春の到来を告げるクラシックレースデゲンコルプがゴールスプリントでミラノ~サンレモ初制覇 表彰台で大粒の涙

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 春のクラシックレースシーズンの幕開けとなる「ミラノ~サンレモ」が3月22日、イタリアで開催され、ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、チーム ジャイアント・アルペシン)が初優勝を果たした。30人ほどに絞られた集団ゴールスプリントの中、ひときわ力強い走りでライバルたちを退けた。

ジョン・デゲンコルプがゴールスプリントの末、ミラノ~サンレモ初優勝を飾ったジョン・デゲンコルプがゴールスプリントの末、ミラノ~サンレモ初優勝を飾った

293kmの超長距離コース

 数あるクラシックレースの中でも特に距離が長く、今回は293kmのコースが設定された。イタリア語で“ラ・プリマヴェーラ(春)”の愛称を持ち、この大会を機にサイクルロードレースシーズンは春のクラシックが本格化する。

海岸沿いを走るメーン集団海岸沿いを走るメーン集団

 平坦基調のレイアウトで、スプリンターズクラシックとしての呼び声が高い。とはいえ、実際は集団スプリントばかりではなく、終盤にアタックした選手たちが逃げ切って勝利を収めることも少なくない。そのポイントとなるのが、ラスト30kmを切ってから迎える「チプレッサ」(登坂距離5.6km、平均勾配4.1%、最大勾配9%)と「ポッジオ」(登坂距離3.7km、平均勾配3.7%、最大勾配8%)の2つの丘だ。

序盤は強い雨が降った序盤は強い雨が降った

 スタート時は雨。これでこの大会3年連続の悪天候だ。そんななか、逃げを試みたのはマッテーオ・ボーノ(イタリア、ランプレ・メリダ)、ステファノ・ピラッツィ(イタリア、バルディアーニ・CSF)ら11人。一時はメーン集団に10分以上の差を付けたが、徐々にその差は縮まっていき、残り100kmを切ったあたりからは4分から5分のタイム差で推移していく。

 ゴールまで約40kmで迎えたカポ・ベルタの上りで、逃げ集団から遅れる選手が出始め、上り終える頃には4人にまで減った。追うメーン集団は、チーム スカイを中心にペースアップ。逃げ集団とのタイム差を縮小させるだけでなく、メーン集団の絞り込みも図った格好だ。

スカイとBMCがレースをリード

 ところが、その後の下りで落車が続出。メーン集団では数選手が絡むクラッシュがあり、なかでもクリストファー・ユールイェンセン(デンマーク、ティンコフ・サクソ)が額から流血するなど大けがを負った。また、集団コントロールに加わっていたサルヴァトーレ・プッチョ(イタリア、チーム スカイ)も滑りやすい路面にタイヤを取られ落車。これがきっかけで、プッチョの前を走っていたルーク・ロウ、ゲラント・トーマス、ベン・スイフト(いずれもイギリス、チーム スカイ)の3人がメーン集団を引き離し、前を行く選手たちを追いはじめる。

 いよいよ終盤のポイントとなるチプレッサの上りへ。その途中で、先行していたボーノやチーム スカイの3選手らはメーン集団に吸収された。前回優勝のアレクサンドル・クリツォフ(ノルウェー、チーム カチューシャ)やマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)ら優勝を狙う有力スプリンターも、上りで何とか集団に食らい付き、終盤の勝負どころに備えた。

集団から抜け出したゲラント・トーマス(先頭)とダニエル・オス集団から抜け出したゲラント・トーマス(先頭)とダニエル・オス

 残り18kmとなったところでダニエル・オス(イタリア、BMCレーシングチーム)とトーマスが集団から抜け出し、そのまま2人は逃げを図った。メーン集団では、ランプレ・メリダ、チーム カチューシャ、ティンコフ・サクソといった有力スプリンターを擁するチームが追撃を開始。残り10kmを切り、15秒差でポッジオの上りへ突入した。

最後の丘、ポッジオの上りでアタックしたフィリップ・ジルベール(先頭)最後の丘、ポッジオの上りでアタックしたフィリップ・ジルベール(先頭)

 すると、残り約7.5kmでトーマスがペースアップし、単独先頭へ。それを追うメーン集団では、オスが吸収されると同時にチームメートのフィリップ・ジルベール(ベルギー)がアタック。その後、次々に仕掛ける選手が現れたが、ライバルを置き去りにするには至らない。結局、トーマスを含め約30選手が連なって下り、サンレモ市街へ。ゴールまで約2kmにわたる平坦路を残すのみとなった。

「モニュメント」制覇は特別

 ルカ・パオリーニ(イタリア、チーム カチューシャ)を先頭にラスト1kmのフラムルージュを通過すると、いよいよ勝負はゴールスプリントに。ローマ通りに入り、最初に仕掛けたのはクリツォフ。しかし、残り100mからグングン加速したのはデゲンコルプだ。生き残った有力スプリンターがいまひとつ伸びを欠いたなか、ここ一番で力を発揮し、6時間を超える長丁場のレースを制した。

表彰式で涙を流すジョン・デゲンコルプ表彰式で涙を流すジョン・デゲンコルプ

 これまで数多くの勝利を収めてきたデゲンコルプだが、クラシックレースの中でも古い歴史と伝統を持つ「モニュメント」と呼ばれるレースで優勝するのは初めて。ゴール直後のインタビューでは、「(39位に終わった)昨年は不本意だったが、その1年後に最高の結果が得られてうれしい。モニュメント制覇は特別。ラストの飛び出しはパーフェクトだった」とコメント。表彰式ではドイツ国歌を聴きながら、大粒の涙を流した。

 2連覇を目指したクリツォフは2位。チプレッサの上りでは苦しそうな表情を見せていたものの、ポッジオではパオリーニの絶妙なアシストもあり、勝利にあと一歩のところまで立て直した。3位には、終盤に好ポジションをキープしたマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)が入った。

左から2位のアレクサンドル・クリツォフ、優勝したジョン・デゲンコルプ、3位のマイケル・マシューズ左から2位のアレクサンドル・クリツォフ、優勝したジョン・デゲンコルプ、3位のマイケル・マシューズ

 レースが進むにつれて天候は回復したものの、濡れた路面で落車トラブルが多発。ポッジオの下りでは、2013年の優勝者ゲラルト・ツィオレク(ドイツ、MTN・クベカ)や世界チャンピオンのミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)、ズデニェック・シュティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ)、フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)といった有力選手たちが相次いで落車。不本意な形で優勝争いから脱落する選手が目立った。

 この大会を終え、春のクラシックシーズンはベルギー・フランドル地方へ。パヴェ(石畳)や急坂が舞台となる“北のクラシック”へと移ってゆく。

文 福光俊介・写真 砂田弓弦

ミラノ~サンレモ結果
1 ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、チーム ジャイアント・アルペシン) 6時間46分16秒
2 アレクサンドル・クリツォフ(ノルウェー、チーム カチューシャ) +0秒
3 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
4 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
5 ニッコロ・ボニファジオ(イタリア、ランプレ・メリダ)
6 ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス ソリュシオンクレディ)
7 ファビアン・カンチェッラーラ(スイス、トレック ファクトリーレーシング)
8 ダヴィデ・チモライ(イタリア、ランプレ・メリダ)
9 トニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル)
10 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、MTN・クベカ)

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