来季はAJOCC公式戦を目指す盛り上がりをみせた「東海シクロクロス」 砂の最終戦は雨中のマッチレースに

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 冬場のサイクルスポーツとしてすっかり定着したシクロクロス。シーズン中は毎週のように全国各地でレースが開催されている。2013年2月にスタートした「東海シクロクロス」シリーズは、今シーズン4会場で全7戦が開催され、来季には国内の公式戦といえる日本シクロクロス競技主催者協会(AJOCC)認定大会を目指している。東海シクロクロスの現在の盛り上がりを知ろうと、3月1日に行われたシリーズ最終戦の会場、愛知県稲沢市のワイルドネイチャープラザを訪れた。
(レポート 中尾亮弘) 

大雨に祟られながらも多くのライダーが集まった東海シクロクロス・最終戦大雨に祟られながらも多くのライダーが集まった東海シクロクロス・最終戦

ベルギーのコクサイデを思わせる難コース

ブースで温かいコーヒーを提供するBUCYO COFFEEブースで温かいコーヒーを提供するBUCYO COFFEE

 大会当日はあいにくの大雨となったが、東海地方だけでなく関西からも参加者が続々と集まった。この日のレースにエントリーしたのは267人。出店ブースでは参加者の期待に応えるべく、東海地域を中心に各地のサイクルイベントで“濃いコーヒー”が評判を得ているBUCYO COFFEE(ブチョーコーヒー)が朝から温かいコーヒーを出して参加者の体を温めていた。

 木曽川のほとりにあるワイルドネイチャープラザのコースは、かつての河川氾濫の名残と思われる目の細かい砂が、公園のグラウンドと土手に広がる。砂丘のような景色は、シクロクロス・ワールドカップで砂のコースとして有名なベルギー・コクサイデを彷彿とさせる。

大きなレースのポイントとなった砂のダウンヒル区間大きなレースのポイントとなった砂のダウンヒル区間
砂区間は押しも乗車も、それぞれテクニックが重要砂区間は押しも乗車も、それぞれテクニックが重要
大雨でコースの砂は締まった状態になった大雨でコースの砂は締まった状態になった

 砂の区間が長いため、シクロクロス特有の「砂の走り方」、すなわち砂の路面で乗車するテクニックや乗る・担ぐの判断といった部分が重要になると思われたが、大雨で砂が固められ、トップレーサーが出場するC1カテゴリーでは容易に乗車できるほどになっていた。

 しかし砂丘の区間は傾斜地にあるため、上り・下りの走り方でテクニックの差が出やすく、乗車できるとはいえ勝負のポイントであることに変わりはない。ほかに木々の間を抜ける区間もあり、観戦ポイントが多いコースだ。

砂の丘を担いで上る選手たち砂の丘を担いで上る選手たち
平坦な箇所は木々の間を縫うレイアウト平坦な箇所は木々の間を縫うレイアウト
シクロクロス特有のシケイン(障害物区間)もあるシクロクロス特有のシケイン(障害物区間)もある

砂を制した池本真也 本場仕込みのテクニックを披露

 最上級クラスのC1は、全日本マウンテンサイクリング in 乗鞍の元チャンピオンで、東海のライダーにはお馴染みの筧五郎(56cycle)と、本場ヨーロッパでのシクロクロス経験が豊富な池本真也(和光機器)の2人が、序盤からパックを形成して後続を引き離した。

C1クラスで競り合った筧五郎(左、56cycle)と池本真也(和光機器)C1クラスで競り合った筧五郎(左、56cycle)と池本真也(和光機器)

 7周回となったレースは、さらに雨足が強まって過酷な状況となったが、それでも地足のある筧とテクニシャンの池本による攻防戦は変わらない。2人は先頭を入れ替わりながら周回を重ね、勝負はラストラップにまでもつれ込んだ結果、砂の上りで先頭に出た池本が徐々に筧を引き離し、さらに下り区間で一気に差を広げて勝利をもぎ取った。

 横浜から参戦した池本は、「今日のコースはアップダウンのある、国内では珍しいコンディションの砂のコースだったので、とても楽しみにしていた。下りの砂を走るのに轍を使うのが楽しかった。雨だったので砂が締まっていたが、晴れていればまた違う展開になったと思う」とコースの感想を語った。

長年培ったシクロクロステクニックでコースを走る池本真也(和光機器)長年培ったシクロクロステクニックでコースを走る池本真也(和光機器)
優勝した池本真也(和光機器)優勝した池本真也(和光機器)

 また初参戦だったという東海シクロクロスについて、池本は「もっとローカルだと思っていたが、しっかり運営されていて、来て良かったと思った。また参加したい」と好印象を語った。

現役選手が作るコース ワールドカップも意識

コース設計をして自身も走る筧太一さんコース設計をして自身も走る筧太一さん

 シリーズの全てのコース設計は、BUCYO COFFEEの代表で、AJOCC年代別チャンピオン(マスターズ王者)の経験もある筧太一さんが行う。自らコース設営で杭を打ち、当日はブースで調理して、さらにC1のレースを走る。あらゆる面から東海シクロクロスを盛り上げる立役者だ。

 筧さんは今回のコース設計について、「前回(同会場で開催した第5戦)は砂丘の区間を1カ所の長い担ぎ区間にしてしまい、レースとして面白くなかったので、今回は所々に降りた方が速い区間を設けた」とポイントを語った。100%乗車できるコースでありながら、降りる所・乗る所の見極めを大事にしたという。

 「前回よりも差が付きにくくなったと思う」と筧さんは満足げだ。ワールドカップなどの映像をよく見て研究し、コース作りの参考にしているという。「選手からここをこうした方がいいよとアドバイスを受けたので、来年はもっと面白くなる」と、早くも来シーズンに向けて意欲をみせた。

 レースを実況するMCを務めたのは丸山由紀夫さん。元マウンテンバイク・ダウンヒル(DH)のトップライダーで、「Crifford」や「ML OPEN」など、自分の企画するレースのプロデュースも行っている、東海地区のオフロードシーンではお馴染みの人物だ。

MCは元ダウンヒルライダーの丸山由紀夫さんMCは元ダウンヒルライダーの丸山由紀夫さん
C1表彰式。(左から)2位の筧、優勝の池本、3位の藤川正人(岩井商会レーシング)C1表彰式。(左から)2位の筧、優勝の池本、3位の藤川正人(岩井商会レーシング)

 プレ大会から3シーズンを経た東海シクロクロス。来季、AJOCCの認定大会になれば、国内統一カテゴリーとポイントランキングの対象となる。

 シリーズ戦を運営する岐阜県自転車競技連盟の山田冨美雄さんは、最終戦を終えて「この雨の中でこの盛り上がりは凄いですね」と大会の成長を実感。今シーズンを振り返って「最初はたくさんの人が集まってくれるか心配だったが、回を重ねるごとに人数が増えて大成功に終わった」と総括し、来季に向けて「シクロクロスの面白さをどんどん知ってもらい、300人が集まる大会にしたい」と抱負を語った。

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