ジャパンチームの戦術と展開を振り返るラスト2kmのアタック合戦に勝利 アジア選手権ロードU23金メダルの小石祐馬レポート

  • 一覧

 2月11日にタイ・ナコンラチャシマで行われたアジア選手権・U23個人ロードレースで、日本の小石祐馬(CCT p/b チャンピオンシステム)が優勝した。これにより、世界選手権ロードレース・U23への参加枠を、日本人選手として3年ぶりに獲得した。アジアチャンピオンとなったレースを、小石自身が振り返り、レポートを寄せた。また、所属チーム監督で、長年にわたって小石の成長を見守ってきた橋川健氏が、その健闘を称え、さらなる活躍を期待するコメントを寄せた。

ロードレースU23でアジアチャンピオンに輝き、表彰台で金メダルを授与された小石祐馬 ©Sonoko Tanaka / Peloton Images AsiaロードレースU23でアジアチャンピオンに輝き、表彰台で金メダルを授与された小石祐馬 ©Sonoko Tanaka / Peloton Images Asia

◇         ◇

残り2周でイラン選手を追走、マッチレースに 小石祐馬レポート

 自分にとって今シーズン最初のレースで、大陸選手権でもあり、ナショナルチームとしてもすごく大事なレースだった。コースはフラットな市街地内で8.1kmの周回を10周回する計81km。ところどころに危ないコーナーもあるが、特に難しいコースではなかった。

スタート前、補欠メンバーの黒枝咲哉から激励を受け、勝利を誓う小石祐馬(中央)と面手利輝 ©Sonoko Tanaka / Peloton Images Asiaスタート前、補欠メンバーの黒枝咲哉から激励を受け、勝利を誓う小石祐馬(中央)と面手利輝 ©Sonoko Tanaka / Peloton Images Asia

 スタートは夜の8時。いつもとは違い、真っ暗な中に設置された街灯のあかりのもとで走るレースだ。距離が短かったため、最初から全力で行くイメージだった。

 チームとしては、スプリントになった時には岡篤志選手が控えてくれていたので、自分は動きやすく、最初の周から8人の逃げに加わる事ができた。この逃げは、有力国のカザフスタンやイラン、その他の5つの国の選手が加わっており、ジャパンチームとしても誰かが入るべき動きだったので自分がカバーした。

逃げグループで走る小石祐馬 ©JCF / 中村賢二逃げグループで走る小石祐馬 ©JCF / 中村賢二

 数周逃げるも、カザフスタンの選手がパンクで遅れて下がっていった。後ろの集団がカザフスタンによってペースが上がることが予想されたので、ここからは逃げ集団にいつつ出来る限り足を溜め、次の展開にも加わることが出来る準備をした。そこから一旦集団に吸収され、レースは振り出しに戻った。

異例のナイトレースとして行われたロードレース。中央が小石祐馬 ©Sonoko Tanaka / Peloton Images Asia異例のナイトレースとして行われたロードレース。中央が小石祐馬 ©Sonoko Tanaka / Peloton Images Asia

 少し様子を見ていたら、徳田優選手や面手利輝選手が展開に加わってくれていたので、安心して休むことができた。

U23のレースを疾走する小石祐馬 ©JCF / 中村賢二U23のレースを疾走する小石祐馬 ©JCF / 中村賢二

 そこから徳田選手が6人の逃げに入り、後ろからは逃げに選手を送り込めなかったカザフスタンの2人を含む追走グループができたので、そこに乗った。前のグループに徳田選手がいたので、自分は無理にローテーションを回してペースを上げる必要がなく、流れで回る程度。同じく前に選手がいたイランの選手は、ペースを乱していた。

 前の集団は見える位置にいたが、なかなか追い付きそうもなかったので、コーナーを利用し、立ち上がりで後ろが離れた時に1人でブリッジをかけ、無事に先頭集団に追いつく、すぐ後から2人の選手も追いついてきて、集団は9人になった。

 ジャパンチームはここに2人を送り込めたので、徳田選手と話し合いながら、アタックには交互に反応し、お互いに体力をセーブしつつ走った。残り2周になって、イランの選手が単独で飛び出し、後ろは追わなかったため少し差が開いた。

 これは逃げ切られてしまう思ったので、自分は集団から飛び出した。フィリピンの選手がついてきたが、なんとか振り払い、イラン選手に合流して2人になった。そこからはいいペースでローテーションを回し、最終周回へ入るころには30秒差があると聞いた。

独走でガッツポーズを決め手ゴールする小石祐馬 ©JCF / 中村賢二独走でガッツポーズを決め手ゴールする小石祐馬 ©JCF / 中村賢二

 このまま逃げ切れる可能性が出てきたので、最後の勝負を考えて最大限、足を残しながらイラン選手と2人で進む。スプリントになると勝てる可能性が低かったので、アタックして単独でゴールするイメージを描き、ラスト2kmからはアタック合戦に。最後の1kmを切ってから、イラン選手をちぎって単独でゴールすることができた。

レース後、優勝の喜びを分かち合うロードU23日本チーム。(左から)徳田優、岡篤志、小石祐馬、面手利輝 ©Sonoko Tanaka / Peloton Images Asiaレース後、優勝の喜びを分かち合うロードU23日本チーム。(左から)徳田優、岡篤志、小石祐馬、面手利輝 ©Sonoko Tanaka / Peloton Images Asia

 今シーズンの初戦を良い形でスタートできた。これから始まるヨーロッパのシーズンに向けても準備していきたい。(小石祐馬)

グランツールへホップ~ステップ~ジャンプ 橋川健監督コメント

チームユーラシア時代の2013年、欧州のレースを走る小石祐馬(橋川健撮影)チームユーラシア時代の2013年、欧州のレースを走る小石祐馬(橋川健撮影)

 小石は2012年、高校卒業と同時に渡欧。「チームユーラシア・IRCタイヤ」に所属し、ベルギーを拠点に2シーズンを過ごしました。ベルギーでの成長が、「ヴィーニファンティーニ・NIPPO・デローザ」(当時)のゼネラルマネージャー、大門宏氏の目に留まり、本人の強い希望もあって、2014年シーズンは同チームのメンバーとしてイタリアを拠点に活動しました。

2013年、チームユーラシアのジャージを着てレースを牽引する小石祐馬(橋川健撮影)2013年、チームユーラシアのジャージを着てレースを牽引する小石祐馬(橋川健撮影)

 小石の走りはJCF(日本自転車競技連盟)ロード監督の浅田顕氏にも認められ、ナショナルチームへ選出。2014年5月に行われた「ツール・ド・熊野」で初めて日本ナショナルチームのメンバーとして走り、その後も順調に成長した1年となりました。

 2015年シーズンは、UCI(国際自転車競技連合)コンチネンタルチームの「CCT p/b チャンピオンシステム」のメンバーとして、ベルギーを拠点とし、UCIヨーロッパツアーを中心に活動します。

 今回、U23のアジアチャンピオンとなった小石は、とても貴重な勝利を掴んだことは事実です。しかし私たちの目標はまだまだ、はるか先にあることも十分承知しています。

ヴィーニファンティーニ・NIPPO・デローザ時代の2014年5月、東欧のステージレースで区間2勝を挙げたエドワード・グロス(中央)と、アシストとして活躍した小石祐馬(右)、黒枝士揮(田中苑子撮影)ヴィーニファンティーニ・NIPPO・デローザ時代の2014年5月、東欧のステージレースで区間2勝を挙げたエドワード・グロス(中央)と、アシストとして活躍した小石祐馬(右)、黒枝士揮(田中苑子撮影)

 グランツール(ツール・ド・フランスなど世界3大ステージレース)で活躍するような選手を輩出する過程を、ホップ~ステップ~ジャンプで例えれば、若手育成の為のアマチュアチームであるチームユーラシア-IRCタイヤの活動でホップし、UCIヨーロッパツアーを中心に活動するCCT p/b チャンピオンシステムでステップし、UCIプロツアーやグランツールに参戦できるUCIプロコンチネンタルチーム「NIPPO・ヴィーニファンティーニ・デローザ」等のチームに所属・活躍する事がジャンプとなります。

 これだけ言えば簡単に聞こえますが、それぞれのレベルで切磋琢磨して勝ち抜いていくことが出来る選手は、ほんの一握りに過ぎません。ジャンプしても飛距離が足りなかったり、着地に失敗して活躍の場を失ったりする選手も多数存在します。

 今の小石は、まだホップしただけです。これまでスポンサー、ファン、関係者など多くの方々のご支援を承り、チームを運営することができました。今後も気を引き締めて、チームユーラシア・IRCタイヤでホップ、CCT p/b チャンピオンシステムでステップを踏める若手選手の強化・育成を進めてまいります。引き続きご声援をよろしくお願いします。

「チームユーラシア・IRCタイヤ」ゼネラルマネージャー兼監督、 
「CCT p/b チャンピオンシステム」監督 橋川 健 

この記事のコメント

利用規約順守の上ご投稿ください。
  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

  • タイム
    アルプデュエズ01 ディスク

    ディスクブレーキで伝統の走りを進化

  • リブ
    AVAIL ADVANCED

    走る好奇心を止めない リブの新型‟無敵”ロードバイク

  • インプレッション一覧へ

    連載