伊豆ベロドロームを使って比較ブリヂストンアンカーの新TTバイク「RT9」を実走テスト デモで高い空力性能を証明

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 ブリヂストンアンカーのレーシングブランド「アンカー」から、待望のタイムトライアル(TT)専用モデル「RT9」が今年9月に発表された。今回、来年4月の発売に向けて、実走可能な最終プロトタイプによるメディア向けの特別試乗会が12月19日、静岡県伊豆市の日本サイクルスポーツセンターで行われた。 (写真・文 米山一輝)

アンカーからついに登場したタイムトライアル専用バイク「RT9」。9月の2015年モデル発表会ではモックアップ(模型)のみだったが、走行可能な実車がお目見えしたアンカーからついに登場したタイムトライアル専用バイク「RT9」。9月の2015年モデル発表会ではモックアップ(模型)のみだったが、走行可能な実車がお目見えした
正面から見ると前面投影面積の少なさを実感できる正面から見ると前面投影面積の少なさを実感できる
専用のステムは3ピースのアルミ削り出し専用のステムは3ピースのアルミ削り出し
パワーを受け止めるBB部。シマノの電動コンポDi2のバッテリーはBB付近に内蔵されるパワーを受け止めるBB部。シマノの電動コンポDi2のバッテリーはBB付近に内蔵される
シートクランプは他社の特許を回避しつつ空力面で不利にならない構造シートクランプは他社の特許を回避しつつ空力面で不利にならない構造
細かいパーツ構成で高い固定力を実現しているシートクランプ部細かいパーツ構成で高い固定力を実現しているシートクランプ部

実走テストで高いポテンシャルを証明

 試乗の前に、RT9の性能を実証するデモンストレーションが、サイクルスポーツセンター内の伊豆ベロドロームで行われた。実験室でのテストではなく、レースに近い速度域での実走を通して検証するために、風の影響のない室内競技場が会場に選ばれたのだ。普段は専用のトラックレーサーしか走れない国際規格のトラックで、特別に許可を得てテストが行われた。

 テストに使用した機材は3種類のアンカー製バイク。まずはノーマルのロードバイクにDHバーを付けてTT仕様にしたバイク。続いてタイムトライアル用プロトタイプで、2012年に西薗良太選手が全日本個人TTを制したものと同型のバイク。そして最後はRT9だ。

ロードバイク「RMZ」に後付けでDHバーを付けた。乗車姿勢は若干高くなるロードバイク「RMZ」に後付けでDHバーを付けた。乗車姿勢は若干高くなる
プロトタイプTTバイク。低いポジションを出すためにエルゴステムを使用しているプロトタイプTTバイク。低いポジションを出すためにエルゴステムを使用している

 それぞれのバイクで、時速45km固定のフライング(すでに走行している状態から行う)3kmタイムトライアルを行い、パワーメーターで出力を計測する。同じスピードで走った際に、どれだけライダーのパワーを節約できるかで、機材のタイムトライアル能力の優劣を比較することができる。テストライダーはブリヂストンアンカー サイクリングチームの若手、椿大志選手(2014年全日本TT10位)が担当した。

最新のRT9。自然にTTポジションが出ており、フレーム自体の空力性能も向上した最新のRT9。自然にTTポジションが出ており、フレーム自体の空力性能も向上した
テスト環境を合わせるため、全く同じホイールを使用したテスト環境を合わせるため、全く同じホイールを使用した
3車種でのテスト結果。RT9が高いポテンシャルを実証した3車種でのテスト結果。RT9が高いポテンシャルを実証した

 3台のバイクのテスト結果は図の通り。RT9はノーマルロードに比べて約8%、TTプロトタイプに比べても約5%のパワー節約効果が認められた。RT9とTTプロトタイプの乗車ポジションはほぼ同じということで、両者の差は純粋にバイクの空力性能の差であると言えるだろう。

 また椿選手のテストの合間に、RT9に乗った井上和郎選手(2014年全日本TT7位)と、西薗良太選手(2012年全日本TT優勝、来年よりブリヂストンアンカーに復帰)による、全力でのスタンディング(静止状態からスタートする)3kmタイムトライアルが行われた。井上選手は3分46秒76で平均時速47.6km、西薗選手は3分41秒79で平均時速48.7kmという記録を残し、1シーズン現役を離れていた西薗選手がブランクを感じさせない好走を見せた。

2014年は全日本ロード2位の成績を残した井上和郎選手2014年は全日本ロード2位の成績を残した井上和郎選手
この日、アンカーでの現役復帰を明らかにした西薗良太選手この日、アンカーでの現役復帰を明らかにした西薗良太選手

ブリヂストンアンカー3選手のコメント

椿大志選手

 マシンを受け取ってからあまり日がなく、ポジションも煮詰めきっていないのですが、すごく乗りやすいバイクだなと思いました。プロトタイプからはジオメトリーもだいぶ変更されて、ダンシングの振りとかも軽くなりました。踏んだときの脚への反発が少ないので、淡々といくTTにはちょうど良いかなと思います。来年はTTバイクを使うような場面も増えますが、そういう場面ではちゃんと成績を残したい。一番の目標は全日本で成績を残すことなので、ポジション等を煮詰めていきたいと思います。

RT9を囲んで、(左より)西薗良太選手、井上和郎選手、椿大志選手RT9を囲んで、(左より)西薗良太選手、井上和郎選手、椿大志選手

井上和郎選手

 バランスがすごくいいですね。TTバイクとしてとんがっている要素はあまりないかも知れないですが、取り扱いが楽でコーナーとかも楽に行ける感じなので、直線番長というよりは多少荒れたコースのTTにも対応できる感じです。万人が乗ってそれぞれ乗りこなすのに、それほど苦労しないんじゃないかという感じです。来年の全日本TTは、今年7位だった男がどれだけ順位を上げられるか、上がった分は全部このRT9のおかげということにしたいので、頑張りますよ。

西薗良太選手

 癖が無いです。ロードバイクとして実にスタンダードで、あまりバイクの事を意識させない感じです。2012年のやつとは別のバイク。あれはハンドリングがかなり癖がありましたが、ジオメトリーが改良されて直進安定性も良くなった。あとはもう脚の問題だなと。(他社のTTバイクは)いくつかのやつはトライアスロンに目が行っているので、かなりリラックスしたポジションしか取れないことが多いんですけど、RT9は普通の日本人の体型なら、そのままロードのTTポジションがかなり普通に出ます。国内で作っているというのは、日本人に合わせて作れるので、そこはいいですね。170センチくらいの身長の人間がTTで素直にポジションを出せるバイクって本当に少ないんです。そういう意味ではかなり有利ですね。

RT9の実車に試乗 本気の作りを実感

最後に屋外で試乗を行った最後に屋外で試乗を行った

 デモンストレーションの後、サイクルスポーツセンターの敷地内で実際にRT9に試乗することができた。乗ってみて感じることは、かなり前傾の深い、戦闘的なポジションが最初から取れることだ。短いヘッドチューブではワイヤーの取り回しが問題となるが、この部分も自然になるよう検討が重ねられたという。

 加速感はナチュラルで、スピードも小気味よく上がっていく。試走できる範囲では、長い直線を全開で走ることはできなかったが、乗ってみて感じたのは、これは「速く走らせるためのバイク」だということだ。のんびり走って楽しいバイクではないが、TTレースがホビーでもシリアスでも増加傾向にある昨今、こういった“本気の”TTバイクが国内メーカーから登場するのは喜ばしい限りだ。

 ただ、戦闘的な乗車ポジションから、ライダーが所期のパフォーマンスを発揮できる時間は、プロで1時間、アマチュアであれば30分前後が限界ではないかという気もした。この点は開発側も理解しているそうで、ハンドルを高めにセットできるトライアスロン向けのパッケージも検討しているという。

 今回使用されたバイクは形状としては完成バージョンだが、カーボンの積層などの剛性バランスは、製品版までさらに微調整が行われるという。来年4月の発売以降、レベルを問わず実際のレースで、RT9がどのような活躍を見せてくれるか、今から楽しみだ。

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