから2分16秒差の67位、別府は13分20秒差の126位(全完走者133人)。26日のリエージュ~バストーニュ~リエージュにも揃って出場する見通しだ。

 また、男子に先駆けて開催されたラ・フレーシュ・ワロンヌ・ファムス(女子レース)は121kmで争われ、アンナ・ファンデルブレッヘン(ラボ・リヴ ウィメンズサイクリング)が3時間18分46秒で初優勝。日本人としてただ1人出場した萩原麻由子(ウイグル・ホンダ)は4分31秒差の39位でフィニッシュした(全完走者106人)。

 春のクラシックの最後を飾るのは、4月26日に開かれる世界最古のクラシックレース、リエージュ~バストーニュ~リエージュ。レースは253kmで争われ、アムステルゴールドレースを制したクフィアトコフスキー、ラ・フレーシュ・ワロンヌを勝ったバルベルデらを軸に展開することが予想される。

文 福光俊介・写真 砂田弓弦

ラ・フレーシュ・ワロンヌ結果
1 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) 5時間8分22秒
2 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ) +0秒
3 ミヒャエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ) +0秒
4 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ) +0秒
5 ダニエル・モレノ(スペイン、チーム カチューシャ) +0秒
6 アレクシー・ヴュイエルモーズ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +4秒
7 セルジオルイス・エナオ(コロンビア、チーム スカイ) +4秒
8 ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ プロチーム) +4秒
9 トムイェルト・スラフトール(デンマーク、チーム キャノンデール・ガーミン) +4秒
10 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、チーム ロットNL・ユンボ) +4秒
67 新城幸也(チーム ヨーロッパカー) +2分16秒
126 別府史之(トレック ファクトリーレーシング) +13分20秒

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