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Peloton Images Asia「アジアを撮る」<3>内外メディア100人を招くツール・ド・ランカウイ 絶大な知名度を誇る大会の広報戦略とは

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 3月8日から15日までマレーシア全土を使ってアジア最高峰のステージレース、ツール・ド・ランカウイが開催されました。今年で20回目の開催を迎えたこの大会は、アジアだけでなくヨーロッパでも絶大な知名度を誇ります。その背景には、ヨーロッパでの本格的なシーズンに先駆けて開催されるので、これまでにたくさんの有名選手やプロチームが調整を兼ねて出場してきた歴史もありますが、それ以上に、ツール・ド・ランカウイがいつも“メディア”を重要視する大会運営を行っているからだとも言えます。

荘厳なモスクの前からスタートした第2ステージ荘厳なモスクの前からスタートした第2ステージ
スタート前のセルフィータイムスタート前のセルフィータイム
今大会で活躍が目立ったカレブ・イーウェン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)今大会で活躍が目立ったカレブ・イーウェン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)

露出を重視し、多数のメディアを招待

仮装した子どもに囲まれた選手。スタート地点での一コマ仮装した子どもに囲まれた選手。スタート地点での一コマ

 レースを開催する目的には様々なものがありますが、ツール・ド・ランカウイは、大手企業をスポンサーにつけて、大会の報道をとおして、スポンサー企業に広告効果を得てもらうことを大切にしています。より多くのスポンサーを獲得するためには、より多くの露出と、それに伴う広告効果が大切となります。つまり、主催者たちは多くのメディアに取材してもらいたいと考え、その結果、ツール・ド・ランカウイは毎年国内外からたくさんのメディアを招待しています。もちろん、私を含め、日本から取材に行くメディアは概ね主催者の招待を得ています。

ビーチからスタートした第5ステージ。ゆったりとした気分でスタートを待つコロンビア人選手たちビーチからスタートした第5ステージ。ゆったりとした気分でスタートを待つコロンビア人選手たち
沿道でレースを観戦する地元の小学生たち沿道でレースを観戦する地元の小学生たち

 今年は開催期間が例年よりも遅く、ヨーロッパでの主要レースがすでに始まってしまっていたため、例年と比較すると取材に来た欧米メディアの数は少なかった印象です。それでも海外から30人ほど、そしてマレーシア国内からも50人を越える大勢のメディアが取材し、部分的な取材を含めると今年は約100人に取材パスを発行したそうです。そして大会側はすべてのホテル代、そして海外メディアについては飛行機チケットまで負担しました。

クーラーボックスの上にあぐらをかいて、スタート準備クーラーボックスの上にあぐらをかいて、スタート準備
レース前に水分補給をする福田真平(愛三工業レーシング)。毎日、暑いレースが続いたレース前に水分補給をする福田真平(愛三工業レーシング)。毎日、暑いレースが続いた
スタート前に首に氷を当ててクールダウンを行うスタート前に首に氷を当ててクールダウンを行う
マレーシアの人気選手、ロー・シーキョンが地元の友人たちとセルフィーマレーシアの人気選手、ロー・シーキョンが地元の友人たちとセルフィー
メディアを乗せたたくさんのオートバイが選手たちを追い越していくメディアを乗せたたくさんのオートバイが選手たちを追い越していく

取材現場を支える、キメ細かいメディアサポート

表彰式を撮影するメディア。ツール・ド・フランスにも負けないくらいのメディア数を誇る © Pulse MediaComminucations表彰式を撮影するメディア。ツール・ド・フランスにも負けないくらいのメディア数を誇る © Pulse MediaComminucations

 たくさんのメディアが招待されるツール・ド・ランカウイですが、その素晴らしい点は、大勢のメディアを仕切るハンドリングにもあります。メディアのハンドリングを行っているのは、第1回大会から大会に関わっているというゲイリーと彼のビジネスパートナーであるシャーロンのわずか2人。彼らが大会中は30人のアルバイトスタッフを雇い、すべてのメディアがトラブルなく取材できる環境を整えてくれます。

 たとえば大会中、ローカルメディアと運転に問題のない海外メディアは3~4人に1台のメディアカーを渡してもらいます。キーを渡され、基本的にはすべて自由。ガソリン代や高速代もあとから精算してくれ、自分たちの好きなように取材することができます。またそれ以外のメディアは運転手付きのメディアバンでレースに帯同していきます。

毎日表彰式が終わると、横で開催されるプレスカンファレンス。基本的にマレー語の通訳はナシ。英語と選手の母国語で行われる © Pulse MediaComminucations毎日表彰式が終わると、横で開催されるプレスカンファレンス。基本的にマレー語の通訳はナシ。英語と選手の母国語で行われる © Pulse MediaComminucations
中間スプリント地点で選手たちを待つコミッセールたち。みんな笑顔だ中間スプリント地点で選手たちを待つコミッセールたち。みんな笑顔だ

 フォトグラファーやビデオグラファーについては、毎日合計15台のオートバイが用意されます。最大限、不満不平の出ないようなローテーションを組み、みんなでシェアしていきます。ドライバーたちはみな英語が通じますし、毎年レースに帯同するベテランドライバーが多い印象です。そしてオートバイに乗って、ゴールラインに着くと、スタッフたちがヘルメットを預かってくれ、冷たい水まで用意してくれるキメの細かいサポート体制があります。

分配されるのを待つメディアカーとたくさんのバン。バンはメディアにもチームにも分配される © Pulse MediaComminucations分配されるのを待つメディアカーとたくさんのバン。バンはメディアにもチームにも分配される © Pulse MediaComminucations
毎朝オートバイ班のボスがフォトグラファーたちにオートバイを割り振る © Pulse MediaComminucations毎朝オートバイ班のボスがフォトグラファーたちにオートバイを割り振る © Pulse MediaComminucations
レースを終えて、お店の軒先でクールダウンする選手たちレースを終えて、お店の軒先でクールダウンする選手たち

ツール・ド・ランカウイが育む、メディア同士の絆

 今年は20回目の記念大会となりましたが、無事に開催に行きつくまで、じつは主催者が変わるという一騒動がありました。新しい主催者たちは、最初はゲイリーたちに仕事を振らず、自分たちでメディアのハンドリングをやろうと試みたようですが、案の定ギブアップ。「11月になって、急に連絡がきて、一緒にやることになったけど、本当に時間がなかったから大変だった……」というシャーロン。でも私たちメディアは、彼らがレース運営に戻ってきてくれたと聞いて、大きく肩を撫で下ろしました。彼女たちの素晴らしい仕事抜きでは、今のツール・ド・ランカウイはあり得ません。

崖の上で選手たちを待つダニエルとテレビプロダクションで働くロスラン。すべてのメディアがフレンドリーだ崖の上で選手たちを待つダニエルとテレビプロダクションで働くロスラン。すべてのメディアがフレンドリーだ

 たくさんのメディアが招待されるツール・ド・ランカウイに、私は心から感謝しています。なぜなら私たちメディアにとって、様々な国の同業者たちと知り合い、1週間以上ものあいだ、一緒に働くという環境は本当に貴重なものです。私たちはレースが終わるとメディアセンターで仕事をし、同じホテルに宿泊するので、みんなで食事をします。ここから、たくさんのネットワークや、仕事を越えた友情も生まれました。私たちの「Peloton Images Asia」にしても、ツール・ド・ランカウイがあったからこそ誕生したようなものなのです。

(文 田中苑子・写真 Peloton Images Asia、Pulse MediaComminucations)

水を頭から被ってクールダウンするアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、サウスイースト)水を頭から被ってクールダウンするアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、サウスイースト)

■Peloton Images Asia(プロトンイメージスアジア)

 自転車レース写真等を配信するアジア発のイメージバンク。UCIアジアツアーの主要レースをカバーしながらも、ヨーロッパで走るアジア人選手にもフォーカス。イメージバンクとしての機能だけでなく、アジアの自転車競技界に精通する1つのメディアとして情報発信も行っていく予定。サイトでは誰でも写真の閲覧、購入(クレジットカードを利用したPayPal決済)が可能。 www.pelotonimages.asia

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