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栗村修の“輪”生相談<44>40代男性「一番速いのに絶対に前を引かないメンバーがいます」

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 自転車にも慣れ、数人でツーリングなどを楽しんでいます。

 走るコースはだいたい50kmから100km位なんですが、仲間内で一番速いのに絶対に前を引かない人間がいます。本人は全く気にしていません。100kmのコースならラスト500mくらいで前に出て、勝ち誇ります。疲れたツーリングが終わってから、彼は「今日は楽だったな~」と言います。

 チクチクと「前引かないと!」とか「そりゃ後ろにいたら楽でしょ」とか言うのですが、しまいには、「前とか引くくらいならば面倒だからひとりで走ります」などと言い放ちます。しかも大体いつも一番後方にいます。どうしたらいいでしょうか。

(40代男性)

 引く・引かないはある意味自転車競技の醍醐味なんですが、一方では深刻なトラブルの原因にもなりますね。僕も選手や監督をやってきたので、色々なケースを見てきました。

 が! 質問者さんのお知り合いほど徹底した「ポリシー」を持つ選手は、ヨーロッパを走っていた時代を含めても見たことがありません。だから正直、ご質問を拝見した瞬間にテンションが上がっちゃいました。

 どうしたらいいかということですが、彼の態度って逆切れじゃないですか。すいませんが、そういう人に対してあまり適切な対処法はないと思うんです。だから、手っ取り早い方法としては諦めることですね。イラッとはすると思いますが、それ以外に大した害はないですから。

砂塵と風を避けながら集団をつくりレースを展開するプロ選手(ツアー・オブ・カタール2015)砂塵と風を避けながら集団をつくりレースを展開するプロ選手(ツアー・オブ・カタール2015)

 とはいえ、一番速いのにも関わらず引かない、というのはタチが悪いですね。何かぎゃふんと言わせる方法はないか。そうですね。たとえば…ちょっとお金がかかりますが、パワーメーターをお仲間で導入してはどうでしょう。

 ツーリングが終わったら、皆さんで平均パワーを見せ合います。「○○さん、強いですねー」とか「○○○ワットも出てるじゃないですか!」とか、和気あいあいと。100kmを着き位置で走って最後にチョイ差しするような彼は天邪鬼だから、パワーメーターを買わないかも知れませんが、そうすると輪に入れない。もし買ったとしても、先頭に出ない彼の平均パワーは当然その分低くなりますから、恥ずかしい思いをするでしょう。

 引く・引かないのトラブルは、日常的に起こります。強い選手にありがちなのが、自分の調子が良くて積極的に先頭を引けるレースでは周囲に「オマエも引けよ!」って強い態度に出るのに、自分が引かないレースでは「チームメイトが逃げてるから」とか、引かない理由を並び立てる、というものです。強い選手ほど、口も強いんですね。レース後に、メディアに対して「どこそこのチームが引かなかったから…」などと他チームの文句を言ったりします。

 その意味では質問者さんのケースも、かなり極端ではありますが、例外とは言えません。サイクリストとしての試練だと受け止め、乗り越えましょう!

(編集 佐藤喬・写真 砂田弓弦)

回答者 栗村修(くりむら おさむ)

 一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役、ツアー・オブ・ジャパン 大会副ディレクター、スポーツ専門TV局 J SPORTS サイクルロードレース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
 ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまでお寄せください。

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