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ベストシーズンに訪問!秋冬の旅は輪行で行こう “サイクリングの楽園”八重山諸島の石垣・与那国・西表島へ

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 夏休みに行きそびれた、憧れの南の島。でも、じつは灼熱の真夏ではなく秋から冬にかけてがベストシーズンって知っていましたか? 半袖や薄手の長袖がちょうどいい暖かさと、一年中青々とした山の木々。モデルでライターの多聞恵美さんが、沖縄の八重山諸島を巡ります。

(BICYCLE NAVI 2015年1月号掲載)

一年中まぶしい光が降り注ぐ沖縄。どこを向いても青い海が出迎えてくれるが、光の強さによってその陰影が刻一刻と移り変わる一年中まぶしい光が降り注ぐ沖縄。どこを向いても青い海が出迎えてくれるが、光の強さによってその陰影が刻一刻と移り変わる

冬でも平均気温20℃…「よし、行っちゃおう!」

石垣・与那国・西表島と沖縄本島の位置関係。与那国島は日本最西端の島!石垣・与那国・西表島と沖縄本島の位置関係。与那国島は日本最西端の島!

 寒くなってきたから温泉? 旅行サイトを渡り歩くネットサーフィンは日常のことで、大したアテもなくふらふらとページをクリックする。そんな時に目に留まったのが、冬の沖縄の記事だった。沖縄と言ってもさすがにそろそろ寒いよねえ。そうは思いつつ、ふわっと青い海と空への懐かしさが沸き起こる。随分前に一度だけ訪れたことのある、沖縄本島の景色が蘇る。

 試しに調べてみると、平均気温は冬でもだいたい20℃前後。秋も深まり長袖を重ね着してカイロまで常備していた私にとっては、異国の情報を見ているような数字。幸い今は仕事のスケジュールも都合がつく…。

 よし、行っちゃおう! どうせならメジャーな沖縄本島のその先に足を伸ばしてみるのもいいかもしれない。八重山諸島は、もう少しひなびていて、島と島の距離が近く、いろんな場所を巡れそう。大人の遅めの夏休み、と洒落込んでみようかな。

今回の旅では、スムーズに輪行できるよう折りたたみ自転車を連れて行きました今回の旅では、スムーズに輪行できるよう折りたたみ自転車を連れて行きました

 普段は電車やクルマ、そしてオートバイで旅をする時はいつも大荷物になってしまう私が、こと自転車旅となると小さな荷物にまとめられるから不思議なもの。つい先日衣替えを済ませたクローゼットから春夏物の洋服をひっぱり出してくるのだけはちょっと面倒だったけど、旅への期待感に比べればなんてことはない。まだ見ぬ土地でペダルを踏む感触を思い浮かべながら想像した南国の景色は、はやくも私の頭の中を自転車の速度で流れ始めた。

 出発は羽田空港。今回の旅に連れて行く自転車は、スムーズに輪行できるよう折りたたみ自転車のターン「ヴァージュ P9L」を選んだ。飛行機に船にと乗り継ぎの多い今回のプラン。ちょっとでも長く現地を楽しみたい欲張りな私の秘密兵器にほかならない。

なにげなく小道を進むと、こんな素敵な海岸に遭遇! 真っ白な砂浜には大量のサンゴが打ち上げられていて、しばしサンゴ拾いに夢中になってしまいましたなにげなく小道を進むと、こんな素敵な海岸に遭遇! 真っ白な砂浜には大量のサンゴが打ち上げられていて、しばしサンゴ拾いに夢中になってしまいました

出迎えてくれた南国のブルー

PART 1●石垣島

八重山諸島の玄関口、石垣島はもっとも人口が多く、空・海の便のハブ的な機能を担っている。羽田、関西など主要な空港から直行便あり。那覇空港からも約1時間とアクセス良好。サイクリストには、新城幸也選手の出身地としてもおなじみだ。

「バンナ・ダウンヒルサイクリングツアー」ではバンナ岳の頂上までクルマでひとっ飛び。ここからはレンタルしたMTBで景色を眺めながらひたすら下るのみという贅沢さ!「バンナ・ダウンヒルサイクリングツアー」ではバンナ岳の頂上までクルマでひとっ飛び。ここからはレンタルしたMTBで景色を眺めながらひたすら下るのみという贅沢さ!

 まさに期待した通り。ニヤつくなと言うほうが無理! 青い海に青い空。本州で見るよりさらに深い南国のブルーが私を出迎えてくれた。空港に降り立つと、はやる心を抑えるように東京から羽織ってきた上着を脱ぎすててバッグに詰める。

 羽田空港から最初に訪れた石垣島までは、直行便でたったの3時間半。未知の土地へとそんな短い時間でワープできるというのは本当に驚きだった。だって東京~大阪間を「こだま」で移動するより短いのだ。空港は想像していたよりずっと規模が大きくて立派だったし、観光客の姿も多い。離島という言葉のイメージからは違和感を覚えるほど石垣島は都会で、繁華街も栄えていた。

真っ白なビーチに、青い空、青い海。そしてバナナやブーゲンビリアなど南国の植物。自転車で島を走っていると、そんな絵ハガキのような美しい景色をあちこちに見つけることができる。どこも画になるので、ついつい“寄り道”して、写真を撮りたくなってしまう。カメラが手放せませんでした(笑)真っ白なビーチに、青い空、青い海。そしてバナナやブーゲンビリアなど南国の植物。自転車で島を走っていると、そんな絵ハガキのような美しい景色をあちこちに見つけることができる。どこも画になるので、ついつい“寄り道”して、写真を撮りたくなってしまう。カメラが手放せませんでした(笑)

 そんな石垣島は、観光地ならではの豊富なレジャープランも魅力。私はバンナ公園と呼ばれる自然公園でMTBをレンタルして、ガイドさんに案内してもらうサイクリングツアーを体験した。

 絶景の海を臨む標高200mの展望台までクルマで連れて行ってもらい、そこから下りメインのゆるいダウンヒルで公園を周遊するというコースは、自転車ビギナーにもおすすめ。MTB経験者、あるいは健脚向けにもっと長距離で未舗装路も含まれるコースも用意される。眼下に広がる青い海や街並み、初めて見る植物や鳥などについてガイドさん(ちなみにイケメンさん)が詳しく説明してくれて、この島を一歩踏み込んで知ることができたように思う。

MTBをレンタルしたバンナ公園では、セグウェイツアーも体験可能。自転車とはまた違った速度で島を巡り、公園内の植物や蝶などに触れ合うことができるMTBをレンタルしたバンナ公園では、セグウェイツアーも体験可能。自転車とはまた違った速度で島を巡り、公園内の植物や蝶などに触れ合うことができる
地元のスーパー「知念商会」で見つけたのが、おにぎりにササミフライを合体させた「オニササ」。途中の補給にピッタリ!地元のスーパー「知念商会」で見つけたのが、おにぎりにササミフライを合体させた「オニササ」。途中の補給にピッタリ!
イルカとキッス! 「ドルフィンファンタジー石垣島」では、イルカと様々なふれあい体験ができる。とっても好奇心旺盛でお利口な生き物なんです!イルカとキッス! 「ドルフィンファンタジー石垣島」では、イルカと様々なふれあい体験ができる。とっても好奇心旺盛でお利口な生き物なんです!
新鮮な牛乳と石垣島ならではのフレーバーを組み合わせたジェラートが人気の「ミルミル」で休憩。人気の島バナナとマンゴーの2種類を堪能しました新鮮な牛乳と石垣島ならではのフレーバーを組み合わせたジェラートが人気の「ミルミル」で休憩。人気の島バナナとマンゴーの2種類を堪能しました

 島の東側を走る国道390号は「石垣島トライアスロン」のコースにもなっていて、交通量もそれなりに多い。島の北側の海岸沿いにはリゾート感あふれる雰囲気のカフェが立ち並び、南東にあたる白保の町並みでは民家を囲っている昔ながらの石垣を見かける。

 そうやって各所で見える景色の表情が大きく違うのは、島や半島で共通しているところなのかもしれない。まるで春のような心地よい陽気のなか、ここ石垣島では目線の先にサトウキビ畑が広がっていた。

海と山とたくさんの馬

PART 2●与那国島(よなぐにじま)

日本最西端の島、与那国島はTVドラマ「Dr.コトー診療所」のロケ地として有名に。1周わずか25kmと小さな島だが、起伏に富んでいて走り甲斐がある。石垣島から飛行機で30分、那覇空港からは約1.5時間。石垣島から週2回フェリー運行もある。

日本の西端に位置する与那国島。見渡す限りひろがっている水平線を見ていると、まさに「孤島」なんだなと実感する日本の西端に位置する与那国島。見渡す限りひろがっている水平線を見ていると、まさに「孤島」なんだなと実感する

 日本最西端の島、与那国島までは石垣島から飛行機で約30分。降り立った小さな空港は、今度こそ私の思い描いていた離島そのものだった。島を出入りする人にとって飛行機の離発着は日常そのもののようで、空港に飛行機がやってくる時間に合わせて人々が集まってくる様子は、まるで子供が帰ってきた時の出迎えのバス停のような優しさを思わせた。

 与那国島はなにも無いところだ。それが良い。走り出してすぐにそう感じた。1周わずか25㎞の小さな島ながらアップダウンはなかなか激しいが、道路に荒れている箇所はほとんどない。そして他のサイクリストにまず会うこともなく、対向車とも数分に1回すれ違うかどうか…という状況は、自分が島を借り切って独り占めをしているような優越感があった。

与那国島の在来種で、与那国町の天然記念物にも指定されている与那国馬。お米やサトウキビなど重い荷物を運ぶなど、ずっと島の人と一緒に働いてきたそうだ。牧場沿いの道では至近距離で馬が草を食んでいる与那国島の在来種で、与那国町の天然記念物にも指定されている与那国馬。お米やサトウキビなど重い荷物を運ぶなど、ずっと島の人と一緒に働いてきたそうだ。牧場沿いの道では至近距離で馬が草を食んでいる
「ヨナグニウマふれあい広場」では実際に触れたり乗馬体験が可能。築70年の古民家で「どなんとぅ(与那国の人)」の講師・与那覇有羽さんから三線を教わりました。初級のお題目「かたぶる浜」をマスターすると、修了証書がもらえます! ランチタイムは郷土の料理をクバの葉に包んだ「クバ弁当」に舌鼓「ヨナグニウマふれあい広場」では実際に触れたり乗馬体験が可能。築70年の古民家で「どなんとぅ(与那国の人)」の講師・与那覇有羽さんから三線を教わりました。初級のお題目「かたぶる浜」をマスターすると、修了証書がもらえます! ランチタイムは郷土の料理をクバの葉に包んだ「クバ弁当」に舌鼓

 さらに気に入ったのは、島のそこかしこに「普通に」馬や牛がいることだ。与那国馬という小ぶりで大人しい在来種もいて、牧場に面する道路は彼らのトイレでもある。不思議と全く臭わないのだけれど、スリップには要注意だ。穏やかに草を食む彼らを、自転車を停めてしばらく眺めていると、人間も馬も大して変わらないように思えてくる。

 帰りは再び飛行機で石垣島へ。与那国空港には、島の特産品の泡盛や黒砂糖などがならんだ小さな売店が数店軒を連ねる。そこに与那国島の民間伝承の本を見つけて買い求めた。ここは神様の島、与那国。また来たいな。小さくなる島影を見下ろしながらそう願った。

日本最西端の碑で記念撮影日本最西端の碑で記念撮影
おみやげに日本最西端の「崎元酒造所」がつくる泡盛はいかが?おみやげに日本最西端の「崎元酒造所」がつくる泡盛はいかが?

マングローブの秘境の島を自転車で探検!?

PART 3●西表島(いりおもてじま)

八重山で最大の面積を誇る西表島は、島の面積の9割が原生林で覆われた自然豊かな島。サイクリングだけでなく、カヌーなどの秘境を体感できるアクティビティも。島内に空港はなく、石垣島よりフェリーが毎日運行されている。所要時間は約40分。

石垣島と西表島では、初めての「フェリー輪行」を体験。港であっという間に小さく折りたためて、女性の腕力でも船に飛行機にコンパクトに持ち運べるターン「ヴァージュP9L」は、今回の旅の強い味方だった石垣島と西表島では、初めての「フェリー輪行」を体験。港であっという間に小さく折りたためて、女性の腕力でも船に飛行機にコンパクトに持ち運べるターン「ヴァージュP9L」は、今回の旅の強い味方だった

 西表島へ渡るには、石垣島からフェリーを利用して約40分。フェリーと言っても高速船に近い大きさで、屋根つきデッキに長椅子が6つほど、そして客席は100席近くのもので、オートバイやクルマはまず乗れない。そんな地元の人達の足にもなっている船にひょいと気軽にお邪魔できる自転車は、こういう時に誇らしい。

 着いた港は大原港。そこから島の外周に沿った道を半時計周りに進んだ先に、帰りのフェリー乗り場に設定した上原港がある。距離にして約55㎞と結構な距離だ。それもそのはず、ここは沖縄県で沖縄本島の次に大きな島なのだそうだ。

 西表島と聞いて思い浮かべたのは、やはりイリオモテヤマネコ。もちろんそれは間違いじゃなかったけれど、会えるのはまれな上に、それよりさらにこの島を強く印象づけるものの存在を知った。それがマングローブの大群生地。まるで日本じゃないみたい! そんな平凡な言葉しか浮かばない圧倒的な光景だ。

西表島では眼下に広がるマングローブの群生に目が釘付け。南の島というよりも、どこか異国のジャングルにやってきたかのような感覚。野性的で荒々しいまでの自然のパワーに圧倒されます西表島では眼下に広がるマングローブの群生に目が釘付け。南の島というよりも、どこか異国のジャングルにやってきたかのような感覚。野性的で荒々しいまでの自然のパワーに圧倒されます
宿の夕食では名物のイノシシ料理やヤシガニなど郷土料理がずらりと並ぶ。爪には甘い身がたくさん詰まっていて、濃厚なカニ味噌も味わえます。西表島のおいしい水で仕込んだ泡盛で乾杯!宿の夕食では名物のイノシシ料理やヤシガニなど郷土料理がずらりと並ぶ。爪には甘い身がたくさん詰まっていて、濃厚なカニ味噌も味わえます。西表島のおいしい水で仕込んだ泡盛で乾杯!

 あいにくの曇り空でも、橋から水面を覗けば水深がわからないほど透き通った水を湛えた河口。その両岸や入り江を外側から埋め尽くすように、むき出しの根を水中へ差し立ち上がっているマングローブは、南国の力強さの象徴のようにも感じられた。しかもそんな景色がペダルをこぎ進めた島のあちこちで見られるのだから、改めてこの島の自然の大きさに恐れ入るばかりだった。

 南国特有の植物の深い緑の中を無心にペダルを回して駆け抜ける。立ち止まれば、少し火照った肌に八重山諸島の季節風という北風を感じた。五感以上の何かの存在を感じながら、歩くよりも早い速度で旅先の地の色彩のなかを通り過ぎてゆく、自転車の旅。ああ、やっぱり私にはこの時間が必要だったんだな。心の澱(おり)が落とされて初めて、人は素直になれるのだろうか。「幸せだなあ」そう心から思えたのは、ずいぶん久しぶりだったかもしれなかった。

西表島の沖合400mに位置する小さな島「由布島(ゆぶじま)」へは、水深が浅いため水牛車に乗って、あるいは徒歩で渡ることができる。島全体が亜熱帯植物園になっていて、島へ渡るには入園料(1400円)を支払う西表島の沖合400mに位置する小さな島「由布島(ゆぶじま)」へは、水深が浅いため水牛車に乗って、あるいは徒歩で渡ることができる。島全体が亜熱帯植物園になっていて、島へ渡るには入園料(1400円)を支払う
食後、「西表アイランドホテル」のおかみさんが「祖納岳」という郷土の舞を披露してくれた食後、「西表アイランドホテル」のおかみさんが「祖納岳」という郷土の舞を披露してくれた

◇         ◇

 次に訪れるときは、八重山はどんな色で出迎えてくれるのだろう。東京に帰ってきたそばから、私はこの地の景色に思いを馳せていた。

文 多聞恵美・写真 三浦孝明

多聞恵美多聞恵美(たもん・めぐみ)

「モデライダー」(モデル+ライダー+ライター)として、二輪雑誌(オートバイ・自転車雑誌)を中心に活躍するほか、軽妙なトークでイベントMCもこなす。父から譲り受けた古いユーラシアを愛車とするほか、オートバイも3台所有する大の車輪好き。
 

問合せ先一覧

〔石垣島〕
■バンナ・ダウンヒルサイクリングツアー: 所要時間は約3時間15分。料金は5,000円で、マウンテンバイクのレンタルも含まれる。問合せ=エイトサイクリング 0980-88-7332 / ishigaki-eight.com
■セグウェイツアーin 石垣: 所要時間は2時間。大人(16歳以上)のツアー料金は8,200円。最低催行人数は1名より。問合せ=平田観光 0980-82-6711 / www.hirata-group.co.jp/article/segway
■イルカふれあい体験: 所要時間は1時間。5歳以下は要保護者同伴。料金は3,800円(12月~ 3月末は冬期料金で2,500円)。問合せ=ドルフィンファンタジー石垣島 0980-87-5088 / df-ishigaki.com
■ミルミル: 石垣市新川1583-74 営業時間10:00~18:30 無休 0980-87-0885
■知念商会: 石垣市登野城1249-18 営業時間7:00~21:00 不定休 0980-82-9664
 
〔与那国島〕
■ふれあいと体験乗馬: 所要時間20分で料金は3,000円。その他にトレッキングや海の中で馬と遊ぶコースなど、さまざまな馬遊びメニューあり。問合せ=NPOヨナグニウマふれあい広場 090-1941-4758(予約専用、8:00~21:00)/ www.yonaguniuma.com
■古民家で三線体験&クバの葉弁当の昼ご飯: 所要時間は約2時間。料金は大人・子供同額で3,800円(5歳未満の子供は無料)。問合せ=ジェイ・タップ 098-857-2111
■アイランドホテル与那国: 八重山郡与那国町与那国4647-1 0980-87-2300 / www.ailand-resort.co.jp
 
〔西表島〕
■西表アイランドホテル: 0980-85-6001 / www.kameland.net

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