日本チームがフェアプレーで連携中島康晴がツアー・オブ・タイランドで総合2連覇達成 内間康平と日本人総合ワン・ツー

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 ツアー・オブ・タイランドは最終日の4月6日、第6ステージが行われ、ゴールスプリントを制したパク・ソンベク(韓国、KSPO)がステージ優勝。またこの日、個人総合成績トップでスタートした中島康晴(愛三工業レーシング)は、途中で落車しながらも集団でゴールし、大会連覇となる総合優勝を果たした。内間康平(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム)が総合2位となり、日本人選手が総合成績でワン・ツーを獲得した。 (文 田中苑子・写真 Peloton Images Asia

ツアー・オブ・タイランドで2連覇した愛三工業レーシング。(左から)早川朋宏、綾部勇成、中島康晴、平塚吉光、伊藤雅和ツアー・オブ・タイランドで2連覇した愛三工業レーシング。(左から)早川朋宏、綾部勇成、中島康晴、平塚吉光、伊藤雅和

第4ステージで中島康晴が総合首位に浮上 先頭集団で逃げ切り逆転

最終日に大会最長の難コース

 第6ステージはノーンカーイからウドンターニまで、今大会最長の209kmで争われた。前日までは幅の広い一本道のコースが多かったが、この日はアップダウンが続くやや狭い道が多く、中盤は街のなかを縫うようにカーブが連続する箇所もあった。

スタートラインに並んだ中島康晴(愛三工業レーシング)ら、レースリーダースタートラインに並んだ中島康晴(愛三工業レーシング)ら、レースリーダー
スタートサインに向かう内間康平(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム)スタートサインに向かう内間康平(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム)
第5ステージを終えて、イエロージャージに袖を通す中島第5ステージを終えて、イエロージャージに袖を通す中島
厳しかった第5ステージを終えて、マッサージを受ける中島厳しかった第5ステージを終えて、マッサージを受ける中島
「今日の補給食!」ブリヂストンアンカーの安見マッサー「今日の補給食!」ブリヂストンアンカーの安見マッサー

 前日の第5ステージは、中盤過ぎまで逃げが決まらずに常にアタックを繰り返すハードな展開で、どの選手も疲れていたこともあり、この日はレースが始まるとすぐに秋丸湧哉(シマノレーシング)を含む6選手が先行。総合リーダーの中島を擁する愛三工業レーシングをはじめ、主要チームは総合上位の選手が乗っていないことを確認すると、逃げを容認した。

 リーダーチームの愛三工業レーシング、団体成績を狙うソウルサイクリングなどが集団をコントロールし、逃げとのタイム差を3分から4分でキープ。そして個人総合成績で4秒差の2位につける内間を擁するブリヂストンアンカー サイクリングチームは、総合成績の逆転を狙い、集団の後方で攻撃を仕掛けるタイミングを図っていた。

逃げに乗った秋丸湧哉(シマノレーシング)逃げに乗った秋丸湧哉(シマノレーシング)
逃げている選手のタイム差を確認する中島康晴(愛三工業レーシング)逃げている選手のタイム差を確認する中島康晴(愛三工業レーシング)
愛三工業レーシングがコントロールするメーン集団愛三工業レーシングがコントロールするメーン集団
タイののどかな小さな町を通り抜けるタイののどかな小さな町を通り抜ける
沿道では足止めをくったタイ名物のトゥクトゥク沿道では足止めをくったタイ名物のトゥクトゥク

攻撃を仕掛けたブリヂストンアンカー

 そして、120kmをすぎた横風区間で、ブリヂストンアンカーが攻撃を開始。しばらくするとアタック合戦となり、メーン集団は先行していた6選手を吸収した。一方、前日に引き続き序盤からレースをコントロールしていた愛三工業レーシングは、選手たちに疲れが見え始め、アシスト勢が後方に取り残された。ブリヂストンアンカーにとっては狙い通りの展開に。井上和郎は「総合逆転をかけた大きなチャンスだった」と振り返る。

作戦どおりアタックを仕掛ける井上和郎(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム)作戦どおりアタックを仕掛ける井上和郎(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム)
落車により負傷しながらもゴールをめざす中島落車により負傷しながらもゴールをめざす中島

 しかし、リーダージャージを着る中島が、残り40km地点でクラッシュしてしまう。中島はケガを負いながらも、すぐに復帰したが、ブリヂストンアンカーはフェアプレーの観点から、一度攻撃を止めて中島の復帰を確認。その後、愛三工業レーシングとブリヂストンアンカー、そしてシマノレーシングも協力して先頭を捕えると、残り距離も少なくゴールスプリントの展開となった。

 内間としては、ステージ優勝でボーナスタイムを獲得すれば、総合成績の逆転も可能だった。しかし結果は、アジア屈指のスプリンター、スンベクと、彼のチームメートのセオ・ジュニョン(韓国、KSPO)のワンツーフィニッシュとなり、内間はボーナスタイム圏外の5位でゴールした。

レース終盤、何度もアタックがかかるレース終盤、何度もアタックがかかる
KSPOによるワンツーフィニッシュとなった第6ステージKSPOによるワンツーフィニッシュとなった第6ステージ

内間はフェアに戦って2位 優勝の中島は「去年以上の喜び」

個人総合成績2位でレースを終えた内間個人総合成績2位でレースを終えた内間

 「今日は総合成績で勝つことだけを考えていたが、中島が落車したタイミングで踏んでいくのはイヤだった。こういうときは日本人で協力しないといけないと思い、みんなで先頭を捉え、ゴールスプリントに賭けたが、残り200メートルでちょっと躊躇したときに、脚が止まってしまった。位置取りが悪く、チャンスを生かせなかったのは残念。でもチームメートには本当に感謝している。初日にリーダーを取ったときからここまで、本当に良く支えてくれた」と、レースを終えた内間は悔しさをにじませながらも、チームメートに感謝した。

 一方の中島は、「落車したときは、すべてを失ったと思った」と話すが、チームメートやブリヂストンアンカー、利害の一致するチームに助けられ、痛々しい傷とともに集団内でゴール。総合優勝を獲得し、ツアー・オブ・タイランド2連覇となった。

 「去年は最終日にリーダーになったが、今年はレースの途中にリーダーとなり、最終日までチームメートたちが守ってくれた。去年も嬉しかったが、去年以上の喜びがあり、格別な気分」と話す。

痛々しい傷を負ってゴールした中島痛々しい傷を負ってゴールした中島
ゴール後に傷の手当をする中島。痛みに耐え走り抜いた。右は西谷泰治コーチゴール後に傷の手当をする中島。痛みに耐え走り抜いた。右は西谷泰治コーチ

 今回の大会で指揮をとった愛三工業レーシングの西谷泰治コーチは、「誰でも総合を狙える布陣で挑んだ。そして第1ステージで中島が(総合上位に入る逃げを)決めたので、チーム一丸となって中島をアシストし、4人はそれぞれの仕事をした。最高の結果だと思う。誇りに思う」と今大会を振り返った。

◇         ◇

 中島康晴の個人総合優勝、そして内間康平の2位。今回は敵として戦った2選手だが、実は今季、日本ナショナルチームのチームメートとしてアジア選手権、ツール・ド・台湾を戦ってきている。勝ち負けの世界ではあるが、最後まで懸命に、ときには助け合いながら戦って、日本人選手として総合成績1位、2位という成績を残したことに、賞辞を贈りたい。

個人総合優勝の中島康晴(愛三工業レーシング)と2位の内間康平(ブリヂストンアンカー)が表彰台で握手を交わす個人総合優勝の中島康晴(愛三工業レーシング)と2位の内間康平(ブリヂストンアンカー)が表彰台で握手を交わす


最終個人総合成績
1 中島康晴(愛三工業レーシング) 21時間29分43秒
2 内間康平(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム) +4秒
3 チェン・キンロー(香港、チーム ホンコンチャイナ)
46 トマ・ルバ(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム) +7分36秒
51 井上和郎(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム) +8分51秒
62 アイラン・フェルナンデス(マトリックスパワータグ) +10分14秒
64 伊藤雅和(愛三工業レーシング)
65 ホセビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)
69 早川朋宏(愛三工業レーシング)
76 吉田隼人(マトリックスパワータグ)
84 秋丸湧哉(シマノレーシング) +11分21秒
87 木村圭佑(シマノレーシング) +12分55秒
88 椿大志(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム) +13分04秒
93 ダミアン・モニエ(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム) +16分15秒
94 入部正太朗(シマノレーシング) +17分05秒
103 平塚吉光(愛三工業レーシング) +20分53秒

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2015ツアー・オブ・タイランド 田中苑子

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