工具はともだち<70>スポーツの質を左右する「歯」のために 進化したインプラント専用トルクレンチ

  • 一覧
今回ご紹介するのは、この小さなトルクレンチ「ニュートン-1」今回ご紹介するのは、この小さなトルクレンチ「ニュートン-1」

 今年は桜の季節があっという間に過ぎてしまったな…、と思ったら、東京では季節外れのみぞれや雪が降りました。春の天気は変わりやすいとはいうものの、こんなに寒暖差が出るのは珍しいですね。体調を崩されている方も、いらっしゃるのでは?楽しいライドや、きつめのトレーニングをしたい、なんて時は体調を万全に備えたいもの。筋肉をほぐすウォーミングアップも重要ですが、ここ一番で食いしばる、歯のケアをしておきたいですよね。

選手の人工歯がレース中に外れるハプニング

 アスリートの方々に対してのあるアンケートでは、回答者の約70%が一年に一回は、定期的な健診を行っているとか。なぜなら、歯の痛みが競技に影響を与えたと感じられた方が多いのだそうです。痛みは、せっかくの実力を発揮できなくなるつらい要因になります。歯磨きなどでのケアはもちろんですが、虫歯を治療することも必要となってきますよね。その一つとして「歯科インプラント」という方法があります。

ツール・デ・フランドルに出場したズデニェック・シュティバル選手(中央)。上の前歯が抜けてしまっている(写真・砂田弓弦)ツール・デ・フランドルに出場したズデニェック・シュティバル選手(中央)。上の前歯が抜けてしまっている(写真・砂田弓弦)

 4月5日にベルギーで行われた世界的なレース「ツール・デ・フランドル」では、この大会に臨んだ優勝候補の一人、ズデニェック・シュティバル選手(チェコ、エティックス・クイックステップ)のインプラントの人工歯が抜け落ちるハプニングが起こりました。どうやら、インプラントの固定に問題があったようです。インプラントは簡単に説明すると、あごの骨と生物的に結合させた人工歯根に、歯の土台部分をネジ方式などで接続し、その上に人工歯を固定する方法です。

 もう、みなさんイメージがわいてきましたよね。皆さんの愛車にパーツを取り付ける時と同様に、このインプラント体を取り付ける時も、決まったトルクでの締付けが重要なのです。「口の中にトルクレンチを入れるの!?」と驚かれるかもしれませんが、実は専用のトルクレンチが存在するのです。

医師の力加減をより正確に

 インプラント体の固定に関しては長い間、歯科医たちの力加減での締め付けが行われていました。熟練医師の力加減であれば、患者も安心して治療を受けることができていました。とはいっても人間の力加減ですから、体調や治療姿勢、そして患者の状態によっては、微妙な力加減にズレが発生してしまうこともあったようです。

インプラント体を固定するためのKTCのトルクレンチ「ニュートン-1」。リアルタイムのトルク値と最大トルクのピーク値を表示するインプラント体を固定するためのKTCのトルクレンチ「ニュートン-1」。リアルタイムのトルク値と最大トルクのピーク値を表示する

 そんなリスクを少しでも減らし、みなさんに安心していただこうと、KTC(京都機械工具)から「newton-1」(ニュートンワン)という工具が生まれました。これは、今までにご紹介してきた製品の技術を応用、進化させました。今後ますます発展を目指す工具の分野として、第一弾ともいえるアイテムです。

 ビーム型、プレセット型のどちらとも異なる構造で、ラチェットレンチ接続部に備え付けられたセンサが、手動のトルクコントロール量を検知します。それがトルク測定装置によって演算され、リアルタイムのトルク値と最大トルクのピーク値をデジタル表示できるので、念願だった熟練ドクターの力加減が、数値として見える形になりました。

 愛車のコンディションを整えていただく時と同様に、愛車を楽しむための体にも工具が必要なんですね。

小池覚(こいけ・さとる)

KTC(京都機械工具)へ入社後、販売企画や商品開発に携わる。学生時代から二輪、四輪が趣味で、整備経験が豊富。自転車は実は始めたばかりだが、工具のプロとして、サイクリストにも整備の“いろは”を伝えることに燃えている。

この記事のコメント

利用規約順守の上ご投稿ください。

関連記事

この記事のタグ

KTC 工具はともだち

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

  • タイム
    アルプデュエズ01 ディスク

    ディスクブレーキで伝統の走りを進化

  • リブ
    AVAIL ADVANCED

    走る好奇心を止めない リブの新型‟無敵”ロードバイク

  • インプレッション一覧へ

    連載