SankeiBizより日本製ロードバイクで世界へ ヨネックス、カーボン技術の高さアピール

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ヨネックス「カーボネックス」のフレームセットで組み上げたロードバイクヨネックス「カーボネックス」のフレームセットで組み上げたロードバイク

 スポーツ用品大手のヨネックスが、得意のカーボンファイバー(炭素繊維強化プラスチック)成型技術で開発したロードバイク(主に舗装路で行われるレース用の自転車)でブランド力強化を進めている。科学的アプローチで設計し、職人の手作業で作り上げた「メード・イン・ジャパン」の高性能フレームで国際レースに挑戦。技術力を世界にアピールする計画だ。 (フジサンケイビジネスアイ 佐藤健二)

目標は世界のレース ハイエンド市場でブランド確立狙う

 「目標は(ロードレースの世界三大大会などの)世界大会で戦うこと。何とか行きたい」

 同社の武本豊彦・事業開発部長はロードバイク開発にかける意気込みをこう語る。

 昨年、カーボン製フレームセット「カーボネックス」を発売したのを皮切りに、今年1月中旬には前モデルの基本性能を踏襲しながらも、前モデルの重量(Sサイズで650g)に比べ塗装重量を減らし20g軽量化した最新モデルを発売した。軽いだけでなく、踏み込みをスピードに変えるカーボンならではの剛性を保ちつつ、縦方向の振動吸収性にも優れているのが特徴だ。ヒルクライムレースや長距離レースなどで強みを発揮する。

 フレームセットの42万円(希望小売価格、税抜き)に、他社製の高級コンポーネント(変速機やブレーキなどのパーツセット)などを組み合わせた完成車は軽く100万円を超える。プロ選手と、レース志向の強いアマチュアライダー向けだ。

ヨネックスのカーボンロード「カーボネックス」(佐藤正巳撮影)ヨネックスのカーボンロード「カーボネックス」(佐藤正巳撮影)

 ピラミッド型の国内ロードバイク市場の頂点に位置するこれらのハイエンド向けは年間わずか6000~7000台。ローエンド需要には見向きもせず、まずはブランドの確立を狙う。

 同社がロードバイク市場に参入した背景には、高齢化の進展がある。世界で圧倒的なシェアを誇るバドミントンのラケットやテニスラケット、ゴルフクラブなどを主力としてきたが、これらの競技人口が徐々に減少し、新事業育成に迫られているのだ。2008年に米山勉社長の指示で新事業の可能性を検討した結果、風力発電所で使うカーボン製のブレードなどとともに、新事業にゴーサインが出た。

2014年には自転車ショー「サイクルモード」に出展し、来場者の注目を集めた2014年には自転車ショー「サイクルモード」に出展し、来場者の注目を集めた

 開発には約5年を費やした。設計段階では「プリプレグ(炭素繊維を一方向に並べ樹脂を染みこませたシート)」と呼ばれるカーボン素材をどの方向に何枚重ね合わせれば剛性や弾力性を確保できるかが鍵を握る。同社にはテニスラケットなどの開発を通し40年近くかけて蓄積してきた膨大なデータがあり、これが高性能ロードバイク開発に生かせると判断したのだ。こうして設計した試作品をプロのライダーに検証してもらうという地道な作業を繰り返した。

 同社のもう一つの強みが、国内メーカーにはほとんど例を見ない、国内工場での製造態勢だ。軽量化には、プリプレグの重なりを極力排するとともに、肉厚を均一に仕上げるという高い技術が求められる。同社の新潟工場にはカーボン製品を製造する400人強の職人がいるが、フレーム作りを任せられるのは優秀な職人だけだという。

 製造技術を担当していた事業開発部の前田祥吾氏はこうした製造態勢の下で「日本人が作るからこそ高い品質が確保できる」と話す。

 業界では、競技用自転車とはまったく接点のなかったメーカーによる異業種参入に、当初こそ懐疑的だったが、実業団チームを擁している専門ショップなどから「最初からこれほどいいものが出てくるとは予想していなかった」との評価も聞かれるようになったという。

エアロロード開発構想も浮上

 ただ、こうして生まれた高性能ロードバイクが国際舞台でどこまで通用するかは未知数だ。

 実は海外レースで日本製ロードバイクの存在感は薄い。例えばツール・ド・フランスではイタリアをはじめとする欧州の老舗メーカーが幅を利かせており、国内勢では、1981年にミヤタサイクル(東京都港区)が製造したクロムモリブデン鋼(強度の高い鉄)製で区間優勝を果たした実績などがあるだけ。レース用自転車がカーボン全盛の時代に移って以降、日本製は第一線の国際舞台からほとんど姿を消した。

 武本部長は「3大大会に機材を供給している欧州の大手フレームメーカーとは圧倒的に基盤が違うが、国際大会に積極的にチャレンジしたい」と話す。

ヨネックスが供給した機材でプロレースに挑む「KINANサイクリングチーム」の選手 (同チーム提供)ヨネックスが供給した機材でプロレースに挑む「KINANサイクリングチーム」の選手 (同チーム提供)

 同社は今年から国際自転車競技連合(UCI)の「コンチネンタルチーム(上から3番目の格付け)」にプロ登録された「KINANサイクリングチーム」に機材を供給。レースでの選手の経験をフレームづくりにフィードバックするなど、チームとタッグを組み、上位を目指す。

 レースに勝つため、「エアロロードバイク」と呼ばれる、空気抵抗を極力減らしたレース用バイクを開発する構想も浮上している。エアロロードは既に欧米メーカーが開発を加速している。カーボネックスが「とがった性能ではなく、オールラウンドなフレーム」(武本氏)とすれば、エアロロードは国際レースの勝敗を左右する最先端技術分野だ。

 ロードバイク事業の展開には同社の技術力のショーケースとして総合的なブランド力を向上させるだけでなく、他の製品の技術改良に結びつける狙いも込められている。経営全体に関わる戦略的事業となりそうだ。

SankeiBizより)

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