新旧の全日本女王が意地のバトルゴール直前の大接戦を制した豊岡英子に栄冠 「シクロクロス東京2015」CL1詳報

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 日本の女子シクロクロス界を牽引する2人が、またも白熱のバトルを展開ー。2月8日に行われた「シクロクロス東京2015」の女子トップカテゴリー、CL1クラスは、雨中の悪コンディションの中で全日本シクロクロス選手権の現女王、豊岡英子(パナソニックレディース)が意地を見せ、前女王の宮内佐季子(Team CHAINRING)を振り切って優勝した。終盤に2人が肩を並べて走るデッドヒートに、この日詰め掛けた6000人ものギャラリーは大声援を送り、会場は興奮に包まれた。(福光俊介)

両手を挙げてゴールへ飛び込む豊岡英子 (福光俊介撮影)両手を挙げてゴールへ飛び込む豊岡英子 (福光俊介撮影)

レース直前から降雨 コンディション急変

 雨は、レースがスタートする午後0時50分の1時間ほど前に降り始めた。選手たちが試走している間にも雨脚はどんどん強まり、コース内の舗装路には水たまりがいくつも見られる状態に。2カ所の砂浜区間は砂の重みが増し、林の中の土は滑りやすくなって、選手にプレッシャーを与えた。

スタート後、最初のコーナーに飛び込む選手たち (福光俊介撮影)スタート後、最初のコーナーに飛び込む選手たち (福光俊介撮影)

 本降りの雨の中で、ホールショット(号砲直後のスタートダッシュ)を決めたのは豊岡。バイク1台分のリードで最初のコーナーを通過し、その勢いのままライバルとの差を広げはじめた。アップダウンとコーナー、シケイン(障害板)が連続するマウンテンエリアもスムーズに突き進み、後続との差はたちまち10秒以上に広がった。

スタート直後、砂浜の曲がりくねったコースを先頭で駆け抜ける豊岡英子 (上野嘉之撮影)スタート直後、砂浜の曲がりくねったコースを先頭で駆け抜ける豊岡英子 (上野嘉之撮影)
1周目、シケインを飛び越える豊岡英子(左)と坂口聖香 (上野嘉之撮影)1周目、シケインを飛び越える豊岡英子(左)と坂口聖香 (上野嘉之撮影)

逃げる豊岡、追う宮内

 豊岡に続いたのは宮内と坂口聖香(パナソニックレディース)。しかし2周目に入ると宮内が坂口を引き離し、単独で豊岡を追った。この3人と4位以下との差は開く一方で、レースは中盤へと差し掛かっていった。

(前から)豊岡英子、宮内佐季子、坂口聖香の3人が序盤からレースをリードした (上野嘉之撮影)(前から)豊岡英子、宮内佐季子、坂口聖香の3人が序盤からレースをリードした (上野嘉之撮影)
逃げる豊岡英子と、追う宮内佐季子 (福光俊介撮影)逃げる豊岡英子と、追う宮内佐季子 (福光俊介撮影)

 競技時間は約40分と設定されており、1周目が終了した時点で、トップタイムから換算して5周回と決定された。その3周目、単独2位を走る宮内がペースアップして豊岡との差を縮め始めた。一方の豊岡は、砂浜区間のランで転倒するなどミスが相次ぎ、ペースが上がらない。4周目に入ると、宮内がいよいよ豊岡を射程圏内に捉える。2人の優勝争いは激しさを増していった。

砂浜の区間をランで駆ける豊岡英子 (福光俊介撮影)砂浜の区間をランで駆ける豊岡英子 (福光俊介撮影)
気迫の走りで後半にペースアップを図った宮内佐希子 (福光俊介撮影)気迫の走りで後半にペースアップを図った宮内佐希子 (福光俊介撮影)

最終盤で並び、ゴール勝負へ

 迎えた最終周回。追う宮内の勢いが勝り、豊岡に追い付くと一気に前へ。ゴールを目前にして、ついに宮内が先頭に立った。

追いすがる宮内佐季子を振り切って先頭でゴールした豊岡英子 (上野嘉之撮影)追いすがる宮内佐季子を振り切って先頭でゴールした豊岡英子 (上野嘉之撮影)

 しかし、シクロクロスの経験・実績ともに上回る豊岡は、勝負どころをきっちり押さえていた。砂浜区間を落ち着いてこなし、再び宮内の前に出ると、舗装路で一気にペースアップ。最後は持ち前のスピードを発揮して宮内を振り切り、熱狂するファンが待つゴールへ両手を挙げて飛び込んだ。終盤に見せ場を作った宮内は、3秒差でフィニッシュした。

最後まで戦い抜き、わずか3秒差でゴールした宮内佐季子 (福光俊介撮影)最後まで戦い抜き、わずか3秒差でゴールした宮内佐季子 (福光俊介撮影)

スリリングなレース展開「楽しんでいた」

 序盤に飛び出した豊岡は、得意の独走に持ち込んだかに見えたものの、中盤以降は我慢のレースに。「10秒以上のリードがあったので、そのまま行けると思っていたけれど、ミスをしてしまって…」と反省を口にした。

ピットでバイクを交換する豊岡英子。チームのサポートを含め、レース戦術には一日の長がある (福光俊介撮影)ピットでバイクを交換する豊岡英子。チームのサポートを含め、レース戦術には一日の長がある (福光俊介撮影)

 とはいえ、宮内に追い付かれてからの展開もしっかりとイメージできていたようで、「スプリントになれば勝てると思っていた」とも。何より、混戦のスリリングなレースを「楽しんでいた」といい、「追い付かれたとしても、それはそれでおもしろいレースになるかなと思って」と笑顔をみせた。

 昨年、左肘を骨折した豊岡は、まだけがから回復途上といい、スタートから時間が経つにつれて走りに不安定さがみられた。ミスを連発した原因がけがの影響であることは明白で、今後しばらくは「回復に努めていく」という。とはいえ、優勝という最高の形でシクロクロスシーズンを終えたことを喜び、「この冬は来シーズンにつなげるためのものだった。ロードで乗り込んで、次のシーズンへと臨みたい」と前向きに話した。

■CL1(女子トップカテゴリー)結果
1 豊岡英子(パナソニックレディース) 34分11秒
2 宮内佐季子(Team CHAINRING) +3秒
3 坂口聖香(パナソニックレディース) +1分5秒
4 武田和佳(Team CHAINRING) +1分57秒
5 橋口陽子(TEAM 轍屋) +3分6秒
6 坂口楓香(パナソニックレディース) +3分46秒
7 福本千佳(同志社大学自転車競技部) +4分29秒
8 川崎路子(CLUB viento) +5分18秒
9 今井美穂(CycleClub.jp) +5分43秒
10 林口ゆきえ(SNEL CYCLOCROSSTEAM) +6分44秒

表彰台で笑顔を振りまく(左から)宮内佐季子、豊岡英子、坂口聖香 (福光俊介撮影)表彰台で笑顔を振りまく(左から)宮内佐季子、豊岡英子、坂口聖香 (福光俊介撮影)

◇         ◇

 今大会のCL1(女子)とエリート男子は、日本シクロクロス競技主催者協会(AJOCC)が主催する「ジャパンシクロクロスシリーズ(JCXシリーズ)」の最終戦に設定されていた。全9戦を合計したポイントで争われるランキングで、女子エリートは武田和佳(Team CHAINRING)が第8戦までのトップの座を守り、シリーズ総合優勝に輝いた。

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