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SankeiBiz【ビジネスのつぼ】より親子で楽しむプラモデル感覚の二輪車 「ストライダー」人気の秘密

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 ペダルとブレーキのない米国生まれの二輪車「ストライダー」に、“イクメン”の父親らがはまっている。2007年に米国で発売以来、世界累計販売台数は2月に100万台を突破し、うち約30万台が日本で売られた。子供の成長に感動したり、プラモデルのように部品の選択・組み立てをしたりして、親子の絆が深まると好評だ。

無駄のないデザイン

色や部品を選び、自分好みのストライダーにできることで人気を集めている色や部品を選び、自分好みのストライダーにできることで人気を集めている

 ストライダーは、米国に住むライアン・マクファーランドさんが2歳の息子のために市販の自転車を改造して作ったのが始まりだ。最初、補助輪付きの自転車を買い与えてみたものの、2歳児にはペダルをこぐことができず、車体も重すぎて乗ることができなかった。

 そこで、マクファーランドさんは、ペダルやブレーキを外し、フレームの余計な部分を切って溶接するなどして、幼児でも操作できるように軽量化した。車体が軽く、両足がしっかり地面に踏ん張れる構造になっていれば、ブレーキがなくても止まれると考えたのだ。足で地面を蹴って進むストライダーの原型が誕生した瞬間だった。

 市販されたストライダーは、無駄をそぎ落としたシンプルなデザインが特長で、重量は3.0kgと軽量だ。また、転倒時にハンドルがロックされて子供に衝撃が加わることを避けるため、ハンドルが360度回転する設計とした。ストライダーに乗ることで、バランス感覚の向上が期待できる。

ストライダーのデザインについて「これ以上ないぐらいシンプルで実に潔い」と語る豆魚雷の岡島和嗣社長ストライダーのデザインについて「これ以上ないぐらいシンプルで実に潔い」と語る豆魚雷の岡島和嗣社長

 米国人の父親と同じくストライダーに魅力を感じたのが、玩具・書籍の輸入卸売業「豆魚雷」の岡島和嗣社長だ。岡島さんは、親にスマートフォンを与えられた子供が室内で遊ぶ姿を見て、「子供とモノとの間だけで完結してしまい、親など他者が入り込む余地が少なくなっている」と、漠然とした不安を感じていた。

 そんなとき、米国でストライダーが販売されていることを知り、当時2歳の長男に買い与えた。最初はサドルにまたがったままでよちよち歩きだった長男が、1週間程度で地面から両足を離して乗るようになった。岡島さんは「転んでもまた立ち上がって乗り出す姿を見て、たくましく思った」とわくわくした。

 「同じような不安を抱える親にもこの感動を伝えたい」と、米ストライダースポーツインターナショナルに電子メールで直談判。2009年8月、日本で唯一の正規輸入代理店「ストライダージャパン」の地位を獲得した。

口コミやメディアで浸透

 このころ、日本ではストライダーの知名度はほとんどなく、「流通経路の開拓もゼロから」(岡島さん)という手探りの状態だった。自転車販売店に営業に行ったとき、「何ですかこれ?」とけげんそうな顔をされたこともあった。

 しかし、横浜市内で雑貨店をしていた先輩が取り扱ってくれたことなどをきっかけに、「おもしろい乗り物がある」などと、口コミやメディアを通じて浸透した。子供の外遊びの時間が少ないことや、体力低下が社会問題となっていたことも後押しした。国内の累計販売台数は2010年度の約2万台から、13年度には20万台と急速に増えた。

 ストライダーというモノを売る発想ではなく、親と子供が一緒に楽しめるコンテンツを追求したこともヒットした要因だ。バイクやプラモデルなどが好きな日本の父親の趣味性に着目。米国本社に要請してハンドルやホイールなどの部品の色を増やしてもらい、19万通りの組み合わせができるようにした。

 岡島さんは「父親が工具を使ってハンドル交換した日には、子供は『パパ、かっこいい!』となる。父親の自己満足にとどまらず、子供とも価値観を共有できる」と狙いを明かす。電車などの交通機関で移動する日本ならではの事情に配慮し、持ち運びしやすいよう専用のキャリーバッグも発売した。

 また、“世界最年少の二輪レース”とうたい、2歳児から出場できる「ストライダーカップ」を2010年に日本で初めて開催。14年は4カ所で開かれ、計約2000人が参加した。年に1度、世界大会も行われている。

2歳から参加できる“世界最年少の二輪レース”がストライダーカップだ2歳から参加できる“世界最年少の二輪レース”がストライダーカップだ

 「小さい子供だからこそ見せてくれる、さまざまなドラマもある」(岡島さん)。親にとっては、子供の成長を感じる有意義なイベントとなっている。

 2013年12月に発売された「ストライダープロ」は、主要部品に軽量アルミを採用し、従来品に比べ800~900グラム軽くすることに成功した。岡島さんは「『シンプルで軽く』のコンセプトをそのままにして、さらに進化してほしい」。そう話すと、子供を持つ父親の表情に戻った。 (産経新聞経済本部 鈴木正行)

◇         ◇

【企業NOW】スキー場で滑走できる「雪上版」も登場

 米ストライダースポーツインターナショナルは2012年11月から、“雪上版”「スノーストライダー」を世界同時発売した。

専用の器具で車輪を固定し、そりを装着するだけで雪上を楽しめる「スノーストライダー」専用の器具で車輪を固定し、そりを装着するだけで雪上を楽しめる「スノーストライダー」

 雪上で子供たちが自分でコントロールして遊べる乗り物だ。豆魚雷の岡島和嗣社長は「雪遊びの代表格であるそりは、基本的には『乗せられる』乗り物で、あまりコントロールが効かない。スノーストライダーなら、子供が自分でコントロールすることの楽しみを感じてくれる」と話す。

 ストライダーと同様、2013年冬から競技会などのイベントを国内で開催。「アルペンスキーを意識して」(岡島さん)、今冬は1人ずつコースを滑って計測する試みを実施した。

 岡島社長は2、3歳の子供がスキーやスノーボードなどのスノースポーツを始めようとする場合、滑るより先に覚えることがあると考えている。転んだときの立ち上がり方もその一つ。スノーストライダーなら、転んでもそのまま立ち上がって車体を起こすだけでよい。また、「歩くのに不便なブーツを履く必要もなく、長靴で大丈夫という手軽さも人気の理由では」と明かす。

 現在、全国30~40カ所のスキー場で滑走できる。スキーやスノーボード人口が低迷する中、若い家族連れをスキー場に呼び戻すツールとして期待できそうだ。


■豆魚雷
【創業】1995年12月
【本社】東京都杉並区高円寺南4-5-7
【資本金】1000万円
【売上高】14億5300万円(2014年3月期)
【従業員数】18人

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