現地レポート by 田中苑子<前編>地元で愛され世界でランクアップをめざす「ツール・ド・台湾」 日本から3チームが参戦

  • 一覧

 伝統あるステージレース「ツール・ド・台湾」(UCI2.1)が3月22日、「加油(ジャイヨウ)~!」(頑張れ)と大歓声が響く中、台北のシティホール前からスタートした。今回で27回目の開催で、計5ステージで争われる。台湾は現在、世界の自転車産業の中心に位置する国。「GIANT(ジャイアント)」や「MERIDA(メリダ)」など世界的な自転車メーカーの本拠地で、高級カーボンフレームからスモールパーツ、塗装に至るまで、自転車にまつわるありとあらゆる技術で世界をリードしている。そんな台湾で唯一開催されている国際レースが、このツール・ド・台湾。今も昔も多くの人に愛される大会である。

「ツール・ド・台湾」第1ステージが3月22日に行われ、選手らがランドマーク「台北101」ををバックに走り抜けた「ツール・ド・台湾」第1ステージが3月22日に行われ、選手らがランドマーク「台北101」ををバックに走り抜けた

難関山岳を新設 アジアトップクラスの大会へ

浅田顕監督と日本ナショナルチームのメンバー。UCIポイント獲得をめざす浅田顕監督と日本ナショナルチームのメンバー。UCIポイント獲得をめざす

 世界屈指の自転車大国にふさわしいようにと、主催者サイドはUCIアジアツアーにおける「超級」(HC)ランクへの昇格を目指す。2016年実現へ前段階として、今年は第4ステージ(3月25日)に標高2571mの「超級山岳」、阿里山国家風景区での山頂ゴールが組み込まれた。レース期間中は悪天候の予報があり、山頂での気温では1度前後とも予想され、厳しいクイーンステージとなりそうだ。

 2015年の大会は、台湾の北から南に向かって島の西側を南下していく全5ステージ。総走行距離は586.43kmで、17カ国から集まった110選手が参戦する。毎年日本からも参戦があるが、今年は内間康平(ブリヂストンアンカー)、中島康晴(愛三工業レーシング)、佐野淳哉(那須ブラーゼン)、入部正太郎(シマノレーシング)、中根英登(愛三工業レーシング)から成る日本ナショナルチームを筆頭に、「宇都宮ブリッツェン」「チームUKYO」と、計3つのチームがスタートラインに並んだ。

出走サインをする増田成幸(宇都宮ブリッツェン)。登坂ステージでエースを担う出走サインをする増田成幸(宇都宮ブリッツェン)。登坂ステージでエースを担う
スタート地点で笑顔をみせる土井雪広(チームUKYO)。台湾企業が今大会限定のスポンサーとなり、チームの出場をバックアップしているスタート地点で笑顔をみせる土井雪広(チームUKYO)。台湾企業が今大会限定のスポンサーとなり、チームの出場をバックアップしている
スタートラインに並んだ内間康平(日本ナショナルチーム/ブリヂストンアンカー)スタートラインに並んだ内間康平(日本ナショナルチーム/ブリヂストンアンカー)

 2014年の同大会で、アジア人として最高位でゴールしアジアンリーダー賞を獲得した内間には、台湾人ファンも多い。内間は、「脚の調子はいいので、チームでしっかりと協力して少しでも多くのUCIポイントを稼いで帰りたい。ステージ優勝を狙っていくのと、佐野さんと中根さんで総合上位も狙っていく」とレースへの抱負を語った。

ブリッツェンの増田は総合優勝を狙う

 第1ステージは、台北の中心部にある観光名所「台北101」の麓を駆け抜ける平坦コース、52kmの短い周回レースとなった。前日に閉幕したアジア最大の自転車ショー「台北インターナショナル サイクルショー」の盛り上がりを引き継いだスタート。今にも雨が降り出しそうな重たい曇り空の下でのレースとなったが、終始ハイスピードで展開した。

24歳のスプリンター、ワウテル・ウィッパート(オランダ、ドラパック プロフェッショナル)24歳のスプリンター、ワウテル・ウィッパート(オランダ、ドラパック プロフェッショナル)
高層ビル「台北101」をバックにツール・ド・台湾がスタートした高層ビル「台北101」をバックにツール・ド・台湾がスタートした
先頭を走る台湾の人気選手フェン・チュンカイ(台湾ナショナルチーム/ランプレ・メリダ)。今季は台湾人初のUCIワールドチーム所属選手となった先頭を走る台湾の人気選手フェン・チュンカイ(台湾ナショナルチーム/ランプレ・メリダ)。今季は台湾人初のUCIワールドチーム所属選手となった

 最後は今年1月の「ツアー・ダウンアンダー」(オーストラリア)で、格下チームながらステージ優勝を挙げた24歳のワウテル・ウィッパート(オランダ、ドラパック プロフェッショナル)が圧勝。総合リーダーの証となるイエロージャージに袖を通した。

ワウテル・ウィッパート(オランダ、ドラパック プロフェッショナル)が集団ゴールスプリントを制したワウテル・ウィッパート(オランダ、ドラパック プロフェッショナル)が集団ゴールスプリントを制した
中央が総合リーダーとなったワウテル・ウィッパート(オランダ、ドラパック プロフェッショナル)中央が総合リーダーとなったワウテル・ウィッパート(オランダ、ドラパック プロフェッショナル)
壇上にあがるチームUKYOのメンバー。土井雪広と窪木一茂のほか、オスカル・プジョルら新加入の3人の外国人選手がスタートした壇上にあがるチームUKYOのメンバー。土井雪広と窪木一茂のほか、オスカル・プジョルら新加入の3人の外国人選手がスタートした

 日本人選手の最高位は窪木一茂(チームUKYO)の9位で、10位に中島が続いた。チームUKYOを指揮する片山右京監督は今季のUCIレース初戦を終えて、「(メンバーが入れ替わり)今年は新しいチームになった。去年みたいに、強い選手だけに頼るのではなく、チームワークを生かして結果を出していきたい。外国人選手は、チームへの合流が遅かったこともあり、まだ練習段階。今日もいろいろ試したけれど、うまくいかない部分もあって残念賞。このあと、みんなでコミュニケーションを深めて反省点などを話し合い、次に生かしていきたいと思う」と振り返った。

 宇都宮ブリッツェンは、2011年の「ヘラルド・サン・ツアー」(オーストラリア)以来となる海外遠征であり、当時の出場メンバーは現チームには誰もいない。それでも清水裕輔監督は、「海外でのレース経験が豊富なメンバーばかりで、今日のレースでみんな手応えを掴んだと思う。チームはの目標は、増田成幸の総合優勝。第4ステージの超級山岳の上りは長いけれど傾斜はさほどきつくはないので、少人数に絞られた集団での勝負になれば、増田にも十分チャンスがある。明日の上りゴールから、先に仕掛けてアドバンテージを稼いでいきたい」と勝利への展望を力強く語った。

台北市内で見かけるレンタサイクル「U-Bike」。観光客だけでなく、市民の足として定着している台北市内で見かけるレンタサイクル「U-Bike」。観光客だけでなく、市民の足として定着している

 宇都宮ブリッツェンは、国内ロードレースシリーズ「Jプロツアー」で2回優勝し、その次の目標として、日本を代表するチームとして世界のレースで活躍することを掲げる。まずは1つ目のステップとして、アジアツアーをターゲットに定めた。宇都宮と台湾とのあいだに友好な観光交流関係があったことも、今回のツール・ド・台湾参戦をバックアップしたのだと言う。

◇         ◇

 23日の第2ステージは1級山岳、24日の第3ステージは3級山岳、第4ステージは超級と、カテゴリー山岳での登坂ゴールが続く。圧倒的な登坂力をもつ2つのイランチームが有力視されているが、実力者揃いの日本勢の活躍も期待したい。

文・写真 田中苑子

田中苑子田中苑子(たなか・そのこ)

1981年、千葉生まれ。2005年に看護師から自転車専門誌の編集部に転職。2008年よりフリーランスカメラマンに転向し、現在はアジアの草レースからツール・ド・フランスまで、世界各国の色鮮やかなサイクルスポーツを追っかけ中。2015年、アジアのフォトグラファー仲間と共に、アジアのレース写真を中心としたイメージバンク『Peloton Images Asia』を設立した。

この記事のコメント

利用規約順守の上ご投稿ください。

関連記事

この記事のタグ

UCI チームUKYO 台湾 宇都宮ブリッツェン 日本ナショナルチーム 田中苑子

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載