28年ぶりに来日し「サイクリング屋久島」に参加「アマチュアのレースがたくさんあれば日本は強くなる」 フランチェスコ・モゼール氏インタビュー

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 イタリアの伝説的な元プロロードレーサー、フランチェスコ・モゼール氏が来日し、鹿児島県の屋久島で2月15日に開催された「2015 サイクリング屋久島」に参加した。モゼール氏は63歳とは思えないほどの力強い走りで、1周100kmのコースを難なく完走。イベント後にCyclistの独占インタビューに応じ「日本から世界一の選手が生まれることを望んでいます」と日本ロードレース界にエールを送った。(聞き手・平澤尚威)

エイドステーションでの休憩を終え、ダブルレバーを操って走り始めるフランチェスコ・モゼール氏 <平澤尚威撮影>エイドステーションでの休憩を終え、ダブルレバーを操って走り始めるフランチェスコ・モゼール氏 <平澤尚威撮影>

屋久島でレースをしてみたい

 モゼール氏は1987年に来日し、東京都立川市で世界のトップ選手を集めて開かれた「スーパークリテリウム」に出場、個人タイムトライアルで優勝を飾った経験がある。今回はそれ以来の来日で、久し振りに日本の道を駆け抜けた。

「サイクリング屋久島」に参加したフランチェスコ・モゼール氏<平澤尚威撮影>「サイクリング屋久島」に参加したフランチェスコ・モゼール氏<平澤尚威撮影>

 「サイクリング屋久島は全てがよかった。セキュリティがしっかりしていて、道路もきれい。エイドも充実し、よくオーガナイズされた大会だったので感激しました。特に上りがおもしろかった。今度はここでレースをしてみたいと思いました。プロ選手を呼んで、2周くらいしてみるのはどうでしょうか? それくらい面白いコースでした。私は、1周で十分ですけれど」

 モゼール氏の走りは力強く、上り坂でも重いギアのまま美しいダンシングで上っていく。年齢による衰えを口にするものの、この日ゲストとして参加していた鹿屋体育大学の選手たちの体型を見て「自分もウェイトを落とさなきゃいけないね。おなかが出ているようじゃだめだ」と語るなど、走ることへの情熱はまったく衰えていない。

エイドステーションで屋久島名産のタンカンを手に取るフランチェスコ・モゼール氏<平澤尚威撮影>エイドステーションで屋久島名産のタンカンを手に取るフランチェスコ・モゼール氏<平澤尚威撮影>

 エイドステーションで気に入ったものを尋ねると「(屋久島名産の柑橘類)タンカンがおいしかった」とニッコリ。イタリアでもシチリア島などでオレンジがたくさん生産されているが、「それを上回るくらいおいしかった。私の住んでいる地域ではリンゴとブドウが多く、オレンジはとれないので、ここで食べられてうれしかったです」と満足そうに語った。

自身に欠かせない勝利は「ジロとアワーレコード」

「サイクリング屋久島」に参加したフランチェスコ・モゼール氏<中鉢久美子撮影>「サイクリング屋久島」に参加したフランチェスコ・モゼール氏<中鉢久美子撮影>

 28年ぶりに訪れた日本の印象について聞くと「サイクリング屋久島のオーガナイズをみても、自転車イベントがたくさん開かれているのだということがわかる。屋久島に来る前に訪れた東京でもたくさんの人がスポーツバイクに乗っていて、私が初めて来た時よりも自転車が普及していると感じました」と、変化に驚いた様子だ。

 また、日本の自転車選手についても語ってくれた。「当時の日本だと、競輪の中野浩一選手を覚えています。私が世界選手権を制した1977年に、中野選手が(プロスプリント10連覇の)最初の優勝を飾っていたので、彼のことは心に残っています。あと、名前を憶えていないけれど、いまロードレースで活躍している選手が2人いるよね」。一緒に来日した息子のカルロ氏から「新城(幸也)と別府(史之)だね」とフォローされたとはいえ、日本のトップレーサーの活躍はモゼール氏も意識しているようだ。

現役選手時代のフランチェスコ・モゼール氏(左)<砂田弓弦撮影>現役選手時代のフランチェスコ・モゼール氏(左)<砂田弓弦撮影>

 モゼール氏は1977年に世界選手権プロ個人ロードを制し、78年から80年にかけてパリ~ルーベを3連覇。84年には母国で最大のレースであるジロ・デ・イタリアで総合優勝を果たし、さらに同年にはメキシコでアワーレコードに挑戦して当時の新記録を打ち立てた。ほかにも数々の輝かしい勝利を挙げてきたモゼール氏にとって、自らを語る上で欠かせない、価値ある勝利とは?

 「自分にとって最も重要なのは、ジロ・デ・イタリア総合優勝とアワーレコードです。どちらも再び人気になっていますね。アワーレコードは何度も規則が変わってきましたが、挑戦しやすいルールに固定されたことで人気が出てきたと思います」

強くなるには「イタリアに来て」

参加者と一緒に走るフランチェスコ・モゼール氏(右)とカルロさん(左)<中鉢久美子撮影>参加者と一緒に走るフランチェスコ・モゼール氏(右)とカルロさん(左)<中鉢久美子撮影>

 インタビューの途中、逆にモゼール氏から「日本にアマチュアのレースはありますか?」という質問を受けた。もちろんありますと答えると、「アマチュアのレースがたくさんあれば、ロードレースは発展し、選手も強くなっていくと思います」とモゼール氏は語った。多くの人がレースに出られる環境が、強い選手を生み出すためには大事だという。さらに、こう続けた。

 「強くなりたければ、イタリアに来てください。あるいはイタリアのコーチを日本に呼んでくることです。オーストラリアは強豪国ではなかったけれど、ナショナルチームの選手たちは1年のうち5、6カ月はイタリアで暮らしている。その結果がいまの強さにつながっています。アマチュアでもどんどん留学すること。外国へ行くべきです」

参加者らと記念撮影するフランチェスコ・モゼール氏。ゲスト参加した池谷幸雄さん(左)、安田大サーカスの団長安田さん(右)も一緒に<中鉢久美子撮影>参加者らと記念撮影するフランチェスコ・モゼール氏。ゲスト参加した池谷幸雄さん(左)、安田大サーカスの団長安田さん(右)も一緒に<中鉢久美子撮影>

 モゼール氏は2020年の東京オリンピックをいまから楽しみにしており、チャンスがあればその時にも日本を訪れたいという。

 「オリンピックは世界選手権と同じく国を代表して戦う価値があるレース。私は1回出場したけれど、当時はプロが出られない規則だったので、すぐに出られなくなってしまった。いまはプロが出られるので、おもしろいですね」

 最後にモゼール氏は、「日本からも世界一の選手が出ることを私は望んでいます。スポーツを成長させるのは時間がかかることですが、がんばってください」と日本の自転車界へエールを送った。

「サイクリング屋久島」後夜祭に参加したフランチェスコ・モゼール氏(右)と息子のカルロさん<平澤尚威撮影>「サイクリング屋久島」後夜祭に参加したフランチェスコ・モゼール氏(右)と息子のカルロさん<平澤尚威撮影>

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