「ジャイアント」主催の台湾からのツアーに同行北陸新幹線で富山の今を感じるサイクリングへ 雪解け水とホタルイカ、春祭りへの誘い

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 2015年3月の北陸新幹線開通により、東京からおよそ2時間で到達できるようになった富山県。空路では富山空港と台北を結ぶ直行便もあり、春先には「立山黒部アルペンルート」の雪の壁を見ようと台湾から来訪する観光客も多い。一気に身近な存在になった富山県に、世界最大の自転車ブランド「ジャイアント」が率いる台湾からのツアーがやってきた。記者は一行と共に、ごちそうや絶景サイクリング、華麗な北陸の文化を体験してきた。

東京~富山間は北陸新幹線でおよそ2時間。おいしくすがすがしいサイクリングをしてきました=JR東京駅(写真・中林正二郎)東京~富山間は北陸新幹線でおよそ2時間。おいしくすがすがしいサイクリングをしてきました=JR東京駅(写真・中林正二郎)

立山連峰に見守られるルート

愛車に乗って富山の道を駆ける劉麗珠さん(写真・中林正二郎)愛車に乗って富山の道を駆ける劉麗珠さん(写真・中林正二郎)

 台湾からやって来たのは、ジャイアントを取り扱うサイクルショップのオーナーや、メディア関係者ら約30人。その筆頭格は、ジャイアント創業者の娘で、自転車文化を広める台湾のNPO団体「自行車新文化基金會」のCEOを務める劉麗珠(リュウ・リージュ)さんだ。

 今回、台湾からのツアーの手配や引率は、サイクリングツアーを専門とするジャイアントグループの旅行会社「捷安特(ジャイアント)旅行社」が担った。安全な走行を支えるサポートやツアーガイドとしての役割だけでなく、スタート前の集合写真や準備運動まで完ぺきにこなしていたのが印象的だった。

サイクリングを翌日に控えた準備室で各自マシンの用意をする台湾のメンバー(写真・中林正二郎)サイクリングを翌日に控えた準備室で各自マシンの用意をする台湾のメンバー(写真・中林正二郎)
出発前に念入りに準備運動をする台湾からのメンバー(写真・中林正二郎)出発前に念入りに準備運動をする台湾からのメンバー(写真・中林正二郎)
「つるぎ 恋月」を出るとすぐ、朝日に浮かぶ立山連峰のシルエットに迎えられた(写真・柄沢亜希)「つるぎ 恋月」を出るとすぐ、朝日に浮かぶ立山連峰のシルエットに迎えられた(写真・柄沢亜希)
およそ70kmのサイクリングには女性や子供も参加(写真・中林正二郎)およそ70kmのサイクリングには女性や子供も参加(写真・中林正二郎)

 スタートは、標高2999mの剣岳をはじめとする立山連峰を東南に望む旅館「つるぎ 恋月」。山々に見送られて――と思っていたら、用意されていたのは走行中、雪を残した山々にずっと見守られながら走るルートだった。

 道が荒れてるのは雪のせい、あるいは大型車が通るせいなのか。雪の影響を減らすための側溝にかぶさるグレーチング(鉄格子)が多いのも、タイヤが細いロードバイクで走る身には気になった。ただし息が上がるほどの上りはほとんどなく、左右に広がる水田では、田植えの準備が着々と進められていた。雪解け水が勢い良く流れる川や、水田地帯を走る用水路になみなみと満ちた水が、春を感じさせる。

左手に立山連峰を望みながら走るサイクリング(写真・中林正二郎)左手に立山連峰を望みながら走るサイクリング(写真・中林正二郎)
休憩ポイントではジャイアントのスタッフがすかさず補給所を設置(写真・中林正二郎)休憩ポイントではジャイアントのスタッフがすかさず補給所を設置(写真・中林正二郎)
上市町のキャラクター「つるぎくん」は大人気(写真・中林正二郎)上市町のキャラクター「つるぎくん」は大人気(写真・中林正二郎)

 向かい風が強く吹き付けても、左に居並ぶ雄大な山の景色を見れば萎えかけた気力もよみがえった。加えて、仲間と走れる影響も大きい。時に声を掛け合い風に立ち向かいながらペダルを回していると、白鷺が1羽、ライダーたちの前を横切り田んぼへふわりと舞い降りた。

■「Lytro Illum(ライトロ イルム)」の画像について

 ライトロ社のカメラ、ライトロ イルムで撮影した画像は、撮影後にピント位置を変えられる点が最大の特徴です。「Cyclist」では今回初めてライトロ イルムの画像を掲載しました。マウスのクリック、スマホの場合画面のタッチで背景・前景といったピント調整を楽しんでください。

“ヒルクライマー住職”を訪ねて

日石寺で「六本滝」の“修行”にチャレンジする男性陣に歓声が上がった(写真・柄沢亜希)日石寺で「六本滝」の“修行”にチャレンジする男性陣に歓声が上がった(写真・柄沢亜希)

 上市町で725年に開かれた日石寺(にっせきじ)は、立山連峰の裾野に位置し、山岳信仰の一端を担ってきた。日石寺をサイクリングで訪れれば、ちょっとしたヒルクライムを味わうことができる。休憩の合間に滝修行にチャレンジする男性ライダーを横目に、Cyclist記者は本堂でサイクリングの安全を祈願した。

女性ライダーは安全なライドを本堂で祈願(写真・中林正二郎)女性ライダーは安全なライドを本堂で祈願(写真・中林正二郎)
町家が並ぶ八尾エリアの訪町本通り(写真・中林正二郎)町家が並ぶ八尾エリアの訪町本通り(写真・中林正二郎)
「越中八尾観光会館」の曳山展示館を訪れた一行(写真・中林正二郎)「越中八尾観光会館」の曳山展示館を訪れた一行(写真・中林正二郎)

 富山市中心部の南に位置する八尾エリアは、かつて養蚕で栄えた地域だ。石畳が敷かれた諏訪町本通りは、江戸時代のたたずまいを残した町家が並び、趣がある。散走用のレンタサイクルには、坂をクリアできるように電動アシスト自転車が用意されている。

 八尾では5月3日、高さ7.5m、重さ4tもある山車「曳山(ひきやま)」を引き回す「越中八尾曳山まつり」が開かれる。「越中八尾観光会館」の曳山展示館で、実際に曳山を見ることができた。絢爛豪華な金の装飾が、往時のこの地域の繁栄を思わせる。

豪華絢爛な曳山を前に説明をする谷井里美さん(写真・中林正二郎)豪華絢爛な曳山を前に説明をする谷井里美さん(写真・中林正二郎)

 展示館ガイドの谷井里美さんは、「270年前から続く春を祝う祭りで、曳山は地区ごとに全部で6台。それぞれに異なるご神像が鎮座する。現在、車輪をひとつ新調すると600万円ほどかかる高価なつくり」と説明してくれた。

瑞龍寺の仏殿で住職・四津谷道宏さんの話を聞く一行(写真・中林正二郎)瑞龍寺の仏殿で住職・四津谷道宏さんの話を聞く一行(写真・中林正二郎)

 高岡市の瑞龍寺は370年ほどの歴史を持ち、仏殿・法堂・山門が国宝に、総門などが重要文化財に指定されている。本堂の仏殿は、大黒柱に樹齢600年のケヤキが用いられ、寄せ木細工の小箱のような内装が美しい。また、国内ではここと金沢城のみという鉛の瓦屋根が採用されている。

 瑞龍寺の住職・四津谷道宏さんは、実はサイクリスト。「近くの自転車店でつい買ってしまった」というロードバイクで日々ヒルクライム“修行”をこなしているという。

国宝に指定されている瑞龍寺山門へ向かい歩く一行(写真・中林正二郎)国宝に指定されている瑞龍寺山門へ向かい歩く一行(写真・中林正二郎)
瑞龍寺の仏殿前で記念撮影(写真・中林正二郎)瑞龍寺の仏殿前で記念撮影(写真・中林正二郎)

 富山の魅力がはっきりと伝わったてきたこの日のサイクリング。不安なく走行できたのは、プロMTBライダー、門田基志さん(チーム ジャイアント)らが入念に設計したルートや、当日のガイドスキル、そして捷安特旅行社の持つガイドのノウハウによるところが大きい。自転車の素晴らしさに加え、乗り物としての経験やスキルの重要性を改めて感じた。

尽きない海のごちそう

 富山は、海の恵のごちそうにあふれている。記者が訪れた際は、「桜の見頃と同じ」と言われるホタルイカのシーズン真っ盛り。朝・昼・夜のどの食事にも、ぷりぷりの身のホタルイカが食卓に上った。

サイクリング中の昼食にも刺身が並んだ(写真・中林正二郎)サイクリング中の昼食にも刺身が並んだ(写真・中林正二郎)
珍しいホタルイカのしゃぶしゃぶ(写真・柄沢亜希)珍しいホタルイカのしゃぶしゃぶ(写真・柄沢亜希)
ホタルイカを軽く湯にくぐらせて食べるしゃぶしゃぶ(写真・中林正二郎)ホタルイカを軽く湯にくぐらせて食べるしゃぶしゃぶ(写真・中林正二郎)
浴衣に着替えて宴会が始まった(写真・中林正二郎)浴衣に着替えて宴会が始まった(写真・中林正二郎)

 ほかにも、魚の刺身やカニ、白エビ料理、貝料理が惜しみなく供された。夜、宴会場ではブリをお造りにする実演が行われ、国内・台湾双方のサイクリストから歓声が上がり、シャッターが切られた。魚が出汁に使われるご当地ラーメン「富山ブラックラーメン」が朝食に登場したのは驚きだった。

「つるぎ 恋月」では女性客が好きな浴衣を選べるサービスがあった(写真・中林正二郎)「つるぎ 恋月」では女性客が好きな浴衣を選べるサービスがあった(写真・中林正二郎)
豪華な着物をまとい、MTBプロライダーの門田基志さん(チーム ジャイアント)と並んで写る劉麗珠さん(写真・中林正二郎)豪華な着物をまとい、MTBプロライダーの門田基志さん(チーム ジャイアント)と並んで写る劉麗珠さん(写真・中林正二郎)
ブリを目の前で砂漠パフォーマンスに興味津々(写真・中林正二郎)ブリを目の前でさばくパフォーマンスに興味津々(写真・中林正二郎)

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