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Peloton Images Asia「アジアを撮る」<2>「微笑みの国」タイで開催されたアジア選手権 取材までの道のりは、あまり笑えない!

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 2月に入り、なんとか『Peloton Images Asia』のウェブサイトの立ち上げを完了し、シンガポール人のダニエルが、最初の取材となるドバイツアーへ旅立ちました。この時期、いつもなら私はシクロクロスの世界選手権の取材に行っていますが、サイトの立ち上げや他の仕事の関係から、今年はシクロクロスを見送り、シンガポールとマレーシアでの仲間との打ち合わせのあと、タイで開催されるアジア選手権に取材に行くことにしました。

男子エリートロードレース、2位以下を競うゴールスプリント男子エリートロードレース、2位以下を競うゴールスプリント
ローラー台を使ってアップをする韓国人選手ローラー台を使ってアップをする韓国人選手
U23カテゴリー、カザフスタンの選手がレース前に集中するU23カテゴリー、カザフスタンの選手がレース前に集中する

 アジア選手権はその名前のとおり、アジアナンバーワンを決める大会で、毎年開催国を変えて開催されています。昨年の開催国はカザフスタン。一昨年はインドであり、来年は日本です! 基本的に日本以外で開催される場合、あまり日本のメディアは取材には出向かず、ナショナルチームを派遣する日本自転車競技連盟からの情報が頼りになることが多くなっています。

タイのポディウムガールタイのポディウムガール

 ただ今年は、男子エリートのロードレースにおいては、リオ五輪の特別枠がかかっており、新城幸也(チームヨーロッパカー)を中心とした布陣が組まれたこと、また浅田顕監督のもと年々体制を強化する男子U23カテゴリーについても、近年、出場枠を逃している世界選手権につながる大会であったたため、個人的に非常に興味があり、最終的にはタイではレンタカーが使えるということが後押しとなって、取材に行くことを決めました。

 「え、レンタカーが大事なの?」と思われますが、自転車レースの写真を撮る場合、いかにカッコよく撮れる撮影場所を探し、カメラを上手に操るか…なんてことが大切なのかと思われますが、私にとって1番大切なことは、たとえば1から10までのステップがあるとするなら、その9ステップ目までは、どうやってレース会場に行き、いかに取材環境を整ええるかということです。どんなに写真が上手な人でも、地図が読めない、運転ができない、度胸がない…という場合では、1人で独立して海外の自転車レースを撮影することはできません。これはアジアにかぎったことではなく、世界中共通のことです。

レーススタートを直前に控えて、緊張感の漂うなかでレース準備をする梶原悠未(筑波大坂戸高校)と内村舞織(南大隅高校)レーススタートを直前に控えて、緊張感の漂うなかでレース準備をする梶原悠未(筑波大坂戸高校)と内村舞織(南大隅高校)

 そして話をタイに戻すと、タイの首都バンコクから、今回会場となった地方都市ナコンラチャシマまでは300km弱。電車やバス、国内線などの交通手段ももちろんチェックしますが、重たいカメラ機材を抱える私にとって、空港から荷物を積めるレンタカーは非常に便利です。ちなみに日本の免許が使える国は、ジュネーブ条約加盟国となっており、じつはアジアでは10カ国しかありません。中国やインドネシアなどでは外国人は運転ができません。そこでのレースはどうするんだ?という話は別の機会にしたいと思いますが、兎にも角にも、レンタカーが使えるというのは、現地での足を考えても、非常に魅力的な条件になってきます。さらにGPSがあれば、もう怖いものなし! 運転する体力さえあれば、自由に好きな場所へ行けます。

 しかし、今回のアジア選手権の取材には、1つの難関がありました。取材に先立って、必ず私たちは「取材申請」を主催者に対して行います。ツール・ド・フランスでは、記者証のコピーを送り、取材元メディアの詳細な情報や、取材時の車両の情報、私のようなフリーランスの場合、取材元の責任者のサインが入った公式レターが求められる場合もあります。

審判車に乗りコースへと向かうコミッセールの松倉氏。アジアのレースでお会いすることも多く、いつも困ったときに助けてくれるありがたい存在審判車に乗りコースへと向かうコミッセールの松倉氏。アジアのレースでお会いすることも多く、いつも困ったときに助けてくれるありがたい存在
僧侶たちが見守るなか、選手たちが駆け抜けていく僧侶たちが見守るなか、選手たちが駆け抜けていく
沿道のレストランで食事をしながらレース観戦沿道のレストランで食事をしながらレース観戦

 ただ、今回はありとあらゆるツテを頼って、主催者数名の連絡先を入手しましたが、何を送っても返事がきませんでした。私にとって、タイのレース取材は初めてのことだったので、「まぁ行けばなんとかなるだろう」と思う反面、正直ちょっと心配でした。経費や時間、労力をかけて現場に行っても、「取材できない」と言われてしまったら、それまでです。

 そして、主催者と連絡がとれないので、取材申請どころか、まったくレースに関する情報が入手できずにいました。幸い、コースマップのイラストだけはウェブ上に上がっていたので、コース図のイラストの図形と実際の地図を見比べて、詳細なコースの位置を特定…。そこからアクセスの良さそうなホテルを押さえました。そして先に取材に入るトラック競技の記者から、主催者たちの泊まるホテルを教えてもらい、タイの首都バンコクから古い日本車のレンタカーで向かったのです。

レーススタート1時間前に交通規制がかかり、慌ただしくコースを準備する主催者たちレーススタート1時間前に交通規制がかかり、慌ただしくコースを準備する主催者たち
スタートを待つ内間康平(ブリヂストンアンカー)スタートを待つ内間康平(ブリヂストンアンカー)
沿道にかけつけた【闘魂】の文字が入ったハチマキをした男の子。タイも親日家が多い沿道にかけつけた【闘魂】の文字が入ったハチマキをした男の子。タイも親日家が多い

 この「まぁ行けばなんとかなるだろう」というのは、これまでの経験から培ったことでもあり、アジアのレースではよく通用することです。そして、やはりその勘は当たり、タイのぐっちゃぐっちゃな道路を走ること4時間、到着したオフィシャルホテルで、5人くらいの人を仲介して、なんとか取材パスや大会資料をもらうことができました。やれやれ…。大会前にして、ドッと疲れが出ました。

 究極的な話しをするなら、このようなアジアのレースでは、外国人が大きなカメラを下げてそれっぽい雰囲気を出していれば、取材パスがなくても、すんなりと会場に入れることも多いです。ただ、やはり無駄な気苦労は避けたいもの。こうして、2015年最初のアジアでのレース取材は始まったのです。

(文 田中苑子・写真 Peloton Images Asia

スタート前に救護要員の地元の看護師さんたちと記念撮影をする日本ナショナルチームの男子エリートロードレース出場4選手スタート前に救護要員の地元の看護師さんたちと記念撮影をする日本ナショナルチームの男子エリートロードレース出場4選手

■Peloton Images Asia(プロトンイメージスアジア)

 自転車レース写真等を配信するアジア発のイメージバンク。UCIアジアツアーの主要レースをカバーしながらも、ヨーロッパで走るアジア人選手にもフォーカス。イメージバンクとしての機能だけでなく、アジアの自転車競技界に精通する1つのメディアとして情報発信も行っていく予定。サイトでは誰でも写真の閲覧、購入(クレジットカードを利用したPayPal決済)が可能。 www.pelotonimages.asia

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