雨が演出したドラマティックな展開マクドナルド連覇、山本カズは3位で有終の美 「シクロクロス東京2015」エリート男子詳報

  • 一覧
エリート男子で表彰台に立つ優勝者のザック・マクドナルド(中央)、2位のベン・バーデン(左)、3位の山本和弘(米山一輝撮影)エリート男子で表彰台に立つ優勝者のザック・マクドナルド(中央)、2位のベン・バーデン(左)、3位の山本和弘(米山一輝撮影)

 東京・お台場海浜公園で開催された「シクロクロス東京2015」は2月8日午後、最終レースとなるエリート男子クラスが行われ、昨年の優勝者ザック・マクドナルド(アメリカ、シクロクロス プロジェクト2015)が序盤からトップを独走し、大会2連覇を飾った。2位には第1回大会の優勝者、ベン・バーデン(ベルギー、W-cup)、3位には山本和弘(弱虫ぺダル シクロクロスチーム)が入った。 (米山一輝)

砂は重く、土はぬかるんだウェットコンディション

 4回目の開催となる今大会には、海外招待選手としてマクドナルド、バーデンという過去の優勝者が再来日。迎え撃つ日本勢も、日本チャンピオン竹之内悠(ベランクラシック・ドルチーニ)をはじめとする全日本選手権のトップ3や、今シーズン絶好調でこの大会がプロ最後のレースとなる山本ら国内のトップ選手が集まった。昼前から降り始めた雨が路面をぬらし続けるなか、午後2時に28人の選手が一斉にスタートを切った。路面はウェットで、砂は重くなり、土はぬかるんだ。

エリート男子のスタート。まずは第1回大会優勝のバーデンが飛び出す(米山一輝撮影)エリート男子のスタート。まずは第1回大会優勝のバーデンが飛び出す(米山一輝撮影)
1周目のシケイン。マクドナルドが先頭に出た(米山一輝撮影)1周目のシケイン。マクドナルドが先頭に出た(米山一輝撮影)

 まず第1コーナーへトップで飛び込んだのはバーデン。しかしすぐにマクドナルドが先頭に躍り出て、1周目のトップ3はマクドナルド、バーデン、竹之内が約3秒ずつの差で続いた。2周目以降は竹之内がやや後退し、さらに3周目にトラブルからか竹之内が大きく順位を下げ、代わって山本が3番手に浮上した。

シケインの板を乗車したままバニーホップで飛び越える山本。ギャラリーから歓声が上がった(米山一輝撮影)シケインの板を乗車したままバニーホップで飛び越える山本。ギャラリーから歓声が上がった(米山一輝撮影)

山本と竹之内の3位争いが白熱

 約1時間と規定されたレースは、1周目のトップタイムから換算して11周回と発表された。先頭争いはマクドナルドとバーデンの一騎打ちかと思われたが、中盤以降はマクドナルドがラップ毎に10秒以上の差を開き、バーデンをも大きく引き離しにかかる。泥のマクドナルド、砂のバーデンという下馬評だったが、本降りの雨のレースとなったため林間エリアが泥で滑りやすくなり、コンディションはマクドナルドに有利に傾いた。他のライダーが下車するような泥のコーナーも、独創的な走行ラインでスムーズに走り抜けていく。

ピットでは交換した自転車の泥を高圧洗浄機を使って落とす(米山一輝撮影)ピットでは交換した自転車の泥を高圧洗浄機を使って落とす(米山一輝撮影)
押しから乗車へ、スムーズに飛び乗る竹之内(米山一輝撮影)押しから乗車へ、スムーズに飛び乗る竹之内(米山一輝撮影)
砂での走りに定評のあるバーデン。コーナーリングも安定している(米山一輝撮影)砂での走りに定評のあるバーデン。コーナーリングも安定している(米山一輝撮影)
砂浜のジグザグ区間を押す山本の後ろに竹之内が迫る(米山一輝撮影)砂浜のジグザグ区間を押す山本の後ろに竹之内が迫る(米山一輝撮影)

 代わって白熱したのは3位争いだ。3番手を走る山本に対し、一度は大きく遅れた竹之内が追い上げ、すぐ後ろまで迫る。再び離そうとする山本と、さらに追い上げる竹之内のデッドヒートが繰り広げられ、その勢いは2番手のバーデンにまで追い付きそうなほど。

泥の深い林間エリアを走る山本(米山一輝撮影)泥の深い林間エリアを走る山本(米山一輝撮影)
山本を追いかける竹之内(米山一輝撮影)山本を追いかける竹之内(米山一輝撮影)
舗装路の区間で逃げる山本和弘と、ぴったりマークする竹ノ内悠(上野嘉之撮影)舗装路の区間で逃げる山本和弘と、ぴったりマークする竹ノ内悠(上野嘉之撮影)

山本が再度逆転、表彰台へ

3位に浮上して残り2周に入った竹之内(米山一輝撮影)3位に浮上して残り2周に入った竹之内(米山一輝撮影)

 残り2周を前に、ついに竹之内が山本を逆転して3番手に浮上した。ついに山本を捕らえた日本チャンピオンの走りに、観客の間では「勝負あったか」という雰囲気も漂った。

 しかし、ここから気迫の走りを見せたのが山本。竹之内を再度、逆転すると、6秒の差を付けて最終周回に突入した。

 トップはマクドナルドが最後まで危なげない走りを見せ、2位のバーデンに1分26秒の大差を付けて2連覇を達成。山本は竹之内にリードを保ち、日本人最高位となる3位でフィニッシュへ。プロ最後の公式戦となるビッグレースで表彰台に立ち、有終の美を飾った。山本はまた、今シーズンのJCX(ジャパンシクロクロス)シリーズチャンピオンにも輝いた。

大差の独走で大会2連覇を飾ったマクドナルド。ゴール後ファンとハイタッチ(米山一輝撮影)大差の独走で大会2連覇を飾ったマクドナルド。ゴール後ファンとハイタッチ(米山一輝撮影)
3位でプロ生活最後のゴールを切った山本和弘(米山一輝撮影)3位でプロ生活最後のゴールを切った山本和弘(米山一輝撮影)

「世界中で一番いいレース」

終始危なげない走りをみせたマクドナルド(米山一輝撮影)終始危なげない走りをみせたマクドナルド(米山一輝撮影)

 優勝したマクドナルドは、自身の勝因について「砂ではベン(バーデン)が速かったと思うけれど、森の泥区間でかなりタイムを稼いで、砂でもリズムをつかんで走ることができた」と語った。2度目の参戦となった大会については、「観客が素晴らしいし、街の中のレースというのも他にはない魅力。世界中で走ってきて、このレースが一番いいレース」と大会を称えた。

 2位のバーデンは、「雨で路面がぬかるんで、タイヤがうまくグリップしなかった」と敗戦の弁。第1回大会以来の来日となったが、「前回よりもコースが良くなり、観客もとても増えた。応援が多くて嬉しかった」と感想を述べた。

JCXシリーズ男子表彰。山本が1位(右)、小坂光(宇都宮ブリッツェン シクロクロス)が2位(米山一輝撮影)JCXシリーズ男子表彰。山本が1位(右)、小坂光(宇都宮ブリッツェン シクロクロス)が2位(米山一輝撮影)

 3位の山本は竹之内との戦いに触れ、「先週も悠くんと日本代表として(シクロクロス世界選手権に)行ってきた。その2人でこの接戦のレースができたので、気持ちよかった。コーナーごとに肩と肩がぶつかるような、気迫あるいい戦いができたので、自分自身もすごく熱くなった」と語った。自身はプロ最後のレースとなったが、「スタート前はいつもと変わらずでしたが、ゴールして気持ちがこみ上げてきました」と感慨を打ち明けた。

表彰式終了後、山本のプロ引退セレモニーが行われた。奥様から花束、渡辺さんも祝福(米山一輝撮影)表彰式終了後、山本のプロ引退セレモニーが行われた。奥様から花束、渡辺さんも祝福(米山一輝撮影)
キャノンデールの盟友、ティム・ジョンソン(キャノンデールp/b)がレース後山本を祝福(米山一輝撮影)キャノンデールの盟友、ティム・ジョンソン(キャノンデールp/b)がレース後山本を祝福(米山一輝撮影)
ファンらと記念撮影(米山一輝撮影)ファンらと記念撮影(米山一輝撮影)

■エリート男子結果
1 ザック・マクドナルド(アメリカ、シクロクロス プロジェクト2015) 1時間0分20秒
2 ベン・バーデン(ベルギー、W-cup) +1分27秒
3 山本和弘(弱虫ぺダル シクロクロスチーム) +1分39秒
4 竹之内悠(ベランクラシック・ドルチーニ) +1分49秒
5 ティム・ジョンソン(アメリカ、キャノンデール p/b) +4分19秒
6 前田公平(ビオレーサー) +5分20秒
7 門田基志(チーム ジャイアント) +5分46秒
8 ティム・アレン(アメリカ、フィードバック スポーツ) +5分58秒
9 小坂光(宇都宮ブリッツェン シクロクロスチーム) -1LAP
10 濱由嵩(スピードワーゲン シクロクロス) -1LAP

レース終了後、ファンからサプライズの胴上げをされる山本(米山一輝撮影)レース終了後、ファンからサプライズの胴上げをされる山本(米山一輝撮影)

関連記事

この記事のタグ

シクロクロス シクロクロス東京

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

ショップナビ

スペシャル

自転車協会バナー
新春初夢プレゼント2019

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載